昨年、ベランダでおいしい柿の実を3個もつけてくれた柿の隣の柿の木をバッサリ切りました。
夫が「この柿の木をつぶすから染めてみたら」と言うのです。
あんなに可愛がっていたのに、実をつけないとなると潰すのね、冷たい男だわ。
というわけで、今年初めに潰して枝や根っこを乾燥させていたものを染めました。
乾燥し切っていたので、前日から水につけておきました。
枝・葉、細根を水に浸けこみます。
沸騰して30分煮出してこうなります。こげ茶の染め色です。
染め液を作っている間に、糸の精練作業をします。
糸はシルク真綿巻スラブ1/6を2綛。
精練とは油のついている絹糸を染めやすくするために洗うことです。
40℃のお湯に糸を浸けこみ、沸騰したら火を止め30分間おき、
常温で何度もすすぎます。
これを染め液に入れて沸騰したら弱火にして30分。
火からおろして翌日まで浸けこみます。
翌朝、こんな色になりました。
これは無媒染ですので、これから鉄媒染をします。
鉄は木酢酸鉄液を糸総重量で計算して20℃のお湯に溶かして糸を入れ、30分置きます。
これを洗い、化学作業で終わらず、元の染め液に戻して10分置きます。
洗って干しています。光線の具合かずいぶん白く見えますが、実際の色はもう少し茶色です。
次に、大きな幹を細かく切り、根の大きなものも染めました。
やはり前日から水に浸しておいたんですが、
タンニンが強かったのか、染め液は御覧のように泡だらけです。
これにシルク真綿巻きリング1/6を2綛、前記のように精練してつけ込み
同じように染め、又も、鉄媒染をしました。
染め液の色が前回より明るかったことと、糸の材質もあったのか、
明るく染まりました。
並べて比べてみましたが、右2綛が最初に染めた糸、左の2綛が後で染めた糸です。
同じ柿で媒染も同じなのに、違う色になるんだなぁというのが感想です。
なかなか落ち着いた色で気に入りました。
ベランダの柿の1本は潰されましたが、こうしてシルクに染められて、魂を残しました。