不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

Abbatimento della Pensilina

2010-08-03 18:28:01 | アート・文化

フィレンツェ駅そのものと
周辺の整備が少しづつ進められています。
トラムの開通もそのひとつですが
今回はトラムとは反対側の駅東側の整備が始まります。
フィレンツェの顔でもある駅周辺の
混沌を解消するというのが
現在のフィレンツェ市の主張。

フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅の東側には
Cristiano Toraldo di Francia
(クリスティアーノ・トラルド・ディ・フランチャ)が手がけた
Pensilinaと呼ばれる長細い建物がありますが
フィレンツェ市はこの建物自体を完全に取り壊し、
Michelucci作の駅舎本体に、より重要性をもたせ
駅周辺の歩行者ゾーン化を進め、
車両侵入を更に規制する方針。
このPensilinaは
1990年の第14回サッカーワールドカップ
イタリア大会にあわせて建設されたものですが、
長く有効活用されることなく、
ここ数年では整備も行き届かず
駅周辺の荒れ果てたイメージを
助長するようになっていました。

既にフィレンツェ美術監督局は
この解体工事にokを出しており
国鉄の最終認可を待ち、工事着工となります。

8月16日から始まる解体工事は工期2ヶ月の予定で
解体後は成長した松の木だけが残され、
周辺の1200ヘクタールの敷地は
再整備&歩行者化が進められる予定。
これによって駅周辺の
自転車置き場やバイク駐輪所も撤去され
地価の有料駐輪場の利用が義務づけられることになります。
現在あるキオスクと市バスATAF社のチケット売り場は
敷地内に新たに施設を建設して存続することになりそうです。

一大観光都市の玄関としては非常に使い勝手が悪い
フィレンツェ中央駅ですが
駅構内のチケット売り場の一部を
9月からは観光インフォメーション窓口に切り替え
観光客がより利用しやすく、
わかりやすい駅を目指しているそうで、
今後駅周辺が明るくきれいに整備されるのを期待します。

しかし、
このPensilinaを手がけた建築家トラルド氏は存命中で
自分の作品が有効活用されないままに
フィレンツェ市のお荷物のような扱いを受けて
完全打ち壊しになると知ってどんな心境なのでしょうか?