不埒な天国 ~Il paradiso irragionevole

道理だけでは進めない世界で、じたばたした生き様を晒すのも一興

San Lorenzo

2010-08-24 18:51:09 | アート・文化

ローマ・イエズス教会に保管されている
「聖ロレンツォの殉教」が
カラヴァッジョの作品ではないかと話題になったり、
8月10日の流れ星が「聖ロレンツォの涙」だったり、
ここのところ聖ロレンツォが気になるので
改めてまとめることに。

聖ロレンツォは
紀元3世紀頃に実在したスペイン系のキリスト教徒で
スペイン北東部アラゴンから
ローマ教皇シスト2世に召還されてローマに入り
ローマの7人の助祭の一人となった人物。
助祭の仕事のひとつであった
弱者貧民の救済に非常に熱心で
教会のもつ財産を
困っている人々に分け与え続けたといわれます。
ローマ帝国が派遣した司令官(Cornelio Secolare)が
その教会の財を略奪しようと企てたときには
全てを貧民に分け与えた上で
その貧民を連れ立って司令官の元を訪れ
「この民こそが教会の財である」
と訴えたと伝えられています。
258年に行われた
ローマ皇帝Valeriano(ヴァレリアヌス帝)による
キリスト教迫害で捕らえられ殉教しています。
捕らえられた彼は、熱せられた鉄格子の上に乗せられ
熱で焼かれて命を落とすのですが
その場に居合わせたローマ皇帝ヴァレリアヌスに向かって
「こちら側は焼けたので裏返して更によく焼き
私を食べていただきたい」と吐き捨てたといわれます。

当時からアラゴンやイタリア領内での
聖ロレンツォ崇拝は根強く
10世紀以降ドイツや他のヨーロッパ圏内にも信仰が普及。
現在もこうした有名なエピソードから
惣菜屋、飲食店、料理人、消防士、ガラス職人など
火を扱う人々の守護聖人となっています。
また貧民の守護聖人でもあり、
彼の行った施しが受け継がれて、
フィレンツェでは8月10日の聖ロレンツォの日には
サン・ロレンツォ教会で
ラザニアとスイカの無料配布が行われます。
聖人を認識するシンボルとして最もよく使われるのは
殉教の焼き網や殉教聖人の棕櫚の葉、
また当時助祭が身に着けていた
ダルマチカを着て描かれることも多く
宗教絵画でも比較的認識しやすい聖人の一人。
また時に手に旧約詩編集を持っていることがあり
このことから司書や本屋の守護聖人でもあります。

Lanfranco_sanlorenzo_martire
Giovanni Lanfranco
Martirio di San Lorenzo
焼かれる聖人の視線の先にローマ皇帝ヴァレリアヌス。
高座に座って指差している人物がローマ皇帝です。

この作品はルッカの
Museo di Villa Guinigi所蔵ですが、
そういわれてみると本物見たことないかもしれない。
ということで近いうちにルッかに遊びに行って
ちゃんと見てこようかと思います。