夢七雑録

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無人島に持っていきたい本

2025-03-06 16:42:05 | 随想ほか雑記

無人島に一人だけで暮らすことになった時、持って行く一冊の本は何か”という問いがある。無人島と言っても様々で、人跡未踏の地で生き残ることも難しい無人島もあれば、横須賀から船で渡れる東京湾内の猿島のような無人島もある。ここでは、絶海の孤島ではあっても暮らしていく事は可能な無人島を取り上げる。例えば、島の住人すべてが島を出てしまったため、無人となった島で、家や畑はあり、生活のための道具も残されていたとしよう。暮らしていく事は出来るが、この無人島ではテレビやラジオは受信できず、インターネットも使えず、島の外とは切り離された状態にあるとする。いつ帰れるかも分からぬまま、一人だけで無人島に暮らすことになり、持参できる本も一冊だけ。複数冊からなる本は、そのうち一冊しか持参できないとすると、持参する一冊の本を何にするか、迷うところである。

 

座右の書がある人なら、その中から一冊を選ぶことも可能である。例えば、座右の書である「論語」一冊を持参し、日々の反省を込めて読み返すことも考えられる。ただ、残念ながら、座右の書というべきものは持っていない。無人島に住むことになって、他人との関わりが途絶えてしまった時、人はどう生きるかを教えてくれる一冊の本があれば良いのだろうが、今は思いつかない。せめて退屈を紛らわせる本が無いか、本棚を探して、ようやく一冊を見つけた。それが「季語辞典」だった。

<大後美保編「季語辞典」東京堂出版 昭和54年版>

 

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