ゆるい感じで。

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困惑のサイラーグ【20】(ゼロシル)

2013-11-20 18:47:05 | 困惑のサイラーグ(ゼロシル/完)
ついに20話!そろそろ終わります(`・ω・´)
注意!こちらはゼロス×シルフィールのカップリング小説です。妄想と捏造が溢れておりますので、苦手な方はお戻りください。
*今回ちょっと短め。
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──またどこかで。
そう言った僕に、彼女はぽかんとした顔をしていた。
その表情を思い出しながら手にした宝珠を弄ぶと、それはきらりと輝いた。
彼女の神官服についていたそれはたぶん魔除けの意味もあったのだろうが、こんなものにどうにかされる僕らではない。
力を入れて握れば、ぱきりと崩れてしまうだろう。彼女も同じだ。

だが、結局僕はそうしなかった。

宝珠をポケットにしまうと、僕は海王様の元へ報告に向かう。
──海王様はお怒りだろうか。いや、彼女なら面白がるだろう。

結局サイラーグは僕が来る前とさして変わっていない。ただ、不安と疑念の種を蒔いてきた。──突然火の海と化した小さな村。そして執拗に野盗に襲われるサイラーグ。これは僕の仕事の結果によるものだ。
それが育つ時、魔王様が再び降臨なさるに相応しい場所となれば良い。
それが今回の仕事の意義なのだ。

神聖樹については正直なところどうでも良かった。ただ、サイラーグ市民の心の支えになると言うなら、それは排除しておく方が賢明だ。

......だが。
目の前でその希望の種を燃やされても、シルフィールさんは絶望に呑まれることはなかった。
激しい負の感情は感じたが、それだけだ。

人は本当の絶望に呑み込まれると、一瞬だけ極上な負の感情を放ち、そして抜け殻のような状態になる。
──彼女のそんな状態を見てみたかった。
普段からシルフィールさんの負の感情は複雑で美味だったから、絶望に堕ちたそれはきっと素晴らしいもの
になったと思うのに。

ただ、残念だと思うと同時に、少し嬉しい気持ちもある。
──それでこそシルフィールさんですねえ。

彼女は最後まで諦めていなかった。目を見れば分かる。
むしろ、僕に勝つ気でいるようにさえ見えた。
──全く面白い人間だ。
さすが、あのリナ=インバースの「知り合い」とでも言うべきか。
知らず唇の端が上がる。
簡単に堕ちてしまうようではつまらないのだ。

彼女は最後まで諦めない。何度でも立ち上がる。悲しみに満ちた瞳の奥に、熱い何かを抱いて。

「──ああ、その芯の強さが......まったく、へし折りたい程愛しいですよ。シルフィールさん」
呟いた言葉は、思った以上に甘い響きがあった。


続く

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次回、たぶん最終話!