8月6日、今日は72回目の原爆の日、そして21回目の父の命日です。
父は72年前の今日、前日の出張で30分遅れの出社が許されたため、命を落とすことも怪我もなく助かりました。
父の勤めていた会社は爆心地から目と鼻の先でした。
まさかあのような恐ろしい新兵器が落とされたとはつゆ知らず即出社。
その道すがら目にした地獄図はどんなにおぞましいものだったかと、想像するだけでも身が震えます。
その時の様子を父母から聞くことはめったにありませんでしたが、私が記憶にある父母の話を以前のブログに記しています。
すでに何度かお読みになっている方もいらっしゃると思いますが、新しくブログ友達となった方々にも是非読んでいただき、
平和を考えるきっかけにしていただければと思い、ここにコピーさせていただきます。
「原爆の日に寄せて」
2008年8月6日(旧ブログ「プラチナのように輝いて」より)
私達夫婦は生まれも育ちも 広島 です。
今日8月6日は私達、特に私にとっては、重たい重たい忘れられない日です。
私の父母、姉、そして夫、義父、全て 被爆者 です。
私の父母、姉は爆心地から直線距離で3キロ地点の自宅で被爆しました。
私はといえば、その翌年の8月に生まれ、辛うじて胎児被爆も免れました。
父母は悲惨な被爆体験を多くは語ろうとしませんでしたが、裏覚えの父母の話をここに記します。
平和を考える何かのきっかけになってもらえればという思いで・・・。
昭和20年8月6日の朝 広島は晴れわたっていました。
原爆が投下される少し前、空襲警報が解除され、大勢の人々が戸外にでていたそうです。
父は前日が出張であったため、会社の規約で30分出社を遅らせていました。
玄関先で靴のゲートルを巻き上げていたその時、午前8時15、突然の閃光とドカーンという爆音 !
父は自宅の裏庭にB29が爆弾を投下したと思ったそうです。
一瞬にして家の中はめちゃめちゃになりました。
つぶれることはありませんでしたが、家は傾き、ガラスは粉々に飛び散りました。
実家の2階の部屋に知人夫婦が間借りして住んでいましたが、
奥様は全身に飛び散ったガラス片が刺さり、生死をさまよわれたそうです。
実家の2階の柱にはそのままガラス片がいくつか刺さったままで、
障子や襖と柱は合わさることなく、隙間だらけでした。
このことは私の子供達(父母にとっては孫)もよく覚えています。
父はその後、即会社(爆心地のすぐそばにありました)へ向かいましたが、
その爆弾が新型爆弾の ピカドン であることは当然知りません。
(広島の人は原子爆弾のことをピカドンといいます)
ただ会社へ向かう道すがら、これはただごとではないと気がついたといいます。
道には焼けた丸太のように、沢山の人たちがごろごろと転がっていたそうです。
その中の一人、全身焼けただれた若い女性が、
「○○さん、私は○○課の○○です。父母に知らせてください」と住所を言い、助けを求めました。
あまりの惨さに誰だかわからなかったそうです。
その住所は爆心地、ど真ん中、父はどうすることも出来なかったと悔やんでいました。
会社は跡形もなく、父は無念にもまた来た道を引き返し、黒い雨を全身に浴びながら、
助けを求める人々や転がる死骸をまたぎまたぎ、母や姉のもとへ急いだそうです。
その地獄図 は想像にあまりあるものがあります。
幸いに母も姉も怪我ひとつつなく、無事でした。
父が前日出張でなければ、普通通りに出社していたら、父の命は無かったでしょう。
父は運の強い人です
もうひとつの偶然があります。
当時 建物疎開 というのがありました。
あらかじめ特定の建物を取り壊し、空襲の折、火災がひろがるのを防ごうという目的で、
多くの主婦、学生、一般市民が強制動員されました。
母の属していた班(路地ごとに区切ってあったようです)は翌日がお当番でした。
お気の毒に8月6日がお当番にあたっていた一本前の筋の方たちは、全員お亡くなりになったそうです。
原爆投下がもう一日後だったら・・・。
母もまた運の強い人です
この二つの偶然と強運が重なって、私が今ここにいます
昭和20年 8月6日、父はその命を強運によって救われました。
しかし12年前、まるでその命をその日にお返しするかのように
8月6日その日に、静かに 他界 しました。享年81歳。
今日は父の 命日 でもあります。
合掌
昨日のことです。スポーツ番組でも観ようかとテレビをつけてみると、NHKでドラマ「東京裁判」をやっていました。
昨年12月に放映された再放送のようです。昨日は第1部と第2部。今日の午後4時から第3部と4部があります。
昨年の放送をお見逃しになった方は是非歴史的事実をご覧ください。
日本、オランダ、カナダ、オ-ストラリアの合同制作で、その裁判の11人の判事たちの記録や手記に基ずき、
かなり事実に忠実に描かれているようです。
大変見ごたえのある傑作のように思われます。
私はこの裁判に関しては知らないことばかり、眼からウロコで食い入るように見入りました。
今日の放送3部、4部でいよいよ裁判も佳境に入ります。
きっといろいろ考えさせられることでしょう。
今、気づきました。全編、You-tubeでも観られるようです。
いつもおよみいただきありがとうございます。
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