大阪府教育委員会や東京都教育委員会の強権ぶりが目立ちますが、さりとて、それは教育委員会の事務局の問題です。国会で審議が始まった教育委員会制度改革は、首長のもとに教育委員会事務局をおくようなものですから、今以上に、教育行政は首長と直結してトップダウンの教育を行なうことになるでしょう。
渡部秀清さんより、昨日(5月7日)行われた衆議院の文部科学委員会の「参考人質疑」傍聴の報告が届きました。中嶋哲彦さんの「生徒に対しては、トップダウンの教育が行われれば、教師が抑圧者になるだろう。」との発言は、まさに正鵠を射たものです。
いま、教育が政治の侍女となれば、日本が直接的に戦争に加担することなどいとも容易いことに思えます。貧困を生み出す社会は戦争社会と調和します。それが教育において「実現」するのだとしたら…教員は加賀者になってしまいます。
真面目に仕事をすることが、真面目に教育をすることが、それが戦争に加担するのだとしたら…、すでに歯車は動き始めています。抵抗が必要です。
以下、「渡部通信」より抜粋
東京都教委の井黒さんへの対応といい、大阪府教委の井前さんへの対応といい、彼らは常軌を逸しています。彼らは自分たちが何をやっているのかわからないのだと思います。自分たちの言うことを聞かない者には、処分をちらつかせて権力で徹底的に押さえ込もうとしています。ここには、法律も人権も(彼らの)余裕も何もありません。ただただ硬直した姿勢だけが目立つだけです。そして表面的にはいかにも「強そうに」見えます。
しかし、ここには何らの道理もありません。でも、道理がなければそれは必ず無理を生じます。無理が生じればそれは結局瓦解につながります。いつの時代も独裁者が長持ちしないのはそのためです。
こうした動きに対して大阪の仲間たちは、全職場へのビラ入れをやっています。そして、5月17日(土)には以下の集会を開きます。
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『「君が代」処分を撤回させよう!5・17集会』
(18:00から、エルおおさか 南5Fホール)
<講演>小谷成美弁護士(大阪「君が代」処分反対人事委員会・裁判弁護団)
<報告>「君が代」不起立・被処分者、
大阪各地での学校現場・市民の取り組み
<主催>「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク
FAX:06-6942-2444 E-mail:hinokimiosk@yahoo.co.jp
(共催)グループZAZA、被処分者を支援する各団体
(協賛)許すな!『日の丸・君が代』強制止めよう!安倍教育破壊全国ネットワーク(仮称・準備会)
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大阪では一般ピープルが独裁に対して立ち上がりつつあります。
東京でも、5月13日(火)に、
「再発防止研修抗議・支援行動」(被処分者の会主催)
(8:20行動開始、水道橋の研修センター前)
が取り組まれる予定です。
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本日(5月7日)、衆議院の文部科学委員会の「参考人質疑」傍聴に行ってきました。
参考人は以下の三名でした。
○奈良学園大学学長・梶田参考人(政府案賛成)
○元埼玉県志木市長・穂坂参考人(政府案賛成)
○名古屋大学大学院教授・中嶋参考人(政府案反対)
委員会のなかでの参考人意見陳述で一番印象的だったのは、穂坂参考人の次のような意見でした。
「➀現場の政治的中立性をどうするか。担保する必要がある。
➁国、都道府県、市町村の役割分担を明確にする必要がある。
➂地方の自治といっても、公立」は異質な集団だからこれをどうするか。
現行の教育委員会制度の欠陥は、首長が実際的に支配しているのが実体で、 教育長は一つの部の部長と同じだ。タテマエと実態が乖離している。
誰が責任者か市民にわかりにくい。これをどうするか。
・首長の実質的支配を明確にする。
・政治的中立性の担保。
・現場の中立性を維持する。
これはまさに、安倍政権の本音をそのまま述べたものだと思いました。
その後の質疑も、結局は、
「政治的中立性をどうするか」
「首長の権限、役割分担、責任の所在などをどうするか」
を巡ってのものでした。
そうした中で、梶田参考人は、
「大阪では「教育振興基本計画」を策定したが、
バランスがとれたものができた。参考にしてください。」
と述べた。国政における大阪の役割が見えるようだった。
元犬山市の教育委員だった中嶋参考人は、
「教育委員会制度の再生こそが大事だ。
政府案では教育に対する政治支配が強まる。
教育委員会の空洞化だ。」
「安倍首相は経済再生、産業競争力強化のために
教育制度も変えようとしている。
『再分配型』の教育保証制度だった。
今のは、『資本蓄積重点型』の教育「改革」だ。
これは教育の機会均等の危機だ。」
「改革案は首長が実質的な教育権限を持つことになる。
そして教育委員会は補助機関になる。」
などと述べました。
終了後、面会所での反省会では中嶋氏はさらに
次のようなことも述べました。
「『綜合教育会議』では首長が実権を持つことになる。
そうなると教育委員会はジャマになる。
民主党案では教育委員会廃止だから、
いずれ教育委員会を廃止するかもしれない。
だから実質は教育委員会の廃止と変わらない。
富の再分配をくずす「改革」は、グローバル人材育成のためだ。
平等ではなく大企業にとって都合の良い人材作りだ。
そのためにも、教育委員会は阻害要因になっているのだ。
生徒に対しては、トップダウンの教育が行われれば、
教師が抑圧者になるだろう。
政治的中立については、自民党の考えが尺度となっている。
それが文部科学省による「是正指示」などとなって現れてくるだろう。」
今後の予定は次の通りです。
5月9日(金) 文部科学委員会(午前・午後)
5月14日(水) 参考人質疑
なお、全教は5月9日から「国会前座り込み」を行うようです。
いずれにしても今週から来週にかけてが大きな山場です。
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5月12日(月)、
教育委員会制度解体反対 教育の国家支配をゆるさない
『国会前抗議行動』
<時間> 14時~16時(雨などにより変わる場合があります)
<場所> 衆議院第2議員会館前 歩道
<行動> 座り込み、リレー・トーク
<主催> 都教委包囲首都圏ネットワーク 090-5415-9194
5月19日(月)、26日(月)もやります。
ただし、時間は14:00~18:30とし、全体を通して座り込みをやり、
14:00~15:00 午後の集会(リレートーク)
17:00~18:30 夕方の集会(リレートーク)、とします。