(12)日本国憲法の解釈改憲による集団的自衛権行使の容認の閣議決定がなされた7月1日、全国の高校生に自衛隊募集の「君の決意が国の力に!」の大見出しのパンフレットが送られ、戦車の写真には「平和を、仕事にする」と書かれている。日本全国各地156陸上自衛隊駐屯地で、「総合的学習」としての「職場体験学習」が小中学生に頻繁に行われ、その数は2000年より現在まで累計1万件を超える。戦車や戦闘機に乗り銃を持つ体験、隊員と格闘してゴム製のナイフで殺害する体験も行われている。
東京都では、教育現場に「銃剣道」が浸透し、銃剣道を普及させるために高校生も出場させられている。競技での突く場所は喉と左胸(心臓)、命にかかわる部位である。半強制の「宿泊防災訓練」に名を借りた自衛隊体験入隊は、2013年7月、東京都立田無工業高校が朝霞駐屯地で実施したことに始まり、2014年2月、同校が東京スポーツ文化館で実施した際には、迷彩服を着た自衛隊員が生徒たちの前に姿を現した。都教委から16人が参加している。都教委は経費236万2720円支払い、領収書には「生徒食事代」と計上している。東京都教委は2014年度予算として、8300万円の「防災訓練費」を大幅増額計上した。
2014年度、東京都立大島高校が、11月26日(水)~28日(金)、神奈川県横須賀の自衛隊武山駐屯地で「防災訓練」を予定している。自衛隊連携で防災訓練を実施する学校も多数あり、また、特別支援学校も2014年から「宿泊防災訓練」(学校で)を行っている。
また、東京都立高校では、2013年度の『防災教育推進校実施に関するガイドライン』により「防災活動支援隊」の組織化が進められている。「支援隊」は、都立高校生徒会やクラス代表などで結成し、自校の災害時の生徒リーダーになることが要請されている。これは、日常的な「生徒組織による指揮命令の確立」であり、「支援隊」は地域での防災活動のリーダーを期待され、東京都教育委員会の金子指導部長は「(災害派遣の)活動は、防衛の際にも求められ、自衛隊の所掌事務である防衛に含まれる」と、「戦争」を前提とした組織であることを述べている。
東京都教育委員会は、このように、政府の集団的自衛権の行使容認を前提に、戦争準備体制の強化と軍国主義教育の開始とが密接に結びついた事実を積み重ねているのである。
日本の戦前の教育は国家が教育を全面支配し、学校が、「教育勅語」に基づく教育によって、忠君愛国の精神で天皇のために命を捧げる「少国民」を育成する場として、子どもたちと人々を侵略戦争に動員する上で決定的な役割を果たしたことを、歴史的事実としてだけでなく、現在の話として想起しなければならない。「教室から戦争は始まる」のだ。