北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

巨大都市競合地域“メガシティ”という新たな戦場【中篇】 軍事原則では都市部は包囲が基本

2016-04-30 22:24:02 | 防衛・安全保障
■軍事原則では都市部は包囲が基本
 ロイターコラム“巨大都市競合地域“メガシティ”という新たな戦場”について、熊本地震により掲載が伸びましたが、2016-04-11日付記事の前篇に引き続き掲載です。

 市街地戦闘は室内制圧の様子など、近接戦闘訓練展示として各国軍隊や法執行機関の訓練風景が報道公開されることもありますが、高層ビルなどは部屋数が多すぎますし、一度に大部隊を室内掃討へ集中投入しますと、建物ごと自爆されかねない、という問題点も生じてしまいます。実際、多くの市街戦等を経験するイスラエル軍は、建物ごと自爆する攻撃により掃討戦に多くの犠牲を強いられました。

 ロイターコラムの米軍はメガシティでの消耗戦に近い戦闘に曝される、という指摘ですが、この限界点については、米軍自身がイラク戦争大規模戦闘終了後のイラク治安作戦において経験している一方、その先頭形態の主力が軍事機構の大規模な衝突ではなく法執行機関型の近接戦闘能力が最も重要視されるものであり、更に法執行機関の一つの目的である犯罪の抑止、一罰百戒、の概念が実のところ非対称型の戦いにおける非正規戦力への解決策になる、との視点も、やはり軍事機構には充分付与されていません。

 法執行機関型の戦闘が求められると同時に、相手も法執行機関が取り締まるべき対象と同様の経路から戦闘要員を養成するため、宣撫工作や心理戦闘、相手の社会基盤そのものに内部化し、友好勢力を成長させ、取締りの勢力を創出させる、いわば19世紀型植民地経営の際の植民地警察に当たる機構を創出させる、また、非正規戦闘といいますか、非対称戦では住民協力が不可欠です。

 住民が支持される施策を行い、且つ住民から信頼される軍政を敷くのであれば、広大な市街地から通報により敵主力の位置を知る事が出来ます、が、完全な掃討を完了する前に撤退するのではないか、という危惧を含め、信頼を獲得できなければ、これは過去のヴェトナム戦争において南ヴェトナム政府を支持した人々が北ヴェトナムの攻撃へ南ヴェトナム政権崩壊後どのような境遇となったのかを考える場合、一時的で遠からず撤退する事が見えている集団を支持する可能性は、ほぼないといっても過言ではないところ。

 統治機構を見定め正統性を付与し支援する、住民を支持させる政治体制として民衆を友軍に付かせ都市という広大な錯綜地形へ敵の潜伏場所を干上がらせる、という視点が必要で、このためにはいわば軍政の能力が、この種の市街地戦闘には求められ、併せて敵主力の撃破に特化した従来型編成の陸上戦力には無い発想を、横断的に行使する機能は求められるわけです、他方、米軍を見ますと過去に植民地経営を実施した事例が殆どなく、この点に限界があるといえるでしょう。

 アメリカの軍隊が出る幕なのか、収斂する結論はこの視点をアメリカがどのように考えるかにあります。実際問題、冷戦時代においてもメガシティ、とまでは行かずとも100万規模の大都市での戦闘は世界中で発生していましたが、アメリカ軍が直面した市街戦は、ヴェトナム戦争のフエ市街戦くらいでしょう、グレナダ侵攻やパナマ侵攻では大都市が戦場とはなりましたが、敵中枢打撃により短期間で終結しました。

 朝鮮戦争のソウル市街戦はかなりの激戦であったと戦史に残るのですが、ここを上記事例に含めなかったのは何故か、それよりも市街地戦闘は第二次世界大戦においてスターリングラードを始めアメリカが参加した戦争の片隅に出てくるものの含めなかったのは、と問われるでしょうが、視点として重要視したいのはこの部分です。ソウル市街戦の主体となったのは韓国軍であり、スターリングラード市街戦ではソ連が主力となりアメリカは軍事物資により支援しただけに過ぎません、第二次世界大戦での大規模な市街地戦闘と云えばマニラ市街戦、というところでしょうか。

 大都市での戦闘をアメリカが多くの場合回避できたのは、他の当事国へアメリカ軍が打撃力と軍事物資支援に特化しておくことで直接の戦闘を回避した、という視点が見えてきます。すると、ISILに対する今後危惧される大規模な市街戦に対しては、独裁国家であるという難点に目を瞑るならば、シリアのアサド政権を支援するという選択肢、も含めるべきか、と。

 実際問題、イラクにおいてもかつてイラク国内での治安はフセイン政権時代には確実に履行されていたものが、イラク戦争後に破綻したことによって悪化しました。故に“建前と本音”として、民主化を型どおりに抑えるのではなくその過渡期を示し、法執行機関養成支援等を通じ、最悪の事象であるテロの抑止を実現する、という施策も検討されるべきだと考えます。

 テロ拡散防止と大量破壊兵器拡散防止を第一に掲げ、その為であれば政治形態の多様性を尊重する、つまり建前と本音を使い分ける、というもの。かなり突飛な視点と思われるでしょうが、冷戦時代にアメリカはチリのピノチェト政権、ニカラグアのソモサ政権、イランのパーレビ王政、南ヴェトナムのゴディンディエム政権、カンボジアのロンノル政権、イラクのフセイン政権、独裁国家に対しても反共政策を条件に支援を行った事例があります。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ムスダン弾道ミサイル北朝鮮が日本海へ連続発射全弾失敗、新型ミサイル開発継続の意図は?

2016-04-29 22:52:25 | 国際・政治
■ソ連製SS-N-6ミサイル改良型
 伊勢志摩サミットまで一ヶ月を切りました昨日28日、北朝鮮は午前と午後二回に分け2発の新型弾道ミサイルムスダンを日本海沿岸の元山から発射しました、ともに実験は失敗したとのこと。

 防衛省自衛隊は厳重な警戒態勢を継続しています。ムスダンは、北朝鮮が2010年に発表した新型弾道ミサイルで、ソ連製SS-N-6潜水艦発射弾道弾を原型として開発、その射程は4000kmに達するとされ、北朝鮮本土から投射した場合、日本全土及びグアムやアラスカを射程に収めるものと考えられています。また、後述するいくつかの理由から特に警戒されているミサイルで、北朝鮮は今月15日の金日成生誕記念日を筆頭に過去三回、発射実験を実施、全て失敗していますが開発を継続させています。

 日本が厳戒態勢を執るのは何故か、北朝鮮は既に日本本土ほぼ全域を射程とするノドン准中距離弾道ミサイルを1993年に完成させており、200発程度を備蓄しているとされます。その上で今回のムスダンを警戒する理由についてですが、それは北朝鮮が日本海沿岸の元山に発射実験拠点を設けている為です、元山から4000km級の射程を有する弾道ミサイルを発射した場合、テポドンのような黄海側の発射施設を用いず日本海側から投射した場合、太平洋に向けて発射する必要がありますので、これは即ち東北地方上空を中心に東日本地域上空を通過する事を意味し、その経路で失敗すれば東日本へミサイルが落下する危険性がある為に他なりません。

 ミサイルが落下した場合の危険性ですが、極超音速で降り注ぐミサイルはそれだけで危険物ですが、ミサイルは燃料としての推進剤に劇物を採用しており、これが非常に危険なのです。ミサイルそのものの燃料にムスダンは液体燃料方式を採用し、非対称ジメチルヒドラシン溶液を搭載しており、これが人体には非常に有害なのです。引火点が-10度という爆発しやすい特性を持ちますが、それ以上に危険なのは強い腐食性を持つ事で、更に発がん性物質として日本では危険物5類指定を受けている劇物で、数gを吸引するだけでも危険な液体燃料ですが、ムスダンにはこの非対称ジメチルヒドラシン溶液等燃料8t近くが積載されており、完全燃焼せず事故により落下した場合、広範囲に飛散する危険性がある事は一見してわかるでしょう。

 北朝鮮は何故この時期にミサイル実験を繰り返すのでしょうか。政府は全国の都道府県に対しJアラートの緊急点検を命じましたが、これはこの五月連休時期に朝鮮労働党中央大海を36年ぶりに実施することから、この時期に国威発揚を目的としてミサイル実験が行われると公算が高く、また、実際に実験が行われています。目的が国威発揚ですので継続して成功するまで実験が続く可能性が高いことを示します。日本が連休でも落下した場合、防衛省は人口密集地へ落達以前に警報を発令し、イージス艦やペトリオットミサイルにより迎撃し被害を阻止しなければなりません。

 ムスダンに拘る北朝鮮の背景について。これは、北朝鮮は既に韓国を狙うスカッドC,日本本土を狙うノドン、アメリカ本土を狙うテポドンを実用化している訳ですが、併せてもう一段のミサイルを欲しているところに実験継続の背景があります、それは潜水艦発射弾道弾SS-N-6を原型としている事から読み取れます。北朝鮮は、SLBM,潜水艦は車弾道ミサイルの開発を継続しており、ロシアからスクラップとして入手したゴルフ級通常動力ミサイル潜水艦を原型とする潜水艦より発射実験を繰り返していますが、ムスダンの原型となったSS-N-6ミサイルは1969年にソ連がゴルフ級用弾道ミサイルとして開発していたもので、潜水艦発射弾道弾は一旦出港し海底に隠れれば陸上のミサイルよりも人工衛星などからの追尾を受けにくく秘匿性が優れるとの特性があります。

 潜水艦発射弾道ミサイルとしてムスダンは開発中であり、潜水艦に搭載し北朝鮮本土から離れた海域に秘匿させる事で、ミサイルの航空攻撃に対する脆弱性から生き残る事を模索しているのではないか、こういう事が出来るでしょう。もっとも、北朝鮮海軍はミサイル艇を中心とした沿岸海軍であり、対潜哨戒能力は皆無に等しい状況ですので、海中に展開させた場合、逆に危険性が増すとも考えられるのですが、軍事的な意図に加えて、前述するように国威発揚という目的も加味されます。こうした意味から実験を継続しているものとみられるところ。

 更に北朝鮮の大きな目標は、来月26日から三重県にて行われる伊勢志摩サミットへの軍事恫喝という意味も含まれるでしょう、北朝鮮に対しては相次ぐ核実験と弾道ミサイル実験により国連安全保障理事会決議として、これら開発の中止が決議されました、国連安保理決議は強行規範として法的拘束力を持ち、この安保理決議を繰り返し違反している北朝鮮に対し、国連安全保障理事会は国連創設以来最大規模の制裁決議を可決し、人道上の範囲内でのあらゆる国際的な経済活動に対し制約を加えています。

 北朝鮮への経済制裁は、今後明らかに北朝鮮の経済活動だけではなく国家運営へも影響を及ぼすことは必至で、核開発及び弾道ミサイル開発を断念し国際の平和と安全を希求する陣営へ復帰するか、世界が折れるまで核開発と恫喝を続け次の段階まで押し進むのか、選択肢は狭まっています。こうした背景のもと、G-7伊勢志摩サミットが北朝鮮のミサイル射程内で開かれるこの機会に、ミサイルによる恫喝を行うという意味は大きいでしょう。このため、今後も万一の実験成功に伴う日本本土への落下に備え警戒を厳重にすべきです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十八年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.04.29/30)

2016-04-28 20:56:13 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 熊本地震への自衛隊災害派遣が継続する中ではありますが、今週末の自衛隊関連行事について。

 明日は昭和の日、今週末の自衛隊関連行事、29日の祭日から日曜日まで三連休となりますがまもなくゴールデンウィークというなか、毎年五月末の行事を実施する第7師団が創設記念行事を日曜日に行います。第7師団、東千歳駐屯地祭は、戦車連隊3個を有する我が国唯一の機甲師団で、観閲行進では各連隊が連隊隷下五個中隊の中隊旗を先頭に五列での行進、90式戦車一列五両250tが高速で通過する様子は他では見る事が出来ないほどの迫力です。

 下志津駐屯地つつじ祭、千葉県四街道に所在する高射学校の創設記念行事です。毎年4月29日の祭日に執り行われるこの行事は、陸上自衛隊高射特科職種の幹部教育及び専門教育に新装備評価及び戦術研究を担う自衛隊の教育期間で、03式中距離地対空誘導弾システムや11式短距離地対空誘導弾システムなど、各種最新装備が配備されており、87式自走高射機関砲など本土では稀有な装備についても装備しています。

 厚木基地では、日米友好さくら祭り、が執り行われます。海上自衛隊航空集団司令部が置かれ、海上自衛隊第4航空群とアメリカ海軍第5空母航空団が展開している航空基地です。入場にはアメリカ海軍の規定により、保安上、旅券等国籍表示が示された公的身分証明書が必要で、日本国籍やアメリカ国籍など入場はアメリカの同盟国民等に限定されていますのでご留意ください、マイナンバーカードは永住外国人にも交付され国籍表示が示されていない為、使用できませんのでご注意ください。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭


・4月30日:第7師団創設61周年・東千歳駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/nae/7d/
・4月29日:高射学校創設記念下志津駐屯地つつじ祭…www.mod.go.jp/gsdf/aasch/aaspr-hp/
・4月30日:アメリカ海軍厚木日米友好さくら祭…https://www.facebook.com/NAFAtsugiHNRO/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

航空防衛作戦部隊論(第三五回):航空防衛力、拠点航空基地の有事緊急拡張という視点

2016-04-27 21:23:11 | 防衛・安全保障
■拠点航空基地の有事緊急拡張
 航空団展開基地を拠点航空基地とする。そして、拠点航空基地の有事緊急拡張という視点について今回は考えてみましょう。

 この拠点航空基地については、陸上自衛隊の支援を受け施設部隊を集約し必要に応じ臨時滑走路や、応急掩体地区を構築するという方策が必要となります。これは航空自衛隊の航空基地は航空掩体が充分数が保有されておらず、離隔も限界がある為です。例えば北陸地方に置かれ日本海の防空を一手に担う小松基地を一例とすれば、小松基地に加え有事の際には隣接する小松飛行場地区、この施設を防衛用に用いる事で実質的に拡張できるでしょう。

 そして応急的に武力攻撃事態法に基づく用地接収を実施し空港施設を臨時拡張する事が出来れば、隣接する県道20号線を誘導路として周辺地域へ戦闘機を離隔分散する事も可能となるでしょう。南西諸島防空の要衝那覇基地についても、有事の際には誘導路を滑走路として利用し、空港周辺地区を接収し国道331号の小禄バイパスに沿って応急掩体を構築して航空攻撃を受けた場合でも戦闘機への損害を局限化する事は可能です。

 しかし、この為には陸上自衛隊の施設群規模の支援と航空方面施設隊の支援が不可欠となりますし、基地区画が広域化する為航空自衛隊の警備小隊だけでは基地周辺部を維持する事は難しくなります。特に航空機を一カ所に配置すれば弾道ミサイル攻撃や航空攻撃により、特にクラスター弾薬が使用された場合一挙に無力化する危惧がありますが、航空機を離隔すれば航空攻撃と弾道ミサイル攻撃による脆弱性はかなりの部分解消されます。

 その分航空機周辺からロケット弾攻撃や対物狙撃銃等特殊部隊による攻撃により航空機を損傷する可能性が高くなり基地警備の負担がどうしても大きくなります。さて、臨時分屯基地と拠点航空基地ですが、やはり現在航空団が展開しているような拠点航空基地は別としまして周辺部にこれだけの施設を構築するだけの余裕と施設部隊が展開している飛行場は限られます。接収できるのかという部分ですが、基地と隣接する飛行場で民間部分だけが攻撃されない、という軍事的視点は有り得ません。

 こうした視点ですが、臨時分屯基地についても地方空港が臨時に戦闘機基地として使用している事が判明し、その基地が准中距離弾道ミサイル等の射程内にあるならば当然攻撃の対象となるでしょう、この場合に復旧させることは相応の施設部隊と協力民間企業の支援が必要となるため、長期的には長く使う場合臨時分屯基地もそれだけ大きな能力を求められるようになり、そうなる前に臨時分屯基地は臨時の施設であると割り切り再展開する必要が生じます、結果、収斂する先は拠点航空基地しかありえません。

 他方、有事の際に拠点航空基地を拡大する事が出来るかについてですが、拠点航空基地は第一撃により弾道ミサイル攻撃と航空攻撃を受けます、必然的に我が国へ侵攻する相手としては戦闘機部隊基地は第一の攻撃目標となりますので、これは必然なのですが、周辺地域は接収の必要が生じると共に国民保護法の観点から非戦闘員である国民は基地周辺において付随被害を避ける観点から疎開を求められることとなり、国民の財産権への障害を極力考慮しつつ対応する必要があり、ここに基地の臨時拡大の余地も生じるわけです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オーストリア次期潜水艦選定、フランスDCNS社新型潜水艦共同開発案選定と豪州首相発表

2016-04-26 21:44:34 | 国際・政治
■そうりゅう型潜水艦輸出ならず
 豪政府、潜水艦の共同開発相手に仏DCNSを選定、豪州海軍が計画している現行のコリンズ級潜水艦後継艦選定、12隻という大きな潜水艦需要へ我が国も潜水艦そうりゅう型を強く売り込んでいましたが今回はフランス製が選ばれたかたち。

 潜水艦最大12隻、契約規模は500億豪ドルで400億米ドル規模の巨大防衛装備移転交渉でした。我が国の武器輸出について、実現すれば初の防衛技術移転の大きな事例として、特に現在進展しないインドへの救難飛行艇輸出交渉に代わる象徴的な一案となる事が期待されていました、他方、我が国の防衛産業が政府から強く保護されていると共に、産業分野への波及効果と外交関係との波及効果の相乗作用を経済産業省と外務省及び防衛省が慎重に均衡を期して画定しているのに対し、豪州海軍が求める将来潜水艦後送を、そうりゅう型原型に拘り、新型潜水艦を一から建造するという姿勢の有無が大きく影響した可能性もあるでしょう。

 日本は潜水艦そうりゅう型豪州仕様、他にドイツが214型潜水艦を二倍に大型化させる案を提示、フランスやスウェーデンも提示していまして、フランス案は当初実現まで時間を要すると考えられていたのですが、豪州国内への産業と雇用に好影響を及ぼすとして一転注目されていました。フランスの豪州将来潜水艦構想は、原子力潜水艦を通常動力化するという技術的には困難を有するものの、大型潜水艦の建造は原子力潜水艦建造において蓄積されているとして、その改修に関わる技術と共に船体設計に関してはフランス海軍の将来原子力潜水案建造へも反映される新技術を共に開発する、というもの。

 フランス案は、言い換えれば供与する技術の基盤を提示し、そののちは豪州の技術力と資金面により左右される、というものでした。豪州のアボット首相(訂正:ターンブル首相)は海軍の求める高性能潜水艦よりも、国難産業と雇用を維持する事を重視しています。バラクーダ型潜水艦としてフランスが今回提示したのは、シュフラン級攻撃型原潜の設計を通常動力潜水艦へ転用するもので、水中排水量5300t、全長99mの大型潜水艦が原型となります。

 通常動力潜水艦と原子力潜水艦は、一見突飛に思われる方式ですが、これはフランス海軍が現在運用するリュビ級攻撃型原潜から開発されている原子力タービンエレクトリック推進方式の採用が通常動力化に大きな可能性を有しているもので、これは原子炉により一旦発電した電力を以て推進力に充てる、通常の原子力蒸気タービン方式とは異なる方式です。

 原子力タービンエレクトリック推進方式の利点は、統合電気推進方式である点で、発電にフランス海軍は原子力を採用していますが、リチウムイオン電池やワルタータービン方式AIP動力など、電力の供給減があれば原子炉以外の方式でも推進可能となる点で、原子炉区画をそのままディーゼルエンジンなど非核動力の発電装置と蓄電池など動力装置に置き換える事で、その他の推進装置は応用できる利点があります、ただ、単純そうに見えますが、原子力区画を通常動力に置き換える技術については実用艦という面で不確定要素があるといえるでしょう。

 他方、豪州は過去に台湾への潜水艦輸出交渉を実施した事例があり、豪州が今回の将来潜水艦生産により得た技術を以て第三国へ転用しようとする場合、そもそもフランス案であれば豪州が独自に開発する必要がある事から豪州の独自技術開発が必要とされるもので、言い換えるならば特許分野などで第三国への移転を行う上で、すべて日本から完成した技術を導入し自国仕様とする案よりも、産業面から利点が多いと判断された可能性はあります。豪州潜水艦製造には4500名の雇用が維持されるという。

 これは現行のコリンズ級潜水艦最終艦竣工から13年を経て潜水艦が製造されていないにもかかわらず4500名の雇用維持は驚くべきところです、そうりゅう型を選定した場合、明日にも製造に当たる準備が整っていますが、フランス案の場合、違ってきます。フランス案では原子力潜水艦を通常動力にする為、吸気系統から再設計する必要があり、2030年代から交代が始まるとの話、実際の建造まで10年以上研究開発に雇用を生んだことにもなる。

 防衛装備輸出を考える場合、産業への波及効果という視点は重要で、例えば近年ではブラジルとスウェーデンの防衛装備輸出交渉について、スウェーデンは製造ライン維持の観点からJAS-39戦闘機を確実に輸出する必要上、ブラジルが提示したブラジル製KC-390輸送機導入を事実上のバーターとして計画成立にこぎつけた事例があります、一見日本国内の感覚では不透明な取引とも考えられる部分ではありますが戦闘機開発など防衛先端技術開発は他の産業分野への転用は難しく、その上で一旦途絶すれば再構築には、非常に大きな時間を要します。

 この為、我が国は海外製防衛装備をライセンス生産により導入した事例はあるものの、防衛装備を海外へ大きく展開した事例は無く、民生品や汎用品が海外へ供給された程度に過ぎません、また、防衛産業は防衛需要比率の小さな大企業が主体となている為、防衛分野での不受注がその企業本体へ影響を与える事はあっても、死活的な問題は生じません、一方海外ではM&Aにより大型化するとともに防衛需要依存度の高い企業が多々存在しますし、その産業への雇用も非常に大きく広がり、この部分への政治的影響が防衛調達へも反映される事は、ある種仕方ありません。

 これは単純に例えばバーターとして、そうりゅう型12隻の代替に豪州インキャット社製ウェーブピアサー方式高速輸送艦を12隻海上自衛隊が取得すればよかった、というものではなく、現地企業への技術内部化や、日本との提携により海軍は最高水準の潜水艦を短期間で取得できるが、その上で豪州国内の潜水艦製造に関する4500名の雇用をどのように維持するのか、という視点を真剣に考える必要があった、ともいえるところ。

 一方のフランスについては、原型となるシュフラン級攻撃型原潜の竣工は今年2016年より始まり、概ね2026年まで竣工が続く予定です、豪州海軍将来潜水艦の竣工は2030年頃から開始される計画ですので、フランスとしては現時点で最新の戦隊技術に2030年まで目いっぱい豪州が将来潜水艦への通常動力化に関する開発を行い、その上でシュフラン級攻撃型原潜の関連部品は、フランス向け製造がひと段落した上で時期的に受注が本格化します。

 2030年代を見通すには少々保守的過ぎたのか。そうりゅう型は2004年から建造が開始され2009年に竣工が始まりました潜水艦ですので、豪州向けの竣工が本格化する頃には、そうりゅう型一番艦が延命改修を行うか練習潜水艦への転用が本格化している時期となりますから、豪州海軍としてはやや陳腐化、という印象も拭えなかったのでしょう。2030年代という次世代潜水艦に、期限は2020年ではなく2030年代なのですから、既に完成した現行潜水艦を提示するのではなく、ある種、2030年代に対応する将来潜水艦を提示すべきだったのかもしれません。

 他方、豪州海軍はコリンズ級潜水艦をこれで2030年代まで運用を続ける事が決定しました、豪州潜水艦産業は実際の建造が本格化するまでの約十年間、技術開発に専念する事が出来ますので、雇用は安泰ですが、騒音問題に深刻な欠陥があるコリンズ級を今後最大で二十年間運用し続けなければならない状況が決定した訳でもあります、一番艦コリンズ竣工は1996年で二十年前の話、最終艦ランキンも2003年に竣工した訳です。

 コリンズ級の騒音縮小改修や延命改修等で日本が協力する分野を構築する、若しくは、余剰となった解体まちの潜水艦はるしお型貸与等を通じコリンズ級の騒音問題を限定的に解消する施策などを通じ、日豪の防衛協力体制を強化し、産業分野と運用分野での関係を強化する事が2060年代の豪州将来潜水艦交渉への布石となるやもしれません。一方、我が国海上自衛隊と豪州海軍はアメリカ海軍と共にこの地域の安定化に大きな役割を担いますので、建造への様々な障壁と技術的課題は山積しますが、新型潜水艦の完成を友好国の視点から見守りたいものです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)

北大路機関広報:本記事タイトルの豪州首相に大きな誤りがありました、正しくはターンブル首相です、お詫びして訂正します
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

榛名防衛備忘録:30口径軽機関銃M-240と支援火器M-82A1対物狙撃銃

2016-04-25 00:00:19 | 先端軍事テクノロジー
■30口径軽機関銃M-240
本日は趣向を換えまして携帯火器の話題について、、備忘録的に。

62式機関銃、30口径機関銃としてA6機関銃の後継に導入され、かなり射撃に支障が生じる悪評の多い装備でしたが、22口径のMINIMIへ切り替わりました。こうして30口径機関銃は戦車の連装銃のみとなったわけですが、普通科部隊の近接戦闘任務へ果たして30口径機関銃は不要となったのでしょうか。MINIMIのような小銃と同じ弾薬を用いる22口径機関銃へ歩兵分隊用機関銃の転換は世界的な趨勢なのですが、小隊火力として30口径機関銃を別個に運用することも、また世界の趨勢の一つです。

M240軽機関銃、ベルギーが設計したFNMAGをアメリカがM60機関銃の後継として採用した軽機関銃ですが、MINIMIとおなじFNの設計で、MINIMIが1000m前後の有効射程を有しているのに対しM240は1800m程度の有効射程をもち、22口径弾薬と30口径弾薬の根本的な運動エネルギーの大きさを端的に示し、支援火力として必要な装備と考えるところ。

30口径機関銃、弾薬系統が歩兵分隊の、つまり普通科小銃班のほかの装備と異なりますので、小銃班へ装備することは妥当ではありませんが、小銃小隊に機関銃分隊を配置する、軽装甲機動車の小隊長車と小隊陸曹車などへ搭載する、などの施策が考えられるでしょう。中隊には迫撃砲小隊と対戦車小隊で普通科小隊を支援することができますが、小隊には隷下の小銃班を支援する手段がない、そのためにも30口径機関銃は必要でしょう。

対物狙撃銃、12.7mm重機関銃の銃弾を射撃する大口径狙撃銃ですが、これを前線支援火器として用いる例があるようです。これはフランス軍が多用している方式で前線装甲車VABに一定部隊規模におうじて搭載するもの、アフガニスタン治安作戦やマリ介入にて、山間部や狭隘地形など装甲車の機関銃が下車歩兵を支援できない状況にて、敵機関銃陣地など火力拠点へ連続射撃し、脅威対象の有効射程外から撃破するなど、威力を発揮したとのこと。

重機関銃は運用次第で歩兵の天敵というべき脅威となりますが、重くて人力で持ち運ぶには限度が、と。機関銃陣地制圧は、フォークランド紛争にてイギリス軍がミラン対戦車ミサイルを用いて大きな成果を挙げていますが、レーザー誘導方式や赤外線半自動追尾方式とことなり、熱画像誘導方式の新世代対戦車ミサイルは、戦車のような熱を放射する目標へは非常に有効ですが、陣地攻撃にはセンサーが目標を認識しにくく有用ではありません。

自衛隊も小隊単位で対物狙撃要員を若干数配置し、火力支援に用いる、という方式は有用かもしれません。対物狙撃銃は軽装甲車ていどならば撃破できますし、市街地では遮蔽物を貫徹して目標を制圧可能、弾薬は既存の重機関銃弾を転用できます。支援火器扱いですので、米軍の能力証明射手のように観測員を抜きに射手一人で運用できますし、小銃班に一人随伴するとして、高機動車は定員10名にたいし現在小銃班は7名、軽装甲機動車も2両で定員8名ですので便乗でき、小銃小隊に射手を2名程度随伴することは可能でしょう。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸上防衛作戦部隊論(第五〇回):ペントミック師団(五単位師団),過渡案提示の必然性

2016-04-24 21:48:02 | 防衛・安全保障
■新師団編制完結への過渡案
 ペントミック師団、五単位師団方式を挙げたのは、ここまで永らく広域師団構想を提示してきましたが。

 無理に装甲戦闘車を揃えて戦車と機械化部隊を編成し、戦車の不足を装甲戦闘車と連携する機械化打撃力により代替しようという施策です、その代案に装甲戦闘車とまでは行かずとも大量調達が費用面で安易な装輪装甲車を一定規模整備し、一方不足する攻撃衝力は、師団を現行の師団普通科連隊三個体制から小型の旅団普通科連隊五個方式とし、戦車や特科火砲を五個普通科連隊に対応する数量へ上方修正し対処する、というもの。

 広域師団編成案、陸上自衛隊を10万名強の規模まで精鋭化させ、且つ人員を海空自衛隊の堅牢化、特に戦略展開能力向上と基地機能維持及び転地能力強化に充て、以て全自衛隊の即応能力及び統合打撃力向上と継戦能力の抜本的向上に資する案として提示しました、戦車を独占し方面隊特科と戦闘工兵装備を集約する装甲機動旅団、方面隊の全航空機を統括運用し軽装甲部隊の機動戦を重視する航空機動旅団は地上戦闘の統合化に資するでしょう。

 普通科戦闘基幹部隊は、機械化大隊、戦車中隊と2装甲戦闘車中隊を基幹とし施設中隊と特科大隊が一丸となって攻撃前進する装甲機動旅団の骨幹戦力は、戦車13両という僅か一個中隊であっても装甲戦闘車の支援により攻撃衝力持続発揮による機動打撃と強靭な防衛戦闘を両立させるもので、中隊戦闘群として航空部隊の段列支援を受け軽装甲機動車小隊と四輪駆動装甲車中隊の混成部隊が包囲と突破を速度により達する編成に二分されます。

 しかし、幾つかの諸問題があります、第一に人員を精鋭化することで海空への人員派出を求める方策ですが、国家財政の危機的状況が継続する中で精鋭化し縮小した人員をそのまま海空へ派出することが出来るか、という点がひとつ。そして精鋭化の必要装備として限られた戦車定数を最大限活かすための装甲戦闘車を、果たして十分確保し得るのか、ということ。

 第一の問題は非常に深刻で、陸上防衛力を精鋭化し人員を縮小したのならば、国家財政は危機的状況なので、海空自衛隊もそれぞれ二割から三割縮小すべき、との要望が財務当局から示される可能性が否定できません、実際、陸上防衛力は陸上に位置している故の災害派遣における重要な役割がありますが海空自衛隊は限られているという部分があり、陸上防衛力が縮小できる状況化、海空防衛力の単純な移管は容易に理解されない可能性は残る。

 人員面ですが、陸上防衛力は陸上において外敵の侵攻を抑止し国家を防衛する事にあるのですが、国民は基本的に陸上に居住していますので、陸上を基盤とした災害派遣能力は陸上自衛隊が大きく、平時の災害には大きな印象を残します、海上での大規模災害であれば海上自衛隊が主体となりますが、海上での大規模災害時の被災者想定よりも陸上の方が大きく、この点を理外の理として認識を一般化させなければ改編の骨子を果たし得ません。

 第二に、装甲戦闘車について、広域師団編成案は装甲戦闘車以外の装備を全て既存装備体系より管理替えにより配備する案を提示しています、航空機動旅団の各旅団航空部隊へ50機のヘリコプターを集約する案も元々は方面航空隊の方面ヘリコプター隊多用途ヘリコプター20機と対戦車ヘリコプター隊の対戦車ヘリコプター16機に各隊本部の観測ヘリコプター8機と、師団及び旅団飛行隊の7機等を合計しただけに過ぎません。

 しかし装甲機動旅団の多連装ロケットシステムMLRSと戦闘工兵用地雷原処理車や装甲ドーザは方面隊の方面特科部隊と方面施設団等からの管理替えにより装備するという前提ですが、装甲戦闘車だけは新規調達しなければ、そもそも陸上自衛隊は機甲師団の一部しか装甲戦闘車を装備していない為、管理替えしようにももともと持っていないので対応できないのです。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十八年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.04.23/24)

2016-04-23 03:48:31 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 X-2初飛行に沸く中ではありますが、今週末の自衛隊関連行事について。

 今週末の自衛隊関連行事は熊本地震災害派遣により大幅に変更となっております、元々は、八戸駐屯地創設60周年記念行事、郡山駐屯地創立63周年記念行事、北富士駐屯地創立56周年記念行事 、信太山駐屯地創設59周年記念行事 、第14旅団創設10周年善通寺駐屯地祭、大村駐屯地創設64周年記念行事、相浦駐屯地藤棚駐屯地一般開放、第8師団創設54周年記念北熊本駐屯地祭、鹿屋航空基地エアーメモリアルinかのや、が予定されていました。

 熊本地震により、八戸駐屯地創設60周年記念行事は災害派遣のため延期となりまして次の実施予定は現在のところ未定です。第14旅団創設10周年善通寺駐屯地祭は中止、四国の旅団行事ですが九州に近く災害派遣のため中止です。 大村駐屯地創設64周年記念行事、長崎県の行事ですが中止。第8師団創設54周年記念北熊本駐屯地祭も中止、被災地にいちばん近い師団司令部です、本震前は実施予定でしたが、さすがにこの状況では、と。鹿屋航空基地エアーメモリアルinかのや、こちらも中止されています。

 実施予定の自衛隊関連行事は、第6特科連隊と第6高射特科大隊の駐屯しています郡山駐屯地創立63周年記念行事、第1特科隊の駐屯しています北富士駐屯地創立56周年記念行事 、大阪の第37普通科連隊が駐屯している信太山駐屯地創設59周年記念行事 、となっています。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・4月23日:八戸駐屯地創設60周年記念行事(延期)…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/
・4月24日:郡山駐屯地創立63周年記念行事 …ttp://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/
・4月24日:北富士駐屯地創立56周年記念行事ttp://www.mod.go.jp/gsdf/eae/1d/html/kitafujihp.html
・4月24日:信太山駐屯地創設59周年記念行事…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/shinodayama/
・4月24日:第14旅団創設10周年善通寺駐屯地祭(中止)…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/
・4月24日:大村駐屯地創設64周年記念行事(中止)…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/
・4月23日:相浦駐屯地藤棚駐屯地一般開放…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/
・4月24日:第8師団創設54周年記念北熊本駐屯地祭(中止)…ttp://www.mod.go.jp/gsdf/wae/8d/
・4月24日:鹿屋航空基地エアーメモリアルinかのや(中止)…ttp://www.mod.go.jp/msdf/kanoya/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

X-2初飛行!(2016-04-22)国産ステルス機,将来戦闘機開発使命担い小牧基地を岐阜基地へ飛行

2016-04-22 18:50:00 | 先端軍事テクノロジー
■飛翔!X-2
 防衛装備庁が三菱重工を中心に開発した先端技術実証機X-2が本日初飛行に成功しました、優美な新型機の機能美をご覧ください。

 X-2は初の国産ステルス航空機として初秘奥しました。その任務は将来戦闘機開発へ防衛装備庁が技術研究本部時代から蓄積した様々な技術、高運動ステルス機技術のシステムインテグレーションの研究、高運動飛行制御システムの研究試作、低RCSレーダー反射断面積機体の研究、実証エンジンの研究、などの様々な技術を航空機技術として飛行させ、その技術開発を航空機として実際に飛行させる技術実証のために開発された航空機で、三菱重工小牧南工場の置かれた小牧基地を離陸、岐阜基地へ着陸しました。

 防衛装備庁はF-2支援戦闘機の後継機としてX-2を元にコンフォーマルレーダシステムの研究、将来小型航空機への適用技術に関する研究、多機能RFセンサの研究、先進統合センサシステムに関する研究、ステルス戦闘機用レドームに関する研究、将来アビオニクスシステム研究試作、将来HMDシステムに関する研究、戦闘機用統合火器管制技術の研究、電動アクチュエーション技術の研究、次世代エンジン主要構成要素の研究、戦闘機用エンジンシステムの研究、ウェポン内装化空力技術の研究、等を経て実用化される見通しです。

 機体規模は技術実証機であり、イギリスのハリアー攻撃機程度の大きさではありますが、その任務は将来戦闘機開発への技術開発、そして現在の航空戦闘に大きな要素となりつつあるステルス機と地上防空システムや第四世代戦闘機による対ステルス機戦闘、防空管制能力開発への支援という機体以上に重要な技術を盛り込み任務を担う航空機で、今後、防衛装備庁と航空自衛隊飛行開発実験団による様々な試験を通じ、将来防衛へ寄与することでしょう。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

熊本地震発災から一週間、防災と復旧の進展及び自衛隊災害派遣概況と今後の地震活動警戒

2016-04-21 21:44:25 | 防災・災害派遣
■熊本地震発災一週間
 熊本地震は今日で発災から一週間が経ちました。そこで防災課題と復旧の進展と今後の地震活動への警戒について提示してみました。

 加藤清正と腰兵糧、清正公に震災の今こそ学ぶべきなのでしょう。今回の震災は熊本の英雄のとある心構えをおもいださせるものでしょう。賤ヶ岳の七本槍としての武勲、朝鮮の役では突撃に次ぐ突撃を敢行して満州まで突入した武功と共に熊本城や名古屋城に江戸城はじめ築城の名手で、農業行政の白川坪井川大改修と熊本四大河川改修、熊本平野八代平野玉名平野干拓、馬場楠井手用水など行政分野で、農業生産を飛躍的に向上させ九州における熊本の地位を固めた事で知られますが、腰兵糧、として常に有事の備えを怠らなかったことで知られます。

 腰兵糧とは、加藤清正が常に日常生活、米三升と竹筒味噌に銀銭紐三〇〇文、を常時携行しており万一出先で戦時となった場合に備えていたとの事、腰兵糧に米三升と竹筒味噌に銀銭紐三〇〇文となりますとカメラバック一杯になってしまいますし、現代の視点から自衛隊の弾帯に取り付けてもかなりの重量になります、それでも家臣がこの準備を怠っていた場合、降格された事例もあるとのこと。英雄の気風の一つですが、ただ、市民がこの十分の一の量、お米三合をビジネスバックやハンドバックと通学鞄に常備していたならば、今回の震災、最初の二日間ほどならば避難所の常備非常食とともに食事に対応出来たでしょう。

 清正公さんとして親しまれる郷土の英雄、腰兵糧というその習慣をこれから防災の視点から再評価し、再開してみるのもどうでしょうか。とはいえ、現代日本、米三升常時携行はかなり現実的ではありません、当方は基本小型水筒をビジネスバックかカメラバックに常備し、可能な限り軍用口糧として開発されたSCHO-KA-KOLAの缶入りチョコレートを非常用に携行していますが、全国員的な運動として加藤清正に因んだ米三合、三升は厳しいので密封パックに一合だけでも納め、お守り代わりに取り付ける、避難所に全員が一合を供出すれば一斗缶や鍋と薪でかなりの粥が炊けます、そんなことを思いました。

 気象庁の青木地震津波監視課長は本日午後の記者会見において、熊本地震はこのまま収まるという事ではない、として改めて警戒を促しました。これは、本震以降続いた大きな余震は大きく減少傾向にあり、当初は警戒が必要な期間を一週間としていたものの本震が最初の震度七の地震に遅れて発生、その後の余震は特にここ数十時間の減少が顕著であることから、一部でこのまま終息するのではないかという見方に対し、改めて警戒を促したかたち。

 21日に入り震度四以上の地震が再度発生しました、0516時頃、大分県で発生しマグニチュードは3.5ですが別府市で震度四を観測しました、実は昨日20日に発生した震度四以上の地震は一回のみでして、1427時に大分県で発生したマグニチュード4.0の一回のみです、一方、言い換えれば大分県中部を震源とする震度四の地震が増加している事を意味しまして、熊本県を震源とする震度四以上の地震は19日2047時に発生した震度五弱の地震以降、発生していません。

 熊本地震は土砂災害誘発という次の段階に入りました。元々、降雨の際に土砂災害が起きやすい地形です、こういいますのも火山性土壌が原因でして、阿蘇山や加久藤火山と姶良火山は縄文時代以降ここ数万年大きな噴火を引き起こしていませんが、火山爆発指数8の大規模噴火を引き起こし100m規模の火山性堆積物が幾重にも積み重なり形成されている九州の地形が要因となっているもので、地表全域を覆っている火山性土壌は、表層部に地震による亀裂が入れば、土砂災害が通常の豪雨よりも小規模な降雨で誘発されるというかたちです。

 宇城市全域に避難勧告、人口59000名の都市ですので、市内の全域であっても対象が24400名ということは中心部の人口密集地域は除外されるという事でしょうが、それでも市の人口の半数近くに当たる多数を対象とした避難勧告です、重要なのは宇城市は隣接する八代市と並びこの100時間だけでも震度六強の地震に繰り返し襲われた地域であり水害に際しては上層階への退避が屋内に半壊し立ち入られない事で事実上上層階避難をできない事例が相当予想できる、というもの。

 南阿蘇地域の捜索は広島海田市の第13旅団が対応しているとの事ですが、降雨による二次被害防止の観点から現在土砂災害警戒が解除されるまで、自衛隊、警察、消防による捜索活動を中止しているとの事です。実は自衛隊では東日本大震災を受け、原子力災害や火山災害へ対応するCBRN対応遠隔操縦作業車両システムが開発中でした。無人中継装置を自走進出させることで20km程度離隔し安全な地域から遠隔操作により、捜索や障害除去等を行う事が可能で、完成していれば豪雨災害に際しても、南阿蘇村から離れた熊本空港に隣接する高遊原分屯地付近からの遠隔操作も可能で、今回、間に合わなかった装備といえるでしょう。

 九州新幹線に関して新しい情報です、23日土曜日にも博多と熊本間の試験走行を開始するとの事で、問題が無ければ今月中にも博多と熊本の運転再開が可能となるかもしれません、一方、八代駅付近での亀裂などが報じられている事からこの地域の補修工事を行わなければ熊本以南の路線復旧へ時間がかかる事を意味します、南の鹿児島中央付近では既に新水俣までの区間を運転再開していますので、八代市付近での復旧が終われば、新大阪と鹿児島中央間が新幹線により結ばれる事となります。ただ、新幹線とは新しい幹線を意味する輸送網ですので旧幹線に当たる鹿児島本線がJRから切り離されている状況、これが代替運行を大きく阻害しているといえるでしょう。

 鹿児島本線、熊本八代間で本日中に全線再開の見込み、とのこと。このまま旧鹿児島本線で第三セクターとなった肥薩オレンジ鉄道へ乗り入れれば鹿児島中央まで直通運転が可能となります、過去に東海道本線が浜松付近で不通となった際に遠州鉄道に乗り入れ浜名湖北方を迂回した事例がありますので、元々鹿児島本線であった部分へ乗り入れられない事は無いと思うのですが、実行すれば九州新幹線代替経路として、九州新幹線開通以前の経路、博多を熊本経由で鹿児島に至る経路を再開可能です、現時点では肥薩線が熊本県の八代と鹿児島県の吉松で不通となっており、鹿児島へJRだけで直通する事は出来ません。

 東九州自動車道速見インターチェンジ日出ジャンクション間上下線、大分自動車道の日出ジャンクション別府インターチェンジ間上下線の災害復旧工事完了と通行止め解除、これにより日向灘方面を通った九州の南北高速道路交通網が漸く復旧することとなります、湯布院地区での通行止めにより現在も大分県熊本県間の高速道路交通は迂回が必要となっていますが、九州北部の大分での高速道路不通が大きな影響を及ぼしていましたので、これは朗報といえる。

 高速道路、復旧開通区間に大分自動車道速見インターチェンジ別府インターチェンジ間が本日21日に加わりました、明日22日には熊本県益城町を走るグリーンロード南阿蘇も復旧するとの事。加えて来週前半にも熊本市と鹿児島市を結び途絶している九州自動車道八代インターチェンジ嘉島ジャンクション間の4kmについて、復旧が完了する、とのこと。震度五強規模の地震がこの地域ではようやく沈静化している事から、復旧工事が進んだといえるかもしれません。

 交通の再開、福岡と熊本の直通高速バスの運行再開です、高速道路が完全に復旧していない為、一般道を迂回し五時間程度を要するとの事で、通常ダイヤでは二時間半ほどで運行されているとのことですから実に二倍の時間を要している事となりますが、それでも乗り換えなしで直通できる交通手段は貴重です、JR九州は博多と熊本の間の九州新幹線の運行再開に相当時間が要するとしており、鹿児島本線も間引き運行となっており、高速バス運行再開は朗報といえるでしょう。

 自衛隊の派遣状況ですが以下の通り。陸上自衛隊、西部方面隊は、第42普通科連隊(北熊本)、第43普通科連隊(都城)、第8特科連隊(北熊本)、第8戦車大隊(玖珠)、第8偵察隊(北熊本)、第8高射特科大隊(北熊本)、第8通信大隊(北熊本)、第8飛行隊(高遊原)、第8施設大隊(川内)、第8後方支援連隊(北熊本)、 第8特殊武器防護隊(北熊本)、第40普通科連隊(小倉)、第41普通科連隊(別府)、対馬警備隊(対馬)、第4特科連隊(久留米)、第4戦車大隊(玖珠)、第4飛行隊(目達原)、4後方支援連隊(福岡)、第5施設団(小郡)、西部方面普通科連隊(相浦)、西部方面特科隊(湯布院)、西部方面航空隊(高遊原 目達原)、西部方面通信群(健軍)、西部方面後方支援隊(目達原)、西部方面情報隊(健軍)、西部方面衛生隊(健軍)、第5地対艦ミサイル連隊(健軍) 健軍駐屯地業務隊(健軍など。

 北部方面隊は、北部方面航空隊(丘珠)、第11飛行隊(丘珠)、第5施設隊(帯広)。東北方面隊は第20普通科連隊(神町)、第21普通科連隊(秋田)、第44普通科連隊(福島)、第4地対艦ミサイル連隊(八戸)、第6飛行隊(神町)、東北方面航空隊(霞目)。東部方面隊は、第2普通科連隊(高田)、第13普通科連隊(松本)、第12ヘリコプター隊(相馬原)、第34普通科連隊(板妻)、 東部方面航空隊(立川)。中部方面隊からは第36普通科連隊(伊丹)、第3特科隊(姫路)、第3飛行隊(八尾)、第3後方支援隊(千僧)、第8普通科連隊(米子)、第17普通科連隊(山口)、第46普通科連隊(海田市)、第13飛行隊(防府)、中部方面航空隊(八尾)とのこと。直轄部隊は第1ヘリコプター団(木更津)、航空学校(明野)が出動中です。

 海上自衛隊の派遣部隊は、第1航空群(鹿屋)、第22航空群(大村)、第31航空群(岩国)、第111航空隊(岩国)、第211教育航空隊(鹿野)、第1護衛隊群(横須賀)、第3護衛隊群(舞鶴)、 佐世保造修補給所(佐世保)、第4護衛隊群(呉)、第1輸送隊(呉)、輸送艦「おおすみ」、輸送艦「しもきた」、護衛艦「ひゅうが」、護衛艦「いずも」、護衛艦「やまぎり」、護衛艦「あたご」、護衛艦「きりさめ」、多用途支援艦「あまくさ」、が派遣されています。

 航空自衛隊の派遣部隊は、第5航空団(新田原)、第8航空団(築城)、新田原救難隊(新田原)、芦屋救難隊(芦屋)、第1輸送航空隊(小牧)、第2輸送航空隊(入間)、第3輸送航空隊(芦屋)、西部航空警戒管制団(春日)、第2高射群(春日)、第3術科学校(芦屋)、西部航空施設隊(芦屋、新田原)、偵察航空隊(百里)、三沢ヘリコプター空輸隊(三沢)、春日ヘリコプター空輸隊(春日)、となっていまして、派遣規模は人員約22,000名で延べ約103,200名、航空機114機と延べ515機、艦艇は12隻で延べ81隻が派遣されているもよう。

 人命救助として行方不明者捜索を行うと共に、生活支援としまして給食支援を益城保健福祉センター、広安西小学校、美里町立中央小学校、帯山中学校、五福小学校、西山中学校、錦ヶ丘公園、城西小学校、江南中学校、西区役所 花園出張所、由布院小学校で実施中。入浴支援を宇城市役所、嘉嶋町役場、一の宮小学校、阿蘇中学校、阿蘇西小学校、阿蘇市農村環境改善センター、阿蘇小学校、大津町運動公園、光の森多目的広場、西原中学校、南阿蘇村役場長陽庁舎前、甲佐町グリーンセンター、益城保健福祉センター、益城総合運動公園、にて実施中、野外入浴セットを運用しています、時間についてはご確認ください。給水支援は熊本赤十字病院、熊本市役所、熊本泌尿器科病院、八反田団地、あやの第1クリニック、熊本医師会ヘルスケアセンター、悠心病院、福田病院、熊本大学付属病院、福島クリニック、南区役所、ながみねクリニック、桑原クリニック、湯布院B&G海洋センター、総合運動公園カントリーパーク、由布市役所 庄内庁舎、庄内ほのぼの温湯駐車場、南由布駅、由布院小学校、アドニスホーム、白心荘、トネリコの丘等で行われています。

北大路機関:はるな くらま
(本記事に掲載された災害情報は暫定的に収集した情報であり、最新情報は順次追記される)
(本記事引用時は記事は災害時の情報であることを留意し、掲載時の事実にのみ基づく速報情報であることを特に注意されたい)
(情報は適宜第二北大路機関により更新する)
第二北大路機関:http://harunakurama.blog10.fc2.com/
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする