北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-ロシア軍はチャシブヤール攻略にT-90戦車を集中投入,ロシアアフリカ軍団は元ワグネル戦闘員が主体

2024-06-01 07:00:51 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 T-90というのは90式戦車が開発された少しあとに登場して物凄い戦車だという勝手な印象があったものですが実際は。

 ロシア軍はチャシブヤール攻略にT-90戦車を集中投入している、ISWアメリカ戦争研究所5月23日付ウクライナ戦況報告ではバフムトの激戦概況をまとめています。全般状況としてウクライナ軍は一部で反撃に成功していて、リプシ北東のルキアンチルキャンツイとクレミンナ近郊のビロホリフカにおいてわずかではあるものの前進した。

 ウクライナ軍総司令官のシルスキー上級大将によれば、ハリコフ州に侵攻したロシア軍はリプシ周辺において攻撃から防御に切り替えているとのことで、またヴォフチャンスクでは市街地戦闘となっており、ロシア軍は市街地に展開させるために予備戦力をほかの戦域から抽出している状況、クピャンスク近郊の森林地帯でも同様の状況、と。

 チャシブヤール、ロシア軍は現在このチャシブヤール攻撃に損耗を度外視した攻撃を加えているとのことで、このために数が減っている虎の子のT-90戦車を第一線に投入、また歩兵部隊についても装甲戦闘車を多ようしているとしました。チャシブヤールはバフムト近郊に位置していて、周辺地域攻撃の起点となりうる戦域の焦点のひとつ。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 プリゴジン騒擾が最盛期でしたが。

 ロシアアフリカ軍団は元ワグネル戦闘員が主体である、イギリス国防省は5月24日付ウクライナ戦況報告においてアフリカ軍団の概要情報を開示しました。ロシア軍は囚人部隊ストームZとともにアフリカ軍団を重点的にハリコフ州のヴォフチャンスク攻撃に投入していますが、アフリカ軍団は2023年12月に新編された国防省直轄部隊だ。

 アフリカ軍団の規模は2000名規模で、これは軍団というにはものたりなく旅団や連隊規模の部隊となっていますが、正規兵とともに経験度の高い傭兵が所属しているとのことで、これらはワグネル騒擾、武装蜂起事件をへて事実上解体されることとなったロシアの政府系民間軍事会社ワグネルの戦闘員により構成されているとのこと。

 ワグネルはシリア、リビア、ブルキナファソ、ニジェールなどで活動しており、希少金属や鉱山などロシア政府利権などの維持経営から警備に販売までを強力な武装を背景として実施してきました。これはロシア要人収入にも直結するところですが、アフリカ派遣のリソースをウクライナハリコフ再侵攻に当てざるを得なかったもよう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-黒海安全回廊660万tの穀物輸出とセヴァストポリのコルベットツイクロン撃沈

2024-05-30 07:01:30 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナ情勢です。アメリカからの支援再開の成果が有る程度見通せ始めているのですがいまひとつ日本の姿勢についても再考してほしい所です。

 ウクライナは2024年4月に660万tの穀物を輸出した、ウクライナ経済についてイギリス国防省が5月22日付ウクライナ戦況報告において情報をまとめていて、660万tの輸出は一ヶ月の輸出成果としては2022年2月のロシアウクライナ戦争開戦以来最大規模に上ったとし、その背景には黒海安全回廊が確保されたということが大きい、と。

 黒海安全回廊は世界の穀物輸出量の10%近くを占めるウクライナ産穀物をアジア中東アフリカ地域へ輸出するために周辺国とロシアが協力したもので、2023年8月に設置されていらい船舶1600隻が4500万tの貨物を輸送、穀物以外には鉄鉱石と鉄鋼などが含まれているといい、これはウクライナ経済の回復にも大きく寄与することでしょう。■

 ロシア軍はハリコフ侵攻部隊の再編成を開始した、ISWアメリカ戦争研究所5月22日付戦況報告によれば、ウクライナ軍軍事オブザーバーのマショヴェッツ氏の発言としまして、ハリコフ州のリプシ周辺に侵攻したロシア軍第7自動車化狙撃連隊を交代のためにウクライナ領内から撤収させ、ベルゴロド州とクスルク州で再編中、とした。

 防空装備の枯渇が苦戦の背景にあるというウクライナ軍ですが、ドネツク州を防衛するウクライナ軍旅団が過去2週間で4機のロシア軍Su-25攻撃機を撃墜したと18日に発表したとISWは紹介しています。この戦闘には広域防空システムではなく個人携帯用のMANPADを使用、ロシア軍はMANPADの射程内まで攻撃機を前進させている証左です。■

 ウクライナ軍はセヴァストポリ軍港停泊中のコルベットツイクロンを撃沈しました。5月23日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告によれば、ウクライナ軍は19日、自爆用無人機とアメリカが供与したATACMSを組み合わせて実施、このツイクロンは対地攻撃用のカリブル巡航ミサイル運用能力をもつカラクルト級コルベットです。

 ロシア黒海艦隊にはカラクルト級コルベットが4隻装備されていますが、セヴァストポリ軍港への相次ぐ攻撃をうけ2023年11月に1隻が大破していて、また2隻は安全なカスピ海へ退避しているとされています。カリブル運用可能という水上戦闘艦はほかにも存在しますが、ロシア軍は黒海を正常に運用することが厳しい状況でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ロシア軍アフリカ軍団ウクライナ侵攻と東部戦線チャシブヤール・ポクロフスク・クラホフ

2024-05-29 07:00:56 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 本日は記事文章は兎も角として合せるそれらしい写真も無いので舞鶴に過去親善訪問しましたロシア艦の写真で代用です。

 ロシア軍はアフリカ傭兵部隊による肉弾攻撃を攻撃準備段階で行っている、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告5月21日付発表によればウクライナ軍軍事オブザーバーであるマショヴェッツ氏の発言を引用するかたちで、ロシア軍アフリカ軍団と呼ばれる傭兵部隊がウクライナのリプシ近郊における戦闘に投入されているとした。

 アフリカ軍団に関する情報はこのほかにもレニングラード軍管区第44軍団の内部情報を調査するウクライナ義勇情報部隊"アテシュ"がアフリカ諸国出身のアフリカ系戦闘員をハリコフ州北部で戦闘に投入している情報を入手しているとISWは紹介しています。このアフリカ軍団はアフリカでの戦闘経験を有する戦闘員で構成されているという。

 アフリカ軍団の戦闘員による攻撃はロシア軍が攻撃を加える前に肉弾突撃をおこなう要員として充当されている、ISWはハリコフ州北部の匿名ウクライナ軍人の発言も紹介しており、アフリカ軍団の行動は局地的なものではなく広範に行われ、また使い捨てのように、損耗をかなり前提とした運用が為されているとも分析しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ゼレンスキー大統領の発言です。

 チャシブヤールとポクロフソクに注意を払うべきだ、ウクライナのゼレンスキー大統領がロイター通信の取材に応じた際の発言をISWアメリカ戦争研究所が5月21日付ウクライナ戦況報告において紹介しました。これは、ハリコフ州での情勢はここ一週間にわたり安定しているが危機的となっている東部戦線を世界はみるべきだ、という。

 ロシア軍の攻撃は東部戦線の三カ所で強化されている、三カ所とは、バフムト近郊のチャシブヤール、アウディイフカ近郊のポクロフスク、ドネツク西部のクラホフ、としています。一方、ハリコフ州のリプシ近郊での戦闘はロシア軍が最初の急激な前進ののちに急激に減速したとしており、逆に東部戦線の攻撃が強化されているとした。

 ハリコフ州での戦闘はエコノミスト誌がロシア軍攻撃計画閲覧を報道していて、ISWが引用したところによればロシア軍の目的はハリコフ市内を砲撃できる位置まで72時間以内に前進、それはハリコフ市の北東20km地点、国境からは16kmの距離にあるボルショヴァと、国境から50kmのヴォフチャンスク南方にあるペチェニヒを占領するという。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-NATO派遣エストニアカジャカラス首相発言とハリコフ国境周辺のロシア軍部隊動向

2024-05-28 07:01:51 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 NATOとロシアの距離が短縮する事はそのまま次の大戦に展開する懸念が生じますのでどうしても関心事となってしまいます。

 エストニアのカジャカラス首相はNATO加盟国を含む複数の国が訓練要員を既に派遣していると発言しました。ISWアメリカ戦争研究所5月20日付ウクライナ戦況報告ではアメリカのフィナンシャルタイムズ紙の報道を引用するかたちでカラス首相の発言を紹介していて、ウクライナ軍への訓練支援のために現地派遣が既に為されている、と。

 カラス首相発言では、派遣した国の詳細については避けながらも、危険な地域でのウクライナ軍訓練支援を行うことによるリスクは想定済みとしたうえで、ほかのNATO加盟国についても、こうしたウクライナ領内への派遣によりロシアとの関係が悪化し戦争が拡大するなどといったリスクをおそれるべきではないとしました。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 部隊の充足率については自衛隊もなかなかここでは書けないことを知っている故になんともいえないのですが。

 ハリコフ国境周辺のロシア軍部隊動向について、ISWアメリカ戦争研究所5月20日付ウクライナ戦況報告ではハリコフ州北部を防衛するウクライナ軍旅団副旅団長の発言を紹介しており、ロシア軍はさまざなか部隊から集成した部隊をスミ州国境付近に集結させているものの、目的は越境攻撃ではなくウクライナ軍誘引と分析しています。

 ウクライナ軍を国境警備に張り付けさせることでほかの戦線が手薄となることを目的とした誘引と副旅団長の分析を裏付けるように、ロシア軍はヴォフチャンスクではヴォフチャ川に沿って中心部へ浸透を開始、クリシチフカ南部やネタイロフ西方、そしてクラスノホリフカなどで一定程度の前進を続けているという概況があるとのこと。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 現時点では陽動であるのだけれども次の段階をロシアが想定していないとも思えないのですよね。

 アウディイフカ周辺での戦闘概況について、イギリス国防省は5月21日付戦況報告においてロシア軍が高速道路E50号線を起点にその両側に向けて浸透をつづけていると報告しました。ロシア軍のハリコフ州での新しい攻撃軸展開はやはり主攻撃ではなく、ロシア軍攻撃が活発であるのは東武地域であるとイギリス国防省は分析しています。

 高速道路E50号線はロシア軍が制圧しているドネツクとウクライナ軍防衛拠点のおかれたポクロイシクを結ぶ高速道路で、この72時間でロシア軍はかなりの損耗を容認しながら前進しており、この背景にはポクロイシクからドネツクに掛けてのウクライナ軍戦線に突出部を形成させ、そこから分断することが目的とイギリス国防省は分析する。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ロシア新国防相アンドレイベロウソフ氏の難題と三本の防衛線で防ぐハリコフ戦線の概況

2024-05-24 07:00:09 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 この総力戦体制が完成しウクライナ戦争の次を考えた場合でロシアの周辺国である自由主義圏の国に在って核兵器で守られていないのは日本と韓国だけになるのですよね。

 ロシア新国防相アンドレイベロウソフ氏について、イギリス国防省は5月17日付ウクライナ戦況報告においてその背景を分析、今回の人事異動は前国防相のセルゲイショイグ氏とニコライパトルシェフ氏を国家安全保障会議書記に就任させることが目的であるとともに、ロシアの国家総力戦体制を構築することが狙いとしています。

 ベロウソフ氏は経済学者であり軍務経験はなく2020年1月より第一副首相を務めており、経済学者としての経験から軍事調達を効率化することがもとめられているとイギリス国防省は分析、この背景にはロシア国防省とロシア軍内部での汚職体質を改善することが必要となっているとロシア政府自身が問題視していることの現れ、と。

 ロシア軍の汚職体質はこれまでもイギリス国防省はじめ問題視していましたが、汚職容疑の国防省やロシア軍関係者逮捕については、イワノフ国防次官の汚職による4月逮捕や人事局長クズネツォフ中将の贈収賄による5月14日逮捕などこの短期間でも連続していて、国防費の効率化のための汚職体質払拭の難しさも同時に示しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 要塞線を構築しているようですが。

 ハリコフ戦線の概況についてISWアメリカ戦争研究所は5月17日付ウクライナ戦況報告について、ゼレンスキー大統領の発言を紹介、戦線は安定化しているとし、具体てきにはウクライナ軍が構築したもっとも強力な防衛戦にはまだロシア軍は到達していないと発言しています。ウクライナ軍は三本の防衛線を構築しているとのこと。

 三本の防衛線のうちウクライナ軍が強力に構築しているのが国境から距離をおいている第三の防衛線であり、ここはロシア国境から10kmの距離を隔てており防衛線構築に際してロシア軍の砲撃をうけないことから強力な陣地構築ができているとしています。ロシア軍のハリコフ州での侵攻は10kmの距離、リプシ近郊までとなっている。

 ISWはこの日これ以上を踏み込んだ分析は行っていませんが、ロシア軍のハリコフ侵攻は現在ウクライナ軍がロシア軍を阻止している段階であり、これがロシア軍の攻撃戦力投入を抑えた結果であるのか、ウクライナ軍の防衛力と抵抗の強さの背景であるのかが不明であり、戦力分散の強要か緩衝地帯構築にあるのかも、また不明です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ウクライナ軍迎撃能力低下とエストニア軍をウクライナ領内後方支援検討

2024-05-23 07:01:45 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 防空リソースはどれだけ備蓄しても結局は不足するのですが例えば輸出などを念頭に量産能力を確立するなど選択肢は幾つかあるのです。

 ウクライナ軍防空能力低下が顕著であるとISWアメリカ戦争研究所が5月13日付戦況分析において概況を発表しました。ISWは過去半年でのロシア軍ミサイル攻撃に対する迎撃率が46%と、それ以前の半年間の73%という迎撃率に対して迎撃失敗がふえていることを13日付ウォールストリートジャーナル紙が報道した内容を紹介しました。

 迎撃能力低下はミサイル不足とロシア側の攻撃時機の複雑化や攻撃頻度の増大によるもので、特にこの一ヶ月の迎撃成功は30%まで低下していて、対してロシア軍のミサイル攻撃は増加傾向にあり、過去半年でのロシア軍攻撃は45%増大、特にシャヘド無人機など自爆用無人機による攻撃は二倍に増加していると発表しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 この段階まで話は進んだのか。

 エストニア軍の一部をウクライナ領内での後方支援にあてることを検討している、これはISWアメリカ戦争研究所の5月13日付報告に専門誌ブレイキングディフェンスの取材を紹介したもので、同誌のエストニア大統領国家安全保障顧問であるロール氏への取材として、ウクライナへのエストニア軍派遣を"真剣に"検討と発言しました。

 エストニア軍の派遣地域はウクライナ西部を想定していて、ウクライナ軍による西部地域での非戦闘任務のいちぶをエストニア軍がになうことで、ウクライナ軍が前線に戦力を集中できるよう考えているという。この点についてエストニアのシモンテ首相も5月8日にウクライナ軍後方支援の訓練開始を許可したと発言しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 この復興は大変だ。

 ウクライナは文化財1062カ所が攻撃の被害を受けた、イギリス国防省ウクライナ戦況報告5月15日付発表として文化財や文化施設への被害状況の概算などを示しました。これによれば文化施設1987カ所、文化財1062カ所、宗教施設129カ所が被害を受けている。これは15日がユネスコ武力紛争時文化財保護条約採択70周年であるため。

 ロシア軍によるウクライナ文化遺産への攻撃は、航空攻撃、なかでも爆発威力の大きな滑空爆弾による都市攻撃が後半に行われているためで爆撃を受けている地域では文化財が壊滅的な被害を受けており、その修復には90億ドルの費用と10年間の期間を要すると見積もっていて、戦争が長期化するほどロシア軍は文化財破壊を継続する。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ウクライナ軍ハリコフ州要塞線構築に難渋,ウクライナ経済2023年実質成長率GDP5%

2024-05-22 07:01:45 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 国境要塞が無いという点では日本も同じ。

 ウクライナ軍はハリコフ州での要塞線構築に難渋している、ISWアメリカ戦争研究所5月15日の戦況報告においてハリコフ州行政当局者のはなしをつたえています。これによればロシアとの国境3kmから5kmの地域に要塞線をしくことが理想ではあるものの、その圏内はロシア軍砲撃を真正面からうけるため不可能だとしています。

 要塞線の構築は、12km程度離隔した地域での構築に重点が置かれていて、ウクライナ軍はハリコフ州の国境から12km乃至20kmの地域に複数の防衛戦を構築しているとしています。ただ一方でゼレンスキー大統領の発言としてウクライナ軍はハリコフ地域における情勢の安定化に成功したとし、ロシア軍前進を阻止しつつあるとのこと。

 ウクライナ軍ホルティツイア群報道官のヴォロシン中佐はロシア軍の侵攻阻止について、砲撃と無人機攻撃が威力を発揮しているとして、特にロシア軍はルキャンツイとヴォフチャンスクに陣地構築をこころみているものの、砲撃など長距離攻撃が阻止した。ロシア軍はハリコフ州トラヴィヤンスク貯水池東岸を占拠しています。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 戦争を支えるには経済力が重要で日本も日露戦争の際には外債や増税で大変ではありましたが乗り越えました。

 ウクライナ経済の2023年実質成長率はGD5%である、イギリス国防省ウクライナ戦況報告5月16日付発表がウクライナの経済状況について発表していまして、ウクライナ経済は回復力を維持しているという朗報を示しています。これはロシア軍による発電所など電力インフラへの攻撃が続く中での戦時中の経済回復力という点で驚き。

 ロシアウクライナ戦争が開戦となった2022年のウクライナ経済はマイナス29%という厳しい結果となりました、主要産業である穀物輸出の停止などもありますがなにより突然の開戦により様々な社会システムの破綻や予備役動員開始など戦時経済への移行といった混乱が背景にあったといえますが、ウクライナは2023年にこれを乗り越えた。

 2024年経済成長はミサイル攻撃の増大により成長率はプラス3%にとどまると思われています。一方インフレ率は3%、これも2022年には26%というインフレに見回れましたが落ち着きを見せているもよう、ただこちらも今年は増大の可能性が。ウクライナ中央銀行はインフレ低減を受け政策金利を14.5%から13.5%に下げました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【防衛情報】オーストラリア国防強化,ハンター級フリゲイト導入計画見直しとMQ-28 ゴーストバット無人戦闘航空団

2024-05-20 20:23:02 | 国際・政治
■防衛フォーラム
 今回はホバート級イージス艦の写真と共にオーストラリアの最近の国防強化政策の概要を見てみましょう。

 オーストラリア海軍はハンター級フリゲイトの導入計画を半減させ水上戦闘艦計画を再編する構想を発表しました。ハンター級フリゲイトはイギリス海軍が導入する26型フリゲイトのオーストラリア海軍仕様で、2018年にBAE社やナバンティア社とフィンカンティエリ社案を比較し決定、アンザック級フリゲイトの後継として9隻を導入する計画でした。

 26型フリゲイトは現在イギリス海軍の主力を構成している23型フリゲイトの後継艦と位置づけられていますが、満載排水量は4200tから長期航海に対応すべく8000tへと大幅に増大するため相応に建造費も大きくなります。オーストラリア海軍は2020年の見積もりで9隻を建造した場合の費用を460隻と見積もっていましたが、問題は9隻という数です。

 ハンター級フリゲイトを11隻まで建造数を増強する検討が為されましたが、予算上の問題から断念されています。しかし、増大する中国海軍の海洋進出頻度を前に9隻のハンター級では対応できるかが難しく、この為にハンター級を11隻増強検討から逆に半減させ、6隻を導入し、浮いた費用を別の水上戦闘艦艇建造に振り分ける方針を示したかたちです。■

 オーストラリア海軍はハンター級補完用に護衛艦もがみ型などを検討しているという、これはアルバニージー政権が、増大する中国海軍の圧力を背景にアンザック級フリゲイト後継艦をハンター級を加えた20隻程度の水上戦闘艦で置換える海軍再編構想を発表しました。新しい艦艇には汎用フリゲイト、そして有人運用可能である大型無人艦等も整備する。

 もがみ型護衛艦、韓国の大邱級フリゲイト、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト、スペインのALFA3000型フリゲイト、オーストラリア海軍汎用フリゲイトにはこうした艦が候補として挙げられています。もがみ型護衛艦は建造費の安さと共に日豪防衛協力の前進と自衛隊での運用実績という利点がありますが、そうりゅう型潜水艦の失敗事例がある。

 汎用フリゲイト案のほかに、ドイツのMEKO-A200型汎用フリゲイト案は今回退役するアンザック級フリゲイトがもともとMEKOシリーズであるために合理的な案といえる。そしてスペインのALFA3000型フリゲイトはオーストラリア海軍がホバート級イージス艦を建造した同じナバンティア社製という利点、大邱級は小型で最も安価という利点があります。■

 オーストラリア空軍は2024年に武装無人機配備を開始すると発表しました。オーストラリア政府は武装無人機配備を発表していますが、現時点でその立地については情報管理の対象としており、国内の何処か配備基地や導入機種については非開示としており、また導入や配備が開始された場合でも情報開示を行うかについても明確な情報を示していません。

 無人戦闘航空団、ただ概要を大まかに示すものとしてオーストラリア政府は今後4億ドルを投じて無人戦闘航空団を創設するとしていて、ボーイングと共にロイヤルウイングマン無人僚機として開発を進めていたMQ-28 ゴーストバットを配備するとされ、この機体は1 億 1500 万オーストラリアドルで 6 機が製造されるため、部隊規模が有る程度推測可能だ。

 MQ-28 ゴーストバットについて、オーストラリア国防省はF-35戦闘機など第五世代戦闘機1機をもととしてMQ-28 ゴーストバットを加える事で飛行中隊に匹敵する部隊運用が可能となるとしています。無人機は長時間滞空型の装備が長らく整備されてきましたが、オーストラリアは高速飛行可能の無人僚機開発に6億オーストラリアドルを投じました。■

 オーストラリア政府は日本の反撃能力整備へのミサイル試験場の提供を示唆しました。自衛隊の反撃能力は従来の地対艦ミサイルのような射程を遥かに超え、射程は2000kmを超えるものと想定されています。このため日本国内に試験場を確保する事は出来ず、オーストラリア政府へ発射試験設備の整備や発射試験などの実施可能性を打診してきました。

 オーストラリア国内ではこれまでもJAXAが独自開発していた超音速旅客機試験用無人機の試験や、天体採取物の往還型衛星帰還などの用地を借用した実績がありまして、広大な国土と人口希薄な砂漠地域を国土に有するオーストラリアはこうした試験をおこなうさいに重要な環境を有しています。一方で、オーストラリアの安全保障政策も関係し得る。

 オーストラリア軍は2010年代に進めていた装甲車両などの増強計画をいったん中断し、中距離ミサイルを増強する構想を進めていますが、オーストラリア自身にはこうした長距離ミサイルの開発計画などはありません。このために、日本の反撃能力整備は、場合によっては日豪防衛協力や防衛装備品開発などにも影響を及ぼす可能性はあるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-ロシア国営ガスプロム過去25年間最大年間損失計上,ロシア政府収入全体の9%

2024-05-18 07:00:30 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナへ高機動車をおくれるならば救難用航空機の退役装備等も遅れないかと考える昨今ですが、そのウクライナへ侵攻を続けるロシア軍の戦費調達に興味深い影響が。

 ■防衛情報-ウクライナ戦争
ロシア国営ガスプロムは過去25年間で最大の年間損失を計上した、5月12日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告が分析結果を発表しました。これによれば2022年のウクライナ侵攻開始とともに西欧諸国との関係悪化によりロシア産天然ガス離れが始まり、特にガスプロムは経常黒字の大半を西欧諸国との取引に依存していたとのこと。

 ガスプロムは輸出の一部を西欧以外の一部の国に振り分けはしたものの、西欧諸国との取引を補う規模ではなかったとし、また、パワーオブシベリア2ガスパイプラインのような新規施設投資へ資金を集めることはできず、西欧諸国との取引停止による損失を埋め合わせられた代替輸出は5%から最大で10%にしかすぎないと分析しました。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 迂回輸出などの制裁逃れを監視し関係する国々への制裁を拡大するという監視能力強化について、日本が出来るウクライナ支援のもうひとつの選択肢とおもう。

 ロシア国営ガスプロムの年間損失について、5月12日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告では、ロシアのウクライナ戦費調達への影響度合いの大きさとして2023年にガスプロムからのロシア政府が課した課税金額が2兆5000億ルーブル、米ドル換算で280億ドルに達するとし、これはロシア政府収入全体の9%に相当すると指摘している。

 ガスプロムへの課税規模は拡大しており、逆に過大な徴税がガスプロムに代替市場へ天然ガスを供給するガスパイプライン建設などの資金投資の余裕を奪っているとイギリス国防省は分析、実際ガスプロムは2024年の設備投資規模を前年比マイナス15%へ縮小すると発表、少なくとも2030年までは利益を縮小したままと分析している。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 厳しい状況ばかりつづいていますが砲弾の供給さえ間に合えば逆に射程の長い火砲で一気に無力化できそうでもある。

 ハリコフ州でのロシア軍侵攻状況についてISWアメリカ戦争研究所は5月12日付戦況分析において、ハリコフ州北部のリプシとヴォフチャンスクでロシア軍が前進したと分析しています。ロシア軍の目的は西側から供与された装備でのロシア本土攻撃を阻止するというロシア国内の政策的な要求の結果、ハリコフへ再侵攻したと分析する。

 ウクライナ軍は逆に国境のロシア側に所在する部隊集結地域や物資集積地域を攻撃することで大きな恩恵に預かれる可能性があるという。ただ、ISWはヴォフチャンスク近郊で任務に当たるウクライナ軍将校の話として、この地域には十分な要塞がないために防衛戦闘は苦戦を強いられているという発言を紹介しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ウクライナ情勢-5.9対独戦勝記念パレードの極小化とハリコフでのロシア軍再侵攻の概況

2024-05-16 07:00:35 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 大津駐屯地祭でさえ教育部隊の後身の後に機動戦闘車が2両観閲行進に参加しているものですから。

 ロシア軍が実施した5月9日の対ドイツ戦勝記念式典について、イギリス国防省は5月10日付ウクライナ戦況報告においてその概要を発表しました。5月9日は例年ロシア国内において多数の都市でパレードが実施されていますが、ロシアウクライナ戦争開戦後は多くの都市で自粛されており、24都市でパレードが見送られたとのこと。

 パレード中止は2023年にも21都市で中止されていますが、今年はこれがさらに拡大したかたち。またモスクワでの軍事パレードも大幅に縮小され実施されていて、多数の戦車が赤の広場を行進する様子は過去のものとなり、パレードを実施するだけの装備を集められない、最前線で不足する装備を集めることへの批判が背景にあるとかんがえられています。
■参加車輛61両
 国威発揚も今は昔といいますか第二次大戦中は工場から新品の戦車がパレードに参加してそのまま実戦に投入されていたのでそれ以下の状況だ。

 モスクワでの対ドイツ戦勝記念日におけるパレードの参加車両は61両で、これはゴールデンウィークに滋賀県で行われた大津駐屯地祭の25両よりは規模が大きいものの、国威発揚行事としては2020年にはT-90戦車など戦車だけで20両を参加させていたことと比較すると非常に規模は小さく、重装甲車両は勿論、装軌式車両も参加がなかったとしています。

 T-34戦車1両のみが例外的に参加、第二次世界大戦を象徴させる戦車として参加したのみで、人員は9000名と集められ端ものの、士官候補生、退役軍人、軍属の参加が全体の七割近くをしめており、現役軍人の参加は三分の一程度、ロシアウクライナ戦争において大量の人員と装備品を失ったことが確実に影響しているとイギリス国防省は分析します。
■ハリコフ再侵攻
 この状況は逆に弾薬さえそろえばカエサルやFH-70で反撃する糸口のようにも思えてしまうのですが。

 ロシア軍のハリコフ方面での国境突破について、ISWアメリカ戦争研究所は5月10日付戦況分析において、ハリコフ市北部のリプシと北東部のヴォフチャンスク近郊において戦端を開いたとのこと。ロシア軍は最大5kmにわたり前進したという。ISWは今後ロシア軍がさらに前進し、ハリコフ市内をロシア軍の砲兵射程圏内に置くまで進むと予想します。

 ハリコフを砲兵の射程圏内におくには国境から50kmに所在するハリコフには10km程度の前進で現行世代の155mm榴弾砲はその射程内に市街地を収めることが可能ですが、ISWはこの攻撃についてウクライナ軍をほかの戦線からハリコフ防衛に転戦を強要するための助攻とみていて、ロシア軍にはハリコフを占領するための能力はないとも分析しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする