今年は、お年玉付き年賀はがきの末等、お年玉切手シートが1枚当たったので、先日、郵便局で入手した。これで、今年までの寅年のお年玉切手シートが一通り揃うことになった。
(1)昭和37年(1962)
昭和37年は干支で言うと、今年(2022)と同じ壬寅(みずのえとら)に当たる。昭和37年は、戦後の高度経済成長である岩戸景気と、いざなぎ景気の間の景気後退期に当たっていた。この年は、米ソ開戦、強いては核戦争の危険すらあったキューバ危機が生じた年でもある。なお、プロ野球では阪神タイガースが優勝している。
昭和37年寅年(1962)のお年玉切手の図柄は、出雲市の郷土玩具、張子の虎で、額面5円の切手4枚が1シートになっている。郵便料金は昭和26年から変わらず、はがき5円封書10円のままであった。出雲の郷土玩具・張子の虎は、江戸末期の彫刻家荒川亀斎による虎の像をもとに、出雲市の高橋熊市が造ったとされ、節句の祝いに贈るものであった。
(2)昭和49年(1974)
昭和49年は干支で言うと甲寅(きのえとら)に当たる。その前年、中東戦争によるオイルショックがあって物価が高騰し、昭和49年にはマイナス成長となって、長く続いた高度経済成長も終焉を迎えることになった。
昭和49年(1974)のお年玉切手は10円3枚の切手シートである。なお、郵便料金は昭和47年に、はがき10円封書20円に値上げされていた。図柄は重要文化財の千葉寺(せんようじ)の銅梅竹透釣燈籠で、千葉寺址地から出土したものである。銘文から、室町時代の天文19年(1550)の鋳造で、現在は東京国立博物館の所蔵になっている。
(3)昭和61年(1986)
昭和61年は干支で言うと丙寅(ひのえとら)に当たる。また、九星気学では五黄(ごおう)の寅年に当たり、非常に強い運勢を持つ年とされる。昭和61年は、投機による株価や地価の上昇によって生じた、実態とはかけ離れたバブル景気が始まった年である。
昭和61年のお年玉切手は、40円切手2枚のシートである。郵便料金はすでに、はがき40円封書60円になっていた。お年玉切手の図柄は大阪の郷土玩具で、五葉の笹に張子の虎が付けられた神農の虎である。神農は古代中国の伝説上の帝王で農業と医薬の道を開いたとされ、大阪の少彦名神社には薬祖神として合祀されている。文政5年にコレラが大流行した時、丸薬とともに張子の虎を授与したのが神農の虎の始まりとされている。
(4)平成10年(1998)
昭和64年(1989)は1月7日で終り、1月8日からは平成元年となった。その翌年、株価は暴落に転じ、平成3年(1991)にバブル景気は崩壊した。その後の経済は停滞し、平成10年(1998)もマイナス成長で、失業率は過去最悪の状態だった。
平成10年は干支で言うと戊寅(つちのえとら)に当たる。郵便料金は既に、はがき50円封書80円になっており、この年のお年玉切手は50円の三春張子虎と80円の博多張子虎のシートであった。三春張子の虎は郡山のデコ屋敷で作られている腰高虎で江戸時代からの手法が受け継がれているという。博多張子の虎は、初節句の祝いとして成長を祈願する首振りの虎になっている。
(5)平成22年(2010)
インターネットは1990年代から使われてきたが2000年代に入るとインターネットが使える第三世代携帯が登場し、2010年頃からはスマホの普及が始まった。
平成22年は干支で言うと庚寅(かのえのとら)に当たる。郵便料金は、はがき50円封書80円で平成10年と変わりが無かった。この年のお年玉切手は80円の加賀魔除虎と50円の静岡張子によるシートだった。加賀魔除虎は節句に贈られるもので魔除けを念じるものだが、愛嬌のある姿で首を振る郷土玩具である。静岡県には郷土玩具の張子虎が静岡、清水、浜松で作られているが、この年選ばれたのは顔が可愛らしい静岡の張子虎である。
(6)令和4年(2022)
グローバル化にはプラスの面とマイナスの面があるが、コロナ禍は後者かも知れない。コロナ禍がいつ頃終わるのか判然としないが、良い方向に向かうことを願っている。
令和4年は干支で言うと壬寅(みずのえとら)に当たる。郵便料金は、はがき63円封書84円になっていた。この年のお年玉切手は、手紙を携えた2匹の虎のオリジナルデザインでシール式になっている。お年玉切手シートの製造は、平成29年になって国立印刷局からエンスヘーデ社に変わり、さらに令和2年からカルトール社となり、令和4年には凸版印刷になっている。