北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

宮古島駐屯地に地対空ミサイル・地対艦ミサイル配備完了,沖縄南西先島諸島への防衛力整備

2020-03-31 20:08:02 | 防衛・安全保障
■しまかぜ,九州沖中国船と衝突
 本日は年度末の31日です。そして本日までに沖縄県の先島諸島の宮古島駐屯地へ陸上自衛隊増強部隊の配備が完了しました。

 宮古島駐屯地の増強改編が先週3月26日に完了しました。この増強により宮古島はつい数年前までは航空自衛隊レーダーサイトと20名規模の警備小隊が置かれるのみでしたが、昨年配置された宮古警備隊とともに新しく03式中距離地対空誘導弾システムと12式地対艦誘導弾システムが配備され、日々高まる大陸からの軍事圧力への抑止基盤が構築された。

 宮古警備隊は那覇駐屯地に司令部を置く第15旅団隷下部隊として昨年3月26日に新編され、長崎県の対馬警備隊と同等の編成、本部管理中隊と普通科中隊を基幹部隊とし、軽装甲機動車等を装備、警備隊長に1佐を補職することで有事の際、本土から増援にヘリボーン展開する普通科部隊を戦闘加入させ、迅速に普通科連隊として機能させることが狙い。

 しまかぜ、中国漁船と衝突。昨日3月30日の2028時ころ、警戒監視中の海上自衛隊護衛艦しまかぜ、が中国漁船と衝突しました。現場海域は九州屋久島沖西方650kmとのこと。この海域では過去、北朝鮮船舶による核及びミサイル開発国連経済制裁違反の瀬取り密輸が実施されていた海域です。護衛艦しまかぜ、中国漁船に負傷者はありませんでした。

 しまかぜ。船体左舷に縦20cmと横1mほどの破孔が生じたとのことですが、航行には問題ありません。この点について海上衝突予防法等に基づく海上保安庁操作は今後実施される為、その推移を待ちましょう。ただ、護衛艦しまかぜ、警戒監視任務は北朝鮮瀬どりの監視であり、我が国の警戒監視は継続的に九州沖縄へこうした部隊を置く必要を示しています。

 南西諸島は東西冷戦時代、軍事圧力を大きく受けることはなく平和な地域でした。しかし、東西冷戦が終結するとともに中国空軍の近代化が進み、同時に我が国沖縄県一部を中国領域に一方宣言、南西諸島をその行動圏内に収める航空機が増大するとともに南西諸島及び九州周辺海域への中国からの戦闘機や爆撃機の国籍不明機飛来が爆発的に増大しました。

 南西シフトとして我が国では防衛の重要地域を冷戦時代の北海道から九州沖縄方面へ再編を行うとともに、沖縄を防衛する南西方面航空混成団を南西航空方面隊へ増強し早期警戒機等を配備、また陸上自衛隊も第1混成団を第15旅団へ増強するなどの改編を実施しました。今回の宮古島駐屯地へのミサイル部隊増強も、この一環であり、重要な一歩です。

 03式中距離地対空誘導弾システムは長崎県の竹松駐屯地より移駐しました。第7高射特科群、今回宮古島へ移駐したのは1974年に竹松駐屯地に第2高射特科段隷下として新編され、以来竹松駐屯地に駐屯し続け海上防衛要衝佐世保などの近傍の防空にもあたっていた部隊の群本部と本部管理中隊および第346高射中隊、そして第307高射搬送通信中隊です。

 第7高射特科群のうち、第327高射中隊と第328高射中隊、そして第307高射搬送中隊一部は竹松駐屯地に残ります。これは従来運用していた改良ホーク地対空ミサイルと異なり、最新の03式中距離地対空誘導弾は中隊単位での独立運用能力が高く、実現しました。射程は目標高度により50kmから60km程度、これにより先島諸島防空は抜本的に強化された。

 12式地対艦誘導弾システムは射程200km規模の沿岸防衛用装備で健軍駐屯地の第5地対艦ミサイル連隊より第302地対艦ミサイル中隊が移駐しました。第5地対艦ミサイル連隊は本部管理中隊、第1中隊、第2中隊、第3中隊、第4中隊、第301地対艦ミサイル中隊、第302地対艦ミサイル中隊、ナンバー中隊が一桁中隊と三百番台中隊と分けられています。

 第5地対艦ミサイル連隊は、連隊単位での集中運用と中隊規模で地域防備部隊を区分して運用しているようで、実際宮古島駐屯地に分散配備された第302地対艦ミサイル中隊に先んじて、第301地対艦ミサイル中隊は昨年2019年3月26日に新設された鹿児島県の奄美駐屯地へ展開しています。各中隊には6連発射装置4基が配備、24発を同時射撃可能だ。

 宮古島では貴重な離島水源地に駐屯地施設が影響するとして調整が行われ、昨年の警備隊新編時には弾薬施設が完成しておらず、中距離多目的誘導弾や120mm迫撃砲弾などが一時撤去される一幕がありました。しかし、弾薬庫については不可欠の施設であるとして住民との間で水源地などを確保した上で造成するとして、昨年10月に調整が行われました。

 政府はこの宮古島駐屯地とともに新しく石垣島へ新駐屯地の建設を進めており、沿岸監視隊の置かれている与那国島駐屯地と併せ、防衛空白地帯であった沖縄県南西部の防衛力整備を完成させる方針です。現実問題として沖縄県南西部へは日常的に中国公船による領海侵犯が、中国コロナウィルス肺炎蔓延下でも継続しており、この地域の防衛は重要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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COVID-19世界保健機関WHO機能不随,王立ロンドンICL大学が警告-最大死者数四〇〇〇万名

2020-03-30 20:00:24 | 国際・政治
■欧州惨害ともう一つの世界危機
 邦人救出を本格的に検討し我が国はじめ世界が迎える第二次世界大戦以来の危機に備えるべきではないか、こう考える次第です。

 緊急事態宣言前のぎりぎり持ちこたえている状況。政府の現状認識についてNHK本日30日1308報道において、菅官房長官の本日午前記者会見の内容を報じました。緊急事態宣言は一旦発動した場合に国民生活に甚大な影響を及ぼす為、その発令については専門家知見に基づき慎重に判断する、とした上で、長期戦も覚悟してもらいたいと付け加えました。

 小池都知事は今夜2000時より緊急会見を行い、感染防止で新たな呼びかけを行うもよう。国内感染状況は確認が1894名で昨日より170名が増加、本日1030時にNHKが集計しました。この内の重症は56名、死者は昨日より1名増えて56名となり隊員は372名です。この他、クルーズ船感染隔離712名で内9名が重症9名と死亡10名、退院602名という。

 志村けんさん死去。日本を代表するコメディアンの訃報、NHK本日の速報に衝撃が走りました。17日より倦怠感を感じ医療機関受診の後に重度の肺炎を発症し、PCR検査を経て新型コロナウィルスに罹患していた事が判明しましたが、その後は意識混濁を経て重篤状態となり、人工肺装置ECMOにより延命を試みていました。COVID-19の脅威度を示した。

 世界の状況は、苛烈を極めている。感染者は638146名、そして死者30039名、感染が確認された国と地域は205にも上る。イタリアは感染者92472名で死者数10023名、スペインは感染者72248名で死者5690名、フランスが感染者37145名と死者2311名、イギリスが感染者17093名に対して死者数1019名、ドイツも感染者52547名と死者389名という。

 アメリカは感染者数が10万3321名で既に死者が1668名、以上の数字はWHO集計の本日1800時更新情報です。感染が最初に確認された中国はWHOによれば感染者81379名と死者3299名となっています。なお、軽症者は含めていない数字。中国政府は武漢からの市街外出を禁じていますが市街へ入る事は出れない前提で二ヶ月余日ぶりに解禁しました。

 感染拡大をある程度封じ込めた事例では今月初旬に最大の感染源とされたイランと韓国及び日本です。イランは現在感染者数38309名に対し死者数2640名、韓国は感染者数9583名に対して死者数は152名という。我が国では感染拡大を押さえた事例として韓国やシンガポールなどが報道を通じ紹介されますが、現状では日本も抑えられている事例といえる。

 しかし。非常事態宣言や緊急事態宣言が発令されていない現状、自粛というわたしたち国民一人一人の努力により抑えている、制度により抑えている状況ではなく、自粛要請に我慢を重ねている成果と云えまして、今後僅かでも油断があるならば、感染爆発アウトブレイクが短期間で発生する事は言うまでもありません。この場合は医療崩壊の懸念がたかい。

 医療崩壊。イタリアの状況では病床は死者の空きを待って次の重篤患者を搬入し延命しつつ死者が教会を溢れ葬儀さえ出来ず消毒用袋に収められる、黙示録の状況です。スペインでは医療崩壊の極みに病院は通路に新聞紙を敷き重症患者が並べられスケートリンクや冷蔵倉庫に死者が収容され、イギリスではジョンソン首相がG7首脳最初の感染者となった。

 日本では正常性バイアス、自分は大丈夫という思い込みがある模様です。中国では若年層の死者が少なかったのですが、これは可能性の一つとしてスペイン風邪やアジア風邪のように過去に武漢周辺で小流行が在り、偶然若者が免疫を有していた為なのかもしれません。今のイタリアやスペインは再来週に我が国ともいえまして、警戒を怠るべきではありません。

 政府が緊急事態宣言を発令した場合、こうした場合でも政府は都道府県知事を通じ商業活動へ自粛を要請できるだけで、諸外国のように罰則や強制措置は採れない、という楽観論や逆に危機感などもあります。しかし忘れてはならないのは、外出禁止は日本国内において災害救助法を適用した場合、罰則或る外出禁止は可能ですし、道路使用制限もできる。

 道路使用制限。外出制限への一番の近道でして全ての信号機を赤信号とする、これは交通警察が信号制御装置を操作する事で簡単に実施できます。道路封鎖ではないが赤信号を常時点灯する事で、物理封鎖ではなくとも事実上は緊急車両以外を道路上から締め出す事が可能です。無論、信号の無い道路を選び限定的な自動車通行は不可能ではないのですが。

 緊急事態宣言を発令する場合、勿論経済活動を中断させる事となり、所謂物流等を司る事業者を営業自粛により地域限界集落化を助長しないよう、例えば武力攻撃事態法に基づく指定公共事業者を念頭に車両の緊急車両指定手続きや緊急車両証明書交付等、準備が要る。

 経済対策について。批判は多いようですが外出自粛下で政府与党で検討されているという金券、お米券やお肉券、魚介券はあながち悪い施策ではないようにも思います。踏み込んだ主食券としてお米以外に小麦粉や調理済のパンと代用食として饂飩やパスタも挙げられ得る。この政策提案の妥当性は、これが一種の"戦時配給制度"である、と言い得るためです。

 緊急事態宣言と共に広範囲の外出自粛要請や施設使用禁止命令を発令する場合、何らかの経済補てん策が必要となります。具体的には企業支援による経済活性力の維持や中小企業及び零細事業者への貸付など。そして債務遅延への緊急救済措置により不動産や家屋立ち退き要求の停止行政命令等必要です。そして個人の安心を緊急事態宣言時、考えて欲しい。

 緊急事態宣言と共に事実上大半の経済活動が停滞する状況では、しかし下手な金券や現金給付よりもお米券やお肉券と魚介券、実は野菜券や衣料切符等も必要だと思うのですが、こうしたものを交付する方式の方が、少なくとも外出自粛要請下においても国民の生活安定には寄与するように思うのです。無論、これだけでは不十分である事は確かなのですが。

 戦時配給制度。これはもちろん所得保障を求める小売業の声やサービス業事業者の声は反映されていないものですが、実際問題として財源に限界がある以上、大規模な経済対策はその後の税収、もちろん百年に一度の災厄と割り切り百年単位で返還するという前提であってもかまわないのですが、現実問題、長期的には徴税により全て回収せねばなりません。

 一時給付金制度。国民一人当たり10万円を給付するとして単純計算で12兆円、これは将来的に消費税率を12%に上昇させるか、医療費自己負担割合を25%増額するだけで、おそらく数年間で回収する事は可能です。しかし、主権者として突きつけられるのは将来の増税や負担増を前提として一時金を一人一人分け隔て無く配る施策へ合意はあるのか疑問が。

 一時給付金制度の難点は、インフレ率の視点からも重要で必要な物資、中でも供給不十分な物資、現在は衛生資材が既に高騰、こうしたもののインフレが発生する懸念下において一時給付金が思い描かれているほど短期的に効果を発揮するか、という視点が一つ。そして外出自粛要請下において消費活性化促進政策は矛盾していないか、ということ。故に。

 戦時配給制度、そういいうるべき商品券は、特に主食などについては文字通り生活必需品となりますし、なにより第一次産業保護という施策と相乗し、単一的な効果にとどまりません。ただ万能か、ととわれますと戦時配給が行われた時代と現代とは大きな制度的相違があります。即ち、政府標準米、という概念、現在専売公社がありません、此処は問題だ。

 商品券。キャッシュレス決済へのポイントリターン制度など他にももう少しデジタルな景気刺激策が存在するとは思うのですが、現実問題としてキャッシュレス決済への恩恵はデジタルリテラシーにより全国民が共通して得られるモノではありません。また、商品券の場合はインターネット決済で使いにくい難点もあり万能ではないのですが。選択肢の一つ。

 緊急事態宣言について。感染拡大が現在の急増率を考える場合、来週にも政府は厳しい決断を行わねばなりません。しかし、こうした食糧配給に近いお米券やお肉券と魚介券等を交付した上で、特にこれらセイフティネットを早急に準備した上で、思い切った感染防止策、交通信号の原則赤信号化と一部停止信号常態化を含め、政治は、決断が必要でしょう。

 世界危機は感染拡大以外に食糧危機の懸念がある。COVID-19、公的機関に正確な数字を示していただきたいと切望するのは、このまま世界に感染拡大が進んだ場合、食料自給率に限界があり、更にエネルギー自給率にも限界がある我が国において、現在備蓄されている食料や工業原料を消費した場合に、その補充を世界は果たしうるのか、という切実な疑問です。安易に警鐘を鳴らすのではなく純粋な疑問で。

 食糧生産。特に懸念するのは世界の穀倉地帯も例外なく直撃しているという現状、世界の穀物倉庫としての重責を担っているアメリカでのCOVID-19の急激な拡大という実情があるのです。種まきや肥料の確保、実のところ巨大産業化した農業はそう簡単な枠組みではなく、複雑なサプライチェーンと共に六次産業の如く複合化し産業体系を構築しています。

 生ゴムの枯渇。実は食糧生産という非常に簡単であるが切実な問題領域に注目したのは、現在、医療用手袋などの供給が原料である生ゴム枯渇により各国で支障が生じているという状況です。生ゴム枯渇といいますと、第二次世界大戦末期に日本が経験した非常事態を思い起こします、南方から北号作戦として戦艦伊勢、日向を動員し強行輸送した程でした。

 現在の生ゴム枯渇背景には生ゴムの世界最大の原産供給国であるマレーシアが国際物流をCOVID-19感染拡大防止という観点から遮断している為で、マレーシア国内には生ゴム生産に未だ余裕がある一方、国際物流が遮断された事が感染拡大を防止する為に必要な衛生資材の製造停滞を招き、結果的に感染拡大防止能力の低下が悪循環を醸成していることに。

 世界危機のもう一つは国際協力の遮断です。国境の遮断は、実のところコロナウィルスCOVID-19から人類が生存する為の様々な製造、喫緊の課題は人工呼吸器と人工肺の製造能力だ、こうしたものの製造を多国間国際分業により国境を越えて部品を集約し完成させる、人類の英知というべき物流網を確実に蝕んでおり、食糧生産と物流網を遮断すると共に衛生対処能力をも着実に浸食しているといえる。

 人工呼吸器。イタリアで製造され世界に供給される人工呼吸器を一例として挙げますと、この人工呼吸器のホース部分はブルガリア製であり、欧州でのCOVID-19拡大に併せ、ブルガリア政府は人工呼吸器ホースを医療用の戦略物資と位置づけ、輸出を中止した事例があります。ただ、ホースだけでは誰から息を吹き込み続けねば医療用に用をなしません。

 多国間国際分業の視点から安価な構成部品を各国で分業した弊害といえますが、イタリア国内企業では対処出来ず、結局イタリア政府がスイス政府を仲介しホース単体である事をブルガリア政府に説明する事で漸く輸出が出来たという。COVID-19ではドイツ政府等が感染各最初期に衛生資材輸出禁止を発表しており、物流遮断事例でこれは一例に過ぎない。

 食糧生産は、今後様々な不確定要素がありますが、例えば食用コーンオイルやパームオイル等、食材の形状をしていない為に認識にしくいが絶対必要な食糧供給などを、日本は医療制度の十分整備されていない途上国への依存度を高めています。こうした諸国は感染防止の手段に全土の交通遮断しか有さない事例が多く、実際全土遮断を決断する国は、多い。

 食料自給率の観点から我が国の状況を評価しますと、カロリーベースでの自給率の低さ、そして価格ベースの食料自給率の意外な高さが傾向として示されています。しかし、食糧生産に必要な肥料生産、そして何より日本国内で食料を生産したとして、穀倉地帯と人口密集地を結ぶ物流網が化石燃料に依存しており、日本は化石燃料自給率が突出して、低い。

 備蓄は充分ある為に過度な買占めはお止めいただきたい。農林水産省はこの根拠に米穀だけで6.5カ月分の備蓄がある為に、という説明を示していました。成程、6.5か月分の備蓄があるならば十月中旬まで、完全に米穀の生産と輸入が途絶した場合でも対処出来る事を示しているのですが、言い換えればコロナ蔓延が続いた場合でも食糧生産を存続の必要が。

 COVID-19の恐るべき点はSF映画“ワールドウォーZ”や“がっこうぐらし”のように先進国と途上国を同時に蹂躙した点です。映画“復活の日”ではもう少し時間がありました。故に感染拡大の最中の諸国をまだ感染に曝されていない又は感染を克服した諸国が救援し共倒れを防ぐ、過去のエボラ出血熱等の様な対処方式の王道が全く医療破綻しているという。

 日本が産業基盤を維持する事は日本国民が生き残る為の要諦ではあるのですが、日本の国家が機能している事により支えられる諸国が多い事は2011年東日本大震災においても認識されました。その上で我が国の脆弱性である食料供給の問題を、来年の、明後日の来年度ではなく来年、視点から各国がどのように第一次産業を維持できるか、至急検討が必要だ。

 国連の世界保健機関WHO,今回のCOVID-19はWHOの72年に及ぶ歴史の中でもっとも過酷な感染拡大といえるところではありますが、同時にWHOは創設から72年を経て、国際公務員として国際の公共に資する使命よりも、政治的な組織となり、言い換えれば次の世界的流行禍パンデミー、災厄が同じ轍を踏まぬよう、組織改編が必要となるように思う。

 テドロス事務局長はエリトリア出身、WHO初の医師ではない政治家の事務局長です。WHO事務局長就任は2017年5月で、これまではアフリカのエチオピア保険相と外相を歴任しました。WHO事務局長としては初のアフリカ出身であり、就任当時はユニバーサルヘルスケアという世界への公衆衛生の普及をWHOが果たすべき最優先課題として掲げています。

 WHO事務局長として初の医師ではない政治家の就任ですが、衛生については無経験ではなく、衛生相として行政の経験はあり、また医師ではないものの全くの門外漢ではなく、地域保健学と感染症免疫学の博士号をイギリスの大学で授与されているとのこと。エチオピアの政治家ではありますが、出身のエリトリアは1991年にエチオピアから独立しています。

 テドロス事務局長。しかし政治家だ過去にジンバブエの独裁者ムガベ大統領をWHO親善大使に指名する方針を示し、欧州や日米から批判され、撤回に追い込まれた事例があります。このため、発言は政治的であり、明白な関係は不明ですが、エチオピアへの中国巨額援助が、公衆衛生非常事態宣言PHEICなど、必要な措置への遅滞を招いたとの批判もある。

 ただ、WHOとしてテドロス事務局長は全くの無策無為かととわれれば、過去、アフリカにおいてエボラ出血熱が感染拡大となった際には現地へ10回以上視察し、危険な感染拡大の現場に向かうことを誇りとしている、という。逆の視点からは政治家としての配慮か医師としての判断か、世界はWHOに求めるものが何かを再考しなければならないのでは、と。

 WHO世界保健機関は国連の機関ではあるのですが、今回のCOVID-19については2003年SARSの中国発生と当時の中国当局による発生隠蔽が世界への拡散を助長した反省が活かせていません。言い換えれば、政治的配慮に左右されない純粋な世界への公衆衛生への機関としてWHOを再編するか、もしくはWHO以外の国際機関を構築せねばなりません。

 治療が必要なのはWHO,制度改革が必要となります。2011年菅直人総理大臣、東日本大震災に際しての福島第一原子力発電所事故に際し、理系出身ということから、自分は原子力に詳しいのだ、という思いこみから無意味な主導権を発揮し、結果様々な状況を悪化させた菅直人総理大臣の国連版、という印象をテドロス事務局長の発言や行動には感じます。

 国連版菅直人という印象で、アメリカのトランプ大統領は実業家時代から業績を上げられない部下を"キミはクビだ!"と突き放していることで知られますが、実際のところWHOのテドロス事務局長には怠慢があった、もしくは忖度が先行し、責務は出身国ではなく国際に奉仕する原則という、国際公務員の義務を果たしていない"キミはクビだ"といいたい。

 陰謀論については賛同しません、しかし、中国の制度が今回のような疾病に対して極めて非合理的であり、再度同様の疾病が発生した場合にも同様の感染拡大を許す懸念があり、言い換えれば今回のCOVID-19感染拡大は最初ではありません、2003年SARSコロナウィルスに際しても疾病拡大を虚報として情報隠蔽しようとした構図とある種重なっている。

 陰謀論には賛同しませんが、中国の制度論として新型ウィルス発生が公衆衛生上の失策として地方政府の失策に当てはまり、また、感染拡大は感染力の多寡ではなく問題を引き起こしたという地方政府の失策に当てはまる、これが今回のCOVID-19が感染報道当初に虚報や誤報として発見した医師の拘束という感染拡大助長の結果につながってしまいました。

 陰謀論では無いのですが、中国の疾病情報を隠蔽するという、先進国や民主主義国家からは理由が理解できない手法を用いる事への対応策を今後考える必要があります。特にSARSの際にも隠蔽があり、これが結果的に感染拡大を招いていますが2003年と2019年では中国の経済活動範囲や世界政治における発言力が違い、これが感染拡大を深刻化させている。

 中国のためにも、という視点を踏まえ、SARSとCOVID-19,中国から世界に感染拡大が怒ったことは問題ではありませんが、中国の政治システムが拡大を助長した事は問題であり、中国と世界のためにも、こうした二回の失敗失策を次の災厄に踏襲しないよう、内政干渉ではありませんが、今後には世界の疾病危機管理体制を再検討する必要は、あるでしょう。

 WHOに代わる国際機関が必要だ。これはWHOが過度に政治的となった反省とともに、しかし安易に権限を持たない機関とすることも出来ません。この視座には2000年代初頭からのグローバリゼーション、人と資本や資材の移動が全地球規模となった上で人類が初めて迎えた世界的感染禍パンデミーに1940年代の制度が対応できなくなった背景があるため。

 国連創設当時の枠組、WHOは世界へ衛生情報に関する警報を行う機関では必ずしもなく、そして今回のCOVID-19は1918年のスペイン風邪新型インフルエンザ以来の規模となる懸念があり、その致死率は必ずしもスペイン風邪の水準では、イタリア北部の一部や中国武漢市内を除けば、そこまでは達しませんが、その伝染力と世界への拡大の速さは異常だ。

 WHOに代わる機関は、強い権限と弱い政治的影響力という、矛盾した機能が求められるでしょう。弱い政治的影響力とは、各国政治に左右されない、経済的影響力の大きな中国にエチオピアの政治家が忖度したような、こうした影響力を排除する必要があり、政治的な影響力ではなく純粋に科学的に、必要な医学的見解を表明することで正統性が求められる。

 国際連合の目的は国際の平和と安全、第二次世界大戦を契機に創設された機関である事から、その脅威は“国際の平和と安全”に重点が置かれ、1960年アフリカの年を契機に加盟国が増大した事を背景に様々な責務が付与されるようになったのですが、疾病を第一に創設された機関ではない、しかし世界で最も正当性ある国際機関、WHO任務増大といえる。

 WHOに代わる機関、しかし強力な権限を求められる背景には、調査権限が十分なければ、例えば今回のCOVID-19についても一月中旬の時期で中国政府の安全主張を鵜呑みとするのではなく、武漢現地調査を国連の権限で、一種IAEAの核査察のように、もしくはチャレンジ査察制度のように、強行できていれば、一地域の風土病で抑えられていたでしょう。

 WHOに代わる機関、強力な調査権限を付与する事で、例えば独裁国家などが遅滞した公衆衛生状況を国家威信の配慮から隠蔽しようとする試みの中から、世界へ影響を及ぼす世界公衆衛生上の懸念情報を探知する、そのためには調査拒否に制裁を課するほどの権限を付与する必要があり、このためには総会や安全保障理事会と制度上連接する必要も考えます。

 公衆衛生にかんする情報、中国が隠蔽した理由はなかなか理解が難しい。天津爆発や高速鉄道事故を隠蔽したことも、一種、経済成長が頓挫する全ての情報を隠蔽すべき、という視点が勝手に拡大解釈されているようで、これは恰も過去、1986年のチェルノブイリ原発事故を国家の威信が影響するとしてソ連が隠蔽したような政治要因があるのでしょうか。

 公衆衛生。中国がSARSとCOVID-19を隠蔽した要因をチェルノブイリのような視点に見いだす以外に、福島第一原発事故に際しSPEEDI緊急時迅速放射能拡散ネットワークの情報開示を当時の菅政権が実施しなかったように、SPEEDIシステムを知らなかったために情報開示をできなかったというような、中国での衛生情報重要性の欠如、という可能性も。

 WHOに代わる機関。WHOがここまで人とモノの移動が短時間で大量に移動する状況を想定した枠組みではなかったための、いわばグローバリゼーションの機能を利用して一挙に世界に伝播する疾病脅威に対応するには、それだけ権限が必要で、交渉により情報開示を待つその数日間が、世界危機に発達するほどの現状への処方箋が必要だ、ということ。

 COVID-19,少なくともWHOやアメリカのCDC見解によればインフルエンザ程の致死率は無いとの事ですし、WHOが2009年にPHEICを発令、後に誤報、こうして懸念していたようなスペイン風邪規模の新型インフルエンザが出現した場合、一億名規模の死者を誘発する懸念もあります。こうした観点から、WHOの能力を見直した新しい機関が必要です。

 WHOに代わる機関。しかし、WHOを解散する必要性は必ずしもありません、具体的にはアメリカで連邦危機管理局FEMAを補完する機構として国土安全保障省が創設された際にFEMAそのものは解散されなかった点を思い出すべきでしょう。具体的にはWHOは疾病への危機管理ではなく、病院や医療保険制度普及、平時に世界医療を担う機構であるべき。

 危機管理と世界医療支援の区分、WHOに代わる公衆衛生に関する国際機関が構築できたとして、WHOは新しい機関が世界への公衆衛生にかんする危機情報を発表した際に、感染拡大防止へ医療資材を集約する必要があり、例えばユネスコと協力し世界への教育普及に併せ、途上国での医師養成の支援や医療基盤構築により危機を克服する機能が必要です。

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【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【09】護衛艦くらま大回頭(2009.10.23)

2020-03-29 20:20:53 | 海上自衛隊 催事
■ヘリコプター搭載護衛艦
 今回は備忘録的否雑談と併せ、ヘリコプター搭載護衛艦くらま幕間劇のような艦隊一斉回頭の様子を紹介しましょう。

 航空部隊の祝賀飛行と共に観艦式参加部隊は祝賀飛行の次に行われる訓練展示に向けて一斉に艦隊が回頭します。観艦式はどの艦に乗艦しているのかで見られるものが大きく違ってくるのですが、この一斉回頭では多くの艦艇を視られる、観閲式と並ぶ時機といえます。

 観艦式の一斉回頭、観艦式は乗艦した艦によっては周囲が支援艦ばかりで護衛艦が並ぶ勇壮な情景と巡り合えない事もあります、考えれば乗れている、という事が重要なのですが、折角乗艦したからには勇壮な艦隊運動を視たいものです。護衛艦一隻というのもさびしい。

 艦隊運動は角度によっては数隻の護衛艦が躍動感と共に構図に収まります。全く異なる艦艇が、運動性能も操舵性も異なる種類の艦艇がこうして陣形を組み、航行を展示する事はGPS普及前では難易度が高く、気付かない人は気付かない実はこの構図も貴重なのですが。

 くらま。航空部隊の展開とともに観艦式は次の局面を迎えるのですが、自衛隊観艦式の航空機祝賀飛行は航空部隊が機種ごとに一回航過飛行を行うという方式であるために実のところ撮影機会は一回のみ。観艦式、京都から横須賀というのは実は遠いのですけれども。

 観艦式の祝賀飛行ならではの楽しみとしまして、航空自衛隊戦闘機があります。百里基地第7航空団のF-15戦闘機、三沢基地第3航空団のF-2戦闘機、観艦式では京都から更に遠い基地の戦闘機が参加するのですね。百里基地といえば東京の更に先、非常に遠いのです。

 百里基地は隔離基地といわれていたようなものでして観艦式以外には白梅のイーグルは見られないと言う、そんな印象でした。関東鉄道が百里基地前まで延びていた時代にこちらも延びて撮影に行っていれば、と思うところですが、この頃第7航空団はF-15主力でした。

 第7航空団は今でこそファントム航空団と云われ、ファントム発祥の地を地で行く航空団ですが、この当時は構成する飛行隊が二つともF-15イーグル、ファントムの実戦部隊は宮崎県新田原基地や沖縄県那覇基地までいかなければみれない時代、そんな時代なのでした。

 F-15飛行隊は、これが南西方面の緊迫化により首都防空と入れ替わった構図です。P-3C哨戒機の編隊飛行も、P-3C自体は珍しくないのですが編隊は中々に見る事が出来ません。P-3Cとなりますと編隊飛行というよりは地上展示でよく見るという印象、後は工場ですね。

 海上自衛隊には厚木航空基地、八戸航空基地、鹿屋航空基地、那覇航空基地、以上四航空基地に哨戒航空部隊が展開し、岩国航空基地と下総航空基地には哨戒機派生型の電子情報収集機や練習機が配備されているのですけれど、編隊飛行、撮影するにはどこまで行くか。

 京都からもっとも近い厚木航空基地は航空祭を実施しませんし、岩国航空基地祭も飛行展示はそれほど大規模なものではありません、編隊飛行と機動飛行を海上自衛隊が哨戒機にて実施していると実際に見ることが出来たのは鹿屋航空基地祭でした。南九州で遠い。

 江田島基地の幹部候補生学校卒業式、編隊飛行ですとみる事ができる、京都から最寄りの基地は此処、でしょうか。もう一つは大阪湾展示訓練と舞鶴展示訓練なのですが、これは乗艦できるとは限りませんし、編隊ではなく一機だけ航過の可能性という事もあります。

 観艦式は、三機編隊ではあるのですけれどもP-3C哨戒機の編隊という情景を撮影することが出来ましたし、上記の通りF-15とF-2の編隊飛行も撮影できるのですね。F-2戦闘機については三沢基地の機体が。北大路機関の創設当時にはまだF-1支援戦闘機が現役でした。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】呉基地遠景,江田島小用港から望見する巨大護衛艦かが(2020-03-14)

2020-03-28 20:19:22 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■瀬戸内百景護衛艦かが
 護衛艦かが、瀬戸内の情景に溶け込んだものですが、先日この情景を視ていますと潮流や風向きの不思議にある種感動しました。

 練習艦隊出航、近海練習航海部隊と概要練習航海部隊の出航という情景とともにいつもお世話になっている方に小用まで送っていただきました。実は高田港から広島港へ戻った後、再度広島から呉基地を散策できないか、と事を考えていたので、渡りに船、という。

 とわだ。小用港からは呉港へフェリーが運航されていまして、江田島から対岸に呉基地を望見できます。フェリーまで50分ほどありましたので、このデジタルズーム2400mmというG3Xカメラを用いて、ゆったり、ちょっと遠くの艦艇を眺めてみることとしました。

 かしま。呉基地係船堀桟橋に停泊している様子が見えます、練習艦隊旗艦でしたが本年は司令官、うらが乗艦のもよう。かしま、とともに二隻の護衛艦あぶくま型がみえまして、護衛艦あぶくま、護衛艦とね、とわかる。呉基地まで橋が架かりまして車で行き来できる。

 おおすみ型、そして、はつゆき型護衛艦の転用である練習艦が停泊している様子が。ここからフェリーを利用することで20分ほどですが、陸路で橋を巡りますとなんと37kmという、大阪と京都を結ぶ京阪本線が42kmですので、これはかなり遠い距離を隔てています。

 とわだ出航、という訳ではないのですがものの十数分で先ほど奥を向いていた補給艦とわだ、こちらを向いて居るではありませんか。実は錨泊している艦艇は風向きや潮流で簡単に向きが変わるということ、知識で走っていたのですが、こうも変わるのか、と驚きだ。

 かが。海上自衛隊最大の護衛艦であり、満載排水量27000tの船体も海象の前ではすぐに向きが変わって往くのですね。艦首から細く錨鎖が伸びているのが見えますが、あの一本に巨大な護衛艦が支えられている、海まで40km以上という内陸で暮らす当方には驚き。

 こじま。海上保安庁巡視船が停泊しています、練習巡視船ですね。3000t型巡視船に区分されていますが練習巡視船として全国の港を巡る様子を時折目にします。ふそう、練習巡視船と言いますと名古屋から舞鶴へ移り、名を巡視船みずほ、から改めた一隻を思い出す。

 とわだ。巡視船ふそう、を思い出す中で再度補給艦とわだ型一番艦に目を移しますと、また方向が大きく変わっています。かなり大きな、いや補給艦としては中の中ですが、大きな自衛艦でも日常の範疇の強めの風により、補給艦の向きが変わることは凄いことですね。

 かが。ほぼ真横に。練習艦隊いせ、その姿を江田内で喫水の関係からみれず、早々と柱島に進出してしまい撮影として消化不良気味であった当方には、全通飛行甲板型護衛艦をみれたことは大きな収穫でしたが、その情景を何度も方向を変えて見れたことは更に嬉しい。

 小用と呉を結ぶフェリー、此方へ向かってきます。そしてその背景には潜水艦隊の潜水艦、なかでも機関を作動させている様子が望見できます。目を凝らしてみますと、潜水艦が意外に多数停泊している様子が見えまして、奥の住宅街と潜水艦との対比が不思議なもの。

 むろと。敷設艦が停泊しています。距離としては5.5kmほど、この5.5kmというのはかなりの距離なのですが、この日は天候が回復しましたので見えてしまうものなのですね。むろと、隣にあります赤煉瓦は呉市の港町としての観光地、アレイからすこじま付近です。

 おやしお型潜水艦、ここからは艦名はわかりませんが、そうりゅう型の潜舵はX字型であり、おやしお型は十字型ですので、おやしお型であることがわかりました。いやはや、こうして風景を眺めていますと時間が過ぎるのも早い、ちょうどフェリーが到着しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和元年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.03.28-03.29)

2020-03-27 20:08:02 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 年度末ですが今週末も日本と世界の新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大が続き、空を見上げて読書でもして過ごすしかないところ。

 今週末には自衛隊行事はありません。しかし皆様、今週末はみなさまどうか自宅で過ごしていただきたいのです。ヴェルニー公園から横須賀基地の護衛艦や舞鶴市役所から舞鶴基地の艦艇が望見できますし散策し、呉基地の潜水艦をアレイからすこじまから望見したり佐世保基地を弓張岳展望台から俯瞰風景に納めるのは、現状、かなり危険なのです。

 東京都内では感染拡大が続き、今週末の外出自粛を要請しており、東京都とともに神奈川県や埼玉県と千葉県はじめ東京近県では外出自粛要請を都県知事が発令しました。大阪府と兵庫県の自粛要請も継続、名古屋のクラスター感染下で油断があった隣県岐阜県では本日1700時に新たなクラスター感染が確認され岐阜県知事は外出自粛要請を示しました。

 新型コロナウィルスCOVID-19は世界中で爆発的感染を広めており、イタリアでは阪神大震災以上の死者が北部で発生しています、スペインやアメリカで感染拡大し、既に死者数は東日本大震災よりも大きくなっている。鎮圧を主張する中国では武漢封鎖を来月中旬前まで未だ検討段階であり軽症患者を計測していません。日本も世界も全く安心要素はない。

 東京封鎖。現実としてあり得ます。政府の非常事態宣言を封鎖して東京都が外出自粛と事業所閉鎖を要請する。要請ならば無視できるのではないか、どうしても忙しい場合は首都封鎖でも自動車や自転車で、と思われるかもしれません、が、甘いのです。道路封鎖、東京都は公安委員会を通じて全ての信号機を赤信号とすることが可能、道路封鎖が出来る。

 緊急車両であれば通行できるでしょう、指定公共事業者に指定されている車両であれば通行は維持できるでしょう、しかし、赤信号と速度違反自動取締装置オービスを併用することで、赤信号区間道路を通行する車両を全て記録し免許を取り消すことが可能です。通院や津波避難など免許取消となった場合に違法性阻却事由がある場合は問題ないのですが。

 緊急事態宣言が発令された時点で自粛要請は終了し停止命令となるのです。今のうちに出かけておこう、と思われるやもしれませんが、単にそれは緊急事態宣言を早め、そして自分と周りの方、移動を促し確実に危険を増す、恰もそうだ津波を見に海岸へ出かけてみよう、という状況なのかもしれません。スペイン風邪では日本では39万名が死亡しました。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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COVID-19東京感染拡大-首都封鎖懸念現実化,政府対策本部"緊急事態宣言"検討含め初会合

2020-03-26 20:19:00 | 国際・政治
■政府,二十一日間外出禁止方針
 新型コロナウィルスCOVID-19,このまま日本国内での感染拡大が進んだ場合は現行憲法施政下では初の緊急事態宣言が発令される可能性があります。

 NHKが本日1656時に報じたところによれば東京で新たに47名の感染確認があったとのことで、これは24時間での感染規模ではこれまでで最多となりました。東京都の小池知事はこうした急激な感染拡大を受け、今週末の外出自粛要請を行い、また千葉県知事と神奈川県知事及び埼玉県知事が同時に可能なかぎり週末の外出を自粛するよう要請しています。

 TOHOシネマズは都知事及び近県知事の外出自粛要請を受け東京都と神奈川県及び埼玉県に展開する全ての映画館営業自粛を発表しました。大手デパートでは高島屋が東京都内と神奈川県内にある一部店舗を今週末に臨時休業とする一方、そごう西武は営業時間短縮の上で今週末は営業を継続するとのこと。イオンやイトーヨーカ堂は営業を継続するという。

 政府は本日夕方より、新型コロナウイルス対策特別措置法に基づく政府対策本部の初会合を招集しました。政府対策本部は法律に基づく緊急事態宣言を含む強い権限が付与されています。緊急事態宣言が発令された場合、当該都道府県知事は政府から集会禁止、大規模商業施設封鎖要請や私有地及び建築物接収による臨時病院転用等、強い権限が付与されます。

 緊急事態宣言が発令された場合、NHK本日2000時の報道によれば基本的対処方針として、当該地域では21日間の外出自粛等を通じ感染拡大を封じ込めるとの事で、この21日間という数字は諸外国の動静と健康観察期間14日間に感染報告への平均期間7日間を加えた21日間、としており、これは専門家による政府対策本部諮問委員会助言を受けて実施します。

 緊急事態宣言は都道府県単位で発令され、政府から強い権限を付与されたうえで都道府県知事が行使します。基本的に要請に基づく外出自粛と事業停止ではありますが、知事からの再三の自粛要請が受け入れられない場合には、当該施設や事業所周辺について公安委員会を通じ道路使用制限等を行う事も可能であり、事実上の強制措置、ともいえるでしょう。

 緊急事態宣言は世界各国が感染拡大と共に発令しており、日本では第一波を辛うじて大規模感染を阻止していますが、欧州やアメリカでの感染爆発が進み、緊急帰国者の中に潜在感染者が検疫で把握されず感染を拡大させる懸念があります。日本国内ではクラスター感染と追尾できない感染者が多数確認され始めており、第二波が襲来しつつあるともいえる。

 日本国内 の感染者数は本日1000時のNHK集計報道では1313名であり前日比で101名の増加となりました。この内重篤患者は57名で、死者数は2名増えて45名となりました。一方、310名の方が退院しています。この他、クルーズ船検疫時の感染者が712名あります。なかでも重篤患者9名で死者10名ですが、このうち597名が回復し退院することができました。

 世界での感染者数は本日2000時のNHK報道で世界199の国と地域に感染が報告され、感染者は416686名、そして死者18589名、となっています。外務省は全世界への渡航延期勧告を発令すると共に政府は欧州21カ国とイランからの外国人入国を拒否する決定を行いました。外務省が全世界への渡航延期勧告を行ったのは制度創設後初であり戦後初となります。

 イタリアでは69716名が感染し6810名が死亡、スペインでは39673名が感染し2696名が死亡、中東イランでは27017名が感染し2077名が死亡、感染源の中国では感染拡大を漸く封じ込めた構図ですが、中国では感染者数81241名に対し3281名が死亡したと中国政府が発表しています。アメリカでの感染拡大が目下急激で51914名が感染し673名の方が亡くなっています。

 インフルエンザ特別措置法改正によるコロナウィルス対策特別措置法、実のところ成立したばかりではあるのですが、指定感染症指定を外すなど、幾つかの緊急措置が必要であるように思います。具体的には指定感染症としてCOVID-19を明示したことにより、現在はウィルス陽性反応が確認された時点で処置入院による隔離が義務づけられているためです。

 医療崩壊阻止。実のところ医療崩壊には定義が数多くあると考えるのですが、たとえばクルーズ船ダイヤモンドプリンセス乗客を検疫隔離の延長として収容した愛知県岡崎市の藤田医科大学付属病院新施設などは、開業前の施設であるために治療施設は整っているが病院としての運用は法律上開始されていない、という説明が為されています。ここが重要だ。

 指定感染症であるために入院が法律上必須となっている、しかし、このCOVID-19は軽症患者の比率が高く、軽症患者を大量に病院、医師法にもと付く病院に収容してしまいますと、病床が満床となり、医療能力が残る中での法律上の医療崩壊、という訳の分からない状況が生じてしまうわけです。故に軽症患者の病院以外隔離施設が必要となるのでは、と。

 法律上、しかし病院に入院させないことは法令違反となり、結果的に元気な軽症患者が満員となり、そこで重症患者を受け入れられない時点で医療崩壊が法律上発生するのです。従って、指定感染症ではなくCOVID-19に限定した特別感染症患者医療措置、こうした制度を用いて、例えば借り上げ隔離施設、ホテルでも五輪選手村でも、隔離すればよい。

 病院設置、一応は新型インフルエンザ特別措置法に明示されていまして、法的にはマンションや商業施設などを病院として、強制的に接収する法制度は整備されているのですが、しかし病院の場合は医師や看護士などの常勤など、法的な制限があり、設置が面倒であるとともに撤収もさらに面倒な厚生労働省の書類手続きと審査を経なければなりません。

 特別感染症患者医療措置、主たる目的は治療が治療法がない故に軽症患者への必要性は薄く、要するに隔離し経過観察を行う、こうしたための施設を確保する必要があるが、それは別に病院、法律上の病院でなくとも良い、という認識で、法改正が必要でしょう。もっとも、ウィルスは変化する故に臨機応変な法律上冗長性を確保する必要もありますが、ね。

 法改正の必要性。緊急事態宣言の一つ上の非常事態宣言として、事実上の戒厳令というべき罰則を明記した外出禁止規定を、もう一つ検討すべきなのかもしれません。戒厳令、非常に厳しい保元でありまた措置命令ではありますが、イタリア北部において実施されています措置、外出の事実上の禁止にあたる強い措置、要請ではなく命令として、というもの。

 戒厳令。これは要請に基づく自粛では、裁量の範囲内において経済活動が継続することができますが、先週埼玉県さいたま市において民間団体が自粛要請を無視して実施した9000名規模のスポーツ興行、こうした要請の範疇では不可能となる感染拡大懸念の実施、これを前例として次の興行が実施される場合には、当該地域への外出禁止が必要になります。

 法治国家である我が国においては憲法に経済活動の自由が明記されており、更に私企業は営利を継続することで持続することが法人格を維持する上で不可欠となります。しかし感染拡大を放置することは国民の生存権と両立できません。このための非常措置として罰則を有する非常措置、というものを法律に明記せねば、逆に法治国家として問題があります。

 戒厳令を施行した場合、道路封鎖や交通遮断をどのように実施するのか。一例としては全ての信号機を赤信号、一部道路のみを一時停止として赤信号点滅を行い交通量を抑制するとともに緊急車両通行のみを優先とする。鉄道の定期列車全面運休と貨物列車及び貨客輸送臨時列車を設定する。日本では、道路物理閉鎖は無理であり、この程度が限度でしょう。

 しかし、食料品や医薬品の搬入、病院機能の維持、加工食品工場や輸送車両の整備工場と燃料供給網や発電及び上下水と都市ガス維持、地方都市ではプロパンガス供給、災害時即応体制と送電網維持、これら当該要員活動に必要な給食施設の維持、どうしても動かさねばならない産業は多々あり、これら選別も早急に検討し法整備に盛り込む必要があります。

 憲法上の問題がかなり多いのが難点です。憲法上、基本的人権は公共の福祉という観点から無際限に確保されるものではないのですが、拙速と批判があろうとも感染拡大による膨大な死者という懸念を考えるならば期間を区切った特措法は必要です。一方で確実に前例となりますので憲法との整合性に配慮した慎重、しかし有効な法整備が求められるのです。

 都市閉鎖。この疾病対策は一部でロックアウトとも呼ばれ、中国において実績を上げたとされています。ただ、この方式は明らかな欠点がありまして世界が採用すべきではありません、明らかな欠点としては閉鎖都市内部での致死率が異常に増大するのです。致死率の異常増大は、都市機能が麻痺し、当該疾病以外での患者増大を誘発するためと考えられる。

 ロックアウト、都市閉鎖というより移動禁止の意味が強いようですが、日本の場合は絶対必要であるならば可否は問わず行わなければほかに選択肢がない、という状況となります。しかし、そのためには事前研究が必要であるようにも考える、何故ならば都市閉鎖、感染防止で健康を維持する事が目的であり、犠牲者を増やす懸念があってはならないためです。

 武漢。中国が二ヶ月以上に渡り封鎖した1000万都市では致死率が最大13%と恐るべき数字に達しており、中国全域での平均的致死率を大きく凌駕、真剣にウィルスが強毒型へとウィルス変異が生じたのではないかと懸念したほどです。しかし、イタリア北部での状況を合わせ考えると、都市機能麻痺による免疫低下が原因として考えられる可能性が一部ある。

 ベルガモ。イタリア北部で致死率が11%に達しましたが、この背景には都市閉鎖、ロックアウトをイタリア政府が実施したことにより都市機能が麻痺しました。都市機能の麻痺、実のところ物流維持や配給制度などを構築した上で実施するならば都市機能は維持し得たのでしょうが、無計画な遮断は物流崩壊、維持するべき衛生機能をも破綻させたといえる。

 東京がロックアウト、都市閉鎖に陥る可能性も否定しない。これは23日に東京都の小池知事が表明しました。我が国においても最悪の場合、こうした施策を実施しなければ感染爆発を阻止できない状況があり得る警鐘、といえるのですが、問題は警鐘ではなく実務としてその必要性に晒された場合での都市機能維持への非常措置を準備する必要性があります。

 東日本大震災での福島第一原発事故。原子力非常事態宣言とともに警戒区域が設定され、無理な退避を強いられたことで大きな人的被害が生じました。実のところ日本では形は違うに施与無理に遮断する、ロックアウトの失敗例を既に2011年に経験していますが、その失敗を活かす新しい法整備は為されていません。医療崩壊を避けるために配慮が要る。

 中国とイタリア。ロックアウトの最大の相違は12億の人口を有する中国の、しかも独裁政権が広大な国土の一部を閉鎖する場合と、民主国家であるイタリアが人口の多くと最大の工業地域である北部全域を遮断する場合の相違があり、少なくとも中国の場合には遮断した閉鎖都市に対して医療を送り続け都市機能を維持させる余裕はありましたがイタリアは。

 イタリアの場合は独裁国家ではないために北部を遮断する場合でも鉄道交通遮断は緩慢であり、道路を警察や軍が物理的に遮断するまでの時間的猶予が大きく、結果的に全土への波及を許したことが医療崩壊を北部を筆頭に、しかし結果的にイタリア全土に波及させた事となった可能性もあります。感染地域遮断の意味がなかった、悪化要因である、と。

 福島第一原子力発電所事故とロックアウトの教訓を包括しますと、原子炉損傷に至った全電源喪失、しかし先手を打って原子力非常事態宣言を発令したことで福島第一原発への道路を10km圏内立ち入り禁止として当時の民主党政権は先手を打ちました、が、これが逆に遠隔地から電源車を原発へ搬入する手段を喪失させ、結果、状況悪化を促進している。

 炉心熔解、メルトダウンと格納容器が全損するメルトスルーは、そもそも原子力非常事態宣言ととも同時に全電源喪失になった場合の必要な予備電力の他地域からの緊急搬入を、電源車だけは確保してもその搬入経路やそのための 防護機材を準備していなかったことが、危機を拡大させた訳です。また無理な避難は病院高齢者の生命をも奪った教訓が。

 東日本大震災の教訓を今回のロックアウト、都市閉鎖の準備研究に合わせますと、先ず、ロックアウトした場合で食糧供給網と生存消費財供給網を維持させるために絶対必要な物流を確実に供給させるための輸送力を計算し、これを遮断させることは致死率を2%未満から10%以上に爆発的に上昇させる、副作用があるという危機意識を持たねばなりません。

 地域封鎖を行う場合、確実な遮断を法執行機関及びその能力を有する国の機関により行う、遮断されることにより生じる医療崩壊を回避させるための十分な応援態勢の確立、行政命令により確保できる移動手段と物流への輸送手段を確保したうえで、必要であれば食料配給や非感染者の計画的な疎開、こうしたものまで制度を周到準備、実施せねばなりません。

 緊急制度が必要だ。小学校の予防接種。注射は子供の頃の苦手な思い出ではあるのですが、1957年のアジア風邪において日本国内で300万が感染し5700名もの死者を出したことで1948年予防接種法が改正され、小学校での予防接種が義務化されました。1919年スペイン風邪では当時の日本人口は5500万に対し死者数39万名、風邪ではあるのですが、疾病は恐ろしいのです。

 医師法の一部改正が必要ではないか。具体的には人員が不足する医療関係者を、闇医師の認可は論外ですが看護士を補助する准看護師とは別に特種准看護師か准看護師補、というような制度を救急救命士資格保持者、場合によっては事後受講を条件に看護士の統制下において医療行為支援を行う要員を確保する必要があります。准看護師予科練習生的なもの。

 准看護師予科練習生。前時代的だが要するに今COVID-19事案にたいし積極的な看護補助行動を行うならば、事態収束後に准看護師資格への必要な実務経験として扱う、その年齢や学歴などは問わず、兎に角は医療崩壊を阻止するための即製准看護師として一定期間奉職する事でその後の国家資格への新しい道を付与する、という。批判もあるでしょうが。

 国家資格をアメとしてCOVID-19対策の第一線に投入するムチ、こうした批判はあるのでしょうし、また最低限の教育を行わねば防護服の着脱さえ安全に行えず、特に防護服を脱ぐ際に表面に残留するコロナウィルスに接触し罹患しかねない、感染者を増大させるリスクは生じます。ただ、医療崩壊の要因、医療関係者の不足を補う別の選択肢がありません。

 イギリス政府は24日、25万名の医療ボランティアを募集開始しました。これはハンコック保健相が発表したもので、直接の医療には従事しませんが、高齢者の買い物補助などを外出禁止状況下において実施する、というもの。また、退職した医療関係者12万名が緊急に復職する事も発表されています。停滞する社会を支える方策が要るのではないでしょうか。

 医療過誤の温床となりかねない、として平時であれば許されません。時間は掛かるでしょうが、専門学校にて修学し課程を修了した上で国家資格を取るべきです。しかし、病院が満床となり医療崩壊となっては意味がありませんし、何より医療関係者へはワクチンが存在しいない以上、予防接種も不可能です。非常措置として資格を報酬に多数を募るべきだ。

 医療機器についても、実のところ規格外品であっても非常措置として、数を揃える必要が。例えば3Dプリンターにより異業種が製造した人工呼吸器などを積極的に数を揃えねばなりません。むろん、揮発性塗料の呼吸器流入やコンプレッサーを用い一酸化炭素などが混入する規格外品は論外で排除されるべきですが、異業種による増産の道を開くべきです。

 3Dプリンターを用いた場合、これは既にイタリアで実施されているようですが、耐用年数や強度では既製品と差異はあるのでしょうが、不足する人工呼吸器、それこそ納期が数ヶ月後では失われる生命を救うことができる可能性が大きくなる。平時医療基盤に依拠して人工呼吸器数は画定するのですから、現状不足は必然、戦時規格で数を補うべきでしょう。

 フォード、アメリカの自動車製造大手が人工呼吸器製造へ緊急参入した。アメリカ国防権限法も視野に検討が進むなか、GEと3Mとともにフォードが医療機器製造を開始しました。日本には国防権限法はありませんが、自動車産業や精密産業で医療機器製造以外の業種参入についても、戦時規格、緊急国家規格として必要な機器の性能と仕様を明記し、量産に当てるべきです。

 GMが第二次世界大戦中に設計したM3グリースガン、自衛隊でも11.4mm短機関銃として近年まで第一線で運用されていました装備があります。GMは自動車メーカーですが、戦時での要求に基づき自動車エンジンの技術を応用し量産できる銃器として開発しました。むろんM3と人工呼吸器では求められる精度が違いますが、異業種の参入事例として一つ。

 重要な点は、余り時間が残されていない、ということ。いや、スペイン政府は手遅れの状況が自国では対応できないとして、24日、NATO北大西洋条約機構に人道支援を正式要請しました。手遅れになる前に、というのは、法改正を行い必要な人員を召集もしくは募集するには周知期間が必要、となります。幸い日本は感染第一波をある程度凌いでは、いる。

 緊急の法整備とともに、しかし医療制度の補助要員や規格外の戦時規格医療機器というべき機材を緊急増産することは一朝一夕に行えることではありません。しかし感染第二波まで若干の猶予は残されていまして、現段階で手遅れとか、スペイン風邪の際のような数十万の死者が回避できない状況ではありません。現段階では、選択肢は残っているのですね。

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ニッポンV-22オスプレイ部隊創設,陸上自衛隊"輸送航空隊"が木更津駐屯地に明日新編

2020-03-25 20:00:27 | 防衛・安全保障
■輸送航空隊,初号機五月配備
 V-22,アメリカ海兵隊が水陸機動によける空中機動作戦用に大量配備する高性能航空機です。

 陸上自衛隊のV-22オスプレイ可動翼機運用部隊が明日、木更津駐屯地に創設されます。木更津駐屯地にはCH-47J/JA輸送ヘリコプターなど多数を装備する第1ヘリコプター団などが駐屯している。V-22は回転翼を可動させることで回転翼航空機と固定翼航空機双方の利点を併せ持つ航空機で巡航速度556km/h以上、フェリー航続距離は3590kmに達します。

 V-22はまだ国内に到着していませんが、2015年度予算から2018年度予算にかけ17機が調達され、早ければ今年5月にも最初の初号機と二号機が木更津駐屯地に到着します。現在、陸上自衛隊向けの機体がベル社とボーイング社にて製造が進んでおり、現在のところアメリカ海兵隊のMV-22やアメリカ空軍のCV-22と似たグレー基調の航空迷彩塗装が施されています。

 輸送航空隊。木更津駐屯地に明日創設される部隊名は輸送航空隊という名称で、人員は340名規模、陸上自衛隊は今後順次17機のV-22を配備予定です。ただ、V-22は第1ヘリコプター団に配備されるのではなく、暫定的に木更津駐屯地に配備され、将来的には九州佐賀県の佐賀空港に隣接し新設が計画される仮称佐賀駐屯地もしくは分屯地に移駐する予定だ。

 木更津駐屯地へ暫定配備された背景には、ここには陸上自衛隊最大規模の航空部隊、第1ヘリコプター団が展開しており、地元である千葉県木更津市との間で騒音や安全性の問題が解決した、として暫定配備に関する合意が昨年12月に締結され、これを受けての部隊創設となります。一方、佐賀県との交渉は安全性や用地取得などの見通しが立っていません。

 木更津駐屯地には富士重工SUBARUのV-22定期整備施設が置かれています。これはベル社とボーイング社が製造し有償軍事供与の方式が採られるものの、定期整備や重整備はアメリカに持ち帰るのではなく、日本国内のパートナー企業が実施する事となっており、米軍機の整備も、部品供給遅延から異常に長期化しましたは、既に木更津で行われています。

 目達原駐屯地。佐賀県には第3戦闘ヘリコプター隊や西部方面ヘリコプター隊、また福岡第4師団隷下の第4飛行が駐屯する目達原駐屯地が置かれています。しかし残念なことに2018年2月5日、第3戦闘ヘリコプター隊所属のAH-64D戦闘ヘリコプターが県内の住宅街に墜落、操縦士と射手が死亡し墜落した住宅が全焼する事故があり、慎重論がある。

 V-22は長大な航続距離と巡航速度を有する分、取得費用はAH-64D戦闘ヘリコプターの1.5倍から2倍、CH-47JA輸送ヘリコプターの2倍、UH-60JA多用途ヘリコプターの3倍、そしてボーイング737-800型旅客機やエアバスA-320旅客機の2倍もの取得費用を要する、高価な航空機でMV-22取得費用を転じればUH-2多用途ヘリコプターを130機取得できた。

 緊急展開を考えた場合、例えばその予算でCH-47JAを調達するならば、目達原に第1ヘリコプター団と同規模の第2ヘリコプター団を創設できましたし、UH-60JA武装型を調達したならば、全国の対戦車ヘリコプター隊に各10機の飛行隊を編成する事ができ、言い換えれば陸上自衛隊の航空機調達計画を大きく変容させる、政治的な決定ともいわれています。

 しかし、いったん装備が決定し、そして具体的に17機が配備される段階となりますと、島嶼部防衛における能力は勿論、例えば在外邦人救出においても威力を発揮し、極論ですが、現在配備されていたらば、佐賀空港から中国武漢まで1550kmで充分飛行可能で、新型コロナウィルス感染拡大により世界に取り残された邦人救出へも十分対応できたでしょう。

 水陸機動団。自衛隊には長崎県佐世保市の相浦駐屯地に新編された自衛隊初の水陸両用部隊である水陸機動団があり、V-22は南西有事などの突発的事態に際して緊急展開する装備として調達されました。V-22の性能は佐賀空港に配備する事で沖縄県島嶼部であっても、また東京首都圏であっても水陸機動団をそのまま佐賀から緊急展開させることが可能です。

 第1空挺団と特殊作戦群。さて、木更津駐屯地に創設される陸上自衛隊輸送航空隊ですが、本来緊急展開するべき相浦駐屯地の水陸機動団からは非常に距離を隔てていつものの、千葉県には自衛隊の緊急展開部隊である第1空挺団と陸上自衛隊の特殊部隊である特殊作戦群が近傍の習志野駐屯地に駐屯しており、全国規模の即応緊急展開が可能となります。

 V-22,自衛隊が導入するV-22はアメリカ海兵隊仕様のMV-22により当初は17機が完結する方針でしたが、政府は周辺情勢の変化から後期取得分の機体を一部、特殊作戦用としてアメリカ空軍が運用するCV-22と同型機を取得する検討も続けられています。V-22可動翼機、極めて高価な航空機である分、その能力を最大限、活用してほしいところですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】萬年寺,軍港都市呉を眼下に広島新四国八十八カ所霊場の第四十五番札所拝観

2020-03-24 20:06:14 | 旅行記
■多宝塔,呉基地から見上げる
 広島県呉市。呉と云えば瀬戸内海に守られた帝国海軍以来の軍港都市ですが、軍港であると共に都市である訳ですから、古くからの良港としての歴史風土も層が厚い。

 萬年寺、呉市は清水二丁目の湯舟山にあり、寺院も正しくは湯舟山萬年寺といい真言宗醍醐派の寺院です。広島新四国八十八カ所霊場の第四十五番札所となっている寺院です。実のところ数多い札所の一つなのですが、見上げて、とご覧になっている方は多いと思う。

 海上自衛隊呉基地、海軍呉軍港の時代から連綿と続く軍港都市であり、ヘリコプター搭載護衛艦かが母港として海上防衛の中枢を担っているほか、その直ぐ対岸には海軍兵学校、長い伝統を受け継ぐ幹部候補生学校が修練の場とする江田島が今日も喊声に包まれている。

 加賀、航空母艦の名を継ぐ護衛艦かが、を眺める海から視線を転じて山側をご覧になりますと、峰々に続く坂道の街という呉市山腹の美しい住宅街と共に朱色の小ぶりな、しかし美しい仏塔が燦然と存在感を示し、軍港を見守っている様子に気づかされることでしょう。

 元亀年間の1570年に建立されたという萬年寺は、織田信長が天正年間の1577年中国攻めに先立つ中国地方影響力拡大の一環として費用を出したといい、元々は此処とは遥か離れた愛媛県喜多郡長浜町に在ったという。寺の由来はこう聞くのですが少々整合性が難しい。

 寛政年間の1790年頃、この萬年寺は不幸にも落雷により焼失してしまいまして、廃寺同然の状態になったと伝わる。どういった経緯があるかは浅学にして存じませんが、この萬年寺を再興しようと動きが明治初期より始まり、真隆和尚により呉の湯舟山へ移転されます。

 中興開山真隆和尚としてこの地に寺院が転じられたのは明治19年、新たに広島藩の始祖というべき戦国の英雄毛利元就公所縁の不動明王を本尊として再興されました。拡大する呉軍港と共に真隆和尚は鎮護国家を掲げ不動明王に仏法守護の力士仁王像を安置されました。

 ミャンマーの宗教都市マンダレー、ビルマ王国が第三次英緬戦争に敗北した際の首都でしたが、戦後一時荒廃した萬年寺の再興にこの宗教都市との友好関係があります。日本のビルマ戦線はインパール作戦の失敗により失落しますが、自主独立の大義名分だけは、残る。

 大東亜共栄圏という掛け声は南方進出の大義名分に過ぎませんでしたが、敗戦により精神のみが残り、この宗教都市マンダレーより軍港都市呉の寺院である萬年寺へ仏舎利が贈られる事となり、檀家御人々の尽力と共に七堂伽藍という現在の姿へ再興される契機となる。

 多宝塔はこの萬年寺にひときわ目立つ威容、呉駅や呉基地からも望見できますが、これは昭和中期の1965年に教明和尚の呼びかけで造営されています。萬年寺多宝塔は平和塔ともいい、ビルマ戦線はじめ戦死者、呉を出航し帰らなかった艨艟たちの冥福を祈っています。

 比叡、巡洋戦艦の名を継ぐ護衛艦ひえい現役の頃から、実はこの仏塔は、おやあんなところに寺院が、と見上げていたのですが、何しろ目の前は軍港、中々に護衛艦を撮影するだけで時間を使ってしまい、一つ山へと散策へ行こう、という心の余裕を持てませんでした。

 三十三観音や厄除大師という御本尊と共に多くの仏像観音像が安置されている萬年寺は、呉市の高台の海風の澄んだ立地にあり、それでなによりも静かな場所に位置しています。軍港都市の基地探訪とは若干位置が異なりますが、その歴史を感じるにはよい散策路です。

 伊勢、航空戦艦の名を継ぐ全通飛行甲板方式のヘリコプター搭載護衛艦いせ、母港に呉基地が選ばれた頃には散策の余裕が出てきました。呉駅からバスにて行く事も出来るのですが何分不案内でして、行きはタクシー、帰路は最寄りのバス停より呉駅へと戻りました。

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COVID-19イタリア戒厳令と全世界感染拡大!世界恐慌への景気後退懸念と人権侵食する疾病

2020-03-23 20:20:06 | 国際・政治
■アジア風邪では100万死亡
 東京五輪聖火リレーが大幅縮小される事となりトーチによるリレーからランタンへの巡回へ、新型コロナウィルスCOVID-19は五輪に影響しました。

 日本国内 での感染者数は昨日から47名増加し1102名となり、既に41名が死亡し49名の方が重篤となっています。退院した方は215名で昨日から4名増えました。この数字はクルーズ船検疫者を含まないもので、クルーズ船では712名が感染し10名が重篤、死者数は2名増えて10名となりました。しかし、欧州の感染爆発は深刻で邦人安否が懸念される。

 全世界で10億名に外出制限が発令されています。欧州で最も深刻なイタリアでは死者数が5000名を越えて6000名に迫っており、政府により外出禁止が宣言され武装した軍が監視に当る事実上の戒厳令が発令されました。スペインでは死者が急増し1000名を越えると共に首都マドリード市長は全市民八割が感染の危険があるとして外出禁止を呼掛けています。

 世界恐慌が懸念される程、各国産業へは影響が顕著化し、イタリアでは特別許可を受けた衛生職域や国民生存不可欠の職域を除く全産業の停止が命じられ、一週間で此処まで悪化した状況は欧州全域へ一週間後の展望が読めない正に非常事態だ。航空路線は全世界で停滞の度合いを高めていまして、在外邦人の帰国手段も順次、閉ざされつつある状況です。

 医療崩壊は欧州各国で深刻となり、同時にアメリカでは非常事態宣言に併せた国防権限法が発動、海軍が有する世界最大のマーシー級病院船が現役に復帰し西海岸と東海岸へ展開準備へ入りました。世界では国際航空航路からの入国停止や国境閉鎖が各所で実施され、1945年に終戦しました第二次世界大戦以来の非常事態へと全世界が移行しつつあります。

 日本の新型コロナウィルスCOVID-19は、ほんとうに僥倖ですが、爆発的感染拡大を防いでいます。しかし、興行自粛やテレワーク励行と学校封鎖により無理矢理防いでいるもので、もし再開するならば国内で大規模な感染拡大を誘発しかねません。正常性バイアスにより安心しようとしているのではないか、そこで一段上の疾病脅威へ認識が必要でしょう。

 COVID-19は世界的流行禍となり、現状では何処まで広がるか想像がつきません。世界第二位の経済大国中国で発生した新型肺炎は、当初発生隠蔽を試みた短期間で世界に拡散を許し、グローバルな航空交通網を駆使して世界中で感染爆発の要因を散布、その萌芽によりイタリアはじめ先進国である欧州での感染爆発が懸念すべき状況となってしまいました。

 欧州が感染の中心地、こう危惧されている一方、世界では途上国を中心に自国ではCOVID-19遺伝子のPCR検査態勢を持たない諸国が多く、そうした諸国では医療体制が脆弱です。もっとも危惧するのは静かな感染拡大が進むとともに、本来はそうした諸国に救いの手を差し伸べるべき先進国が自国医療基盤維持で手一杯となり、感染拡大の懸念です。

 最悪の状況を想定して対応している、これは各国の昨今における常套句となっていますが、そもそも最悪の状況が2003年のSARSという、最近ではあるもののCOVID-19と比較し沈静化が容易であった事例を念頭としているのではないか、と危惧します。SARSはPHEIC制度が創設された原因の事例で、世界の公衆衛生は最悪状況をSARSとしてきたといえる。

 公衆衛生非常事態宣言PHEIC、これは聞き慣れない言葉ではあるのですが、元々制定されたのは2003年SARS新型肺炎、中国で発症が始まり世界的に流行した新型肺炎を契機に、各国へ非常措置を要求するための措置としてWHO世界保健機関が制定した制度です。明らかな有事であっても先進国では憲法等と人権があり、非常措置がとれない故の施策だ。

 SARS、重症呼吸器症候群。2003年3月に中国広東省を中心に流行し世界に拡散した新型肺炎で、これはコロナウィルスSARS-CoVにより発生しました。感染者は中国を中心に世界30カ国で8422名ではありましたが、死者数は774名、致死率が9.6%と非常に高かったのですね。そして当時初期段階で、中国政府が発生を隠蔽したことで世界に拡散しました。

 PHEICにより、世界規模での感染拡大の懸念がある事を国連の機関であるWHOが警報を示すことで、人の移動の制限や経済活動の自由、場合によっては強制隔離や予防接種の強制まで、各国憲法が明記する基本的人権立ち入っての強い措置を行うための正当性を、国連の機関が警報を出したのだから、という言い分、こうしたものを付与するの目的です。

 世界的流行禍パンデミー、パンデミックと呼ばれる事態ですが、我々は最悪の状況をSARSの状況として比較しすぎている印象があります。曰く"SARの時よりも経済的影響が大きい"、曰く"SARSの死者数を超えた"、曰く"SARSのときよりも影響か長期化する懸念、"実際、COVID-19はイタリアだけでもSARSの全世界感染者数と死者数の数倍に上る現状がある。

 アジア風邪、1957年の新型インフルエンザH2N2-Vによる世界的流行禍ですが、かなり昔の事例ではあるものの、インフルエンザパンデミック度PSIの五段階中で二段の重度、しかし世界中で死者100万、日本では感染者300万と死者5700名、小児に死者が集中した。COVID-19はSARSとは比較にならず1957年の知見を元に考えなければ、と危惧します。

 アジア風邪は1957年と必ずしも近年ではなく、当然私も経験はありませんが、資料では、ヘルペス症候として皮膚に水泡が出て痒さと破れる事での激痛に苦しむとともに窒息性のクループ肺炎を併発して激しく咳込み呼吸不随が長期間続き重篤状態に陥る、記録が残されています。COVID-19もそろそろ比較軸をSARSからアジア風邪とするべきではないか。

 スペイン風邪。本当に最悪の状況をあげますと1919年の新型インフルエンザH1N1V変異種による感染爆発で世界人口20億の内で最大1億という人口5%が死亡した事例、もう少し最悪の状況では1340年代の黒死病で世界人口が推定1億前後の時代に3000万から5000万が亡くなった事例が。日本では1858年の安政コレラ流行の死者が江戸で数万に達した。

 コレラの流行を参照しますと、もちろんコレラは接触感染であり、治療法も確立しているとともに、先進国ではほぼ根絶された疾病であるため、飛沫感染やエアロゾル感染の懸念があり治療法の無いCOVID-19とは比較にならないのですが、例えば2009年のアフリカ東部における流行では一日3000名死亡、最悪の事態は常に予想の上にある、認識が必要だ。

 日本国内の経済的影響ですが、観光業と飲食業が最初に、続いてスポーツ興行や音楽芸能業が顕著な影響を受け、並行して製造業はじめ多国間国際分業を行う工業への影響が徐々に激甚化しています。そこでなのですが、新型コロナウィルスについては、都市閉鎖を行った中国は別として、日本型の自粛縮小型と欧州の開放戒厳型、と処方箋があるよう思う。

 経済的影響について。特に我が国では自粛要請と自粛要請、その長期化により様々な分野で弊害がでています。特に演奏会やライブショーと演劇などでは最初にその弊害がでていまして、興行を強行すべきか社会からの同調圧力とともに違約金や払い戻し不可などの影響が顕著化しています。宴会自粛や入社式と卒業式自粛、影響は幅広く確実に年度を越す。

 自粛要請の是非について、個人的にいえることは評価が難しい。評価が難しいというのは、個人的に考えるのは先進国でのCOVID-19対処がいまのところ、日本型と欧州型に大別される点です。日本は感染拡大防止措置により一部の分野で経済活動の激甚影響が出ていますが、三月下旬での毎日の死者数は数名に抑えています。痛みは経済の方に来た、という。

 日本型と欧州型ですが、顕著な対比事例はイタリアでしょう、非常事態宣言を出したものの、これに伴う厳しい強制措置はほとんど行わず注意喚起にとどまりました、結果、三月下旬の時点で一日の死者数が300を超えました、沈静化して欲しいが数日で千名と十日で数千の死者数となる。しかし逆に言えば欧州、外出禁止令までは経済活動は普通に行えた。

 欧州型の場合は、周辺国から入国拒否され、経済活動は脳死に近い状態とまでは行かずとも、半身不随となります。食品医薬品以外の商店が非常措置により閉鎖されては商品の生産も流通も成り立ちませんし、本当に二週間程度の非常措置となるのか、武漢封鎖のように数ヶ月となる可能性もあり、細々とした維持も難しくなります。ただ対策視点はどうか。

 日本型ではなくとも、これは個人的には反対と前置きした上で、一日数百程度死者が出ることを織り込んだ上で経済活動を通常通り継続する、という施策に国民の総意が合意するならば、欧州型もあり得たのでしょうか。もっとも、感染力と致死率、医療崩壊による致死率上昇を見込めば一年程度で太平洋戦争死者数を超え、確実にこの社会が崩壊しますが。

 全米非常事態宣言、イギリスを含む欧州からのアメリカ入国禁止措置には驚きましたが、これに欧州各国も続く厳しい措置を採っています。フランスやイタリアとスペインでは全土の学校閉鎖を筆頭に商業施設閉鎖とともに国境閉鎖と一部では罰則を伴う外出禁止令という事実上の戒厳令に近い措置が採られています。現状では日本の措置より格段に厳しい。

 日本の措置は当初、巨大クルーズ船ダイヤモンドプリンセスの横浜検疫留と中国湖北省及びその周辺からの入国拒否、そして空港国際線でのFLIR赤外線監視装置体温検査に軸が置かれており、実のところ不十分や過剰反応という指摘がありました。反論に中国全土入国禁止を求める声があり、逆にイタリアのクルーズ船対応を見習うべきとの指摘もあった。

 我が国では政府の対応は続いて強化され、日本国内全域での公立学校と公共施設閉鎖要請と大規模興行の政府自粛要請、中国全土と韓国からの国際線を関空と成田に限定し二週間隔離要請を行い、更に全欧州からの入国制限、対策は強化されています。個人的に、これは過剰対応ではなかった、と考えているのですが興行自粛要請による影響は甚大です。

 感染爆発を受認してでも、興行自粛要請には踏み切らず、最悪の局面を迎えた時点で非常事態宣言を発令し、少なくとも二週間から一ヶ月程度、戒厳令のような外出禁止令を出した方が、影響は少なかったのでしょうか。実際のところ、イタリアやフランスとスペインなどはこの施策に近い方針を採り、イタリアは毎日最大800名という数百人規模の死者が。

 この点で、日本としては、経済活動を普通通り維持しつつ感染者数と死者数を局限する、という極めて厳しい均衡点を見いだしたのが現状であり、これより上であればパラオのように全国際航空路線及びクルーズ船を含めた旅客船入港禁止による完全な鎖国、という選択肢、そして欧州型の非常事態宣言戒厳令、という選択肢しかない。どちらがよいのか。

 日本型の自粛縮小型は現状の通りですが、欧州の方式は開放戒厳型というべきもの。開放戒厳型というのは過剰な自粛は求めないが、結果的に感染拡大が進み重篤者と死者が急増する為、開放から一挙に戒厳令のような外出禁止措置や道路封鎖など厳しい施策に急激に進む方式です。どちらが良いのか、意見集約は難しいですが社会全体で議論すべき課題だ。

 感染対策について。世界の感染対策を視ますと、日本の厚生労働省が実施したクラスター対策型、中国政府が実施した都市閉鎖型、シンガポールや韓国が実施し中国が閉鎖都市以外で実施した感染者情報公開型、欧州諸国およびアメリカが実施した総力医療型、実際のところこの四類型に大別できるように思います。効果が高いものが一つ、中程度は二つ。

 都市閉鎖型。実際のところ、地域を人口数百万から一千万単位で広域に遮断し、感染爆発を全土へ波及させない、中国の施策は唯一効果が在った選択肢でした。しかし、閉鎖都市では致死率が10%以上という恐るべき数字となり、いわば数千万単位の人口を切り捨てる覚悟が必要である事から、基本的人権が確立した先進国では選択肢としてあり得ません。

 クラスター対策型。日本の選択肢は数名から十数名規模乃至数十名の感染を一つのクラスターとして識別し、刑事ドラマの刑事が事件を追うようにコロナウィルスを追って被害者を追尾する方式です。実際のところ、この施策は一ヶ月前に爆発的感染の懸念が在った中で追い切れる数なのかという懸念がありましたが、数字は冷静で日本国内感染爆発はない。

 クラスター対策型は、社会基盤を崩壊させず確実に感染拡大を阻止できた、と現時点ではいえるかもしれません。ただし難点はクラスターが十数件から数十件までは辛うじて終えますが、数名単位のクラスターが数百となった場合は追尾が飽和状態となる為、日本のように感染初期に批判を覚悟で広域着手しなければ効果が無い、といえるのかもしれません。

 感染者情報公開型。これは韓国やシンガポールが大規模な感染爆発を封じ込める、もしくは感染爆発を生じさせないという成果があり、効果が大きいのですが副作用も同時に大きいという対応策です。副作用とは、個人情報や、ある種で感染者が犯罪者のように扱われる、日本の被害者追尾とは対照的だ、こうした傾向があり副作用で失われるのは人権です。

 感染者情報公開型の様式は単純で、感染者の居住地と勤務地及び移動経路の情報を衛生当局が情報公開する、というもの。スマートフォンなどで感染者がどの程度近くに所在するのかを警報する、かなり踏み込んだ個人情報が公開されていまして、韓国やシンガポール、そして中国が閉鎖都市以外で実施している。これは感染者への迫害にも直結しています。

 総力医療型。これは感染者を可能な範囲内で選別し、片端から治療してゆくという、世界は1919年スペイン風邪での大打撃以降、先進国では医療制度を構築した事で1957年アジア風邪、1960年ソ連風邪、2003年SARS、2009年新型インフルエンザ等を封じ込めてきました。云わば王道ではあるのですが、総力医療型は想定以上の感染者数に耐えられない。

 総力医療型はイタリアでは死者数が6000名に迫る状況で医療崩壊というべき重篤患者のトリアージが行われており、死者数が1000名を越え刻々と日間死者数増大度の大きなスペインでも医療崩壊回避が治療に並行する状況となり、残念ながら総力医療型という総力戦で、COVID-19は欧州の防疫陣と医療能力を超える感染力と致死率を有し、失敗しつつある。

 COVID-19,問題は効果を上げているものの多くが基本的人権を程度の多寡は有れ犠牲とする方式がある、という事でしょうか。言い換えれば基本的人権と流行禍阻止は両立できない、というものなのかもしれません。故に欧州各国は今回の流行禍を“戦時”と明示し、戦時法制を部分的に応用する形で政治的正統性と正当性を確保しているのかもしれません。

 ただ、クラスター対策型については感染拡大が一定以上の規模となった場合には手遅れであり、既に感染爆発が各地で発生している欧州では、事実上の戒厳令に近い状況が落ち着いた後の終息宣言への最終段階でしか応用できないものですが、人権と疾病対策を両立できる選択肢、として、もう少し評価されてはどうだろうか、と考えます。結果論ですが。

 基本的人権を犠牲としなければ感染拡大を阻止できない、こうした認識が広範に世界で共有される事は、非常に憂慮します。もっとも、最たるものが外出禁止令を発令し事実上の戒厳令まで進んだ欧州である為、人権を制約しなければ生じる危険な結果、として、やはり人権論は危険なのだ、と認識が定着する事も疾病感染拡大と同程度に危険と考えます。

 厚生労働省としては日本型であるクラスター対策、人権を最大限確保しつつ一応現時点で感染爆発を防ぐ方式に更に注力し、基本的人権が確立している世界の諸国が、疾病を理由に時代を逆行させず済むよう、ほんとうに期待したいです。他方、現時点で感染拡大を阻止しているものの終息には程遠く、まだまだ厳しい自粛要求と追尾、継続は必要でしょう。

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【G3X撮影速報】練習艦隊江田島出航.近海練習航海部隊-外洋練習航海部隊(2020-03-14)

2020-03-22 20:20:50 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■出航!うらが-あさひ-てるづき
 練習艦隊江田島出航、今回は後篇をお伝えしましょう。この日は曇天雨天予報が曇天晴天予報に切り替わり幸いを随伴しての出航です。

 うらが先頭に近海練習航海部隊の護衛艦あさひ、そして外洋練習航海部隊護衛艦てるづき、が江田島出航してゆきます。本年は並木道の見送りなども割愛されていまして、幹部候補生課程修了者は駆け足で交通船に乗り込み出航です。彼ら彼女らの前途に幸多かれ。

 あさひ型護衛艦、あきづき型護衛艦、今年度の近海練習航海と外洋練習航海は参加艦艇が少ないとはいえ、文字通り最新鋭の護衛艦、世界中どこに寄港しても最新鋭で通じる護衛艦が練習艦隊の一員として大海原へと出航してゆく様子は、なかなか考えさせるものが。

 あさひ型一番艦護衛艦あさひ、実は建造中の様子は三菱重工長崎造船所にて見る機会が在ったのですが、その後の竣工の後には御縁が無く、二番艦しらぬい、を幾度か見ましたもののこの、あさひ、竣工の後に見上げたのは、上げてはいないか、今回が初めてでしたね。

 新型コロナウィルス。なにしろ一月初旬の第1空挺団降下訓練始めの頃には日本に来るかも、という雑談が翌週に現実のものとなり、そして国内での感染拡大を受け全公立学校閉鎖と集会自粛要請、抑えている内に欧州での大規模感染、全米非常事態宣言、となった。

 かしま、今回は居ない。近海練習航海では後半からの参加です、前にも練習艦隊司令官が護衛艦くらま座乗とか、ひえい座乗、ということがありました。かしま、あとで見てみますと呉基地に入っていました。練習艦隊司令官うらが座乗、此方の方が船体大きく見た目が強そう。

 てるづき。FCS-3を搭載し僚艦防空という限定的な艦隊防空能力を有する護衛艦であり、海上自衛隊として護衛艦あきづき型は二代目となります。先々代は防空艦として設計された駆逐艦秋月型だ。超望遠で撮影しますと登舷礼を行う新任幹部の姿が良く見えますね。

 いせ。早朝には呉基地に入っていたようです。竣工当時の母港は呉基地でしたが、かが竣工とともに呉基地から南西睨む佐世保基地へ、くらま後任として護衛艦いせ、は迫力の艦容を轟かせています。久々に呉に戻っていたのですが早い内に柱島へ移動していたもよう。

 津久茂瀬戸にて練習艦隊を見送る一行。今回の練習艦隊出航は新型コロナウィルスCOVID-19日本国内での感染拡大を受け、幹部候補生学校卒業式が大きく縮小されてしまいましたが、津久茂瀬戸での見送りは例年通りで、遠くこの岩風呂山まで届く程でした。

 江田内からの出航は、どれだけ撮影を重ねましてもなれる、ということはありません、これは言い換えれば王道がない、となる。単縦陣で練習艦隊は出航してゆくのですが、行く手を阻むのは牡蠣筏とその曳船です。呆れるほどにもの凄く遅く小回りは全く利かない。

 曇天であったのですが、この情景のように雲の狭間から陽光がさす時がありまして、鮮やかに軍艦色の護衛艦が輝く様子は、コロナ猛威下での希望の光のよう。そして幸いにして出航から一週間と一日、日本国内でのCOVID-19爆発的感染拡大は抑えられています。

 単縦陣を組む練習艦隊ですが、基点とする地上目標は、それよりも牡蠣筏を避ける航路をとりますので、ここに立てば単縦陣を美しく撮影できる、という立地が毎年微妙に違ってしまうのですね。牡蠣筏は、一時間たっても短距離しか進みません、仕方ないけれど、ね。

 近海練習航海部隊。あさひ、いせ、うらが。非常に希有な事例ですが五十音順にア・イ・ウが揃った近海練習航海部隊で、あしがら、いかづち、うんりゅう、というような取り合わせでなければなかなか成り立たないこの陣容ですが、いせ、喫水が厳しいようで居ない。

 江田内は重巡利根、軽巡大淀、が呉空襲において最後の激戦を展開した立地ですので、大淀は重巡並の大きさの巨大軽巡ですし利根は紛れも無き重巡、これが入れたのだから護衛艦いせ、大きいけれどなんとかなるか、と思ったのですが大事なことを忘れていました。

 いせ。19000tでかなりの大きさなのですが、重巡利根を制海権喪失後の海軍が江田内に係留したのは、万一空母艦載機の空襲を受けて浸水した場合でも水深の浅い江田内であれば大破しても座礁して沈没だけは免れる、というもの。要するにここ、結構浅いのですね。

 公民館前。さて撮影位置ですが、私は牡蠣筏の位置で最適解が毎年変わるのだから、考えるだけ空しい、と考えまして、とある高台の公民館前で撮影しています。江田島高速船高田港から徒歩15分ほど、多少茂み視界に入りますが、納得いく良い構図では撮れるのです。

 岩風呂山、この高台は岩風呂山という名だそうでして、その山道をもう少し、徒歩で30分ほどでしょうか、上りますと岩風呂神社という社があります。撮影位置の公民館は小さな集会所という装いですが、日当たりもよく、舗装路を上りますので移動も容易な場所です。

 岩風呂神社、せっかくですので練習艦隊出航を見送りまして、その艦影が水平線へ江田島から瀬戸内の複雑な水路の先へ見えなくなるのを高田港で見送りまして、その上で参拝、空気の澄んだ平和な情景を満喫するとともに、小用港、そして呉を経て帰路に就きました。

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