真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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南京事件 ノースチャイナ・デイリー・ニューズ記事

2015年08月29日 | 国際・政治

 「外国通信員の南京に入る許可」は、なぜできないのか?

 南京における日本軍の略奪・強姦・虐殺などの蛮行について、
当時の南京は国際都市だったから、各国のジャーナリストたちが大勢いた。それなのに、当時日本に対して反日的な国々からも、正式な抗議は無かった。
などというような文章をよく目にする。しかしながら、南京陥落後もずっと南京に留まり続けた「各国のジャーナリストたちが大勢いた。」というのは事実ではないと思う。
 確かに、首都南京は国際都市であり、外国の公館や企業、報道機関、教会、学校その他があるため、大勢の外国人が駐留していた。しかしながら、その多くが日本軍による南京空襲や南京攻略に危険を感じて、その大部分が、各国のジャーナリストも含めて南京陥落前に南京を離れていたはずである。

 また、南京陥落後、南京難民区の国際委員会関係者が、連日、日本大使館宛に日本兵の暴行に関して抗議や要請をし、諸機関に働きかけてもいた。(467「南京難民区 国際委員会の書簡文と日本の報道」など参照)。したがって、「正式な抗議は無かった」というのも、事実に反するのではないかと思う。

 そして、南京を離れた外国人ジャーナリストの中に、南京を離れた後も、懸命に南京の情報を集めて、様々な方法で、南京の悲惨な実情を世に伝えようと努力した人たちがあったことや、その文章を見逃してはならないと思う。(473「南京事件 ニューヨーク・タイムズ掲載記事」や468『南京事件 ティンバーリイ著「外国人の見た日本軍の暴行」』など参照)。 
           
さらに、    
 ”外国人ジャーナリスト、日本の新聞記者もそこにいっぱいいたのに誰も虐殺など見ていない
とか                     
 ”1937年の南京陥落当時、南京には200人近い記者やカメラマンたちが派遣されていました。
世田谷区よりも狭い南京市に、朝日新聞、読売新聞、東京日日、NHKなど、200人ものジャーナリストたちがいたわけで、数万人単位の虐殺などあれば、必ず誰かが話題にしているはずです。記者たちはニュースを探すために現地にいるのですから、虐殺を知らないわけがありません。

などという文章も、事実に反するものだと思う。外国人ジャーナリスト、F・ティルマン・ダーディン記者は「上海行きの船に乗船する直前、バンドで200人の男子が処刑されるのを見た」という記事をニューヨーク・タイムズに送っている。
 また、日本の新聞記者は従軍記者であり、その報道は軍の厳しい検閲を受けていた。従軍記者は、国際法違反の「捕虜虐殺」などを見聞きしても、それを自由に報道できる状況にはなかったことを忘れてはならないと思う。だから、「誰も虐殺など見ていない」と断定することはできないと思うのである。
 当時の従軍記者は、日本軍とともに行動し、日本軍に協力して、その戦況や戦果を日本に伝えるのが基本的な役目であり、見聞きしたことを自由に記事にしたり、話題にしたりすることができなかったことを踏まえる必要があるということである。そして「大本営発表」の報道が、戦後、「嘘」の代名詞のように言われるようになったことを、われわれ日本人は忘れてはならない、と思うのである。
 『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』1938年1月22日号の記事は、そうしたことを裏付けるものの一つであり、真摯に受け止める必要があると思う。

 下記は「日中戦争 南京大残虐事件資料集 第2巻 英文資料編」洞富雄(青木書店)からの抜粋である。
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                  『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』1938年1月22日号記事 

 日本の公式スポークスマンは、昨日の『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』(The North China Daily News)の社説について、同日午後、”はなはだしく誇張した”、”悪意に満ち”、”根拠がなく”、それに”日本軍の名声をけがす意図がある”と述べた。外国の通信員が、この日刊紙を引いて、問題の社説の長い引用文を海底電話で通信しようとした時、彼の通信が日本の検閲官によって拒絶されたことに言及すると、そのスポークスマンは、また、社説の中の事実の正確さに疑いがあると言ったのである。その通信員は英国総領事を通じて抗議文を提出したことを明らかにした。

 『マンチェスター・ガーディアン』(The Manchester Guardian)の中国通信員であるその質問者が、社説に書かれた数字の正確さを疑う理由があるのか、とスポークスマンに聞くと、
「この報道の完全な正確さを疑う十分な根拠があると」と彼は答えた。
「これらの数字がどの程度まで事態を表しているかに関して、なにか情報を得るとか、あるいはあなたの情報がどの程度のものであるかをわれわれに教えてもらうとかいうことはできないものだろうか。」─「われわれが集めた情報によれば、この新聞に報道された数字ははなはだしく誇張されたものであることがわかる。」
「それだけで、そうした新聞の報道を海外に電送することに異論があるのか。」─「もちろん、われわれはそれには反対する。」
「私が質問する理由は、今日、『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』の今朝の社説の大部分を引用した至急報を提出したからである。私はまた別の出所からの、個人的な南京情報を持っていたが、それは『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』が発表した数字を確認させるものだ。私は日本の検閲官と名乗る紳士から電話を受け、私の通信文を撤回する用意があるかとたずねられた。私がその理由を聞くと、彼はそれが新聞の報道にすぎないからだと言うのだ。
「私がだれにも影響されない出所からも同じ情報がきていると言うと、彼はもし私がそれを撤回しない場合には、差し止めると言うのである。実際に差し止めるつもりなのかと尋ねたが、彼はそのとおりだと答えた。それで、私は”好きなようにやりたまえ、だが、私は異議を申し立てる”と言っておいた。その後、私は英国領事館にたいして、日本当局に抗議し、私の通信をさらに妨害することを止めさせるよう要求したのである。」
 その通信員は、『ノースチャイナ・デイリー・ニューズ』の社説のような記事ならば承認されたであろうが、そのような報道が公表された後でさえも、海底電信で海外へ通信することは許可されないようだ、と語った。”あきらかに、検閲官の気に入らない情報は、差し止められるのだ”と、彼は断定した。
 長く気まずい沈黙がつづいた。
 1分か2分の間をおいて、スポークスマンは、”根拠もなく、日本軍の名声をけがす意図のある”ような”悪意に満ちた新聞報道は検閲官によって差し止められるだろう”と言った。
「このような報道が、”悪意に満ち”そしてまた”根拠がない”のか。」
─「そのとおりだ!」
 通信員は、情報がどこででも見つけられるほど公明正大な出所からもたらされたものなので、その報道は”根拠があり”、”悪意”については疑問の余地はない、と言った。
「それは見解の問題だ!」と、スポークスマンは言った。
「また、個人的な情報の出所については」と、通信員は答えた。「彼らは私の友人だった。これらは、彼らが述べたどの言葉も出所を示す目撃者からの報告なのだ。」
 スポークスマンは、”君が引証したような数字”を挙げる目撃者は見つけられないだろう、と言い出した。それに対して、通信員は、南京にそのような目撃者がいるのだ、とやり返したのである。
 別の通信員が、すでに述べられた人物や名前は置いて、南京状態について何か声明が出されないのか、と聞いたので、スポークスマンは答えた。「報道担当官は幾度も南京の状態について報告してきた。現在、その報告に付けくわえるものは何もない。われわれの一般的な印象では、南京の状態は急速に正常に復しつつある。」
 その後、ある通信員が、1、2名の外国通信員の南京に入る許可が保証されるかと質問したのに対して、スポークスマンは、”作戦上の必要性”によって、民間人はその陥落した首都に立ち入ることができない、と答えたのである。

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