今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

金魚の日

2009-03-03 | 記念日
3月3日の今日は「上巳,桃の節句」「雛祭り」であるが、このことについては、3月3日「雛祭り」7月20日「大國魂神社「李子祭(すももまつり)」の日」などで書いたので、他の記念日をと見ていたら、何時も参考にしている以下参考に記載の「今日は何の日~毎日が記念日~3月3日」に、「金魚の日」があった。
江戸時代、雛祭りの時に金魚を一緒に飾ったことから。日本鑑賞魚振興会が制定したそうだ。
キンギョ(金魚)は、3~4世紀頃、中国長江下流・揚子江付近のフナが突然変異で赤くなったヒブナを観賞用に飼育、交配を重ねていった結果生まれた観賞魚で、中国語では「金魚」と呼ばれているのは、光を受けて金色に輝くことからだそうで、学名は「Carassius auratus(金色のフナ)」。英語では「Gold fish」というそうだ。
日本でも鎌倉時代にはその存在が知られていたようだが、金魚そのものは、約500年ぐらい前の室町時代末期に、当時貿易港として栄えていた堺 (大阪府堺市)に持ち込まれたのが最初だとする説がもっとも有力とのこと。
この当時持ち込まれたのは、今ワキン(和金)(ヒブナが持つフナ尾が三つ尾、四つ尾と変異したもの)とよばれている種である。当時は高価な貴重品として扱われていたものであり、又、当時の日本は戦乱の時代でもあったことから、金魚は普及しなかった。
江戸時代前期になると世の中も平穏になり、再び中国から金魚が持ち込まれたが、未だ養殖技術もなく池などで飼われていたが、それは、非常に高価で、本当に限られた上流階級だけに許される贅沢品であった。
当時、大坂で繁栄を極めた豪商・淀屋5代目・辰五郎は、天井にとりつけたガラス製の大きな水槽の中に金魚を泳がせ、下から眺めることにより暑気払いをしたと伝えられているそうだ。彼は、「町人の分限を超え、贅沢な生活が目に余る」ということで、宝永2年(1705年)、幕府の命により闕所(けっしょ)処分となったことで有名。
しかし、江戸も、元禄時代(1688~1709年)になると、経済も急成長。この時代ぐらいから、養殖も盛んになり、江戸の町にも金魚売りや金魚屋ができ、盆栽や植木が愛好されるように、高価な金魚を裕福な武士や商人達が競って買い求めるようになった。
冒頭の画像1は、『絵本加賀御伽』に掲載されている金魚屋の図。盆栽と一緒に売られている。左2の画像は、『金魚養玩草』(きんぎょそだてぐさ)。著者は江戸中期の堺の商人で、寛延元年(1748年)に、日本初の金魚書を著した安達嘉之(あだち よしゆき)。本書は、金魚の渡来記から養育法、病気治療法にも及んでいるという。例えば、以下参考に記載の「※金魚養玩草」によれば、“金魚の雄雌の見分け方”として、“雄は、ずんぐりとして細長く鼻すじ平で口先は丸く頭は小ぶりである。雌は、ふっくらと肥えて口先とがり目より肩鰓先長く、又、頭大ぶりにして鼻筋にすぐ立つもの。しかし、小魚では見分け難く、よく見定めること。雄と雌は別の池に置くこと。裏込み(家の裏?つまり北側)に置くと雌は、非常に弱る(病気になる)”・・と事細かに書いてあるようで、この本が、金魚の飼育熱を生んだといわれている。ただし、元禄の頃、この時期は、まだまだ一般庶民には高嶺の花で、奉公人の年収が1.5両~2両の時代に金魚1匹 5両~10両の値段がついていたと言われているそうだ。(以下「※金魚の飼い方/金魚の寿命と金魚の歴史」参照)。
金魚の養殖は、金魚を愛好していた大名のおひざ元で、武士の副業として始められた。中でも奈良県の大和郡山地方は、享保9年(1724年)に柳澤吉里(松平伊勢守吉里)が国替えで、甲斐の国(山梨県)から大和郡山へ入国したときに持ち込んだのが始まりと言われ、領主から家臣に金魚飼育が広まり、代々受け継がれる形で大きな産地となった。
そして、江戸時代も末期の化政文化期(1804年~1829年)にはさらに、金魚愛好家の多かった愛知県の弥富地方、東京の江戸川下流域が、加わり、これら金魚の養殖三大生産地で量産がされ、流通体制も確立したことから、金魚の価格が下がり、庶民にも本格的な金魚飼育が普及し、品評会が催されるようになったほか、金魚鉢やガラスの容器又、水草や、金魚の餌なども販売されるようになり、当時の浮世絵や日本画の題材としても広く取り上げられている。因みに、東京・江戸川区船堀は昔から金魚の町で、今でも金魚の養魚場が沢山あることから、船堀駅の壁には大きな金魚の絵がタイルで描かれているようだ。(以下参考に記載の「江戸川船堀日記・金魚を買うなら~金魚の町 船堀へ!」参照)。しかし最近の江戸川地方は都市化が進み、養殖の場は隣の埼玉県に移りつつあるという。
「金魚玉とり落しなば鋪道の花」(鋪道の花 ~波多野爽波第一句集。※波多野は高浜虚子に師事)
前に述べた、大阪の豪商・淀屋辰五郎の宅では、天井にとりつけたガラス製の大きな水槽の中に金魚を泳がせていたと書いたが、江戸時代末期に庶民の間にも大流行したのが、天上から吊るす「金魚玉」といわれるガラスの器だった。その画像は以下参考に記載の「美の壺/2008年度 放送/バックナンバー/File11 金魚」にある。(金魚玉⇒ここ
金魚と言えば夏を連想するが、当時、東京の庶民が住む下町に、金魚売がやって来る時期は、夏ではなく春から夏にかけての季節であったようだ。金魚の産卵期は水温がだんだんと暖かくなる春先から夏であり、盛夏の頃は金魚を入れている桶の水がすぐに温まって、売り物の金魚が酸欠死しやすくなることから、水温も上らず輸送にも都合の良かった春先に売りに来るのが丁度良かったようだ。その様なことから、金魚売りの呼び声が春の季節到来を告げるものとなり、東京西郊の西多摩地方などに、春の桃の節句に、雛人形に金魚を添える習慣が生まれたようである。この“金魚売りと雛祭り”のことについては、以下参考に記載の「※『江戸東京歳時記をあるく』 第6回 金魚の初セリと雛祭り」 (柏書房)が詳しい。
明治時代以降学校での金魚飼育が始まり、第二次世界大戦後は理科の教材として取り上げられ更に普及。現在も縁日や夜店の金魚すくいなどを通じて金魚は日本人には一番馴染み深い観賞魚である。
金魚を題材にした作品は数多くあるが、その中で、最近話題になったのは、長編アニメの『崖の上のポニョ』(監督:宮崎駿)であり、主人公のポニョは金魚がモチーフである。又、ちょっと、以外なのが、北原白秋作詞による童謡「金魚」の歌詞であろう。
母さん、母さん、どこへ行た。
紅い金魚と遊びませう。
母さん、帰らぬ。さびしいな。
金魚を一匹突き殺す。
まだまだ帰らぬ。くやしいな。
金魚を二匹絞め殺す。
なぜなぜ帰らぬ。ひもじいな。
金魚を三匹捻ぢ殺す。
涙がこぼれる。日は暮れる。
紅い金魚も死ぬ死ぬ。
母さん怖いよ。眼が光る。
ピカピカ、金魚の眼が光る。
・・・といった歌詞で、母親不在の寂しさ、悔しさを金魚を殺すことで紛らわす子供の猟奇的な残酷性が感じられるが、この白秋の詩に対して、西条八十の「あまりに残虐だ」との批判に対して、白秋は「子供が金魚を締め殺したのは、母に対する愛の表れなのだ。その衝動は悪でも醜(しゅう)でもなく、人間の本性だ。子供の持つ残虐なものは、成長力の一面であって、美であり、詩である」と反論したという。(以下参考に記載の「※d-score 楽譜 -金魚 -北原白秋/成田為三」「※神話的「知」のすす」「※北原白秋 朗読 金魚」など参照)。
たしかに日本の土着の歌や民話などには,結構残酷なものが多く、そのようなことも意識してのことか、白秋の詩には結構怖い内容のものがあるね。あどけない子供には、自分が何をしてるのかを理解しないまま、理不尽なことするところがあり、その無邪気さが怖いと言えば恐いよね。
最後に、金魚と言えば、江戸時代末期の「奇想の絵師」として知られる浮世絵師・歌川 国芳は、動物の描写には定評がありその中の1つ金魚を擬人化した「金魚づくし」(8枚)が面白い。以下で見られるとよい。
擬人化 魚 金魚づくし なまず絵
http://akituya.gooside.com/gijinkakura_sakana.htm
(画像1:盆栽と金魚。『絵本加賀御伽』挿絵、NHKデーター情報部編ヴィジュアル百科「江戸事情第1巻生活編より。画像2:『金魚養玩草』国立国会図書館蔵、週間朝日百科『日本の歴史』71より」)
参考:
今日は何の日~毎日が記念日~3月3日
http://www.nnh.to/03/03.html
今日の子とあれこれと・・3月3日「雛祭り」
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/862a86598c8d2dfae8fa343cb05707a0
今日のことあれこれと・・7月20日「大國魂神社「李子祭(すももまつり)」の日」
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/c8d0d264409f11bc1fbf9d79d42ce7bf
キンギョ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E9%AD%9A
淀屋辰五郎実記
http://www.asahi-net.or.jp/~UW8Y-KYM/yodoya-zikki00.html
歴史探検(第三十四回)淀屋辰五郎と淀屋取り潰しの真相
http://www.01.246.ne.jp/~reki127/index.rekitan-34.html
※金魚養玩草
http://blogs.yahoo.co.jp/pantarita314/16157982.html
※金魚の飼い方/金魚の寿命と金魚の歴史
http://www.benridayo.jp/aqua/sei.html
※『江戸東京歳時記をあるく』 第6回 金魚の初セリと雛祭り (柏書房)
http://www.kashiwashobo.co.jp/new_web/column/rensai/r03-06.html
美の壺/2008年度 放送/バックナンバー/File11 金魚
http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20060616.html
※d-score 楽譜 -金魚 -北原白秋/成田為三
http://www.d-score.com/ar/A02032706.html
※神話的「知」のすすめ
http://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/father/shinwa.html
※北原白秋 朗読 金魚
http://hakusyu.net/Entry/51/
江戸川船堀日記・金魚を買うなら~金魚の町 船堀へ!
http://pluser.blog51.fc2.com/blog-entry-5.html
d-score 楽譜 -月夜の家 -北原白秋/成田為三
http://www.d-score.com/ar/A02032705.html
北原白秋 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%97%E5%8E%9F%E7%99%BD%E7%A7%8B
歌川国芳 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%8C%E5%B7%9D%E5%9B%BD%E8%8A%B3

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