夢七雑録

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みずがき山に登る

2011-08-13 09:14:35 | 古いアルバムめくり
 日本百名山の一つ、山梨県のみずがき山(2230m)に登ったのは、白馬岳に登ってから後のことであったと思う。この時、オリンパスペンで撮ったカラースライドが今も残っている。

 当時は増富までしかバスが入らなかったので、みずがき山へは増富から往復する事になる。橋を渡った先で朝食をとったあと、本谷川沿いに歩き始める。しばらく歩くと、谷が開けてくる。金山である。ここまで来ると、みずがき山の岩峰が見えてくる。


 川を渡って富士見平に向かう。展望台があり、みずがき山の全容が眺められる。富士見平までは、ピクニック気分で来られる道だが、ここから先は山登りの道になる。


 富士見平から樹林の中を天鳥川に下る。川を渡り、桃太郎岩という岩の傍で小休止する。ここから、みずがき山の山頂までは、直登、直登の可愛げの無い道が続く。

 カメラをリュックに入れ、ただひたすら登り、疲れ果てる前に何とか、みずがき山の山頂部に飛び出す。北には、姿も名前も優しげな小川山が見えている。


 みずがき山の頂上で昼食をとる。東側には金峰山に続く稜線が見える。頂上一帯の岩の間にはシャクナゲが点在している。開花期は見事なのだろうと思う。



 昼食を終え、頂上から大ヤスリ岩を見下ろし、それから、やおら、山を下り始める。上から見た大ヤスリ岩は、それほど大きさを感じないが、下山の途中、近くで見た大ヤスリ岩は、なるほど巨岩なのだと実感させられる。


 帰路は、来た道を戻るだけである。時々、金峰山を眺めながら、のんびり歩き、増富に着く。ここで登山者を待ち受けていたのは、小さいバスが1台だけだった。朝は、2台の大型バスで登山者を運んだのに、帰りは何でバス1台だけなのだと思いながらも、後続のバスは当分来そうもなく、仕方なくバスに乗り込む。明らかに定員オーバーとなったバスは、山路を右に左に曲がりながら走っていく。車内は満員すし詰め。身動きできない状態で、ただ耐える。山登りの帰りに、こんな難行苦行が待ち構えていようとは思わなかった。
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白馬・唐松縦走の思い出(2)

2011-08-03 19:43:46 | 古いアルバムめくり

 早朝、御来光を見るために白馬岳の山頂に上がる。やがて日の出。山荘から山頂まで、すでに行列が出来ている。右手、剣と立山の頂上一帯は、既に日差しの中にある。今日行く筈の縦走路の、その遥か先に姿を見せているのは、槍、穂高だろうか。

 遠くには、南アルプスの山々も姿を見せている。その左手に連なるのは八ヶ岳。そして、その右の肩から富士山が顔をのぞかせている。富士が見えると、何故かほっとする(上の写真はスライドの画面の中央部を取り出したもの)。不思議なものである。

 振り返ると、影富士ならぬ影白馬が出来ていた。その影の一辺が横切る、形のよい山の名を、その時は知らなかったのだが、毛勝三山というらしい。

 白馬山荘から暫らくは下りとなる。途中で振り返ると、小雪渓の上に白馬山荘、そのすぐ上に鋭角の白馬岳が聳えていた。

 白馬鑓ケ岳を望みながら、さらに下り、それから、杓子岳へと登っていく。ここまでの間、注意して渡る場所が一か所あったが、それ以外は、快適に歩ける道である。右手には剣岳が、日の光の中にその全容を現している。日差しは強く、思わずジャンパーを脱いでみるが、大気はまだ寒く、また着直す。もう一度、白馬岳を眺めてから、影の中の杓子岳の巻道をたどる。

 巻道を過ぎると、白馬鑓ケ岳への登りとなる。小鑓の上で小休止。紺碧の大空に向かって思い切り深呼吸する。小鑓からさらに進んで、白馬鑓ケ岳の山頂に上る。

 これから辿る予定の天狗尾根を見下ろし、その先の、唐松岳方面を望む。遥か先、かすかに槍や穂高が見えている。

 白馬鑓ケ岳を下り、鑓温泉への分岐に出る。ここから先、天狗尾根をゆったりと歩き、それから、一気に下る。不帰剣の入り口には、先行のパーティが小休止していた。こちらも、一休みして息を整える。

 不帰剣はこの縦走路の核心部にあたる。重いリュックに振られて落ちた人があったという話も聞く。ここからは、カメラもリュックに収め、ひたすら慎重に進む。不帰剣の足場はしっかりとしている。油断は禁物だが、注意して歩けば、見た目ほどの危険は無い。周囲を見回す余裕は無いが、慎重の上にも慎重に一歩一歩進んでいき、そして、気がつくと通り抜けている、そんな場所である。ただし、荒天の日には通りたくない場所でもある。不帰剣を抜ければ、後はのんびりと歩き、唐松岳を過ぎれば、今夜の宿、唐松山荘はすぐそこにある。予定より早めの到着である。

 唐松山荘は好ましい雰囲気の山小屋である。入口の鐘が印象的で、早速、写真に撮ろうとカメラを取り出す。その時になって初めて、フィルムが終わりになっている事に気が付いた。余分にフィルムを持参すれば良かったのだが、仕方がない。夕食まで時間があるので、山荘の近くを散歩する。ここにも、規模は小さいが美しい花畑がある。近くには雪田もある。山荘で使う水は、この雪を溶かしたものだという。唐松山荘にとって水は貴重品なのだ。しばらくして戻ると、山荘の人が「どなたか、ウイスキーを持っている方、居られないでしょうか」と聞いて回っている。何でも、ウイスキーを飲ませて欲しいという登山客が、約1名、入って来たらしい。山ではウイスキーも貴重品のようだ。

 翌日も晴天。名残惜しくはあるが、予定は変えられず、唐松山荘を出て八方尾根を下る。やがて、絶好の撮影ポイントである八方池。ケルンと池と白馬を、フィルム代わりに、頭の中に焼き付けて通り過ぎる。下るに従って、アルペン的風景は薄れていき、さらに下ると、周囲は普通の山になっていく。登山道のまわりの茂みを縄で囲った場所がある。マムシが居るらしいというので、急いで通り過ぎる。まもなく、ロープウエイの駅。しばらく休んでから、下界に下る。信濃四ツ谷駅に行く途中、見上げると、白馬の稜線に雲がかかっていた。「上は雨だな」と、誰かがつぶやいている。不帰剣で雷に遭遇したらどうなるのだろう。運を天に任すしかないのだろうか。ふと、そんな事を考えた。

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