猫猿日記    + ちゃあこの隣人 +

美味しいもの、きれいなもの、面白いものが大好きなバカ夫婦と、
猿みたいな猫・ちゃあこの日常を綴った日記です

ちびくんがくれた出会い

2006年03月15日 09時08分51秒 | 今日のちびくん
月曜の朝、ちびくんが旅立ち、私も、ゴンザも、ちゃあこもまだ現実を生きていないような気がします。
私には、なぜちびくんの姿が家の中にないのかがわからず、手は自然と、彼がいつも陣取っていたそこここに伸びてゆく。
ゴンザはちびくんがおさめられた骨壷を呆然と抱き、眠って目が覚めるたび、
「胸に穴が開いてしまった」
と言っては泣くばかりです。
ちびくんがとても悪くなってから、一日のほとんどを、私の背中ばかり見つめ続けたちゃあこは、今もとても静かで、眠ってばかり。
時折思い出したようにおにいちゃんの姿を探し求めて、狭い家の中を歩いて回っています。

「思い出をありがとう」とか
「精一杯愛したから」とか、
ちびくんのためにも美しく言いたいけれど、
彼を失った心はどこへ進んでいいかわからず、私たちの目はどこを見つめればいいのか、部屋の中をさまようばかり。
人間は本当に悲しいと、泣くのではなく、咆えるのだということを、ぶっちゃんの死、父の死以来、またあらためて知りました。

私の腕の中で、旅立っていったちびくん。
ゴンザの手に撫でられ、旅立っていったちびくん。
どれだけ苦しかったか。
「闘病」と称して、毎日針で刺され、輸液で3倍もの太さにパンパンに膨れ上がった腕。
毎日薬を飲み込まされ、度重なる治療で薬の匂いしかしなくなった体臭。
全盛期には6.5キロあった体重も、最後には2キロまでに落ちていました。

あんなに嫌がったのに、強制的に食べものを口に押し込み、一番安心できる家すらも奪ってしまった私。
「生きていて欲しいから」
「ちびくんが一生懸命生きているのだから」
と、し続けたことの意味を、私はこれから一生かけて、考え、後悔するでしょう。

けれど。
もし、今までしてきたことをしていなかったならば、私はまた違う後悔をしていた。
「あの時輸液を受けさせていれば」
「あの時、無理矢理にでも食べさせていれば」

愛する者を失って、後悔がないことなど、きっとないのですね。

思えば、この部屋に住むことを決めたのも、ちびくんやちゃあこが体調を崩した時にすぐに対処出来る、「階下が犬猫病院だから」ということからでした。
ぶっちゃんの時にしてあげられなかったことを、ちびくんやちゃあこにはしてあげたくて、そう決めたのでした。

狭くて、とても古い部屋だけど、ここには幸せが満ち溢れていた。
私がちびくんと過ごした17年と9ヶ月7日。
特に、冗談ながらも、
「ちびくんと、ちゃあこと4人で暮らせるなら、別にホームレスになってもいいね」
と、ゴンザと言い合い、過ごしてきたこの6年は、私の人生において、間違いなく一番幸せなときでした。

ちびくんとちゃあこがくれた幸せ。
ちびくんがくれたたくさんのもの。

皆さん。
感傷に過ぎたこんなログを、どうか許してください。
皆さんにこれだけ応援して頂いたのだから、こんなことをいまさら言っては申し訳ないとわかってはいるのです。

ちびくんは、とても手のかからない、寡黙な子でした。
私の人生の約半分を共に過ごしてくれた、かけがえのないパートナーでした。

ちびくんを送る儀式を終えて、彼の小さな骨壷を抱いて外へ出ると、そこには小雪がちらついていました。

「大事に、愛されていた猫ちゃんほど、綺麗に骨が残るんですよ」
儀式を取り仕切ってくれた男性はそう言いましたが、私にとっては、私がどれだけちびくんを愛したとか、一生懸命看病したとか、そんなことはどうでもいいことで、大切なのは、ちびくん自身が幸せだったかどうかなのだということを、痛いほど、思い知らされました。
体中に穴があくほど。

けれど、ちびくんの小さな亡骸は、とても美しいしっかりした骨となって、死してなお、私たちを悲しませまいと気遣ってくれているようでした。

今頃。
ちびくんの魂は、共に生まれ、先にいってしまったぶっちゃんと再び会えて喜んでいるでしょうか。
彼らが仲睦まじく共に暮らした11年間、そうであったように、ちびくんがぶっちゃんを3回舐めて100回舐め返してもらう、という、ちゃっかりした毛繕いをしてもらっている頃でしょうか。
ちびくんはとても、毛繕いの苦手な不器用な男でした。

皆さん。
本当に好き勝手書いてごめんなさい。
そして、あたたかな、心優しいメッセージをありがとう。
ちびくんが旅立ってから、いえ、ここまで、皆さんのメッセージにどれだけ慰めていただいたことでしょう。
私たちがまた、笑顔で暮らせる日までは、もう少し時間がかかるかもしれませんが.....。
必ず。
ちびくんが暮らした、明るく楽しいおちゃらけ一家に戻ります。
彼はきっと、いつもソファの定位置にいると思うから.....。

皆さん。
今までちびくんを応援し続けて下さって本当にありがとうございました。
どうか、すべての猫ちゃんやワンちゃんにあたたかな光が降り注ぎますよう。
そして、皆さんのご家族が、いつも幸せで満ち足りていますように。

10ヶ月前。
このblogを始めたきっかけも、ちびくんがくれたものでした。


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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アンジェラ)
2006-03-15 14:21:12
ゆっくり、、、時間をかけて、、、笑顔で暮らせる日に、もどって、、来てくださいね。。。

不器用な、、、ニャンコ君ほど、、かわいさが、、ひとしおですもの。。。



いつもの、、定位置」で、見守ってくれていると、思いますよ。。。。



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かけがえのない存在だから (t-cat)
2006-03-15 20:48:02
erima様

ゴンザ様



野辺送りをすまされたとのこと、

お辛い最中のお見送り、

私が言うことではないかもしれませんが、

本当にお疲れ様でした。

雪とともに空へかえっていったちび君、

残された者の辛さは察してあまりあり、

いくら言葉を尽くしても、

お悔やみにはほど遠いものになってしまいそうです。



人だって、心底から吠えることもあります。

それはちび君がかけがえのない存在だったから。

ちび君がerima様の口を借りてお別れを言ったのかも

しれません。



 私も、猫を看取った時は泣くでもなく

 叫んで叫びまくった覚えがあります



どうか、立ち直りを急がないでください。

今は、思いっきり懐かしがって、

ちび君を惜しんでください。

erima様の言葉を聴くために、

私たちは集っているのですから。
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ゆっくりと (hanachan)
2006-03-15 21:54:09
こんばんは。



時が経つとともに寂しさも募るでしょう。

旅立ってしまった事がひしひしと・・・一層寂しくなったりしますよね。

ちびくんの思い出を宝物に、ゆっくり・ゆったりと心のおもむくまま・・・。



夕べはちびくんの事を家族に話しながら大泣きしてしまいました。
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Unknown (takashi)
2006-03-16 10:48:00
今まで僕はここまで真摯に死と向き合ったことがありません。そしてこの先自分に訪れる身近な死に対して同じように向き合っていけるか自信がありません。お二方をとても尊敬しています。ちびくん安らかに。
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必ず...戻ります (erima)
2006-03-16 11:25:40
アンジェラ様



言葉を話せない小さな身体。けれどその存在はとても偉大で素晴らしいものですね。不器用なちびくんは、いつもその仕草で私たちに精一杯の愛情を示してくれ、また、つねに私かゴンザの体に触れているような甘えん坊さんでした。

ですから...アンジェラ様がおっしゃって下さるように、ちびくんは今もソファの定位置にいてくれますね。ちびくんの楽しい我が家のためにも、みんなで頑張って、笑顔に戻ります。

アンジェラ様。いつも本当にありがとうございます。
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花に囲まれ、旅立っていきました。 (erima)
2006-03-16 12:01:18
t-cat様



「出来るだけのことをしてやりたい」というゴンザの思いと、また儀式をとり行って下さった方のご厚意で、ちびくんはとても立派な棺で眠り、たくさんの花に囲まれて旅立ってゆきました。とても美しい寝顔でした。立ち上る煙と入れ替わりに降ってきた春の雪は...きっとちびくんが降らせたものだと思います。きっと、今まで見守って下さり、応援して下さった皆さんにお別れとお礼を言いに行ったのですね。

家族にとってかけがえのない存在であるちびくん。いつもゴンザの脇の下や足の間に収まり、甘えていたちびくん。生まれて初めて、家族の死を経験したゴンザは、相棒がいない現実に打ちひしがれ、「ちびくんに触りたい」と言っては声をあげて泣くばかりです。

また、私はちびくんの姿がない現在を、どう過ごしていいのかわからず、これからどうしていいのかもわかりません。ちびくんが旅立って以来、本当に元気を失ってしまったちゃあこを慰めてあげたいと思いながらも、どうやって慰めていいのやら、戸惑い、ひたすら撫でるだけ。

t-cat様。人間は本当に無力ですね。また、弱い生き物です。今になって、またあらためて、ちびくんの強さがどれだけのものであったかが、よくわかります。

おそらく。「立ち直る」などど言う事は無理でしょう。前に進むことは出来るでしょうが...。家族が共に悲しみ、同時に虚ろになってしまった今を、また明るく前に進むためのものとして、過ごすしかないのかもしれません。わかって下さって、ありがとうございます。
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いつも... (erima)
2006-03-16 12:11:19
hanachan様



いつもいつも、hanachan様の事を泣かせてしまってごめんなさい。でも、本当に、ちびくんのことを、私たち家族のことを、我が事のように考えて下さってありがとうございます。

家族の誰かを失うことは、一番辛いこと。けれど、悲しみを知ったぶんだけ、私も誰かに優しくなれるよう、生きていかなければと思います。

きっとそれが、旅立っていった者への、供養となり、また恩返しになると信じて...。

hanachan様。本当にありがとう。
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迷いと、弱さだらけでした (erima)
2006-03-16 12:28:27
takashi様



温かい、心のこもったお言葉をありがとうございます。私たちも、実際は迷い、泣き、揺れる、ちびくんにとっては頼りない、だらしのない家族でした。

ちびくんのために何でもしてあげたいと、一生懸命働き、愛し、寄り添い、本当に出来る限りのことをしてくれたゴンザの悲しみは、本当に大きなものですし、私もまだ、現実を生きていないようです。真摯にちびくんの病と向き合い、闘ったのは、他でもないちびくんで、彼はその辛い病のさなかにも、私たちを支え続けてくれたのだと、またあらためて、彼の強さと存在に感謝し、その尊さにひれ伏したい思いです。

takashi様。ちびくんのために祈って下さってありがとうございます。ちびくんは、とても勇気ある、誇り高い男でした。
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Unknown (じゅりりん)
2006-03-16 21:37:16
ゴンザさんも本当に心のお優しい方なのですネ。一緒に悲しみを分かち合える人がいることはとても幸せなことだと思います。悲しみはそうそういえるものでもありませんが、今はただ少しでもerimaさんやゴンザさんの心が軽くなることを祈っています。
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今は・・・ (しも1)
2006-03-16 22:05:22
どんな言葉もerimaさんご家族へは、なんの慰めにも

ならないと思いますが・・・

erimaさんご家族と巡り会え、erimaさんご家族と共に生き、ちびくんは本当に幸せだったと思います

みなさんが仰るようにゆっくりと時間をかけて・・・

erimaさんご家族の笑顔が戻るのを一番楽しみにしているのは、ちびくんだと思いますもの

いつもの定位置で・・・







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