北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

本日は大晦日 ありがとうそしてさようなら2008年

2008-12-31 19:47:59 | 北大路機関特別企画

■大晦日 皆さん良い御年を

 本日を以て2008年は終わり、明日から2009年がはじまる。本記事は、大晦日ということで本年最後の記事。

Img_6173  本年は、考えてみれば経済面や安全保障上の問題、加えて内閣の交代など様々なことがありましたが、恐らく構造的な問題から、新しい問題やより大きな問題が新年には噴出してくる可能性が高く、そういうときこそ、より多彩な意見や見解を集め、危機に挑戦する必要があるのでは、と考える次第。

Img_6177  聞いてみると、学生の方で読まれているのも多いということ、当方も院生なので、視点が近いのかもしれない一方で嬉しい。安全保障、特に軍事的な安全保障の問題について、ソフト、ハードの面で、加えてミクロからマクロまで、微力的ながら様々な情報や思考体系の構築や脱構築に一助となるような記事と、付け加えれば古都京都の美しさ、鉄道交通力の偉大さを再検討出来るような記事掲載を心がけてゆきますのでよろしくお願いいたします。

北大路機関

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2008年に展開した自衛隊・米軍関連行事 (駐屯地祭・基地祭・航空祭)

2008-12-30 13:56:17 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事

■自衛隊関連行事2008

 まもなく2008年もおわり、明日が大晦日である。そこで、本日は今年展開した自衛隊、米軍関係の記念行事全16を概括して掲載したい。

1_img_3752  第一空挺団創設記念/習志野駐屯地祭(4月6日)。中央即応集団隷下におかれた日本唯一の空挺部隊であり、その精鋭さは全自衛隊に響き渡る。首都防衛から周辺事態にまで対応する緊急即応部隊として知られる部隊。式典は快晴に恵まれ、満開の桜を背景に、部隊整列、観閲行進、降下展示などを実施した。空挺用89式小銃や9ミリ機関けん銃などに加え、機械化が進む空挺団の姿を展示した。

2_img_0299  第1師団創設記念/練馬駐屯地祭(4月13日)。首都防衛を担う第1師団の創設記念行事、早朝まで降っていた雨もおさまり、石原東京都知事臨席のもと式典が行われた。観閲行進では、頭号師団といわれるだけに高機動車と普通科隊員が揃った行進をみせ、訓練展示では創意工夫に溢れた戦闘展示を実施した。重火器こそ少ないが、近接戦闘を筆頭に高い訓練を重ねた精強な師団という印象を与えた行事だった。

3_img_1036  第33普通科連隊創設記念/久居駐屯地祭(4月27日)。第33普通科連隊は、中部方面隊で最初に軽装甲機動車を受領した部隊であり、近接戦闘から野戦まで鍛えられた連隊だ。久居駐屯地も、旧軍から数えて創立百周年という記念すべき駐屯地祭であった。式典は訓練場にて実施され、観閲行進、訓練展示などが実施された。

4_img_2349  岩国日米フレンドシップデイ(5月5日)、アメリカ海兵隊岩国航空基地の一般公開行事で、米軍再編により厚木航空基地の空母航空団が移駐する予定の基地であり、恐らく展開する部隊としてはアジアでも有数の航空基地となるだろう基地の一般公開。海上自衛隊岩国航空基地展開部隊や、航空自衛隊などの航空機も外来機として地上展示や、飛行展示に参加した。

5_img_0206  中部方面混成団創立記念/大津駐屯地祭(5月11日)。新しく第2教育団と、即応予備自衛官主体の第47普通科連隊を中心に編成された中部方面隊直轄部隊である中部方面混成団の創立以来最初の駐屯地祭。第2教育団の前期教育中の二個教育大隊による迫力の徒歩行進と、第47普通科連隊による訓練展示などが展示された。

6_img_0800  第3師団創設記念/千僧駐屯地祭(5月18日)。伊丹市に司令部を置き、京阪神地区を中心に近畿地方の防衛警備および災害派遣を担当する第3師団の創設記念行事。各連隊には複数の中隊が軽装甲機動車の配備を受けており、通常の戦闘はもちろんのこと特殊武器防護隊などを有する政経中枢師団として、訓練に励んでおり、観閲行進では充実した装備を誇示した。訓練展示は野戦と近接戦闘を織り込んだ迫力の内容であった。

7_img_1751  第1警戒群開庁記念/笠取山分屯基地祭(6月1日)。三重県に置かれているレーダーサイトで、約200名の隊員が防空へ電子の目を光らせている。例年、霧に悩まされることで有名な行事であるが、今年は快晴。分屯基地の装備品などが開放され展示されるとともにAH-1Sによる飛行展示やT-4による編隊飛行などが展示された。

8_img_9375  富士学校・富士教導団創立記念/富士駐屯地祭(7月20日)。陸上自衛隊の普通科、機甲科、特科部隊の職種教育及び戦術研究、装備品の評価試験などを行う部隊であり、加えて機械化された普通科連隊や自走火砲、五個中隊基幹の戦車部隊などを有する日本屈指の機械化部隊としても知られる。90式戦車、89式装甲戦闘車、99式自走榴弾砲、MLRS,88式地対艦ミサイルなどが登場し、観閲行進、訓練展示ともにさすがの迫力であった。毎年観覧席の位置の悪さが指摘される行事のひとつであったが、今年は最適、天候は霧もなく陸上自衛隊の新鋭装備などを観ることができた行事だ。

9_img_6536  舞鶴地方隊/舞鶴基地ちびっこヤング大会(7月26日)。海上自衛隊舞鶴基地の一般公開行事。舞鶴飛行場も一般公開され、音楽演奏や艦艇の一般公開などが行われた。今年は、第3護衛隊群の旗艦はるな、が環太平洋合同演習に参加しており、舞鶴展示訓練は行われなかった為、貴重な行事であったのだが、とにかく舞鶴は暑かった。

10_img_8964  富士総合火力演習(8月23日)。陸上自衛隊が実施する日本最大の公開実弾射撃。当方は予行を見学することができた。雨天の危惧があったが、なんとか前段演習、後段演習ともに雨天へは至らなかった。しかし、夜間演習は雨。本番に至っては豪雨であった模様。そうしたなかで、多くの素晴らしい写真を撮影することができた。

11_img_6399  第3戦車大隊・第10戦車大隊/今津駐屯地祭(9月21日)。中部方面隊隷下の第3師団、第10師団隷下にある戦車部隊が駐屯する、日本でも有数の機甲部隊駐屯地。新しく中部方面沿岸監視隊が今津に編成されたが、その装備も展示された。観閲行進、訓練展示ともに迫力であった。式典開始直前まで豪雨であったが、奇跡的に雨が上がり、撮影することができた。

12_img_2388  第10師団創設記念/守山駐屯地祭(10月5日)。東海北陸地方の防衛警備および災害派遣を担当する師団の創設記念行事。四個普通科連隊を基幹とする師団で、各普通科連隊は第4中隊を軽装甲機動車により装甲化するとともに、対戦車中隊を置き、戦車大隊は四個戦車中隊、特科連隊は五個大隊基幹とするなど、中部方面隊最強の火力を有する師団の行事で、小雨が時折ぱらつくなか、観閲行進、訓練展示などを実施した。

13_img_9381  中部方面航空隊創立記念/八尾駐屯地祭(10月11日)。大阪府の八尾空港に隣接する駐屯地で、中部方面隊直轄の多用途ヘリ部隊や対戦車ヘリ部隊など航空部隊を一手に指揮する航空隊司令部の創設記念行事。燃油費高騰により参加航空機は減少したものの、編隊飛行による観閲に加え、消火展示、野戦を中心とした訓練展示を実施。地上展示には明野からAH-64Dも駆けつけた。

14_img_5156_1  第10特科連隊創設記念/豊川駐屯地祭(10月25日)。中部方面隊唯一の特科連隊が駐屯し、第49普通科連隊や第10高射特科大隊、方面隊直轄の第6施設群などが駐屯する。FH-70榴弾砲が次から次へと来る行事として知られ、観閲行進から訓練展示まで砲焔が溢れる行事であった。訓練展示では、障害除去や特科射撃、対空戦闘、普通科の攻撃などが織り込まれている迫力の内容であった。

15_img_6581  航空学校創設記念・明野駐屯地祭(11月9日)。陸上自衛隊の航空科職種教育、新装備の評価試験、戦術研究から、パイロットの養成までを一手に担う航空学校の創設記念行事。祝賀飛行などは、燃油費高騰により縮小されていたものの、AH-64D戦闘ヘリコプターの編隊飛行から機動飛行までという活躍により見どころの多い行事となった。CH-47による地上滑走体験は予定通り行われ、物凄い人気となっていた。

16_img_0186  岐阜基地航空祭(11月30日)。航空自衛隊が運用する全航空機の評価試験を実施する飛行開発実験団が展開する岐阜基地航空祭。航空自衛隊の多種多様な航空機が編隊を組み多機種編隊飛行を筆頭にブルーインパルスの展示が行われ、地上にもF-15近代化改修機が二種、CCV実験機や無人機、KC-767空中給油輸送機、EC-1電子戦訓練支援機などが展示、注目の行事となっていた。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十年度一月期 陸海空自衛隊主要行事 実施詳報

2008-12-29 22:11:27 | 北大路機関 広報

■自衛隊関連行事

 2008年から2009年へ、いよいよ今年も終わりである。来月、つまり2008年度1月期の自衛隊関連行事について掲載したい。

Img_4097  1月期に実施される行事は、公式には11日の第1空挺団降下はじめ、のひとつである。この行事は、防衛大臣視閲のもとで、第1空挺団が新年最初の空挺降下、そして戦闘訓練展示を実施するという行事である。これについては、第1空挺団の上級部隊である中央即応集団HP()などを参照して戴きたい。

Img_4407  また、部隊ごとに日にちは異なるが、陸海空自衛隊の航空機を運用する部隊では、飛行はじめ、年頭訓練として、編隊飛行を行う部隊がある。これも、新年において無事故のもとでの任務完遂を目指すための行事であり、原則として非公開の行事ではあるが、離陸した編隊は地上からもその雄姿を望むことが出来る。

Img_4265  さて、空挺降下初めであるが、これは習志野演習場において実施される公開行事である。第1空挺団は、日本唯一の空挺部隊として知られているが、この中から約300名の部隊が軽装甲機動車などとともに参加、C-1輸送機やCH-47ヘリコプター、多用途ヘリコプターの支援を受け降下及び空中機動を展示する。

Img_9604  降下した部隊は、富士教導団などが仮設敵として展開している地域に対し攻撃を行う戦闘訓練展示を実施、これがなかなかの迫力だという。空挺降下は、今日風などの状況では中止されることもあるが、その場合はヘリコプターによる空中機動により部隊は迅速に展開、状況にはいるとのこと。

Img_3717  戦闘訓練展示の終了後は、防衛大臣による訓示が行われる。この様子は、テレビニュースなどでも報じられ、マスコミを通しての知名度は富士総合火力演習とも並べられるものであるが、自力にて習志野演習場まで展開できる方は、自由に観覧することが出来るというのが特筆される点である。

Img_4024  第1空挺団は、中央即応連隊とともに、緊急時には即応して出動する精鋭部隊であり、装備の近代化も進められており、その装備などにも注目したい。なお、現段階では日程以上の情報は中央即応集団HPには出されていないので、追って公表時には本ブログもしくは第二北大路機関に掲載の予定である。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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2008年に日本へ寄港した外国艦船 強襲揚陸艦からステルスフリゲイトまで

2008-12-28 23:34:49 | 世界の艦艇

■ようこそ日本へ

 日本に寄港した外国艦船、この中で、米軍艦船を除けば京都から近い大阪や神戸、名古屋に来る艦船は少ない。こうした中、東京、横須賀に寄港した艦を撮影する機会があり、これらを写真として掲載したい。

Img_0049_1  フランス海軍強襲揚陸艦ミストラル(Mistral)。フランス海軍が2006年から二隻を就役させた強襲揚陸艦のネームシップで、満載排水量は21600㌧。ヘリコプター16機を搭載する格納庫と全通飛行甲板を有し、LACAも運用可能で揚陸艇四隻を搭載するドックを船体後部に配置している。揚陸部隊450名、装甲車両60輌を輸送可能な揚陸艦。クルーズ船の設計を流用した商船規格を用いて建造しているため、建造コストは船型に比してかなり低コストに収められており、その分、従来型戦闘への対応には制限が加えられるものの、低烈度紛争や国際平和維持活動への参加には理想的な一隻だ。

Img_2530  イギリス海軍23型フリゲイト、ケント(Kent)。満載排水量4200㌧のフリゲイトで、上部構造物に能力を制限しない範囲内での徹底したステルス性が考慮され、巡航にディーゼルエレクトリック、高速航行時にガスタービンを点火するという音響ステルス性と航続距離の延伸を目指した設計が特色。就役当時、ネームシップなどにFCSが未完成であるなど、危惧されたが、今日では英海軍の主力汎用フリゲイトとしての地位を占めている。重量軽減のために搭載艇を簡易複合艇とし、CIWSを廃止しシーウルフ短SAMに集中させているなど、賛否は分かれるが特徴的な設計を採用している。

Img_3083  シンガポール海軍フォーミダブル級フリゲイト、ステッドファスト(Steadfast)。満載排水量3200㌧のフリゲイトで、ステルス性能を盛り込んだ艦船の設計では定評があるフランスにより設計された。船体の規模は小ぶりであるが、徹底したステルス設計が採用され、島嶼部の多いシンガポール周辺海域では絶大な威力を発揮するだろう。多機能レーダーやアスター15短SAM、ハープーンSSMなどを搭載し、中型ヘリコプターの運用能力を有する。その分、船価は同規模の水上艦と比して高くなっているものの、運用思想などでは興味深い一隻だ。

Img_7792  カナダ海軍ハリファックス級フリゲイト、カルガリー(Calgaly)。満載排水量4770㌧。90年代前半に整備された水上戦闘艦で、米海軍のSQR-19曳航ソーナーを元にしたCANTASSを装備、ガスタービンエンジンをラフト構造の架台上に配置、大型対潜ヘリコプターの運用能力を有するなど、対潜性能を重視した設計となっており、対空用に優れた2インチ速射砲やVLS方式の短SAMを搭載するなど、個艦防御能力に軸を置いた上で、船団護衛などに必要な護衛艦としての性能を重視。カナダ海軍がシーレーンを防衛する上で必要な設計に特化している一隻だ。

Img_7738  カナダ海軍補給艦プロテクター。非核神戸方式に基づく核兵器非搭載証明をもたなかったことで、神戸港に入港を断られたことが有名な一隻。本艦は、その後継艦が注目されている。現在計画されている後継艦は、統合支援艦として構想されている。統合支援艦は、補給艦の性能に加え、後部に長大な飛行甲板を設置し、多数の輸送ヘリコプターを運用する能力を有する。満載排水量28000㌧を予定しており、国際平和維持活動における支援や、戦力投射能力を発揮するもので3隻の建造が計画されている。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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名鉄モノレール線日本最初の跨座式モノレールが本日廃止

2008-12-27 18:35:17 | コラム

■本日が最後

 名鉄モノレール線が、本日、その営業運転を終了し、MRM-100形モノレールの車両と、路線双方ともに廃止・廃線される。

Img_3005  MRM-100形は、ドイツのアルベーク社が開発した、コンクリート製一本のレールに跨った車両が、ゴムタイヤにより機動するという方式。軽合金製で三輌の定員は約200名、97‰の急勾配にも対応している車両である。モノレール線は、犬山遊園駅から成田山駅を経て動物園駅までの1.2kmを4分で結んでいる。動物園駅からは“SFドラマ 猿の軍団”などでも知られる日本モンキーパークに連絡するが、今後はバスにて結ぶとのこと。明治村と犬山駅のバスによる利便性の悪さを考えれば、今後の日本モンキーパークにも影響が出て来ないかが心配だ。

Img_2918  パノラマカー、モノレール、510形重連など、様々な見どころで愛された名鉄であるが、その姿は大きく変わりつつある。たとえば、このモノレール線も、1.2kmの路線の維持に専用の人員と機器を揃えることは、採算性の面から問題があったのだろう。ここで、例えば名鉄が、大阪モノレールのように名古屋の中心である栄町駅、もしくは新幹線とも近い新名古屋駅から広小路通り沿いに栄を経て名古屋空港まで結ぶモノレール路線を開業していれば、名古屋空港の利便性や、今日の姿も変わっていたのではないか、と考える。

Img_2872  モノレールは、通常の鉄道線では考えられないような勾配に対応する能力を有し、くわえてゴムタイヤ方式により騒音が少なく、軌道線のように自動車交通にも影響を及ぼさず、車道の上を架線とともに移動できるメリットがある。デメリットとしては、構造上、速度が通常の鉄道に比して劣る点、車両の整備コストなどが挙げられるが、利点を活かし、もう少し大きな路線網を構築していれば、また今日の姿は変わったのだろうか、と考える次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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さよならパノラマカー 本日定期運行終了 鉄路の先に到達した終点

2008-12-26 18:29:32 | 北大路機関特別企画

■名鉄7000形営業運転終了

 全てのものに終わりは来る。ただし、多くのものは継ぐものがあるのだが、継ぐものがない場合もある。しかし、そうした中でも多くのファンに愛された電車は、最後の力走を果たした。本日は、その模様を掲載したい。

Img_3371  名古屋鉄道の看板電車として活躍した7000形電車パノラマカー。展望席を備えた人気の電車であり、7500形や7700形とともに、一大勢力を誇ったパノラマカーであるが、1998年より廃車が始まり、徐々にその勢力は減少。今日、新ダイヤ改正前夜を以て通常ダイヤにおける営業運転を終了する。

Img_3323  老朽化、省エネなどなど、さまざまな理由はあるものの、無料で乗れる展望車という存在、クロスシート急行車という存在そのものが、後継車両を持たず、遂には展望車をもたない特急車両に押されるように、その存在に終止符を打ち、鉄路の果てに車両としての終点を迎えることとなる。

Img_3109  最後の電車に、乗るのが乗り鉄、最後の電車を撮るのが撮り鉄、と、いわれているが、当方は、そういった戦闘地域となりがちな状況はあえて避けたい所存。混雑を避けるべく、パノラマカーの始発に乗車することとした。しかし、0530時に到着した名鉄岐阜駅には既に展望車を確保するべく並ぶ人の姿があり、改めてパノラマカーの人気を再認した。

Img_3179  0559時名鉄岐阜駅発の知多半田行き普通。先頭車は7011号。個人的に思い入れのある列車であるが、名鉄岐阜から乗るのは何年振りだろうか。運転士が表示板を確認し、いよいよ運転台に乗り込む。知多半田行き普通は、通常ではこの時間帯に考えられないほどの乗客を乗せて発車する。

Img_3206  この編成は、特急車両として、座席指定席運用を想定し、車内の内装を改めたもので、転換式クロスシートが、セパレートに近い形状のものとなっている。かつては、カーペットまで敷いて、優等列車として運行されていた車両だ。ただし、特急としてよりも、本数では普通電車や急行として運用されることが多く、一種の乗り得電車であった。

Img_3252  もともと、パノラマカーのは、国鉄急行車や一部特急にさえ冷房車が無かった1961年に、冷房を標準装備、加えて転換式クロスシートを配置し、展望車を取り付けて営業運転にデビューした。当時、名鉄には、戦前の旧型車や戦時急造型電車の姿もあったなかで、文字通り群を抜いた存在であった。

Img_3207  展望車を設けている他にも様々な気配りがあり、たとえばこの窓辺。眺望の良い連続窓とカーテンはもちろんのこと、この広さと、この窓辺の高さというスペースは、ジュースを置くのに丁度よく、もたれるにも心地よい場所。こういった気配りの有無は、例えば183系特急などと乗り比べると大きい。

Img_3210  岐南駅にて通過待ちのパノラマカー。2000形特急、2200形特急が次々と追い抜いてゆく。まだ暗い早朝の名古屋本線を勢いよく新鋭特急が走る中、落着きを払って7000形は出発した。京阪や阪急では、クロスシート特急車を旧式化に伴いロングシート化し通勤車としたが、名鉄は、そのまま長距離普通電車として運用した。所要時間2時間に達する運用もあるため、クロスシート車にて運用する意義は大きい。

Img_3236  展望車に対向する急行電車の姿が見える。デジタル速度計にはパノラマカーがデビューした1961年と同じ61という数字が映っているのが面白い。パノラマカーは、前述したように特別料金を必要としない車両であり、これはデビュー当時も同じであった。当時は、国鉄東海道本線が非常に遅く、競合する対象は、自由自在なライフスタイルに対応していた自家用車であった。

Img_3248  名鉄は、かつて500km以上の路線網に、名古屋と中心とした中小都市を結んでおり、例えば京阪神を結ぶ関西私鉄や首都圏私鉄のような大量輸送需要が必ずしもあるわけではなく、いわば、散在するベットタウンと名古屋を結び、休日には自動車に対抗し行楽輸送に対応する必要があったわけで、必ずしも通勤車として最適ではない車内配置には、必要とする背景があったわけである。

Img_3253  こうして、特急から急行、そして有料の指定席特急にも対応し、普通電車としても活躍したパノラマカーであるが、曰く省エネ、曰く老朽化により廃止されることとなり、本日がその最終日である。しかし、省エネといっても六両編成の7000形を四両編成のロングシート5000形に置き換え、足りない座席は乗客に立っていてもらうという省エネ。老朽化とはいっても急行車そのものを廃止する勢いでの廃止は、文字通りサービスの低下であり、残念ながら並行する東海道線にはJR東海の満員の313系が走っているという現状だ。

Img_3266  考えさせられることは多い中で、パノラマカーは30分余りの時間を満喫させつつ名鉄一宮駅に到着。当方含め数名が、隣に追い付いてくる特急豊橋行に乗り換える。時計を見れば0626時、中には、名古屋駅にて新幹線に乗り換え東京に、という人も居たようだ。なるほど、のぞみ号ならば八時半には東京だ。当方は、特急にて金山に先回り。パノラマカーについて、個人的に最も思い出の多い金山橋のあったあたりで撮影するのだ。

Img_3328  この時間帯は、上下2本のパノラマカーが通過する。ここで、いつもお世話になっているC.ジョニー氏と合流。最後のパノラマカー撮影は、練りに練った撮影技量を活かし、あえて流し撮りに挑戦。八両編成の7000形&5700形、新鵜沼行急行が0711時金山着を目指して通過してゆく。単なる沿線の一風景なのだが、それでも多くのファンがカメラを並べていた。

Img_3370  パノラマカー知多半田行き普通、先程乗車していた電車が0716時に金山駅を発車し、神宮前駅に向かって進んでゆく。当方にとって、最後の通常運行パノラマカー撮影の機会となる。この日に、この場所でこの電車を撮影できたというのは、本当によかった。明日から名鉄は新ダイヤに移行、恐らく臨時運行と、特別列車としてパノラマカーは維持されるのだろうが、気軽に乗ることができ、特別料金が不要なパノラマカー、という存在は、今日、最後の運行を以て終了する。

HARUNA

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Weblog北大路機関『2008年のキーワード』(公共交通鉄道運輸関係)

2008-12-25 17:27:38 | 北大路機関特別企画

■2008年は“千”

 Weblog北大路機関は、本日0700時頃、アクセス解析より77万アクセスを突破したようです。たくさんのアクセスに感謝するとともに、アクセスの中でも大きな比重を占める検索サイトからのアクセスについて。

Img_0004  “まいづる号”。Weblog北大路機関への検索キーワード、その中で上位には上らないものの、常に大きなアクセス数を誇る鉄道関連記事。その中で、“まいづる号”や、その料金に関わるキーワードからの検索が多数あった。183系特急は、京都から東舞鶴への重要な交通手段であり、小浜線にも延長運転することもある。京都駅から乗るよりも距離の関係上、京都市営地下鉄の東西線と連絡できる二条駅から乗車したほうが市内からは便利であり、東舞鶴駅まで特急料金が安くなる。

Img_2821  223系。JR西日本のアーバンネットワークを支える130km/h運転対応の新快速として有名な車両であるが、その中でも221系と同性能の6000番台や、嵯峨野山陰線舞鶴線などで運用が開始された5500番台、というキーワードからの検索が、一年を通じて、一定の数を占めていた。旧式車両を置き替え、もしくは221系の支線運用へのアーバンネットワーク内更新用の車両として期待が集まっている。もともと、特に京阪間の輸送は、阪急9000系や京阪8000系との激戦区であり、かつて国鉄が急行車並みの117系を導入した際にも阪急6300系、京阪3000系との激戦区であった。

Img_5607  “富士廃止”“はやぶさ廃止”“富士はやぶさ号廃止”。これも急激に増加しているキーワードである。遂に、最後の東京駅始発ブルートレイン“富士・はやぶさ”号が、来年3月のダイヤ改正により廃止されることとなった。ブルートレインは続々廃止、そして九州ブルートレインが来年三月に絶滅することとなる。食堂車はもちろん、ロビーカーも切り離されているが、正統なブルートレインだ。なお、京都駅にも下り列車は停車するのだが、文字通り非有効時間帯に停車。上り列車通過は早朝であるので、撮影に行くには名古屋、横浜、東京にて撮影した。

Img_4282  いよいよ、明日には定期運行が終了する、と名古屋鉄道により発表されている名鉄7000形パノラマカー。6月のダイヤ改正により、六輌編成の車両が定期運用から外され、名物の四輌重連編成の運行も終了。愛された名鉄の看板電車も、最後を迎えるのだが、“パノラマカー運用”という検索は、名鉄がWebで運行情報を発表するまで多く、“パノラマカー撮影地”というキーワードでの検索もかなりの数に上った。パノラマカーは、特別料金不要の車両としては、日本でも屈指の車両であったし、これ以上に愛される名鉄電車は今後生まれないだろうと考えるほどの名車だ。

Img_1612  “なは廃止”“あかつき廃止”。京都駅始発の九州ブルートレイン“なは・あかつき号”は、今年三月のダイヤ改正で廃止されたブルートレインであるが、今年は特に前半、特筆するべきは廃止後もこの運行に関する検索が多かった。指定席特急料金だけで利用できるレガートシート車を連結しており、この部分にミニサロンがあった。さらにB寝台から個室まで様々な料金体系に対応しているブルートレインとして貴重な存在であった。九州へは、かなり早い時間帯に到着するということもあり、利用者からも好評であった。

Img_3021  “新大阪駅撮影”というキーワードも多数を占めた。恐らく0系新幹線の撮影に関する検索であろうか。事実、当方は新大阪駅への撮影展開は、主として0系新幹線の撮影が目的であったのだが、こちらは散発的に、検索キーワードのランキングでは上位に出ていた。こうした中で、Weblog北大路機関へは、2月9日以降、“千”以上のアクセスを毎日集めてきた次第。たくさんのアクセスに、重ねて感謝します。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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Weblog北大路機関『2008年のキーワード』(防衛安全保障関係)

2008-12-24 21:58:06 | 北大路機関特別企画

■北大路機関への検索

 クリスマスイヴを迎え2008年も残り僅か。北大路機関への検索キーワードとして、一年を通じ注目を集めたものを、防衛安全保障関係について、掲載したい。

Img_7815  北大路機関の検索キーワードの中で常に上位を占めたのは、岐阜基地において飛行試験を実施、秋に海上自衛隊に引き渡された“次期固定翼哨戒機”“XP-1”“P-X”への検索が多く目立った。加えて並行開発されている“C-X”の初飛行に関する情報を検索する方も多く“XC-2”というような検索も通年して多く見受けられた。

Img_1868  “先端技術実証機”“先進技術実証機”“心神”、“心神戦闘機”というようなキーワードからの検索も目立ち、これもひとつの流行語、というようなかたちとなった。個人的に考えた、そろそろ後継機の選定にする検討を始めなければならないT-4について、可能であれば技術的な流用を行い、補完的支援戦闘機という運用も可能な機体に充てられないか、という主旨の記事へ、アクセスが集まった。

Img_2614   “ひゅうが”、“護衛艦ひゅうが”。一年を通じ、特に下半期に多くのアクセスをいただいた際の検索キーワードのひとつが、この巨大なヘリコプター搭載護衛艦である。“ひゅうが”と“はるな”が同時に収まった貴重な一枚であるが、“ひゅうが公試”などと併せ、“ひゅうが”も北大路機関アクセスに関して、ひとつの流行語であった。

Img_5660  “あたご事故”。2月19日のハワイでの訓練を終えて、舞鶴に戻る帰路、横須賀へ寄港する直前に生じた漁船清徳丸との衝突事故では、漁船乗組員の死亡という事態を招き、海上自衛隊に非難が集中。しかし、その中にはイージス艦のイージスシステムを使えば漁船の発見は容易、とか、護衛艦は漁船をそこのけと偉そうに通る、など誤解や的外れ、且つ意図的ともとれる偏向した報道がみられた。この時期、あたご、に関する記事へアクセスが集中した。

Img_5566   “しらね火災”昨年十二月に起きたCIC火災に伴う損傷は大きく、当初は、相当な費用が修理に必要であるという報道があった。アドバルーンであったようだが、第七艦隊旗艦ブルーリッジの姉妹艦であり、海上自衛隊の象徴的な護衛艦であるこの艦を火災で失うとなれば将来半世紀にわたる海上自衛隊の面目に関わり、その喪失は抑止力の低下として日本全体の不利益となる危惧があったのだが、修理され、現役に戻ることができた。“しらね廃艦”“しらね除籍”と並べ、注目を集めたキーワードであった。つまり、残念なことに事故に関するキーワードも、Weblog北大路機関の検索に際しては、ひとつの流行語であったわけだ。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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海上自衛隊横須賀基地 船越地区・吉倉地区に停泊する艦艇

2008-12-23 15:25:05 | 海上自衛隊 催事

■横須賀軍港めぐり

 横須賀軍港めぐり、米海軍の艦船を一通り掲載したのに続き、今回は、いよいよ海上自衛隊の艦船を掲載したい。洋上からみた、我が国海上防衛の精鋭の姿を写真でお楽しみください。

Img_2345  横須賀軍港めぐり、その海上自衛隊見学は、米軍の横須賀海軍施設をまわったのち、一旦外海側に出てから、自衛官隊司令部や護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部が置かれ護衛艦隊旗艦、機雷戦艦艇や横須賀地方隊の艦艇が停泊する船越地区に入る。ここでも、主要な艦船が停泊している舷側のすぐ近くまで近寄り、各艦船の解説とともに一周する。

Img_2512  横須賀軍港巡りは、そのまま船越地区と桟橋とを結ぶ水路と通り、護衛艦隊の主力、第1護衛隊群隷下の護衛艦などが多く停泊し、横須賀地方総監部が置かれている吉倉地区に至る、その吉倉桟橋の前を通る。吉倉桟橋に停泊する護衛艦は、艦首を外海に向けている場合と、横須賀市に向けている場合とがあるのだが、撮影できる角度は決まっているので、こればかりは運である。

Img_1886  最初に、潜水艦が停泊している桟橋。横須賀海軍施設側にある桟橋で、奥には米海軍のイージス艦が停泊しているのが見える。潜水艦は、手前が海上自衛隊の“はるしお”型(満載排水量3200㌧)、おそらく“わかしお”。奥の潜水艦は、“おやしお”型(満載排水量3500㌧)で、艦名は不詳。

Img_2225  護衛艦“しらゆき”。この写真は、上の潜水艦桟橋前を通り、米海軍イージス艦などが停泊する地域を通り、空母ジョージワシントンの前を通ったのち、到達した船越地区における一枚である。DD123“しらゆき”は、汎用護衛艦である“はつゆき”型の2番艦で、満載排水量4000㌧。母港は横須賀で護衛艦隊の近海警備部隊である第11護衛隊に所属している。

Img_2275  横須賀基地の浚渫工事にあたる作業船。船越地区に停泊していたのだが、この浚渫船は、吉倉地区の新桟橋建築工事にあたっている一隻と思われる。現在、ヘリコプター搭載護衛艦“ひゅうが”の就役に向けて、横須賀基地では吉倉地区における大型護衛艦用の桟橋新設拡張工事を実施中である。

Img_2286  船越地区の掃海艦桟橋に停泊するMSO302“つしま”とMSC303“はちじょう”。二隻とも掃海隊群第51掃海隊に所属する“やえやま”型掃海艇で、潜水艦を狙う深深度機雷を処理するSQQ-32可変深度機雷探知機やS-7(2型)機雷処分具、S-8掃海具などを搭載している。満載排水量は1200㌧、全長は67㍍あり、木造軍艦としては世界最大だ。

Img_2287  海上保安庁の巡視船も船越地区に停泊している。巡視船“ゆうづき”“はたぐも”。原子力空母が前方展開している横須賀には、海上保安庁も万全の警備体制を張っており、陸上からは神奈川県警の精鋭が、日夜テロ攻撃に備えている。なお、原子力推進艦の放射能漏れを監視する海上保安庁の放射能測定船も配置されている。

Img_2297  船越地区の中枢。高い通信塔とともに並んでいる白い建物に、自衛艦隊司令部、護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部が置かれている、日本の海上防衛の中枢というべき施設のひとつ。また、三隻が停泊しているのが第10バース、先ほど“しらゆき”が停泊していたのが第11バースである。

Img_2307  MST-463“うらが”、AGS-104“わかさ”、DDG-170“さわかぜ”。“うらが”は掃海母艦で、掃海艇の支援や掃海ヘリコプターを支援する、満載排水量6850㌧。“わかさ”は、対潜情報として重要な音響測定ケーブルを設置する任務で建造された海洋業務群の海洋観測艦で満載排水量3200㌧。“さわかぜ”は、満載排水量5200㌧、護衛艦隊旗艦だ。

Img_2317  標的艦“たちかぜ”。もと護衛艦隊旗艦である。護衛艦隊旗艦として、後部の5インチ砲を一門撤去し、司令部施設を新設しているが、“さわかぜ”では、そのような改造を施していない。個人的には、司令部施設をコンテナに収め、余剰が生じるDDHを流用、必要に応じて広大なヘリコプター格納庫に収める、という方式を採っては、と考える。隣の一隻は、開発隊群の試験艦“くりはま”(満載排水量1100㌧)。

Img_2330  横須賀地方隊第41掃海隊の“すがしま”型掃海艇、左から“のとじま”“つのしま”“すがしま”。ペルシャ湾掃海任務派遣において最新鋭の機雷処分に国産の機雷処理具が対応できなかったため、本型から外国製の機雷処分具を採用している、満載排水量は590㌧。隣には、海洋観測艦“すま”が停泊している。小型海洋観測艦は、以前は掃海艇を改造し充てていたが、新たに建造。ただし、任務に対し小型過ぎて能力が充分ではなく建造は一隻で終わった、満載排水量1700㌧。

Img_2342  後ろ向きに停泊しているので分かりにくいが、横須賀地方隊直轄の輸送艇2号。2隻建造された1号型輸送艇の一隻で、満載排水量は540㌧、軽車両か人員40名を輸送できる。しかし、東海地震や過去にも噴火災害があった伊豆諸島をその任務担当区に収める横須賀地方隊に、輸送艇が、この一隻のみ、というのは些か不足しているようにも思える。いざというときには、呉基地の輸送艦による支援も期待できるのだろうが、1000㌧クラスの輸送艇が3~4隻あってもいいのでは、と。

Img_2351  個の時間帯は昼休みということで、ラッパ吹奏の訓練が行われている。海上自衛隊においてラッパは連絡から儀礼、時報にも用いられる特別な存在である。練習しているのは旗艦“さわかぜ”艦橋。こののち、軍港めぐりは、横須賀基地と、弾薬などが備蓄されている吾妻島との間にある人工水路を通り吉倉地区に向かった。

Img_2456  吉倉地区に停泊しているASY-91“はしだて”と横須賀地方隊の水中処分母船3号。“はしだて”は、迎賓艇として用いる特務艇で、会食や会議に用いることが出来る部屋がある。乗員のほか最大170名が乗ることができ、災害時には病院船としても機能する、満載排水量は490㌧。水中処分母船3号は、横須賀地方隊に所属、機雷処理にあたる水中処分隊の隊員を輸送するための母船だ。

Img_2470  巨大な姿をみせたのは、夏に除籍され、解体を待つ砕氷艦“しらせ”、満載排水量は19000㌧で、保存を一時検討されたが、あまりにも大きな船体を保存できる自治体がなく、解体が決定した。隣には海洋観測艦“ふたみ”。船越地区に停泊していた“わかさ”とおなじ、“ふたみ”型のネームシップである。

Img_2486  試験艦“あすか”。船越地区に停泊していた“くりはま”が対潜用装備の試験を行うのに対して、“あすか”は、ミサイルなどの装備の試験も行う。8セル分の垂直発射器が艦橋前に、そして艦底には、全長50㍍の大型ソーナーが設置されている。艦橋に取り付けたフューズドアレイレーダーは、射撃指揮装置3型(FCS-3)。満載排水量は6200㌧で、開発隊群に所属している。

Img_2539  昨年十二月の火災事故より修理成った第1護衛隊群旗艦“しらね”、満載排水量7200㌧、ヘリコプター3機を搭載する護衛艦。以上の艦艇は、横須賀が母港であるが、隣に停泊している護衛艦“あまぎり”は、舞鶴基地より、横須賀基地に寄港している。満載排水量は4800㌧。この吉倉桟橋の前を通り、横須賀軍港めぐりは、再び桟橋に戻った。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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アメリカ海軍 横須賀配備のイージス駆逐艦・イージス巡洋艦9隻が勢揃い

2008-12-22 17:00:11 | 在日米軍

■クリスマス休暇にて横須賀へ帰港

 横須賀アメリカ海軍施設に配置されているイージス艦は9隻、Lassen・Shiloh・John S. McCain・CurtisWilbur・Fitzgerald・McCampbell・Cowpens・Stethem・Mustinクリスマスということからか、珍しいことに全てが横須賀に帰港していたため、今回、その写真を掲載したい。

Img_1979  写真の撮影は、横須賀軍港めぐり船上より行った。アメリカ海軍横須賀海軍施設は、アメリカ海軍が海外に有する最大の拠点として知られ、原子力空母ジョージ・ワシントンを中心とする強力な打撃能力を有する水上戦闘艦部隊が展開している。横須賀基地に前方展開する米海軍の水上戦闘艦は、目下空母を除けばすべてイージスシステムを搭載したイージス艦であるのは、ひとつの特筆するべき点といえる。

Img_2579  DDG-82 Lassen(ラーセン)。アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の32番艦で、2005年9月に横須賀に配備された。ヘリコプター2機の運用能力を有するフライトⅡA。満載排水量は9217㌧、戦闘情報処理システムなどを新型に改める一方、搭載艇の複合艇化や、対艦ミサイル発射筒、20㍉CIWSなどを廃止しコスト縮減に努力している。次期水上戦闘艦のコスト高騰により、整備計画は見直され、代えて経済性の高いフライトⅡAは更に増強される予定である。

Img_1919  CG-67 Shiloh(シャイロー)。満載排水量9516㌧のミサイル巡洋艦で、現在、整備のためにドックに入っている。1992年に就役したタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の21番艦で、弾道ミサイル防衛(MD)仕様として実戦配備された米海軍最初の実戦配備艦。長射程で弾道弾迎撃能力を有するSM-3ミサイル搭載に対応するべくMk41垂直発射器(VLS)やイージスシステムに改修が加えられており2006年8月29日に横須賀に配備された。アメリカの日本重視の姿勢が垣間見える。背景には、空母ジョージ・ワシントンの艦橋が垣間見える。

Img_1932  DDG-56 John S. McCain一番左の艦(ジョンSマッケーン)、1994年に就役、1997年には横須賀に配備された。艦名は先の大統領選にて惜しくも落選したマケイン候補の祖父の名前である。アーレイバーク級ミサイル駆逐艦の六番艦で、最初に建造された21隻のフライトⅠの一隻。満載排水量8422㌧。アーレイバーク級すべてに共通するスペックとして、イージスシステムを搭載、105000馬力の出力を有するガスタービン推進艦というのがある。本艦も、改造により弾道ミサイル対処能力を付与されている。このBMD対応型イージス艦は、米海軍に18隻あるが、このうち5隻が横須賀に配備されている。

Img_1971  DDG-54 CurtisWilbur(カーティスウィルバー)。アーレイバーク級の四番艦で、1994年に就役、横須賀には1996年に配備されている。BMD対応型に改修されたイージス艦の一隻。本級のイージスシステムは、巡洋艦に搭載されているフェーズド・アレイ・レーダーよりも軽量なSPY-1Dであり、ミサイルを誘導するイルミネーターSPG-62も巡洋艦の4基に対して3基となっている。

Img_1997  DDG-62 Fitzgerald右側(フィッツジェラルド)。1995年に就役したアーレイバーク級の12番艦で、フライトⅠの一隻。横須賀に配備されたのは2004年で、こちらもBMD対応型のイージス艦。ヘリコプター格納庫の有無による艦尾の形状の相違が比較できる写真だ。一隻の例外を除き、横須賀基地の原子力空母とイージス艦8隻には、共同交戦能力に対応するべくCEC(Cooperative Engagement Capability)用のAN/USG-2端末が搭載されている。この端末により艦隊はデータを共有し、すべてのイージス艦や航空機が得た情報を以て任務に当たることが可能だ。

Img_1996  DDG-85 McCampbell(マッキャンベル)。左から二番目。フライトⅡAの一隻で、アーレイバーク級の35番艦として2002年に就役した。BMD対応型ではないが、AN/USG-2端末を搭載した共同交戦能力対応型のイージス艦である。フライトⅡAは、2番艦以降、搭載する5インチ砲を射程145kmの誘導砲弾が運用可能なMk45Mod4としている。それにしても、四隻のイージス艦が横に並んだ姿は迫力だ。

Img_2016  CG-63 Cowpens(カウペンス)、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の17番艦として1991年に就役し2000年から横須賀に配備されている。CEC対応端末や、BMD対応型の改修を受けていない一隻、ただし、将来的には改修されるのだろう。満載排水量は9957㌧で、VLSは巡洋艦という大きな船体を活かし61セルのものが前後に二基、合計122セルが搭載されている。

Img_2044  DDG-63 Stethem(ステザム)。アーレイバーク級の13番艦で、フライトⅠの一隻。BMD対応型への改修を受けている。BMD対処任務には、イージスシステムのレーダーの能力を最大限用いるが、イージス艦が従来想定していた航空攻撃や対艦・巡航ミサイルに対する防御には、360°に警戒を廻らすが、BMD対処においては、より長距離の目標を探知するべく、走査範囲を絞る為、周辺の経空脅威に対する警戒は手薄となる。この為、BMD対応中のイージス艦は、ほかのイージス艦とのCECにより、情報を共有し、対処することとなる。現代戦では情報共有はこのように重要なのだ。

Img_2019  DDG-89 Mustin(マスティン)。2003年に就役したアーレイバーク級の39番艦で、横須賀配備は2006年。BMD対応型ではないが、CEC対応の端末を搭載している。SPY-1Dレーダーは、対空目標に対しては460km以上。超低空及び対水上目標に対しては120kmであり、200以上の目標を同時に探知でき、BMD対応型は弾道ミサイルに対しては1000km先の目標を探知できる。これら9隻のイージス艦は、艦隊の盾であり、第七艦隊の矛でもあるのだ。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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