真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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高宗皇帝の信任状と親書(乙巳条約無効宣言)

2009年11月25日 | 国際・政治
 乙巳条約(第2次日韓協約)締結前後、高宗皇帝は朝米修好通商条約の条項を根拠に、アメリカの協力を得ようと様々な働きかけをした 。しかしながら、そのときすでに日本に傾いていた大統領の方針のために黙殺されたり、公式ルートではないとの理由で受けつけてもらえなかったりして、協力を得ることができなかったのであるが、条約締結直後のハルバート宛緊急電文も乙巳条約(勒約)に対する高宗皇帝の不同意の意志が明確に表現されている。
 乙巳条約(第2次日韓協約)が国際法的に無効であるという論拠はいくつかあるが、下記の信任状や親書はその最も重要な一つである。条約締結の最高責任者ともいうべき高宗皇帝が、自ら威嚇・強要・脅迫を理由に条約の無効を宣言しているからである。「日韓協約と韓国併合ー朝鮮植民地支配の合法性を問う」海野福寿編(明石書店)からの抜粋である。
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Ⅴ 光武帝の主権守護外交・1905-1907年

 2 対米交渉と米国の違約:1905年親書・電報・白紙親書

 
・・・
 期待していた米国の協力がない状態で11月18日に勒約が締結されると、皇帝はこれが無効であることをただちに明らかにするために、芝罘経由で26日に次のような電文をハルバートに緊急に送った。

 朕は銃剣の威嚇と強要のもとに最近韓日両国間で締結した、いわゆる保護条約が無効であることを宣言する。朕はこれに同意したこともなければ、今後も決して同意しないであろう。この旨を米国政府に伝達されたし。
                                  大韓帝国皇帝

 ・・・(以下略)
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 4 勒約無効、国際裁判所提訴の要請:1906年6月22日親書

 
・・・
 朕、大韓皇帝はハルバート氏を特別委員に任命し、我が国の帝国皇室と政府にかかわるすべての事項について英国とフランス、ドイツ、ロシア、オーストリア、ハンガリー、イタリア、ベルギーおよび清国政府など各国と協議するよう委任した。この際ハルバート氏に親書を各国に伝達するようにさせており、各国皇帝と大統領、君主陛下に対して、この親書で詳細に明らかにされているように、わが帝国が現在、当面している困難な状況を残らずに聞き入れてくれるように望むものである。
 将来、われわれはこの件をオランダのハーグ万国裁判所に付しようとするものであり、これが公正に処理されるよう各国政府は援助してくれることを願う。
  大韓開国515年6月22日
  1906年6月22日
                                      漢城にて

   御璽

 
・・・(以下略)
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 ・・・

         親書
 大韓国大皇帝は謹んで拝し
大ロシア大皇帝陛下に親書を差し上げます。
 貴国とわが国は長い間、数回にわたって厚い友誼をを受けて参りました。現在わが国が困難な時期に直面しているので、すべからく正義の友誼をもって助力してくださるものと期待しております。
 日本がわが国に対して不義を恣行して、1905年11月18日に、勒約を強制締結しました。このことが強制的に行われた点については、3つの証拠があります。
 第1に、わが政府の大臣が調印したとされるものは、真に正当なものではなく、
   脅迫を受けて強制的に行われたものであり、
 第2に、朕は政府に対して調印を許可したことがなく、
 第3に、政府議会について云々しているが、国法に依拠せずに会議を開いたもの
   であり、日本人が大臣を強制監禁して会議を開いたものであります。
 状況がこうであるため、いわゆる条約が成立したというのは公法に反するため、当然、無効であります。
 朕が申し上げたいのは、いかなる場合においても断じて応諾しなかったということであります。今回の不法条約によって国体が傷つけられました。ゆえに将来、朕がこの条約を応諾したと主張することがあっても、願わくは陛下におかれましては信じたり聞き入れたりせず、それが根拠のないことをご承知願います。
 朕は、堂々とした独立国がこのような不義で国体が傷つけられたので、願わくは陛下におかれてはただちに公使館を以前のようにわが国に再設置されるよう望みま。さもなくば、わが国が今後この事件をオランダのハーグ万国裁判所に公判を付しようとする際に、わが国に公使館を設置することによって、わが国の独立を保全できるよう特別に留意してくださることを望みます。これは公法上、真に当然なことでしょう。願わくは、陛下におかれては格別な関心を寄せられるよう期待します。
 この件の詳細な内容は、朕の特別委員であるハルバートに下問してくだされば、すべて解明してくれるだろうし、玉璽を押して保証します。
 陛下の皇室と臣民が永遠に天のご加護がありますよう、厳かに祈ります。併せてご聖体の平安を希求いたします。
   大韓開国515年6月22日
   1906年6月22日
                             漢城において、李煕・謹白

   御璽

 
・・・(以下略)

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