(13)本門寺
池上本門寺は日蓮聖人入滅の地に建てられた寺院で、祖師堂(大堂)を中心に多くの伽藍を擁している。文化財ウイークの対象となる文化財は、大堂に向かって右奥にある五重塔である。塔の建立は1608年。1703年に現在地に移されている。現在の五重塔は、2001年に改修工事を終えた後のものである。この塔は、一番下の初層が和様、二層から上が唐様という異なる様式により建てられており、高さは30m弱、五重塔としては中規模である。この五重塔は、現存する関東の塔の中では最古とされ、重要文化財に指定されている。今年は、重要文化財指定100周年記念として、文化財ウイーク中に五重塔内部が特別公開された。内部には須弥壇上段に宝塔を中央に釈迦牟尼仏と多宝如来、その下に四菩薩が祀られている。何れも五重塔建立時に造られた像という。所在地は大田区池上1-1-1。池上線池上が最寄駅。
(14)大円寺
目黒駅近くから目黒川に向かって下る行人坂という急坂がある。大円寺はこの坂の途中にあり、行人坂火事という大火の火元であったため、幕末まで寺の再建は許されなかった。この寺の釈迦如来立像は、鎌倉の杉本寺にあったとされるが、大円寺に移された経緯は分からない。立像は、胎内に布の臓器を収めているため、生身の釈迦如来と呼ばれ、鎌倉初期の清涼寺式釈迦如来像として重要文化財に指定されている。年始などの特定日を除くと像は非公開になっているが、文化財ウイークの期間は公開されている。ただ、ガラス越しに拝観する事になるため、全身像はよく見えない。信仰上は、お顔を拝めるだけで十分なのであろう。大円寺には大火の犠牲者供養のための石仏群があるが、こちらの方は通年公開である。なお、大円寺には山手七福神の一、大黒天も祭られている。所在地は目黒区下目黒1-8-5。最寄駅は目黒駅である。
(15)性翁寺
江戸時代、春秋の彼岸に荒川流域の六か所の寺院をめぐる六阿弥陀詣という習俗があった。これには、次のような伝承が背景になっている。むかし、娘(足立姫)が荒川に身を投げた事を悲しんだ足立庄司が、行基に依頼して霊木から6体の阿弥陀像を造ったというのである。この時に余った根元の木から作ったのが性翁寺の本尊である木造阿弥陀如来座像で、余った木から造ったので、木余如来とも呼ばれていた。この伝承の真偽はともかくとして、この座像は平安末期から鎌倉初期の頃のものと考えられ、都指定有形文化財になっている。阿弥陀如来座像は文化財ウイーク中の1日だけ公開されている。性翁寺の住所は足立区扇2-19-3。舎人ライナーの扇大橋が最寄駅である。なお、六阿弥陀と性翁寺については、当ブログのカテゴリー「江戸近郊の小さな旅」の中の「六阿弥陀道のり」に記載がある。
(16)善明寺
善明寺の金仏堂に祭られている鉄造阿弥陀如来座像は、現存する鉄仏の中では最大とされ、重要文化財に指定されている。この鉄仏は武蔵国分寺の西の鉄谷にあったと伝えられ、後に大国魂神社に安置されていたが、明治になって善明寺に移されている。鉄仏は銘文から1253年に仏師藤原助近により制作された事が分かっている。金仏堂には、胎内仏とも称され、座像より小さい鉄造阿弥陀如来立像も安置されているが、座像とほぼ同じ時期の制作という。鉄仏は文化財ウイーク中の特定日だけ公開されるが、拝観は寺に入って右側の金仏堂の入口からとなる。以前、公開日に訪れた事があったが、鉄仏までの距離が離れているので細部はよく見えなかった。なお、この鉄仏については、当ブログのカテゴリー「江戸近郊の小さな旅」の中の「府中道の記」に記載がある。所在地は府中市本町1-5-4。最寄駅は京王線府中駅である。
池上本門寺は日蓮聖人入滅の地に建てられた寺院で、祖師堂(大堂)を中心に多くの伽藍を擁している。文化財ウイークの対象となる文化財は、大堂に向かって右奥にある五重塔である。塔の建立は1608年。1703年に現在地に移されている。現在の五重塔は、2001年に改修工事を終えた後のものである。この塔は、一番下の初層が和様、二層から上が唐様という異なる様式により建てられており、高さは30m弱、五重塔としては中規模である。この五重塔は、現存する関東の塔の中では最古とされ、重要文化財に指定されている。今年は、重要文化財指定100周年記念として、文化財ウイーク中に五重塔内部が特別公開された。内部には須弥壇上段に宝塔を中央に釈迦牟尼仏と多宝如来、その下に四菩薩が祀られている。何れも五重塔建立時に造られた像という。所在地は大田区池上1-1-1。池上線池上が最寄駅。
(14)大円寺
目黒駅近くから目黒川に向かって下る行人坂という急坂がある。大円寺はこの坂の途中にあり、行人坂火事という大火の火元であったため、幕末まで寺の再建は許されなかった。この寺の釈迦如来立像は、鎌倉の杉本寺にあったとされるが、大円寺に移された経緯は分からない。立像は、胎内に布の臓器を収めているため、生身の釈迦如来と呼ばれ、鎌倉初期の清涼寺式釈迦如来像として重要文化財に指定されている。年始などの特定日を除くと像は非公開になっているが、文化財ウイークの期間は公開されている。ただ、ガラス越しに拝観する事になるため、全身像はよく見えない。信仰上は、お顔を拝めるだけで十分なのであろう。大円寺には大火の犠牲者供養のための石仏群があるが、こちらの方は通年公開である。なお、大円寺には山手七福神の一、大黒天も祭られている。所在地は目黒区下目黒1-8-5。最寄駅は目黒駅である。
(15)性翁寺
江戸時代、春秋の彼岸に荒川流域の六か所の寺院をめぐる六阿弥陀詣という習俗があった。これには、次のような伝承が背景になっている。むかし、娘(足立姫)が荒川に身を投げた事を悲しんだ足立庄司が、行基に依頼して霊木から6体の阿弥陀像を造ったというのである。この時に余った根元の木から作ったのが性翁寺の本尊である木造阿弥陀如来座像で、余った木から造ったので、木余如来とも呼ばれていた。この伝承の真偽はともかくとして、この座像は平安末期から鎌倉初期の頃のものと考えられ、都指定有形文化財になっている。阿弥陀如来座像は文化財ウイーク中の1日だけ公開されている。性翁寺の住所は足立区扇2-19-3。舎人ライナーの扇大橋が最寄駅である。なお、六阿弥陀と性翁寺については、当ブログのカテゴリー「江戸近郊の小さな旅」の中の「六阿弥陀道のり」に記載がある。
(16)善明寺
善明寺の金仏堂に祭られている鉄造阿弥陀如来座像は、現存する鉄仏の中では最大とされ、重要文化財に指定されている。この鉄仏は武蔵国分寺の西の鉄谷にあったと伝えられ、後に大国魂神社に安置されていたが、明治になって善明寺に移されている。鉄仏は銘文から1253年に仏師藤原助近により制作された事が分かっている。金仏堂には、胎内仏とも称され、座像より小さい鉄造阿弥陀如来立像も安置されているが、座像とほぼ同じ時期の制作という。鉄仏は文化財ウイーク中の特定日だけ公開されるが、拝観は寺に入って右側の金仏堂の入口からとなる。以前、公開日に訪れた事があったが、鉄仏までの距離が離れているので細部はよく見えなかった。なお、この鉄仏については、当ブログのカテゴリー「江戸近郊の小さな旅」の中の「府中道の記」に記載がある。所在地は府中市本町1-5-4。最寄駅は京王線府中駅である。