ゆるい感じで。

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困惑のサイラーグ【12】(ゼロシル)

2013-09-24 13:43:10 | 困惑のサイラーグ(ゼロシル/完)
注意!こちらはゼロス×シルフィールのカップリング小説です。妄想とねつ造に溢れておりますので、苦手な方はお戻り下さい。
(更新遅くなりましたー><
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小さな村はすぐに見つかった。
民家と畑、そして豊かな緑。初めてなのに懐かしいような、不思議な気分になる村だ。
「...ここが、エルフ族の村」
ごくり、と唾を飲み込む。
歩き出すと、ゼロスさんから渡された、エルフへの献上品ががちゃりと音を立てた。貴金属が入っているのでなかなか重い。

「すみません、ちょっと良いですか?」
ちょうど畑にいた一人のエルフに声を掛けると、彼はちょっと驚いた顔をして、それから不機嫌な声を出した。
「なにか用かね?」
「村長さんにお会いしたいんですが」
彼はぴくり、と動きを止めた。
「...名前は?どこから来なさった」
「シルフィール=ネルス=ラーダと申します。サイラーグから来ました。以前使いの者が伺ったと思うのですが...」
「ふむ。ちょっと確認して来よう」
エルフ族の男性は見たことのない農耕機具を畑に置いて、一人民家の方へ歩いていってしまった。

一人で待っていると、背後から誰かの視線を感じた。複数の気配。
振り向くと、建物の陰から私を見ていたのは、二人の小さな子供のエルフだった。見た目からして、女の子と男の子だ。人間で言うと5、6歳くらいだろうか。
「あら...?」
声を上げると、飛び出して来る。
「やい人間!」
男の子の方が震えた声を出した。
「何しにここに来た!」
彼の目には怒りと恐怖の色が見えた。女の子は怯えて男の子の後ろに隠れている。兄妹だろうか?
「何って...ええと、この村の村長さんに会いに来たんです」
しゃがんで視線を合わせると、彼らは慌てて一歩退いた。
「人間のくせに!帰れ!」
強い拒絶の言葉。それよりも、彼らが完全に怯えた顔をしている事がショックだった。

「...帰りません」
「なんだって!?」
「大事な用事があるんです。それが終わるまでは、帰りません!」
断固とした口調で言えば、子供たちは黙った。
「村に迷惑はかけません。だから、許して?」
出来るだけ優しく微笑むと、男の子は視線を地面に向けた。
つられて下に目を向けると、彼は足を怪我していた。膝を小さく擦りむいている。
「あら、膝、怪我してますね」
「! 転んだだけだっ...」
動揺する男の子に笑いかけると、私は小さく呪文を唱えた。
「『治癒』(リカバリィ)」
十秒ほどで、彼の傷は元通りになった。
「わあ!治った!」
明るい声を上げたのは女の子の方である。
「ありがとうお姉ちゃん」
「どう致しまして」
男の子は、しばらく黙ったあと、小さく礼を言った。
「...これくらい、母さんだって出来るけどな」
付け加えられた小さな意地に、私は苦笑した。

「シルフィール殿」

重々しい声に呼ばれて振り返る。私を呼んだのは、一人の老エルフだった。隣にはさっき声を掛けたエルフの男性が控えている。
「長老様!」
子供たちがぴんと背筋を伸ばした。
「お前たちは家に戻りなさい」
言われた子供たちが慌てて走って行く。それを見届ける長老の目は暖かかった。

「シルフィール殿。サイラーグからようおいでなさった。私がこの村の村長であり長老だ」
「はい!よろしくお願いします」
勢いよく頭を下げると、長老は鷹揚に頷いた。


続く

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次回に続きます!



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