北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

津波情報2012-08-31 22:10・・・フィリピンサマール島沖でマグニチュード7.9 太平洋沿

2012-08-31 22:19:52 | 防災・災害派遣

地震情報(遠地地震に関する情報)

地震情報(震源・震度に関する情報)
平成24年8月31日22時10分 気象庁発表
きょう31日21時48分ころ地震がありました。


震源地は、フィリピン付近(北緯10.9度、東経127.1度)で、地震
の規模(マグニチュード)は7.9と推定されます。
津波警報等(警報あるいは注意報)を発表中です。
太平洋の広域に津波発生の可能性があります。
震源は太平洋津波警報センター(PTWC)による。
詳しい震源の位置はフィリピン諸島です。
気象庁では31日22時5分に北西太平洋津波情報を発表しています。
情報第1号
http://www
.jma.go.jp/jp/quake/
平成二十四年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2012.09.01・02)
◆自衛隊関連行事
明日から明後日にかけ、海上自衛隊の一般公開などが行われますが、現在津波注意報が発令中です。
◆駐屯地祭・基地祭・航空祭
注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
◆北大路機関災害関連情報は第二北大路機関へ継続的に掲載いたします
http://harunakurama.blog10.fc2.com/
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ロシア海軍太平洋艦隊駆逐艦アドミラルパンテレーエフ 親善訪問中の舞鶴にて一般公開開催

2012-08-30 23:32:50 | 世界の艦艇

◆8500t大型駆逐艦のPower Shot G-12撮影速報

 本日、海上自衛隊舞鶴基地において同基地を親善訪問中のロシア海軍太平洋艦隊駆逐艦アドミラルパンテレーエフが一般公開されました。

Rimg_18_47 アドミラルパンテレーエフはウダロイⅠ型駆逐艦の最終艦で1991年に就役、対潜用SS-N-14誘導弾四連装発射器二基と対潜用Ka-27哨戒ヘリコプター二機を搭載する対潜駆逐艦で、米海軍のスプルーアンス級駆逐艦に対抗するもの、とされていました。満載排水量は8500t、しらね型の7200tよりも大きく、こんごう型の9500tに迫る大型艦です。手前からSA-N-9短射程対空誘導弾用垂直発射装置二基、100mm単装砲二基、巨大なSS-N-14対潜誘導弾四連装発射装置二基、そして艦橋上に並ぶ物凄い数の電装品、これがロシアの艦というものか。

Rimg_19_06 舞鶴基地に停泊するアドミラルパンテレーエフ、艦容はもとより艦番号の位置まで護衛艦とは全く異なる駆逐艦の威容を見上げます。入港を観たかったのですが、そう何度も行くことはできません。そこd、一般公開が今回は行われるという事でしたので、焦点を併せます、そういいますのも昨年はミサイル巡洋艦ワリャーグが舞鶴を親善訪問しましたが、一般公開は無く、今回は一般公開が行われることとなり何とかお仕事にひと区切りをつけ朝一に鉄路を北へ。

Rimg_1809 背負い式の艦砲二基を搭載し、対潜誘導弾を搭載したうえで対潜ヘリコプター運用を重視している、スプルーアンス級では無く、はるな型の延長上にあるような素朴な印象があったのですが、別物でした。ウダロイ級はウダロイⅠ級が1980年から12隻が建造され現在9隻が現役、ウダロイⅡ型は一隻のみ建造、運用されています。ソ連崩壊後には、最新のウダロイⅠ型駆逐艦12隻と、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦17隻が長期的に残る、とみられていたのですが、ウダロイ級は各型9隻、蒸気タービン方式のソブレメンヌイ級は7隻となってしまいました。

Rimg_1811 対潜兵装と艦砲で城郭を構成すればこんな天守閣となるのでは、そんな一隻花火大会対応艦のウダロイ級で一際目立つのは艦橋基部に四連装発射器二基が搭載される巨大なSS-N-14サイレックス発射器で、これは射程50kmの亜音速魚雷運搬無人機、プログラム誘導のほかヘリコプターからの誘導も可能なもので、海上自衛隊が多用する魚雷をロケットにより投射するアスロックを更に進めたもの。このほか、533mm魚雷発射管にRBU-6000十二連装対潜ロケット発射器を搭載し、潜水艦に備えています。

Rimg_1820 533mm四連装魚雷発射管。一般公開されている上甲板、一礼して乗艦するといきなり巨大な魚雷が待ち構えています。大きいのも当然というべきでしょう、護衛艦では324mm短魚雷三連装発射管を舷側へ搭載するのですが、ロシア艦では533mmを搭載します。射程8km雷速41ノットのUMGT-1を搭載するのですが、ロシア海軍はTEST-96航跡追尾魚雷などを開発しており、対水上戦闘にも用いることが出来るようです。こんな大きなものを搭載するのか、正直な驚きでしたね。

Rimg_1837 軍艦は国家の延長、その上でウダロイ級は抑止力を発揮するにうってつけの一隻なのですが、要目を見てみます。満載排水量8500t、全長163.5m、ガスタービン四基二軸推進、機関出力69100hp、速力29ノット、乗員249名、ソ連時代の艦とあって威容というのはかなり強い印象です。こういうのも、冒頭に記したように城郭のような武装の塊なのですから。軍艦にとり、同盟国以外においても親善訪問を行うことはプレゼンスを示すと共に友好関係を構築する、そういう意味で今回のような平日の一般公開も重要なのでしょう。

Rimg_1852 100mm59口径単装砲、有人砲で水冷砲身により16kgの砲弾を毎分60発の射撃が可能です。射程は15km、マウント重量は40tあるのですが、実物を見ますとそこまで大きくなく、しらね型や、はるな型の5インチ砲背負式配置とは大分印象が異なりました。もっとも、乾舷が高い、という事もあるのかもしれませんが。このほか、対艦ミサイルに備え給弾装置を艦内に収めたコンパクトな30mmCIWSが四基搭載です。そしてこの写真ですが、床が黒っぽいのはコールタールを塗っているのか、服が汚れる危険があり、ロシア艦の脅威でした。

Rimg_1888 Ka-27ヘリコプター、機内は一般公開されており、対潜器材が搭載されず捜索レーダーとホイストのみ装備されていましたので救難型の模様、機体は一見大きく見えるのですが機内はUH-60と比べるとかなり狭い印象、天井も低かった。驚いたのはコパイロット席の位置に操縦桿が無く、レーダーコンソールが配置されていた事です。着艦拘束装置等は無く、網を甲板に轢いて着艦するという事で、搭乗員の技量が求められます。こののち、コックピットに入ることが出来、束の間のパイロット気分です。

Rimg_1887 格納庫はスロープ式で機体は艦内に搭載、するのですが、それにしても格納庫が小さかった。ヘリコプター二機搭載、ウダロイ級はソ連駆逐艦として初めて複数のヘリコプターを搭載しました。駆逐艦として、という記載ですが、クレスタ級巡洋艦やカーラ級巡洋艦は一機搭載、三機搭載のキーロフ級原子力ミサイル巡洋艦就役はウダロイ級就役と同年就役ですから、モスクワ級ヘリコプター巡洋艦とキエフ級航空巡洋艦を除けばソ連初の複数機搭載、というところ。

Rimg_1913 兎に角重武装、ゴジラにも対抗できそうなほど火力の塊でした。ロシア海軍は、ウダロイⅡ型として、本型のSS-N-14を対艦攻撃用のSS-N-22サンバーン超音速艦対艦ミサイルへ改めたものを建造しました、が、量産開始前に冷戦が終わってしまいました。今後ロシア海軍はステルス性を重視した満載排水量4500tのアドミラルゴルシコフ級フリゲイト、空母と同じ名前のフリゲイトへと転換するようです。来年から就役開始が見込まれ、20隻程度量産される、ようなのですが、この勇ましい艦容も今後減ってゆくのでしょうか。

Rimg_1931 一通り艦上の一般公開を見学し終え、基地を出ました。北吸桟橋なのですが、一緒に入港した補給艦ボリスブトマは埠頭の途中に立ち入り禁止の表示があり、断念しました。せめて艦尾だけでも、と撮ろうとすると、なんと艦上から警備犬二匹が見下ろしているのが見えました。ワンコ搭載艦、初めて見ました。埠頭には、みょうこう、しらね、そしてホストシップみねゆき、が停泊していたのですが、みねゆき、は奥に停泊しておりこちらも立ち入り禁止でした。面白いのは立ち入り禁止の表示が日本語とロシア語で書かれていた事。写真は奥に練習艦から護衛艦に復帰した護衛艦あさぎり、が奥に見えます。

Rimg_1940 前島埠頭から眺めたアドミラルパンテレーエフ、しらね、みょうこう。今回の親善訪問は、太平洋艦隊艦艇団司令ソボカイセルゲイペトローヴィッチ大佐が指揮を執り、アドミラルパンテレーエフ艦長のポドコパイロピョートルアレクサンドロヴィッチ大佐以下が寄港、我が国からは第14護衛隊司令桑野弘道1大佐、護衛艦みねゆき艦長鈴木拓哉2佐がホストシップとして参加しています。一般公開は本日の身なのですが、帰国行事が土曜日に行われ、0900時に舞鶴を出港するとのこと。お時間がある方は出港を見に行かれてはどうでしょうか。

Rimg_1948 やはりロシア艦は違うなあ、と思いつつ、何か違和感が、少し考えてみますと、そう、天気です。前島埠頭から東舞鶴駅まで徒歩25分ほど、アーケード街までも10分以上かかるのですが、明らかに舞鶴基地で青空の下ロシア艦を撮影していた時と比べますと、この写真はかなり空が灰色になっているのがみえるのですが、見えないものも。何が見えないのか、と言われれば背景の山が見えなくなっている、今話題のゲリラ豪雨がベールのように迫ってきているのです。そして何か違う印象、そう、一つ上の写真、しらね、みょうこう、離れているようにみえませんかね。

Rimg_1970 しらね出港!、おお、これが同型艦くらま、なら特集記事が組まれるほどのもの、運よく出港を見ることが出来ました。が、明らかにゲリラ豪雨勢力も接近中、西舞鶴市街地と東舞鶴駅の方は既に降っている模様、勇壮な護衛艦しらね出港を撮影しつつ、一瞬考えたのち最寄りの新日本海フェリーターミナルへ一時雨宿り、その後雷雨と叩きつける雨が襲ってきました。一時間ほど雨宿りをしたのちに、基地から市街地へ上陸したロシアの水兵さんと共に駅の方へ向かい、昼食とロシアさんに釣られてこちらもビールを注文したのち、東舞鶴から帰路につきました。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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巨大地震“南海トラフ地震”への備えを考える⑮ 間に合うか?AAV-7&CBRN遠隔作業システム

2012-08-29 23:03:57 | 防災・災害派遣

◆東日本大震災には間に合わなかった装備だが

 あの装備が間に合っていたのならば、というのは歴史上のIFであり、禁忌なのではあるのですが、次に間に合うのかという事は重要なことです。

Nimg_0713 一部報道によれば防衛省は来年度予算概算要求へ水陸両用強襲車AAV-7四両の取得へ調査費を含め25億円を盛り込むとのことです。89式装甲戦闘車以来久々の装軌式装甲車となるAAV-7は水陸両用型で、西部方面普通科連隊への装備、もしくは第15旅団への装備が考えられます。戦闘重量23.9t、全長7.943m、全幅3.27mの車両は履帯とウォータージェットにより海上を14km/hで機動でき、陸上でも70km/hの速度で機動することが可能というもの。

Nimg_2662 これまでの陸上自衛隊装甲車で水上浮航能力を備えた装備では73式装甲車がありましたが、河川の渡河に際して車体が浮き、履帯の駆動により前進できるというものであり、転輪にカバーを装着し車体前部に波切板を装着することで使用できるものでしたから、余り波浪の大きな場所、例えば海上に進出した場合には車体上部に波が載ってしまい水没する可能性がありましたし、陸上自衛隊が離島防衛を行うに際しては絶対に必要な装備と言えました。AAV-7,この装備は同時に津波災害に際しての沿岸部の救助に資するもの、次の災害までに何とか多数を揃えてほしい。

Nimg_4953 CBRN対応遠隔操縦システム、今年度予算から盛り込まれた遠隔操作型の施設作業装置で、核汚染、放射性降下物下の汚染、化学兵器や生物兵器による汚染状況に際して遠隔操作により施設作業などを行う装備です。福島第一原発事故に際しては、原子炉電源喪失に伴う炉心温度上昇事案に対する冷却水供給作業が津波漂流物により阻まれ、一時は各戦場での戦闘を重視し設計された74式戦車の投入が準備され、福島第一原発近縁まで進出しました。

Nimg_0305 開発が始まったCBRN対応遠隔操縦システムは、装軌式施設作業車と情報取集車両を遠隔操作方式により完成し、人員が立ち入ることのできない地域での作業を行うもので、操作要員は通信中継装置などの支援を受け2km程度距離を置いて作業を行うとのこと。原子力事故の広域汚染を考えればもう少し距離が欲しいところでもあるのですが、実際の装備の開発に先んじるものとして技術研究本部では構成要素の研究を2015年度までに完了する目的とのこと。

Nimg_4353 陸上自衛隊では既に施設作業車について、一部プログラム作業の能力が付与されているのですが、これをさらに技術を進めて遠隔作業を行うとのことで、この装備は同時に現在危険といわれている第一線での地雷除去などの障害処理作業を無人化することにも寄与するものでしょう。CBRN対応遠隔操縦システム、というように呼称に施設という言葉が盛り込まれていませんので中央特殊武器防護隊に装備するという限定配備に留まるのかもしれませんが、間に合ってほしい、と切に思います。

Nimg_6297 自衛隊はどういった任務に対応するのか、これは政治が定める命題であるのですけれども、政治において一部の論題が禁忌とされるなど危機管理が蔑ろとされた結果に突如事案に際して突発的に自衛隊へ任務が求められる、というこれまでの前例で積み重ねられた負の遺産として残るのですが、結果として不十分な装備で臨むこととなり、加えて訓練体系も省かれ危機状況下での現地で構築するという結果が、例えば福島第一原発事故への対応の結果を生みました。

Nimg_2524 もちろん、任務は無限、と考えるものではありません。これは政治の統制からの逸脱にもつながるものであり、予算要求の正統性から考えた場合においても任務は政治が責任を以て確定するべきだからです。ただ、考えなければならない危機への無防備状態へ、政治に提起する期間、もしくは機能、という己は無ければならなかったのだろうともう次第です。結果論として、東日本大震災と福島第一原発事故には間に合わなかった装備ではあるのですが、次の南海トラフ地震へは間に合ってほしい、そう考える次第です。

北大路機関:はるな

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竹島問題と日韓漁業協定暫定水域 我が国離島不法占拠事案は双方で継続中

2012-08-28 23:02:51 | 国際・政治

◆日本と暫定水域、領土問題無しの韓国主張は矛盾

 竹島は韓国のもので領土問題は存在しない、と挑発している割には日韓漁業協定で暫定水域を設定し、竹島の位置づけを未だに交渉しているのは何故なんですかねえ、というのが本日のお題です。

Kimg_7969_1 現在、日韓漁業境界線は竹島が無いものとして鬱陵島と隠岐諸島との間を暫定水域として我が国も漁業権を有しており、これは日韓が合意したものです。余り込み入ったことは掲載しないつもりでしたが、天皇謝罪要求発言で急激に日韓関係が悪化する中、一つ知識として入れておいてほしい、という主旨での記事。竹島問題、韓国側は領土問題は存在しない、という外交上の発言を行っていますが、実はその韓国側が竹島の領域としての位置づけで我が国と交渉を続けていることは今回の緊張に際し、あまり報じられていません。

Kimg_8130_1 日韓漁業協定暫定水域が交渉され、暫定水域が設定されていることを以て竹島問題は韓国も当事者として交渉に応じている、これ、もう少し報道されるべきでしょう。そしてその結果、排他的経済水域とは別に日韓漁業暫定水域が確定され、竹島周辺12浬を除き鬱陵島と隠岐諸島の間の中間線付近の海域が二冠共に漁業を行うことが出来る交渉が為されたためです。詳しくは後述しますが、排他的経済水域の境界線について、韓国は竹島が韓国領の場合と日本領である場合、無かった場合を含めた日本との外交交渉に応じているのです。自国領というならば交渉に応じる意味と妥協する意味がありません。

Kimg_8180_1 1982年に採択され1996年に発効した国連海洋法条約は、200浬までの排他的経済水域を領域の延長として認め、併せて二か国間を隔てる海洋が双方の200浬を併せた400浬を下回る場合には、等距離中間線、つまり真ん中を境界線とすることが定められました。韓国が強硬に訴えるならば、この時点で竹島と隠岐諸島との間に等距離中間線を引く宣言を行うことも出来たのですが、歴史的経緯もあり、漁業協定の新協定へ交渉が行われるようになったのです。

Kimg_8294_1 この暫定水域画定への交渉について、日本海の日韓排他的経済水域の境界線では、竹島を我が国領域とした場合は竹島と韓国鬱陵島の中間に引かれるものとなり、一方竹島を韓国領とした場合は隠岐諸島と竹島の間に中間線が画定されます。日韓漁業協定そのものは後者を念頭に1965年に日韓国交正常化が交渉された際に、それに先立つ1952年の李承晩大統領による一方的竹島の占拠を日本側が解決を求めた場合、国交正常化と対韓賠償の交渉がとん挫するため、棚上げの方便として結ばれたものです。

Kimg_8389_1 もちろん、日韓漁業暫定水域は境界線の位置が日本寄り過ぎて我が国に不利であるとの指摘や、漁業反故に関する観念の相違から韓国側による乱獲を原因とする水産資源の枯渇という問題もあるのですが、粘り強く交渉を行い、特に暫定水域の境界線を我が国に寄せたものを提示することで韓国の関心を引き、交渉に引き込んだという外交手法は我が国外務省の一定の成果というべきでしょう。実際のところ、憲法上で軍事力を国際紛争の解決手段として行使しない自戒を有している我が国外務省は、それだけ責任感を重く考え、領土問題では譲歩しないのですよね。

Kimg_8460 外交関係とは国家関係の履行の連続により慣習が生まれ、これが国際慣習法として定着してゆくのですが、国家の行動がどのようにつみ重ねられたのか、という事は実のところかなり重要な意味を持ちます。日本と韓国の間に暫定水域が設けられ、この境界線の画定へ韓国が協議に応じた、ということは必然的に竹島の領有権について紛争がある、ということを韓国が繰り返された日韓漁業兼暫定水域交渉の席に就き、交渉を続けたことで行動として認めていることになるわけです。

Kimg_8607_1 竹島問題ですが1952年の李承晩大統領による一方的な領土割譲により竹島は韓国に占拠されました。当時は警察予備隊が保安隊となった時代、海上保安庁もまだ能力が充分ではなく、なによりも日韓国交正常化が1965年まで待たねばなりませんので、領土問題を討議する、もしくは必要な自衛権の行使を行うことが出来ませんでした。実は領域の占拠の期間が長いため、国際法でいうところの時効というものが成り立つのではないか、と思ったことはあったのですが、十年近く前大学のシンポジウムで当時の境港市長さんから係争中という構図をお教えいただき、理解することが出来ました。

Kimg_8684_1 政府は韓国からの挑発行為が繰り返され、半世紀ぶりに国際司法裁判所へ提訴することとしました。領土の実効支配が長く及んでいるのだから、そもそも韓国が同意しなければ国際司法裁判所での手続きに入れないと考える一方で、仮に入ったとして実効支配の期間が長いことから、勧告的意見などでは我が国の主張が通らないのではないか、という危惧を持たれる方はいるかもしれませんが、排他的経済水域で暫定水域を設定し漁業権交渉を行っている一点からも、主権行使ではなく不法占拠が続けられているのみ、という事がわかるでしょう。

Kimg_9009 ただ、一部の識者の方が言われるような武力での竹島奪還、という手法は国際法の観点からさけるべきです。海上自衛隊の能力を考えれば封鎖は簡単ですし、隠岐諸島に地対艦ミサイル連隊を配置すれば160km先の竹島周辺を制圧することは容易、韓国海軍主力の規模から恐らく一両日中に行動中の艦艇を全て無力化することが自衛隊にはできるのですが、国際法上如何なる逸脱も許されない規範とされる国連憲章二条四項の武力行使禁止原則に差し障りますし、この例外とされる憲章五一条の自衛権行使としても、即座の行為として自衛権を行使するには占拠されてより60年は時間がかかりすぎています。ここは外交的な手段を着実に続けるべきでしかありません。

Kimg_9263 オリンピック会場を含め韓国はイラク最前線から八百屋の軒先まで世界中で竹島の韓国僚友の正当性を訴えているのだが、世界で唯一ハーグの国際司法裁判所でだけは訴えないのは何故か、こんな話があるそうですが、日韓間で竹島問題は最大の外交摩擦要素であることは変わりありません。友好関係を隣国として結ぶためにも、やはり決めるべきところは決めなければなりません。何時間でも暫定水域で居ることはできませんし、一方的にどちらかが排他的経済水域の画定宣言を行えば最悪の結果にもつながりかねません。双方の主張は第三者からの意見、常設国際司法裁判所の時代から正統性を有するハーグにて求めるべきと考えるのですがどうでしょうか。

北大路機関:はるな

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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑧ 第11特科隊の観閲行進

2012-08-27 23:21:44 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
◆75式自走榴弾砲、日本らしい国産の特科火砲
 第11旅団記念行事真駒内駐屯地祭2011、今回は75式自走榴弾砲を運用する第11特科隊です。
Mimg_1927 第11特科隊は、隊本部、本部管理中隊、第1中隊、第2中隊、第3中隊で指揮官は和田信義1佐。ちなみに隊長は昨年11月30日に中村健蔵1佐へ交代しています。元第11特科連隊を第11師団の旅団改編と共に特科大隊を基幹とする編成を特科中隊基幹の編成へ置き換えられています。能力的には縮小改編ではなくコンパクト化が主眼で能力は下げられていない、といわれているのですが、火砲の数は減ったのですね。
Mimg_1936 陸上自衛隊特科部隊は対砲兵戦能力と火力支援を任務としています。非常に高い対砲兵戦能力を有しています。実は五年ほど前に調べ驚いたのですが対砲兵戦に重要な対砲レーダ装置の普及度合いがかなり高いのです。対砲レーダ装置JTPS-P-16は各特科隊と特科連隊情報中隊に装備されているのですが、距離40km以内の評定幅50°の目標を同時に18目標まで追尾できるとのこと。
Mimg_1944 欧州最新の対砲レーダ装置COBRAは、探知距離40km、評定幅固定時90°、120秒間での最大40目標探知、ということで効力射の間隔を考えればP-18の同時18はかなり優秀という事がわかります。そして配備数なのですが、COBRAはイギリスフランスドイツ共同開発で三カ国合計が29セット、とのこと。自衛隊の普及数は第15旅団以外に全て特科隊か特科連隊がいますので富士学校を加え少なくとも15基、方面特科部隊には配備されているのでしょうか、自衛隊だけで少なくとも15基はかなりの数と言えるでしょう。
Mimg_1949 75式自走榴弾砲。この装備が真駒内駐屯地祭で一番見たかった装備、第7師団は全て新型の99式自走榴弾砲に切り替えられていますからね。自衛隊らしい火砲と考えています。乗員6名、戦闘受領25.3t、全長7.79m、車体長6.64m、全幅2.98m、全高2.55m、最高速度47km/h、航続距離300km、燃料搭載量650?、搭載エンジン三菱6ZF空冷ディーゼル、出力450hp、懸架装置トーションバー方式、変速機全身四段後進一段というもの。
Mimg_1962 主砲は155mm榴弾砲で砲身長は30口径砲、30口径というのは7.62mmではなく火砲の場合は155mm×30が30口径砲ということ。陸上自衛隊の主力火砲であるFH-70は39口径、最新型の99式自走榴弾砲は52口径なのですが、75式自走榴弾砲が開発された時代は22口径等が主力の時代、物凄い長砲身砲で射程も大きかったのです。搭載砲弾は28発、このほか12.7mm重機関銃弾が定数1000とのこと。
Mimg_1968 陸上自衛隊の仮想敵はソ連、北海道へ上陸され、港湾が奪取されたならば輸送船によりものすごい数の戦車と火砲が揚陸させられ、陸上自衛隊は膨大なソ連機甲戦力を対象として厳しい戦いが想定されました。特に火砲はどう頑張ろうと劣勢で、地形上制約があるのですから火砲の数で対抗することは出来ず、少数精鋭による出血強要という戦闘を展開せねばなりません。
Mimg_1975 対砲兵戦とは、単純に射程で決まるものではありません。例えば湾岸戦争では最大射程30km以上を誇るイラク軍砲兵が数でも優勢を維持しつつも、米軍砲兵隊の位置を評定することが出来ず、闇雲に砲撃を繰り返し、砲弾から対砲レーダにより市場が黒され、米軍が運用する射程24kmのM-109A6自走榴弾砲が確実に屠っていきました。
Mimg_1983 75式自走榴弾砲は、この観点からとにかく一回の効力射を極限まで短縮し、一撃を加えて正確に目標を無力化しつつ、しかし反撃以前に陣地展開を行わなければなりません。実は陸上自衛隊の特科部隊の要求は厳しく1970年代の時点で富士学校では“一効力射3発20秒以内”、というとんでもない高い水準の性能が要求されていた、と聞きます。
Mimg_1986 日本製鋼所、技術研究本部と三菱重工は、この難題を前に155mm砲弾の自動装填装置を開発しました。これは回転式拳銃の回転式弾倉とよく似た、もしくは艦砲の装填装置とも共通性がある二つの弾庫に各9発で合計18発の砲弾が内蔵されており、砲弾は自動装填されることで射撃の迅速化を実現したのです。信管は砲塔左右に56発分が配置され、装薬は砲塔に10発と車体に18発が搭載されているもよう。
Mimg_1991 砲は仰角俯角で-5°から+65°まで可変式、砲塔は全周式となっていて、毎秒5°と30秒間で全周を旋回可能となっています。装填と砲角度装填位置自動復帰装置が搭載され、全自動モードでの射撃を行えば毎分6発が射撃できる。155mm砲弾の最大射程は19kmで、現在でこそ火砲の射程は20km以上が当然であり30km以上の射程、一部には特殊砲弾で40kmを超えるものもあるのですが、1975年では19kmというものは、師団全般支援火力であるM-1榴弾砲の14.9kmを超えており、十分な近代化といえました。
Mimg_1997 運用方法は、サッと出てバカスカ撃ちスバしっこく移動する。中隊か戦砲隊単位で運用され、中隊長の決心までひたすら掩砲所において待機し、命令一下迅速に射撃陣地へ進出、一個中隊は5両とのことですが、情報中隊の対砲レーダ装置の目標情報、もしくは攻撃準備射撃や突撃破砕射撃、もしくは攪乱射撃の状況において、射撃陣地から各車3発から状況に応じ最大9発程度を射撃、15から45発の砲弾を送り込んだのち、陣地を急速転換し予め準備した予備陣地へ展開、必要ならば射撃を行い即応弾18発を射撃、そのご掩砲所に戻り自動装填装置へ一発一発再装填を行う。これならば、損害を最小限として与えられる打撃も大きい。
Mimg_2014 75式155mm榴弾は、信管付砲弾全長700mm、弾薬重量は6.8kgのTNTを加えて全体重量43.6kg、初速は9号装薬使用時で720m/s、信管は瞬発と遅発信管であるM-51やM-577にM-500やM-520が使用されるほか、国産のVT信管である71式3型信管を使用するというもの。威力は短径30m長径45mへの有効弾片の散布、とのこと。
Mimg_2019 陸上自衛隊の特科火砲は師団と旅団配備のものは155mm榴弾砲に統一されているのですが、75式開発以前は師団全般支援火力として特科第五大隊に155mm榴弾砲を装備し、直接支援火力として普通科連隊の支援に充てる火砲には105mm榴弾砲が採用されていました。74式自走榴弾砲という105mm自走榴弾砲も開発されていたほど。しかし、1971年に陸上自衛隊は用途廃止となったM-24軽戦車にダミー人形を搭載し航空自衛隊航空医療実験隊の支援を受けつつ各種火砲による損害評定を実施、105mm砲は発射速度に優れるものの対機甲射撃には対処できない、という結論が出されたため、155mm砲へ統一するとの決定に至りました。
Mimg_2022 北部方面隊全ての師団特科連隊へ配備された75式自走榴弾砲は、現在逐次99式自走榴弾砲への更新が進められており、第11特科隊へも置き換えが今年度から始まっているようです。こうした実情はあるのですが、第11特科隊の方は、75式自走榴弾砲の方が手動が介在する余地があり、動くか動かないかという二元論となる最新型と異なり、故障しているが動く、という、いわば極限状態においても最低限の稼働は維持できる、それはこの75式の長所です、と愛着をこめてお教えいただきました。
北大路機関:はるな

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中部方面隊協同転地演習矢臼別にて8月27日~9月12日実施、第17普通科連隊展開

2012-08-26 21:51:31 | 防衛・安全保障

◆北部方面隊総合戦闘力演習参加

 陸上自衛隊によれば明日8月27日より9月17日にかけ、中部方面隊による協同転地演習を平成24年度実動演習として実施します。

Nimg_2043 中部方面隊による協同転地演習へは第13旅団より山口駐屯地の第17普通科連隊が展開、明日27日には北海道の矢臼別演習場へ展開するとのことで、すでに駐屯地を出発し北海道へ上陸しているところです。主として攻撃および防御戦闘を展開し来月17日に演習を完了、26日までに原隊へ戻るとのこと。

Img_1652 第13旅団による協同転地演習は今年7月26日に幹部学校長から中部方面総監へ着任した河村仁陸将が指揮を執り、第17普通科連隊のほか、第13偵察隊、第13飛行隊に加え戦車中隊なども参加、全体での規模は人員1200名、戦車3両を含む車両430両、更に中央即応集団第一ヘリコプター団からの支援を含め航空機5機が参加するようです。

Img_2617 第17普通科連隊は、北部方面隊により実施される人員9000名、戦車100両含む車両1000両と航空機20機が参加する北部方面戦闘力演習への参加を行い、同時に長距離機動訓練を実施し、方面隊を超えての機動運用への対応に備え各種必要な能力を練成することが今回の目標とされていました。

Img_6245 人員に対して広大な我が国領域を防護する必要上、部隊の機動運用は避けて通れない重要な課題であり、この平時からの準備は東日本大震災において最大限発揮され、当時では空前という規模であった部隊10万名派遣、延べ災害派遣人員1000万という実績を構築したことは記憶に新しいところ。

Simg_2048 北部方面戦闘力演習へは第2師団、第7師団、第5旅団、第11旅団、第1特科団、第1高射特科団、北部方面混成団といった北部方面隊の主要部隊が参加しますので、特に重装備を念頭に配置する北部方面隊との協同や長距離機動に関する能力については、次の有事へ備え充分練成してほしいところですね。

北大路機関:はるな

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ソマリア沖海賊対処任務第十三次派遣海賊対処行動部隊まきなみ・ゆうぎり編成!

2012-08-25 21:42:14 | 防衛・安全保障
◆第十三次派遣部隊は第二護衛隊、8月31日出港
 防衛省によればソマリア沖海賊対処任務派遣水上部隊として現在の部隊との交代部隊へ第十三次派遣海賊対処行動水上部隊を編成し派遣することとなりました。
Pimg_8346 第十三次派遣海賊対処行動水上部隊は大湊基地の第二護衛隊を基幹として編成され。指揮官として第二護衛隊司令丸澤伸二1佐以下司令部要員30名が派遣、護衛艦として護衛艦まきなみ、艦長大鋸寿宣2佐以下乗員180名、護衛艦ゆうぎり、艦長加治勇2佐以下乗員190名が派遣され、隊員400名に加え海上保安官8名がこれまでと同じように乗艦するとのこと。
Pimg_7899 今回の派遣ですが、たかなみ型護衛艦まきなみ、は乗員定員が176名ですので乗員180名という数は完全充足されている、という事がわかるのですが、護衛艦ゆうぎり、は、あさぎり型護衛艦、乗艦するのは180名、となっています。しかし、あさぎり型護衛艦の定員は220名であり、これは定員割れの状態で派遣される、という事なのでしょうか。
Pimg_8356 我が国のソマリア沖海賊対処任務は、開始当時危惧されたように収束の見通しは立たず、沿岸国の開場法執行機関要請に我が国も尽力しているのですが出口が見えません。派遣任務開始以来途切れることなく艦艇として護衛艦二隻を展開させ、船団護衛任務についています。各国海軍は主として哨戒任務に当たり海賊を捜索する方式を採るのに対し、我が国は護衛艦を船団に直接護衛とする方式を採っていることから、護衛は確実に遂行され被害は出ていません。
Pimg_7754 一方で交代の護衛艦を展開中である時点では任務中と交代の護衛艦と併せて四隻が行動中という事になり、乗員の確保と稼働艦の確保への苦労はかなりのものと予測できます。特に哨戒行動を行う各国海軍は適宜交代へ撤収することが出来るのですが、船団護衛は常時二隻を張り付ける必要がることから、我が国の海上護衛への依存基盤が形成されていることであり、国際公序への責務を果たしていることにはつながる一方、負担をどう対処するのか、考えなければならないでしょう。
北大路機関:はるな

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ヘリコプター護衛艦くらま就役30周年記念一般公開⑦ 佐世保湾クルージング

2012-08-24 22:34:08 | 海上自衛隊 催事
◆青空目指す佐世保湾クルージング
 佐世保護衛艦くらま就役30周年特集、第一日目の見学と第二日目の見学に夜景と洋上などを加え、今回で第七回目となりました。
Kuramaimg_8374 第七回目は佐世保港港内遊覧船、湾内遊覧船からの情景です。湾内遊覧船とは瀬川汽船の運航するもので、正式には“佐世保湾クルージング”といいます。佐世保は九十九島など風光明媚な情景に囲まれていますが、こちらは佐世保湾のみを一周するもので、乗船は1300円、切符売り場にて購入します。
Kuramaimg_8400 海から見上げた護衛艦くらま。少し曇ってきていますね。実は長崎豪雨、佐世保に来る途中に何度か大村線が豪雨で運休になった時がありまして、一度などはまだ降っていないにもかかわらず長崎市の方向が真っ暗になっている、という事があり、事実本数の少ない快速列車と普通列車でえり好みせず、来た列車が普通でも乗っておいたら、そのあとの列車が全部豪雨で運休、という事も。
Kuramaimg_8536 ニイタカヤマノボレの電信を発した電波塔。旧帝国海軍の通信塔として1922年に完成した電波塔です。針尾の小鯛、というところにあります。三本の塔は形状が非常に特徴的なので、かなり遠くからでも確認できるのですが、ここからあの歴史的な真珠湾攻撃の命令が発信された、とは、感慨深いものがありますね。
Kuramaimg_8545 掃海艇たかしま。ひらしま型掃海艇三番艇です。遊覧船はウォータージェットでかなり早いという印象があるのですが、掃海艇、速力は14ノットと聞いているのですけれども、海上で見上げますとかなり速く感じます。基準排水量570t、満載排水量650tと一口に言うのですがかなり大きく見え、全長57mは見上げれば迫力が凄い。
Kuramaimg_8552 ひらしま型掃海艇は、掃海器具を前の型がフランス製を搭載していたのに対し再び国産のものに戻しました。前の掃海艇すがしま型が湾岸戦争を契機とする機雷掃海実任務に際し、我が国は第二次大戦後多数の機雷を実処分した経験があったのですけれども、湾岸戦争後の掃海任務での一つの契機となった事例がありました。
Kuramaimg_8563 海上自衛隊、その豊富な経験は必ずしも世界の最新型機雷に対し対応できるものではなく、機雷の技術進歩、また厳しい潮流や視界不良に際し海外製掃海器具が対応できていたことに注目し、フランス製PAP104を導入していたのです。ようやく国産のS-10掃海器具が世界のレベルにたしたことで国産品を搭載したというもの。
Kuramaimg_8576 S-10は、前駆式機雷掃討用無人潜水艇で、上部構造物直後の左舷側に配置、S-10そのものに機雷捜索用ソナーを搭載しており、前方を警戒しつつ機雷を掃討できるもの。対機雷戦情報処理装置や掃海艇自動操舵装置とも連動しています。音響掃海器具や磁気掃海器具は、PAP104では大型となったので掃海艇に搭載しなかったのだけれど、ひらしま型からは小型のものを常時搭載するようになったとのこと。
Kuramaimg_8596 そして戻ってきたところ。護衛艦くらま。天候も回復してきています。他の場所は?と思われるかもしれません、いや、他にも急色と見どころがあったのだけれども、地方隊桟橋やLCAC格納庫などは前回の洋上からの撮影を紹介した特集記事で紹介してしまいましたからね、やはり重複は避けておかなければなりません。
Kuramaimg_8607 輸送艇一号。軽車両及び人員70名を輸送する佐世保地方隊の輸送艇。前回は桟橋から撮影した様子を掲載しているのですが、洋上から撮影したものを紹介です。小型なので兵員70名は専用の待機室が無いため、乗員28名用の科員食堂にて上陸するまで待機するとのこと。かなり簡略化された両用戦艇ですが、数はもう少し必要だと思います、離島も多いのですから。
Kuramaimg_8615 青空と白い雲が迫力満点でしたので、広角にして撮影してみました。雄大な景色、というのはこういうことをいうのでしょうか。他方で、手前の白波、それなりの速度が出ていることがお分かりでしょうか、それでも先ほど掃海艇たかしま、は迫ってくるように見えたのですから、艦艇の持つ迫力、というもの、体感したのですよ。
Kuramaimg_8636 DDH144くらま。こちらも壁紙に重宝。先ほど少々お天気が悪かった情景を撮影したのが1213時だったのですけれども、この写真は1320時に撮影したもの。断然こちらの方がいい写真、雲が動いているときは、僅か一時間であっても、見える風景と言いますか、撮れる写真の迫力、というものは全然違ってくるものなのですね。
Kuramaimg_8665 DD103ゆうだち、DDH144くらま。遊覧船の速力も一定以上ありますから、このあたり、連写機能を使って撮影しています。Weblog北大路機関で、停泊中の護衛艦くらま、というのはこの際に撮影したものか、この前日に撮影した写真を使っているのです。理由はお気に入りの写真だた、ということ。
Kuramaimg_8684 多用途支援艦あまくさ。前回の夜景特集、少々順番が前後していた特集なのですが、この際には、あまくさ停泊位置の関係でどうしてもこちらがメインのように映っていました。地方隊に多用途哨戒艦が必要なのでは、この艦は災害派遣にも数が揃えば今まで以上に使えるのでは?、というのは、この艦違うところに停泊していれば、くらま写ったのになあ、と長いこと考えていた末に出たお話だったりします。
Kuramaimg_8693 そして米軍管理の立神桟橋に停泊している海上自衛隊艦艇。真横から見ようとしますと、このように海の上に出るか、倉島桟橋からしか見えないというもの、背景の高台にある住宅街からならば見えるか、と思い散策したことがあるのですが、どうも公道からは見えないという印象、この写真から行動のようなものも見えますので、ただ、もう少し歩いてみたいところですけれど。
Kuramaimg_8697 掃海艇たかしま、も入港準備を進めています。暑い一日、九州の日差しを退官する一日で張ったのですけれども、遊覧船はそれなりに速度を出すものですから、海風を目いっぱい浴びることが出来まして、なかなか快適でした。こののち、当方はJR九州の個性的な列車を撮影にこの日は転進した次第です。
北大路機関:はるな

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平成二十四年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2012.08.25・26・30)

2012-08-23 23:50:29 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 新護衛艦は、ふゆつき、無事進水式を終えた一報が入りましたが皆様はいかがお過ごしでしょうか、当方は新護衛艦ふゆつき、もいいけれども早く寒い冬にきてほしいところ。

Gimg_2742 そんな熱い今週末ですが、今週末は富士総合火力演習本番が行われます。その富士総合火力演習ですが、今年も陸上自衛隊HPからYOUTUBEにより実況が行われます。遠すぎて足を運べない方、抽選に漏れた方、存在を知らず入場券へ応募もしていなかった方、是非迫力を陸上自衛隊HPよりどうぞ、我が国の防衛を見直す契機となるでしょう。

Gimg_0922 外国艦船続々入港、昨年ミサイル巡洋艦ワリャーグが舞鶴を親善訪問しましたが、本年はウダロイ級対潜駆逐艦アドミラルパンテレーエフが舞鶴を訪問、30日木曜日には一般公開されます。背負い式100mm単装砲と大型ミサイルに二機のヘリコプターが特色の駆逐艦です。

Gimg_3079 シンガポール海軍のステルスフリゲイトフォーミダブルが現在横須賀に入港中、こちらは一般公開は行われないのですが海上自衛隊HPでは出港行事と出港予定時間が公開されていますので、平日ではありますが足を運ばれてみるのもいいやも、横須賀軍港めぐりからは見えるのでしょうか。

Gimg_6703 海上自衛隊HPによればこのほか、艦艇広報として奥尻島において一般公開が行われるようです。一般公開のみで体験航海は行われないという事か、実施する函館地方協力本部HPを見ますと、どうやら掃海艇が入港するようなのですけれども、艦名までは掲載されていませんでした。

Gimg_1207 下関馬関祭り、一般公開が下関あるかぽーとにおいて行われるとのことです。しかし、下関馬関祭りHPをみましても一般公開で何が公開されるのか定時がありませんし、海上自衛隊HPから地方協力本部へのリンクも張ってありません、交通船の体験乗船くらいは行われるのでしょうか、情報をお持ちの方はコメント欄などでご一報いただけるとありがたいところです。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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防衛産業、我が国防衛力を構成する重要要素の将来展望② 軍産複合体論理への反論

2012-08-22 22:40:22 | 防衛・安全保障
◆軍産複合体が高い装備品購入を強制、日本の話?
 問題点とはミクロとマクロがあり、最初にマクロ的な視野から考えてゆくこととします。防衛装備品の国産の問題点は、いくつかの要素から批判されていますが、分類をしてみましょう。
Img_1624 まず高い防衛装備品、時代遅れではないかという指摘、そしてこれは言い換えれば海外製の装備品の方が安いという批判に繋がり、同時に海外製の方が高性能、という批判へもつながるものでしょう。これらへの指摘は次回以降に置くとして、それでは、何故そういった装備品が調達されているのか、という命題に対し、軍産複合体、という仕組みがあるのだ、という論理からの批判がありました。つまり、これは産業と軍部と政治の癒着でわざと高い装備を交わされているのだ、という話でして、この話は学部に入りたての頃、民青の方が主張していました。もっとも、自衛隊を軍部と表現するのは大時代的だなあ、という事も置いておいて、違和感を感じたのは言うまでもありません。
Img_4990 軍産複合体、第一次背化大戦以前に成立した概念で“軍と政府と軍需産業の協力関係”を広義な意味とするのですが、広義な意味では、そもそも軍需産業が工場を造ったり軍の関係者と取引をしなければ竹槍以外は自力調達できないのだから協力関係があるのは当然だ、という指摘になりますし、軍隊と政府が協力とはいかなくとも独立していた場合は文民統制の観点から問題ではないのか、という指摘があるでしょう。つまり、軍産複合体がなく軍と政治と産業が完全に独立している世界というのは、軍が政治統制を離れて産業からも離れ独自の装備生産体系を構築し、政治の指図を受けないという形、戦時中の日本よりも極端な話しになってしまうのですから。
Img_4577a それならば軍産複合体とは本来どういう用途で用いられるのか、これは1961年1月17日にアイゼンハワー大統領が退任演説を行うに当たり、軍隊・政府・軍需産業の協力関係が肥大化しすぎ、国家の政策決定に際し、これら協力関係の総合利益が国家利益を超えて影響力を及ぼすため、民主国家としての在るべき政策決定プロセスが機能しなくなるのではないか、このような危惧に端を発しています。まあ、このあたり、戦争は兵器を生産する産業の支持を得るために政治が働いている、という一種の陰謀論的な印象もぬぐえないのではありますけれども、見てゆくと軍産複合体そのものをアイゼンハワー大統領は批判したのではありません。
Img_2231 つまり問題点は“軍産複合体”ではなく“軍産複合体の肥大化が及ぼす影響”であるわけです。肥大化するからこそ影響力が増す循環が成立し得るという事。いや軍隊の存在は絶対悪、兵器を捨ててみんなハッピー!、という論点を提示してくる方は絶対幸福平和主義者を含めいらっしゃることでしょうが、こういった方の議論を重ねますと、そもそも国家があるのが悪い、という無政府主義や、何故か毎度のアメリカ陰謀論、下手をすると宇宙人や神様まで挙げて反論が来ますので、不本意ながら軍隊や政府の存在を否定しての討議はこの場所ではできません。
Img_6725_1s 支持と政策の関係性、私事されるからこその政策があり、という視点は実のところ当然です。この仕組みの解明を試みた政治システム論の観点に立てば、デイヴィットイーストンが指摘した、支持者(支持)→政治システム(支持と政策の相互利益をもたらすブラックボックス)→政策決定(支持者への利益還元)、この循環という政治システム論や、政治システムの内容をより細かに分析したガブリエルアーモンドの理論と、結果的に軍産複合体の仕組みは一致します。そういうのも、軍事機構は行政機構の一翼を担うもので国家と不可分の存在、支持者の一員に軍需産業を含めれば普通に説明できてしまうわけです。
Img_7975 問題点は肥大化による影響力行使、この一点に他ならないわけなのですが、肥大化するには、還元されるべき利益配分というものが必要な土壌となってくるのですが、国防費が一定以下の水準であればそもそもそこまでの支持を得られる循環基盤が構築されないのだ、という構図を理解する必要があるでしょう。肥大化しようにもGDP比率であまりにも小さければ影響力がありません。そのほかの分野が影響力を持つため軍産複合体の影響力を上回る勢力が出てしまうためです。それならば、GDP比率をみてゆきましょう。
Img_3395 軍産複合体の肥大化という理論は軍事費のGDP比率が低下している今日のアメリカでも少々説得力を欠いているという状況があります。GDP、今でいうGNIに占める軍事費、アメリカでは第二次大戦最後の年となった1945年でGDP比37%、朝鮮動乱最後の年となった1953年で14.2%となり、アイゼンハワー大統領時代の1960年で9.3%、ヴェトナム戦争本格介入期の1968年で9.5%だったのですが、デタント期の1978年では4.7%と下降し、レーガン政権下の軍拡の印象がある時期でもGDP比は5.8%、1994年の地域紛争増大期は4%、2000年の同時多発テロ前年は3%であり、2003年にイラク戦争が始まった年で3.7%、なかなか影響力を発揮できない数字となっているのは分かるでしょうか。実際問題、アメリカでは軍産複合体、というものはスローン以上のものではなく実体を伴っていない、という論議もあります。そして2012年は3%とのこと。
Gimg_8496 防衛費の装備調達費から生じる政権維持への影響力など推して知るべきでして、日本のGDPは2011年で507兆4780億円、2010年で511兆3010億円、ちなみに2012年は推計値で517兆8260億円ですが、我が国の防衛費は概ね4兆6000億円前後、1%未満となっています。そもそも、防衛費は装備調達費して多くはなく、人件費や需品費用などに大きく費やされているため、軍需産業として髣髴される装備品調達費用は大きく無いのです。自衛隊に納品する業者は全部軍需産業、という言い方がありますが、売店で売られるアイスクリームやジュースも全部含めて軍需産業、というのは些か無理があるでしょう。
Img_6611_1 防衛産業はそもそも利益があまりありません。2012年2月に三菱プレシジョン・三菱スペースソフトウェア・三菱電機特機システム・太洋無線が防衛省との取引において水増し請求の疑いをかけられ、入札停止となりました。水増?ケシカラン!、と思われる方がいるやもしれませんが、もともと防衛省と締結した開発費用以内に収まったので、余った分を自社利益となるよう操作したところ水足、ということになった訳です。不当に高額な装備を交わされている、という指摘はこの事実に真っ向から反する妄想に近いものでして、つまり、現状では利益が出る構造であってはならない、ということ。
Img_0435 実態を見れば、余りにも利潤が出ないことから防衛産業から撤退する企業も出ています。戦闘機生産基盤維持に関する懇談会などが開かれているのですが、戦闘機の部品生産から撤退する企業がすでに出ており、いくつかの装備品は今後ライセンス生産や国産開発を行う際に海外から取得するか、一から工場を建設し工員を熟練まで育てなければなりません。実態として、輸出を行わず国内需要だけで成立させなければならない防衛産業は規模がどうしても小さくなり、合併するべきという指摘も識者から為されるのですが、戦闘機生産は下請けで含め町工場のような企業など2000社から成り、全部統一するということは余りに非現実的と言わざるを得ません。
Img_7940 以上の通り、軍産複合体により政策が左右され、政治家と官僚と軍事産業が癒着して暴利をむさぼっているのだ、という構図は、防衛費の少なさからそもそも成り立たないことが理解できるでしょうか。この規模では、軍需産業が政府支持の姿勢を示したとしても、政権維持を左右するような勢力とは成り得ません。むしろ、我が国の公共事業費率はGDP比で概ね6%、防衛費の比率の七倍です。社会保障費も4%から5%へ伸びており、防衛費の五倍以上の影響力、そして防衛産業以上の産業従事者が支持を生むわけです。むしろ、軍産複合体を一種の政治システムとしてみた場合の応用としての公共事業や社会保障の政治システムとしての分析では、こちらの方が影響力は大きいのではないでしょうか。
Himg_9314 日本には軍産複合体は存在する、これは常備軍を有し国家が機能している以上間違いはありません。軍事政策を政府が決定し必要な資材を私企業から購入する、民間資産収奪や軍事機構の暴走が無ければ成り立つ構造ですし、民主国家としては成り立たなければ軍隊が民間資産を収奪して軍隊を維持する構図や、政府と軍隊の協力関係が無く軍事機構が政策を決定し政府を蔑ろにする、という構図を以て軍産複合体が成立し得ない政治形態は、軍産複合体を観念的に批判する以上に問題でしょう。
Img_9539 しかし、軍産複合体が政治に悪影響を及ぼす程度に肥大化しているのか、と問われたならば、我が国の場合、まずアメリカのGDP比率の四分の一程度であり、そのアメリカでは軍産複合体の政治への影響というものは少なくなっている、という実情が指摘されているところ。防衛装備品の調達は防衛費のごく一部で人件費などに押されている状況、GDP比率では0.3%程度、この支出で相当大きな発言力を有するほど、日本は税収や国家の機能が少ないわけではありませんし、軍産複合体により日本が高い防衛装備品を購入することを強いられているのだ、という論点は少々説得力を欠きます。
Img_6248 日本の軍産複合体は政治へ大きな影響力をゆうするに至っていない。しかし、それならば、自衛隊が国産装備を取得し、運用する背景は何か、識者により繰り返し海外製装備が安いという指摘が為され、一部識者によっては高性能で日本のものよりも進んだものさえある、と言われる中で調達されない理由はどういったところにあるのか、これは次回以降見てゆくこととしましょう。
北大路機関:はるな

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