大阪の状況について、ある機関紙に投稿したものを再録します。辻谷博子
「東京都教委10.23通達」の頃の大阪
2003年、東京都教育委員会がいわゆる10.23通達を出し、「不起立」で抵抗する教員たちを次々と処分し始めた頃、私たち大阪の教員は信じられない思いでそれを見ていました。大阪府教育委員会は、「教育内容に関することゆえ職務命令によって起立を迫ることはしない」と言い切っていたからです。だから、東京都で起こっていることは石原慎太郎という極右といってもよい政治家ゆえのことだと考えていました。しかし、その頃から大阪でも、東京の「処分」とは異なる形で「君が代」強制は強まりつつあったのです。当時私が勤めていた四條畷高校百周年行事で「国歌斉唱」が行われましたが、それは通達や命令ではなく、間接的な方法つまり教員評価や人事権を使って多くの教職員を従わせる方向で実施されたのでした。とは言っても、参列した生徒や教職員には当然「不起立」の権利は認められていました。「不起立」によって処分されるなどまったく考えようもなかったのです。
橋下維新下における「君が代」強制
しかし、2008年橋下徹大阪府知事政治下、「不起立」への弾圧は激しくなっていきます。彼は教育改革を政治課題とし、政治による直接的な教育支配をもくろみました。最初に着手したのは、「君が代不起立」問題です。憲法上の権利と自由の問題である「君が代不起立」を単なるルール上の問題として扱い、2011年6月、まれにみる悪法「君が代起立斉唱義務づけ条例」を施行し、東京とは違った形で大阪に「君が代」強制体制を布きました。条例制定後初の2011年度の卒業式では、大阪で初めて「不起立」大量処分が強行されました。そして、それだけにとどまらず2012年4月、教育諸条例を施行し、数々の教育破壊規定とならび、事実上の「不起立3回で免職」までをも条例によって定めたのです。
グループZAZA―不起立は不服従の権利
2012年、被処分者のうち7名が大阪府人事委員会に異議申立を行いました。ホットライン大阪をはじめ全国的な支援を受け弁護団も結成され、7名はグループZAZA(ちなみに、ZAZAは「座座」すなわち不起立を意味します)を結成し連帯を誓い合いました。私もその一員です。2013年2月11日「私たちは黙らない!全国集会」では、教育の政治支配に抗し「日の丸」「君が代」強制と「競争」「強制」の押しつけに反対する全国ネットワークを目指そうと呼びかけました。
弾圧は強まれど、ZAZAは明るく
2013年春、大阪では「君が代」処分は減給3名、戒告9名、再任用拒否3名、そのうえ、免職の恫喝とも言える「警告書」を発出するなど昨年以上の弾圧ぶりです。しかし、ZAZAは4名増えて11名、私たちは驚かれるほど意気軒昂です。「非は奴らにあり」それが私たちの元気の源かもしれません。安倍自民党政権のもと、教育への政治支配が強まる状況に抗して、「不服従が社会を変える」その思いでみなさんとつながっていきたいと思います。