ゆるい感じで。

「スレイヤーズ」のガウリナメインの二次創作ブログサイトです。原作者様、関係者様には一切関係ございません。

アトラスでひと騒ぎ【1】(子世代)

2014-08-03 15:57:46 | 子世代妄想
お久しぶりです(´▽`)
ものすごーくお久しぶりに、子世代妄想小説を更新しようと思います。
また中編?長編?で、更新はのんびりになりそうですが、ひらにご容赦を(^-^; ...ほんとスイマセン。
今回も新たな子世代登場!

ご注意!こちらはガウリナの子供が主人公という超絶ねつ造物語です。他のキャラクターの子供も登場したりするので、苦手な方はお戻り下さいませ。
また、キャラ設定など詳しくは『子世代妄想』カテゴリへ。

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「──なあ、あんたここらに伝わる都市伝説を知ってるかい?」
それは、オレが三皿目の牛肉のパイ包みに手を着けた時だった。
いきなり声をかけてきた男は、返事を返す間もなくオレの隣の席に座り込み、人懐こい笑みを浮かべた。その目尻に小さなシワがいくつか浮かぶ。

アトラス・シティの小さなメシ屋。
城下町の安いメシ屋らしく、周りの客は傭兵やちんぴら、その他ガラの悪い連中ばかりである。
声をかけてきた中年男も、ご多分に漏れず背に剣を負った、流れの傭兵崩れのような出で立ちだった。
「兄ちゃん旅の人だろ。一人かい?」
男は背に負っていたバスタード・ソードをがちゃりとテーブルに立てかけ、メニューをパラパラめくる。
オレはそれを横目でちらりと見やっただけで、すぐにフォークに手を伸ばした。
「......連れがいるよ」
かちゃかちゃ、ぱくり。
──うむ、美味い。
じゅわり、と口に広がる肉汁に思わず目を閉じる。

「じゃ、その連れが来るまで聞いてくれや」
結局男はオレの答えなど聞いていないようなものだった。ただ話を聞いてくれる相手を探していただけだろう。
オレが何も言わずに食べ続けるのを良いことに、男は『都市伝説』とやらを話し出す。

「──まあ、ここはリトハーン公が治めてた頃から交通の要所として栄えてたからな、色んな奴らが集まったんだ。喧嘩は多いわスリやかっぱらいが連発するわ。市民はそれをとっつかまえて袋たたきにする。ま、なかなか楽しい街だ。」
かちゃかちゃ、ぱくぱく。
「んでな、そのならず者たちをいびり倒し、スリやかっぱらいから金目の物を奪い取り、ついでにここらで幅を利かせてた賊を潰した女がいるんだと。そんで、昔ここで起きた魔道士協会でのごたごたも、そいつが嵐のように全てぶっ潰したせいで、結局なし崩しに解決したらしい。他にも、そいつのせいで人気のメシ屋がいくつも食いつぶされたとかな......まあ、そういう都市伝説だ」
もぐもぐ。
「その怪物みてぇな女の名前が......」
もぐ......ごくん。かちゃ。
「あの、リナ=インバースってんだよ」

どごしゃあああっ!

その名前を聞いて、オレは椅子ごと後ろにひっくりコケた。
「お、おい大丈夫か兄ちゃんっ」
「......あ、ああ」
起き上がりつつ、顔をしかめる。
──なにやってんだ、母さん......。

「──......まあ、かくいう俺もだな......しかし人知れず......そんな中現領主が...」
まだまだおっさんの話は続いていたが、オレの方は完全にそれを聞き流していた。
小さくため息をついて、オニオンスープにスプーンを浸す。
──リナ=インバース、か。
彼女は有名だ。
良くも悪くも、彼女の話は事実も嘘も入り混じって、様々な噂が各地に飛び交っている。そして、今度は都市伝説ときた。

そのリナ=インバースの息子としては、あまり面白い話ではない。

くるくるとスープをかき回していたら、後ろから肩を叩かれた。
「ラウディ兄さん、何の話してたの?」
長い金髪に碧眼、青を基調とした魔道士スタイル。美人と言って差し支えないその顔に、好奇心の色をのぞかせてオレの顔を見つめている。我が妹だ。オレの旅の連れである。
「遅いぞ、レオナ......」
「トイレ、混んでたのよね」
空けていた席にレオナが座り込むと、おっさんは面白そうな顔をしてオレとレオナを見比べた。
「あんたら、兄妹なのかい?似てないな」
──確かに、オレとレオナはあまり似ていない。
オレは母親に似て、栗色の髪に赤茶色の瞳だ。男にしては背も低く、女顔と言われることもある。逆に、レオナは父親似の金髪碧眼に、スラリとして背も高い(それでもオレよりは低い!)。全く、好対照だと我ながら思う。
性格に関してはまた違うのだが、ここでは説明をパスする。なぜなら、いちいち分析するのも面倒だからだ。

そんなことはどうでもいい。

一番の問題は、どこに行っても似ていない事を何度も指摘されることだ。それはもう何度も。正直耳にタコなのだ。
「ほっといてくれ......」
ぶすっとして言うと、おっさんはカラカラと笑った。
「まあそう言うな。長話を聞かせて悪かったな。この場はオレがおごってやるよ」
その言葉に、オレはギラリと目を光らせる。
「ほんとか!?それじゃ......おばちゃーん!!ヌードルセット三人前追加で!」
「......ちゃっかりしてんなぁ、あんた」
苦笑するおっさんに、オレはにやりと笑ってみせた。
「今から撤回すんのはナシだぜ」
「分かってるよ......じゃあ嬢ちゃんは何が食べたい?」
おっさんがレオナにもメニューを渡すと、レオナはにっこりと微笑んだ。
「じゃあ、このロアニア羊と青野菜のソテー、三人前!あと玉子スープと焼きそば!」
その瞬間、おっさんの顔が青ざめて行くのを、オレは見た。


続く
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次回に続きます(´▽`)!
子世代妄想たのしーい♪(笑)