(原題) テ ン ペ ス ト
(別名) 風 の 花 嫁
オスカー・ココシュカ作(制作1913~1914年)
オスカー・ココシュカ(1886 - 1980年)はオーストリア出身の画家、詩人、劇作家 。著名な音楽家グスタフ・マーラーの未亡人アルマと一時恋愛関係にありました。この絵は彼の代表作で、自分とアルマを描いたもの。
今から30年以上も前、(現物じゃなく写真で)この絵を見たワタシはすごい衝撃を受けました。やりすぎ感があるって言うんですか、色使いや構図がおどろおどろしく、情念が入り過ぎて怖いと言うか・・・。この2人は暗い沼に沈んで心中したのではないのかしら?男は死んでいて、女はまだ生きてるような印象。もう見るからに不安が伝わってくる絵なんだよね。
不気味な印象が覚めないある日、古書店で小冊子「La museバーゼル美術館 (講談社)」を発見。あの絵はバーゼル美術館の所蔵なのかぁ。迷わず買いました。とりあえず心中じゃなかったことがわかった。二人とも生きててよかったわ。
そこに書かれているココシュカは激しい恋愛に人生を翻弄されるけど、哀れなほどの純情さを持ち続けているの。わずか3年ほどで別れちゃうんだけど、その後も生涯アルマを思い続けるココシュカ。彼にそこまで思わせる元カノ、マーラー未亡人のアルマと言う人はいったいどんな人なのか知りたくなった。
ココシュカとアルマの写真。
やはり美しいアルマ。
書きたいのはココシュカのことなんだけど、その前に「アルマ、女神か悪女か」と題して元カノのアルマの年表をまとめてみた(注:出典により違う説が多々あった)。三度の結婚期間に色を付けた。赤字の男性は他の男性との交際が同時進行している。外見も内面も魅力的な女性だから、この表以外にも男性はたくさん居たらしい。
クリムト、そして3人の夫たち。
そして、オスカー・ココシュカ。
亡命後のロス時代のアルマはビバリーヒルズに居を構え、音楽サロンを主宰。欧州からの多数の亡命作曲家が出入りしてたそうよ。
時代のせいか、4人子供を産んで3人が亡くなっている。つらいわねぇ。唯一長生きした次女アンナ・ユスティーネ(マーラーの子)はロンドンに亡命して彫刻家になったんですって。あまり反りが合わなかったそうだけど、母同様に多彩な恋愛遍歴を持ち、生涯に5回の結婚。アルマに似てこの次女もすごい美人です。
次女アンナ・ユスティーネ
アルマが男性にモテモテの理由、それはズバリ美貌と知性の両方を持っているからでしょう。妖精のように美しいアルマ。当時の音楽業界は男性主流だが男性と対等の知識を持つアルマ。男性にチヤホヤされたい性格で男を従えるアルマ。心変わりが多いけど自由に突き進むアルマ。男と別れても鋼のメンタルを持つアルマ。自立する女アルマ。一流の天才たちにとって、100人の従順な女性よりもひとりのアルマの方が新鮮な刺激があって魅力的なのでしょう。
以上、いつかココシュカについて記事にしたい(時期未定)のですが、その前段階としてアルマについて簡単に考察してみました。