ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

出会いは森の中で(18)(子世代)

2012-05-03 15:33:27 | 子世代妄想
前回の続きですo(^-^)o

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「お、お助けぇぇ」
弱々しい声は、想像したものとはかけ離れていて、オレは思わず構えを解いた。
「...『明かりよ(ライティング)』」
剣先に明かりを灯して、オレは改めて辺りを見回した。

「!」
後ろから入ってきたレオナが驚きの声を上げた。
「あなたたちは...っ」
そこに居たのは十数人の縛り上げられた人々。若者から中年の男たち。
どう見てもそれは消えた町民たちだった。
近くに武器は無い。取り上げられたのだろう。
扉の中は思ったよりも小さな部屋で、男たちは皆窮屈そうに見えた。

突然の来訪者に、全員恐怖に怯えた顔をしてある。
「...な、何者だ?」
その中で年長とおぼしき男が声を上げる。
「皆さん近くの町の人々ですね...?ゼノンさんに雇われて、あなた方を助けに来ました」
改まって声をかけると、その場の全員が表情を明るくした。

「それはありがたい...!」
「ああ、神よ...っ」

「喜ぶのは早いです。今縄を解きますから、早く安全な場所へ逃げましょう」
オレとレオナは手近な人から縄を解き始めた。何人かは猿ぐつわを噛まされている。術で逃げられないようにだろう。

「レオナ、向こうに何か合図を送ってくれ」
「合図?」
「何かでっかい音が鳴る呪文とか...」
「うーん...分かった」


ちゅどーん!

とんでもない音がして、オレは思わず目を見開いた。
「レオナ!?」
「てへ、ちょっとやり過ぎちゃった...かな?」
笑顔に一筋冷や汗を垂らして、レオナがあははと乾いた笑いを見せる。
一体何の術を使ったのやら...あまり聞きたくない。

「今ので敵にも気付かれたかもしれないな...」
「う...ごめんなさい」
「まあ良い、どっちにしろ合図にはなっただろ。一旦ここから逃げよう!」
「待ってくれ!!」

ずるべしゃっ

駆け出そうとした所で呼び止められて、オレは勢い余ってその場につんのめって倒れた。
「....なんだよ?」したたか打った腕を擦りながら立ち上がる。

「オレの息子がどこかにいるはずなんだ!」
「はあ!?」
「何人か若い衆が私たちから引き離されてな...」
沈痛な面持ちで話す年長の男。
「そうか...」
「どうか息子も助けて欲しい...!」

「当たり前じゃないですか!」

やけに熱い声が背後から響いて、オレは唇が勝手に綻んだ。
「フィリップ!」
「私たちもいるわよ」
「勿論息子さん方も見付け出します!そして必ずや悪を叩き潰します!!」
勢い良くガッツポーズをしたフィルに、ルーナが肩を竦めてみせた。

「ゼノンさん、どうしてここに...」
町の人々がゼノンを見付けて目を見開いた。
「すみません、皆さんが心配で...」
「ここは危ねぇですよっ!狂った魔道士がオレたちを閉じ込めて...」
一人の町民の若い男が、声を震わせた。
「狂った魔道士?それはどんな奴なの!?」
ルーナがその言葉に反応すると、その場にいた全員が身を震わせた。

唐突に、嫌な予感がしてオレはその場から飛び退いた。そして横に居たレオナを突き飛ばす。
「きゃっ!」

シュカカカッ

つい先ほどまでオレたちが居たその場所に、どこからともなく鋭い刃物が突き立った。

「『狂った魔道士』とは、私の事かな?」


続く

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ようやく人間っぽい敵の登場です!
次回に続きます(^_^)v


出会いは森の中で(17)(子世代)

2012-05-03 13:04:55 | 子世代妄想
前回の続きです(´ω`)

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「二手に分かれましょう」
提案したのはルーナだった。

「町の人々を探す方と、この事件の黒幕を探す方」
「明らかに後者のが危ねぇじゃねーか!」
オレの反論を、ルーナはピシャリとはね除ける。
「どちらにしろ動き回るのは危ないんだから、同じようなものよ。どちらかが見付かったら合流するの」

「僕は町の人々を探す方に回りたいですねぇ。町長の息子として、町民を守る義務がありますから...」
彼はいつもの調子を取り戻して来たようだ。
ゼノンの言葉にフィルが頷いた。
「それじゃ俺と姉さんがゼノンさんに付きます」
「結局そうなるのかよ...」
ぼやきながら、オレは頭を掻いた。



しんと静まり返った建物内を歩いていく。
オレとレオナはなんとかこの建物内の『核』になる部分へは行けないかと、道を探し回っていた。
「魔道士がデーモンを召還しているなら、どっかに大掛かりな魔方陣とかあるはずだよな...」
「そうね」
「どっかにお宝の隠し場所とかねぇかな...?」
オレの独り言に、レオナが低い声を出した。
「....兄さん」
「ジョークだよジョーク!」
オレとレオナのやり取りが、広い建物内にこだまする。
「...ほんとに、気味悪いな」
「うん。なんか、さっさと出たいな此所...」
レオナの言葉にオレも同意する。
そもそも、あんなに沢山この建物を守って(?)いたデーモンが、中に入ったとたんぱったり出てこないのもおかしい話だ。...これは罠なのかもしれない。

「あ、兄さん!ここ!」
呼ばれて妹に近寄れば、壁に小さな隠し扉があった。鍵は掛かっていない。取っ手に手をかけるといとも簡単に内側に開いた。
真っ暗な中にごくりと唾を飲み込む。

中に入ろうか躊躇うオレの後ろで、妹が一つ深呼吸をした。
──あ、なんか嫌な予感。

「兄さんゴーっ!」
どん。
思い切り押されて、扉の向こうへ躍り出る。
「うおおおっ!」
とにかく大声を上げて構えの姿勢を取った。
──レオナの奴め!後で覚えてろよっ

『魔皇霊斬(アストラル・ヴァイン)!』
すかさず術を剣にかけ、周りを見渡した。

「誰か居るなら覚悟しやがれ!」

「ひぃぃっ」
オレの言葉に返って来たのは、弱々しい悲鳴だった。


続く

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次回に続きます!