北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】オーストラリア原潜計画とカナダたいげい型潜水艦輸出案,ブラジルプロサブ計画

2024-05-28 20:24:58 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は各国の潜水艦関連の最新情報を纏めてみました。

 オーストラリア海軍が暫定貸与を受けるヴァージニア級潜水艦の建造が大幅に遅延する可能性が出てきました。オーストラリア海軍は当初フランスからバラクーダ級潜水艦、原子力潜水艦を通常動力推進方式に転換するという無理を押し通した潜水艦を導入する計画をイギリスやアメリカから原子力潜水艦を導入すると一転させています。

 ヴァージニア級攻撃型原潜をアメリカから2030年代半ばに借用し運用の実績を積むとともにイギリスより技術供与を受けオーストラリア国内に既存のASU造船施設を利用するか新しく潜水艦造船所を建設し2050年代に独自の原子力潜水艦を建造するという計画でした。しかし今回、ヴァージニア級のアメリカでの建造が大幅に遅れるという状況が。

 バイデン政権が発表した2025会計年度の海軍計画では2024年度起工予定のヴァージニア級攻撃型原潜が2隻の予定を1隻に半減させたことでオーストラリアに回す潜水艦よりもロスアンゼルス級攻撃型原潜後継艦を優先した場合、オーストラリアに回す潜水艦が遅れるとともに次期攻撃型原潜への移行期と重なる懸念が出てきてしまったのです。■

 カナダ海軍の次期潜水艦について日本の潜水艦たいげい型が候補の一つとして想定されているとのこと。これは昨年夏に韓国国内報道としてカナダ海軍次世代潜水艦に日本製潜水艦と韓国製潜水艦の二つが有力視されている旨の報道があったのに続き、3月29日に日本経済新聞が報道したもので、日本案が浮上しているという程度の報道ですが。

 たいげい型潜水艦輸出案は、通常動力潜水艦としては航続距離や行動半径の大きさと静粛性やオホーツク海などの低温海域から沖縄以南の高温海域まで対応可能という適合性の高さ、そして稼働率の高さが利点となります。難点として、技術移転と機密保持の難しさ、毎年1隻の建造という建造能力の限界、教育訓練支援能力の限界などがある。

 韓国製潜水艦としては、弾道ミサイル潜水艦を既に韓国海軍へ納入するなど要求に応じた多彩な設計能力とともに今回韓国はイギリスのBAE社と共同でカナダなどに潜水艦を提案しており、BAE社との協力により様々な技術支援や整備支援などを行うことが可能、ということ。カナダ海軍は稼働率低下が著しいアップホルダー級の後継を模索中です。■

 インドネシア海軍はフランス製スコルペヌ級改良型潜水艦の導入を計画しています。この計画は既に2022年に技術移転及びインドネシア国内での建造に関する覚書を、フランスのナーバルグループとインドネシア海軍との間で交わしていますが大きな進捗が無く、しかし2024年に入り、具体的な建造契約へ進む道筋が見えてきたとのことです。

 インドネシアは国有PT-PAL造船所での建造を希望しており、インドネシアには韓国からのドイツ設計209型潜水艦発展型技術移転を受けた際の施設が既に東ジャワ州スラバヤで稼働中です。ただ、課題はインドネシアもすべての技術移転を受けた場合でも国内生産部品だけでの自己完結した建造ができず、また仕様変更をどこまで盛り込むかでした。

 ナーバルグループによればスコルペヌEvolvedというリチウムイオン電池採用型の最新型が提案されており、これにより水中高速性能が改善、搭載燃料により8000浬の航続距離を有し80日間の連続航行が可能となり、また計画では2隻で21億ドルの調達計画となる見通しですが、三分の一は建造等でインドネシアに還元されるとのことでした。■

 ブラジル海軍が導入する新潜水艦トネレロが進水式を迎えました。フランスのナーバルグループが現地建造を進めていたもので、リオデジャネイロ州のイタグァイ海軍施設において行われた進水式には関係両国首脳であるブラジルのルイスイナーシオルーラダシルバ大統領とフランスのエマニュエルマクロン大統領が揃って臨席しました。

 プロサブ計画としましてブラジル政府は潜水艦の建造能力を独自に保有することを強く希望しており、今回の潜水艦建造は2008年にナーバルグループとの間で結ばれたスコルペヌ級潜水艦改良型建造契約として建造、スコルペヌ級潜水艦を初期にはフランスで建造し、続いてノックダウン生産に移行、最終的に完全な建造能力獲得をめざす。

 トネレロはブラジル海軍向けスコルペヌ級潜水艦では3番艦にあたり、また4番艦としてアンゴスチュラが2025年に進水式を迎える計画です。トネレロ進水式は3月27日に行われましたが、2025年には竣工を予定しており、ブラジル海軍は今後進水した潜水艦の艤装工事を進めるとともに早い段階で公試に移行するものと考えられます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】護衛艦もがみ護衛艦くまの護衛艦隊移管とイギリス海軍26型フリゲイト建造状況

2024-05-14 20:10:30 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 今回は護衛艦もがみ型の写真と共にアメリカの沿海域戦闘艦やイギリス海軍フリゲイト建造状況などの最新情報を纏めました。

 護衛艦もがみ護衛艦くまの掃海隊群から護衛艦隊へ移管となりました。これは3月26日に行われた部隊改編の一環として実施され、掃海隊群直轄艦であった2隻を移管したもの。第11護衛隊は二桁護衛隊と呼ばれ、護衛艦隊改編前には地方隊直轄部隊として運用されていた護衛隊を管理替えしたもの、あぶくま型、はつゆき型が配備されていた。

 もがみ型護衛艦はFFM多機能護衛艦として建造され、このMには多機能を示すとともに機雷戦という意味を有しており、護衛艦に掃海機具を搭載するオーガニック方式と呼ばれる掃海能力を有しており、この為の各種試験などを実施しているようすが確認されています。一方、掃海隊群から護衛艦隊に移管されたことについては注目すべきでしょう。

 掃海隊群は今後護衛艦部隊を配備し、2個群体制へ回帰すると国家防衛戦略及び防衛力整備計画には明示されており、今回の護衛艦隊如何は護衛艦隊部隊として一時的に移管し再移管するのか、または掃海隊群の護衛艦部隊配備そのものを見直した結果であるのかが一つの関心事でしょう。もがみ型は今後拡大改良型の建造に移行します。■

 アメリカ海軍はインディペンデンス級沿海域戦闘艦に関する契約を結びました、ジェネラルダイナミクスミッションシステムズ社との間で4月11日に結ばれた契約によれば、戦闘システムや運用システムの維持管理及び改良システム開発と船体エンジニアリングシステム適合化納入の3370万ドル固定価格契約という内容が盛り込まれている。

 インディペンデンス級沿海域戦闘艦は2000年代のテロとの戦いを念頭に40ノットを発揮可能である軽武装の多目的水上戦闘艦として設計されましたが、特徴的な三胴船設計が災いしアルミニウム合金の腐食などにも悩まされ稼働率が低下し、なにより2010年代以降の中国海軍に対する警戒監視任務ではあまりもの軽武装が問題視されていました。

 沿海域戦闘艦へは携帯式のグリフィンミサイル緊急搭載や機銃の増設などにより戦闘能力を強化し、一部の艦艇にはNSMミサイル発射能力の追加などフリゲイトと同等程度の打撃力を追加搭載していますが、2020年には初期建造艦4隻を早期退役させるなど、海軍自身が計画失敗を認めており、今回その艦種に新たなリソースが投入されています。■

 イギリス海軍の26型フリゲイト建造状況について。GCSグローバルコンバットシップ計画としてイギリス海軍が導入を進める新型艦でもともとは1990年代から三胴型の未来的な中型水上戦闘艦が構想されていましたが、2010年に従来型艦艇への一新と共に、当初満載排水量5400tと構想された船体は8000tまで大型化、二転三転した計画です。

 グラスゴー、1番艦の建造状況について。スコッツタウンのBAE社施設で建造されています1番艦は進水式を完了しており現在艤装工事が65%まで進捗しているとのこと。まもなくソナーや艦砲の搭載などの段階まで移行するとされています、そしてその次の段階で電子装備の搭載を開始する。計画では2026年にも海上公試を開始するとのこと。

 カーディフ、2番艦の建造状況について。グラスゴーに続いて建造されていますが、まだ船体部分は船台上に置かれた状態で艤装工事を進めている段階、進水式は2024年末ごろを計画しているとのこと。内部の戦闘システム関連の配線や電子機器の搭載などが進められているとされ、就役まではさらに数年を要することとなるでしょう。■

 イギリス海軍の26型フリゲイト建造概況について。3番艦ベルファストはブロック工法での建造段階であり未だブロックは接合されていません、現在は4個のブロックにわかれておりこのうち1ブロックは接合段階前の建造段階だ。なお、ベルファストはBAE社の新しい屋内艤装施設で建造され、天候の影響を受けにくくなると期待されます。

 バーミンガム、4番艦については起工式を終えている段階で5番艦については起工していません、ただ、建造を早めるべくBAE社は下請け企業としてタイン社とキャメルレアード社に分散してブロック建造を進めており、これによりある程度の工期短縮が期待されるとのこと。ただ、2025年までに開始のブロック結合が巧く行くかが関心事という。

 26型フリゲイトそのものは、置き換える事となる旧型の23型フリゲイトよりも排水量でほぼ倍増しているのに対し、省力化を進め乗員は二割近く少ない157名とし、シーセプターミサイルの搭載など僚艦防空能力を付与、更に航続距離も巡航速度で7000浬と大幅に延伸していますが、イギリス議会では、建造に時間がかかりすぎると批判もあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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US-2救難飛行艇生産継続にはCS-2輸送飛行艇が必要だ!アメリカMC-130J水上飛行機開発停止(榛名防衛備忘録)

2024-05-14 07:00:55 | 先端軍事テクノロジー
榛名防衛備忘録
 飛行艇の国産製造基盤が危機に曝されていますが解決策には需要を増やさなければなりません。

 US-2後継のUS-3よりも必要なのはCS-2か。CS-2と書きますとなにか中国のミサイルのような文字の並びとなってしまいますが、US-2飛行艇の生産が危機的な状況となっていますのは報道ではNHKから民放まで示されているとおりです。その背景には飛行艇は必要な航空機だけれども膨大な数が必要なく官需だけでは成り立たないということ。

 US-3という、現在日本で調達可能なメーカーの部品だけで製造できるような航空機が必要だ、とは過去に提案しまして、なにより現在は5年間で1機売れるかどうか、こういう状況では産業として成り立たないためでたとえば2年間で3機ていど、最低でも毎年1機の需要があれば産業としては存続し得るのですが、それさえないという実状で。

 CS-2、そこで必要性という視点から無理に救難飛行艇を増やすのではなく、救難飛行艇以外の選択肢を考えますと輸送型の飛行艇という選択肢が浮かびます、なにしろ輸送飛行艇というのは川西飛行機時代に二式大型飛行艇の派生型としても検討されていたほどなのですが、アメリカも最近までC-130Jを水上飛行機に改造しようとしていた。

 MC-130J水上飛行機、自衛隊も採用しているC-130シリーズの中で最新型にロッキードマーティンがC-130Jを製造し、その特殊部隊支援仕様の機体でMC-130Jというのがありますが、アメリカはこれにフロートをとりつけて水上飛行機にしようとしていた、その任務はインド太平洋地域での飛行場のない離島への輸送任務ということですが。

 C-130Jに巨大なフロートを二つつける、結論からいいますとこれ、先月正式に中止が決定しました、理由は予算不足という。ただ、この提案を観ますとUS-2でも良いのではないか、とおもいたくなります。アメリカは離島にミサイルの予備弾薬などをMC-130で運び込みたかったというので、ミサイルならばUS-2の主翼に取り付けて運べる。

 ボーイング747などが予備のエンジンを空輸するさいに主翼に取り付けて四発ではなく六発機のような外見で輸送する様子とか、XP-7エンジンの試験を行ったC-1FTBが三発機のような外見で飛行したのとおなじような輸送方法なのですが、胴体側面を含めればSSMならば10発程度、大型のミサイルでも4発はそのまま輸送できる冗長性はある。

 US-2は、しかし最大の特色が波浪3mでも離着水できるという点で、アメリカの離島に運びたいという能力ならば波浪1.5m程度でも十分でありUS-2の発着能力は過大となる、一方でC-130とくらべれば胴体の収容力もハッチの一からも主翼につり下げられない装備の輸送能力という点からは、今度は過小になってしまう、US-2は隔靴掻痒だ。

 CS-2が必要だ、と書いたのは自衛隊も島嶼部防衛を考えるならば、外洋離着水能力はなくとも漁港にそのまま乗り入れられる輸送用飛行艇があれば、本土の補給処から弾薬を迅速に輸送できますし、日米共同運用ということを考えても良い、主翼とエンジンはなにしろC-130Hと同じ推力があるために胴体を再設計し輸送型とできればよい。

 US-2だけが必要なのか、と問われれば日本では飛行艇そのものが必要であって、しかし外洋に離着水できる飛行艇はUS-2くらいしかない、中国のAG-5000なども開発されているが自衛隊が購入できないのと、やはりSTOL性能が低く波浪がたかい海域では使えない。すると先ず、つかえる分野で飛行艇をそろえてゆくことが重要だと思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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軍用ドローンの憂鬱-消耗品としての大量需要と事前備蓄阻む素早い陳腐化(榛名防衛備忘録)

2024-05-13 07:00:48 | 先端軍事テクノロジー
■榛名防衛備忘録
 ドローンが有れば何でもできるのでキケンだ的な論調がNHKなどで示されていますがそろもそドローンと云えば掌に乗るホーネットから旅客機よりも良く単が大きなグローバルホークまでいろいろ。

 フランス軍は4月に行われた工兵訓練において無人機運用について触れ、小型無人機による将来戦闘への準備について、事前備蓄は有事が年内ではなく数年後であれば戦時における陳腐化を生むというジレンマと共に必要な大量の消耗品としての無人機を規格化して備蓄することは事実上不可能である、という厳しい認識を示しました。

 無人機といえば沿海州から東京や京都まで届くシャヘド136自爆用無人機を思い浮かべるところですが、シャヘドが使われているのはせいぜい9000発程度、現在のウクライナでは100万ちかい無人機が消耗品として使われていて、それは飛行距離がせいぜい数kmの、しかし家電量販店で数万円で入手できる民生無人機が数の上での主流です。

 ロシアウクライナ戦争において様々な無人機が投入されていまして、自衛隊でもアナフィやスカイレンジャーといった無人機が採用されていますが、1000名規模の部隊が数千機の無人機を投入しているというロシアウクライナ戦争における無人機の運用実態を見ますと、各普通科連隊が十数機を保有するという現状では全く不足しています。

 しかし、同様の問題は世界中の軍隊が抱えているもので、特に軍用無人機だけで十分な需要を満たすことは出来ないという前提があり、有事の際には民生無人機を何とかして軍用に改造する必要に見舞われているのが現状です。これはグローバルホークやリーパーといった無人機を駆使する無人機先進国であったアメリカでも数ではいまや。

 フランス軍での工兵演習では、本来ならば擲弾搭載無人機を投入する状況であるものの、擲弾搭載無人機が管制していない事から既存の無人機に機動を再現することで対応することとなりました。擲弾搭載無人機というのは、ウクライナ軍が手榴弾を粘着テープで改造民生無人機いに張り付けて相手に突入させるという現場の発想で生まれたもの。

 擲弾無人機というのは当初、なにしろ粘着テープで無理やり巻き付けた外見からアメリカ軍などは嘲笑していましたが、人間が手榴弾を投擲して1㎞先の陣地に命中させるのは不可能ですし、無人機ならば200m先にあるビルの一室に立て籠もって機銃陣地としている状況であっても、一発の無人機で制圧できますし、費用は手榴弾数発分という。

 ロシア軍では現在、民生無人機を軍用改造する際、シリアルコードの不正解除と衝突防止システムなど安全プログラムの不正削除、無線周波数帯の不正変更による長距離飛行能力の付与、緊急安全着陸機能不正削除や飛行制限高度回避プログラムの削除などを行い、組織的に安価な民生用無人機を自爆用無人機に改修する教育訓練を実施中です。

 対人地雷を無人機を用いてウクライナ軍の接近経路に散布するとか、ウクライナ軍陣地を発見するとその周辺に無人機で対人地雷を散布する、RPG対戦車擲弾を改造無人機に括り付けて大量に衝突させる、指向性散弾地雷を無人機に括り付けてウクライナ兵付近で管制起爆させるなど、消耗品として大量の無人機が用いられています。

 日本は今後無人機を重視する場合、ロシア軍が行っている不正改造の方式を踏襲するか、若しくはもっと安価な防衛用無人機を規格化したうえで民生流通させ、有事の際に接収して再プログラムする方式などを検討しなければなりません、ウクライナでは日本の5.56mm弾100発分程度の費用の無人機が、活躍しているのですからね。

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RCH-155は装輪自走榴弾砲世代交代を呼ぶか?ピラーニャHMC発表と20年超えたカエサル装輪自走砲(榛名防衛備忘録)

2024-05-08 07:00:41 | 先端軍事テクノロジー
■榛名防衛備忘録
 富士総合火力演習に初公開された際の19式装輪自走榴弾砲の実物を見た際に砲員の座席があんまりだったことはいまでも鮮明に思い出せます。

 欧州において装輪自走榴弾砲の世代交代の流れが巻き起こるのかもしれません、イギリス陸軍はRCH-155装輪自走榴弾砲の開発についてドイツ政府と首脳会談で合意に至りました。これは長年の懸案であったAS-90自走榴弾砲の後継砲を選定するもので、特に稼働数の少ないAS-90のうち一部をウクライナへ供与したため喫緊の課題でした。

 RCH-155は、ドイツのKNDS社製ボクサー装輪装甲車の車体に52口径155mm榴弾砲の砲塔システムを搭載したもので、当初は暫定緊急調達されたスウェーデン製アーチャー自走榴弾砲や韓国製K-9自走榴弾砲がAS-90の後継と見做されていたため、降って湧いたRCH-155採用には驚かされましたが、ボクサーはイギリス次期装甲車でもある。

 ピラーニャHMC,そして続いて驚かされたのはGDLS社が突如ピラーニャシリーズの最新型にHMCという十輪型を発表したのです、もっともピラーニャシリーズを開発したスイスのモワク社は1990年代に105mm砲搭載の軽戦車型として十輪型を発表こそしていましたが、今回発表されたのは後部をモジュールスペースとした多目的型でした。

 GDLS社は後部モジュールには17tまでの様々な装備を搭載可能としていて、地対空ミサイルシステムや戦車橋と指揮通信車両としての用途に加えて間接照準砲兵システムの搭載を提案しており、即ちKNDS社に続く形でGDLS社も装輪自走榴弾砲を提案した事となります、そしてこれらは装甲車体を有しており、高い防御力を持つということ。

 カエサル装輪自走榴弾砲、さて2020年代までは、チェコや南アフリカなど一部の例外はあるものの装輪自走榴弾砲とはトラック車体に火砲を積載した簡易的な自走榴弾砲でした。もちろんボルボ装甲トラックに自動装填装置付き火砲を搭載したスウェーデンのアーチャー自走榴弾砲などもあるにはありますが、トラック自走砲がその代名詞でした。

 19式装輪自走榴弾砲もその系譜にありますが、トラック自走砲は問題点として装填など砲手が陣地進入と共に降車し射撃準備を行う必要があったのです、これは同時に砲手や装填手が暴露した状態であり、射撃準備に時間を要するとともに仮に敵砲兵の曳火射撃を受けた場合には陣地変換が一瞬でも遅れるならば大損害を被る事に他なりません。

 G6自走砲、世界の砲兵装備を見るならば南アフリカが開発したG6自走砲は、52口径ではなく若干砲身の短い45口径155㎜榴弾砲ではありますが、砲塔式を採用した事例は存在していますが、G6は車幅が3.5mもあり高速道路網や鉄道貨物輸送などを度外視する設計でした、この点RCH-155は車体がボクサー、戦略機動性をある程度考慮している設計なのです。

 FH-70榴弾砲のような39口径の牽引砲に対してトラック自走砲はもともと牽引砲の延長線でしかなかったのではないか、即ち52口径の長砲身を牽引することは前駆用が長すぎるために現実的ではなく、引っ張れないから牽引車に載せただけではないのか、これはカエサルが1990年代に開発されつつ正式採用まで10年を要した背景の一つ。

 RCH-155の開発、一見して重心が高すぎるよう危惧するのですが、この点で問題が無いならば、この誕生は、1950年代にM-108,M-109といった密閉砲塔を有する自走砲が開発されたことで装軌式車体に火砲を直載せした自走榴弾砲が一気に陳腐化したような、世代交代を呼ぶかもしれません、それは19式装輪自走砲も例外ではないのかもしれない。

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【防衛情報】アメリカ空軍2025会計予算年度調達の戦闘機攻撃機約150機減勢

2024-04-23 20:12:59 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 アメリカ軍の2025会計年度予算の話題ですが自衛隊と比較しますとその能力の在り方への思い切った視座と共に金額ではなく切り込んでいる様子が印象的です。

 KC-46空中給油機RVS2.0給油システム開発が大幅に遅延する模様です。KC-46はアメリカ空軍が導入し航空自衛隊も運用する新鋭機ですが、アメリカ国防省のアンドリューハンター次官補がシーパワープロジェクション下院小委員会に説明したところによれば、当初2025年に遅延するとされたRVS2.0が更に2026年に遅れるとしています。

 RVS2.0は空中給油遠隔視覚システムの改良型、KC-135空中給油機などでは外部視察窓を通じて給油ブームを操作していましたが、KC-46はコックピット付近から給油ブームをコリンズエアロスペース社製システムにより遠隔操作する方式を採用しています。現在のシステムは太陽光などのコントラスト変化で映像がゆがむ問題をかかえています。

 KC-46空中給油機は給油システムの問題としてA-10攻撃機など一部の機体へ空中給油できない問題を抱えていましたが、場合によってはRVS2.0が実用化された時点で既にA-10が運用終了している可能性が出てきました。一方、対地攻撃能力の高いA-10はアメリカ本土から有事の際などに欧州へ展開する際、空中給油による支援を必要としています。■

 アメリカ空軍は2025会計予算年度調達でF-15EXとF-35調達を削減します。空軍の戦闘機調達の背景には研究開発予算確保を念頭として新規調達予算を振り分けるとのこと。具体的にはF-35戦闘機を48機の調達予定から42機59億ドルで、F-15EX戦闘爆撃機を24機から18機へ18億ドルで取得すると下方修正するもよう。

 F-15EX戦闘爆撃機は当初104機の調達を計画していましたが2025会計年度を最後に一括取得契約を終了し、全体の調達計画を98機に削減することとなり当初計画の104機よりも調達総数は削減されます。一方、F-35戦闘機は調達数を削減するものの全体の調達計画では1763機を取得する計画に変更はなく、取得期間を長期化で対応するとのこと。

 F-35の調達は継続され、また2025会計年度のアメリカ空軍予算は2175億ドルとなる見通しで、これは2024会計年度予算よりも1.1%、額面にして24億ドル増額されていますが、空軍によれば予算増額が行われてもインフレによる調達コスト増大に見合っていないのが実情であるとしていて、航空機調達を削減する必要に見舞われたとしています。■

 アメリカ空軍は予算削減のためにF-15E戦闘爆撃機など150機以上の戦闘機等を削減します。削減されるのはF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機26機、F-15C/Dイーグル戦闘機65機、F-16ファイティングファルコン戦闘機11機、A-10サンダーボルト攻撃機56機が含まれており、この退役により運用費など20億ドルが節約できるみとおし。

 F-15Eストライクイーグルについては初期の旧型エンジンを搭載したものを退役するとしており、またA-10攻撃機も陸軍が近接航空支援などに必要な航空機であると強調しているものの航空支援はF-35でも可能であるとして退役が一挙に進みます。退役する戦闘機や攻撃機は158機が削減、対して新規にF-35とF-15EXが合計60機調達されます。

 F-22戦闘機についてもアメリカ空軍は初期型に当たるblock20が運用費用が大幅に増大しているために費用対効果が見合わないとして退役を検討していますが、F-22退役は制空作戦能力に響くとして議会が認めていません。F-22は維持されますが、新規調達よりも退役の方が多く、アメリカ空軍は2025会計年度に98機の戦闘機や攻撃機が減勢します。■

 アメリカ空軍はLGM-35Aセンチネル計画の37%もの開発費用超過に悩んでいます。このミサイルは地上配備核抑止力として位置づけられ、核戦力として抑止力の要諦にあるミニットマンⅢ大陸間弾道弾の老朽化を受けてその後継装備として開発しているものですが、開発費は37%も超過しており、2026会計年度に厳しい選択肢を迫られる可能性が。

 LGM-35Aセンチネル計画では2024会計年度に1億4000万ドルが要求され2025会計年度には7億ドルが投じられる計画ですが、計画全体では37億ドルが投じられる見通しであったため、全体で37%の費用が増大しているという。空軍が開発する装備はこのほかB-21レイダー戦略爆撃機やGCAP戦闘機計画などほかにも必要な開発計画がならぶ。

 W-87熱核弾頭を搭載するもので、LGM-35Aセンチネル計画には、主契約企業としてノースロップグラマン社があたり、協力企業として、ロッキードマーティン社、ジェネラルダイナミクス社、ベクテル社、ハネウェル社、エアロジェットロケットダイン社、パーソンズ社、テキストロン社などアメリカの主要防衛産業が参画しています。

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臨時情報-ミサイル防衛,イランの4月14日イスラエル攻撃は中距離弾道弾110発など多数

2024-04-19 07:01:26 | 先端軍事テクノロジー
■史上最大のミサイル防衛
 4月14日のミサイル攻撃は史上最大のミサイル防衛戦でありイスラエル軍の防空と共にアメリカ軍による史上初の大気圏外ミサイル迎撃成功など注目すべき点がありました。

 イランによるイスラエル攻撃は、弾道ミサイル110発、185機の自爆用無人機、巡航ミサイル36発という、かなり大規模な攻撃である事が判明しています。イスラエルはアメリカ軍などと共に迎撃に当り、イスラエルはアイアンドームやダビデスリング等を用い、巡航ミサイルは103発を撃墜、自爆用無人機と巡航ミサイルは全て迎撃に成功したとのこと。

 史上最大のミサイル防衛戦となった今回、アメリカ海軍はミサイル駆逐艦カーニーがイスラエル南部へ向かう弾道ミサイルを迎撃、6発に対してスタンダードSM-3ミサイルを発射し全て迎撃成功しました、スタンダードSM-3の実戦使用は今回が初めてであり、また大気圏外を飛翔する弾道ミサイルを実戦において迎撃成功した事も今回が初めてとなりました。

 自衛隊のミサイル防衛についても大きな前進といえるのかもしれません、それは今回使用されたミサイルは中距離弾道弾、迎撃が困難である弾道弾であった点です。テヘランからテルアビブの距離は1900km、弾道弾は射程500km以上のものを准中距離弾道弾となり、4500km以上のものが長距離弾道弾となります、弾道ミサイルは弾道を描き飛翔します。

 迎撃の難しさというのは、弾道をえがくゆえ上昇高度が高くなれば高くなるほど落下速度が増大する為に迎撃が難しくなるのですが、ミサイル防衛の技術開発により、開発当時には弾丸を弾丸で撃ち落とすような困難さ、と表現されたものなのですが、100発の中距離弾道弾同時攻撃に対して、飽和状態とならないことを実証できたのは大きな前進でしょう。

 日本の武器輸出について見直しの一歩となるのかもしれません、今回迎撃に用いられたのはスタンダードSM-3ミサイル、1998年のテポドンショックを受け日米共同開発が行われたもので、開発当時の武器輸出三原則による厳格な規制の中例外的に対外供与が許可されているものでした。それが今回のミサイル迎撃に用いられたわけです。

 一部政党では、日本の武器輸出と紛争地で日本の兵器が使われる事へ反発する声をポスターとして載せていますが、今回使用された100発以上の弾道ミサイルが市街地に命中した場合には甚大な被害となり、これは巨大な報復の連鎖を必至とさせるものです。人命を救い限定攻撃が全面戦争に拡大する事を阻止した、これを反発するのは理解が出来ません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】中華民国台湾海軍新造潜水艦海鯤號進水式とアメリカ海軍はヴァージニア級後継次世代攻撃型原潜大幅遅延

2024-04-16 20:00:40 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 友人で学生時代台湾からの留学生の方が広島観光の際に潜水艦はるしお型が既に用途廃止が始り桟橋に退役艦が係留されているをみてショックを受けていたのを思い出します。

 中華民国台湾海軍は新造潜水艦海鯤號の進水式を挙行しました。台湾海軍は1990年代から逆転した中国海軍の軍事圧力に対抗するべく、潜水艦戦力の増強を進めたいところでしたが、1990年代にオランダから導入したズヴァールトフィス級潜水艦2隻は、その後中国政府からオランダ政府への徹底した経済や外交上の圧力を受けています。

 ズヴァールトフィス級に続いて台湾海軍は新型のワルラス級潜水艦導入を希望していたとされますが、外交問題により実現せず、一方で輸出販路をなくし自国海軍の需要もなくなったオランダの潜水艦産業は終焉を迎えることとなりました。潜水艦造船所を維持するには一定間隔での発注が必要であり、この影響は現代の次期潜水艦計画にも響く。

 コリンズ級潜水艦の導入希望をオーストラリア政府に打診した中華民国台湾政府ではありますが、1990年代の安全保障環境では機器よりも通商問題が優先され、当時のオーストラリア政府により、潜水艦はあまりにも攻撃的な装備であるとして輸出を拒否されています。ただ、オーストラリアの潜水艦産業も需要不足から新造能力を喪失しました。■

 中華民国台湾海軍の新潜水艦海鯤について。海鯤は台湾が独自に建造を開始した潜水艦です。元々台湾はブッシュ政権との間で通常動力潜水艦6隻の導入という交渉を進めアメリカ側も好意的な反応を示していましたが、アメリカは1950年代にバーベル級潜水艦を建造したのを最後に通常動力潜水艦の建造は終了、原子力潜水艦しか建造していない。

 独自設計という指針が明確に示されたのは祭英文政権時代に入ってからのもので、今回建造される海鯤は、水中排水量2500t、全長70m、全幅8m、魚雷発射管6門を有していて、魚雷とハープーン対艦ミサイル、及び機雷敷設能力を有するとのこと。台湾海軍は今後海鯤級潜水艦を8隻から10隻建造するといい、本艦は試験艦的な意味合いも持つ。

 台湾国際造船がこの新型潜水艦海鯤の建造を担当しています。なお、台湾はオランダよりズヴァールトフィス級潜水艦の建造技術移転を受けていましたが、その移転を受けた技術だけでは独自建造することは出来ませんでした。台湾は独自技術により建造を強調していますが、部品単位で単独建造は難しく、複数の企業の協力はあるのでしょう。
■防衛フォーラム
 事実上半世紀先まで建造する事を想定して設計していたのかという些かな疑問とともにやはり建造費と建造期間が原子力潜水艦は長期化するのだなあと日本が次々と新型通常動力潜水艦で防衛力を刷新しているのと比べて。

 アメリカ海軍はヴァージニア級に続く次世代攻撃型原潜を2040年代より建造します。ぎゃくの表現をしますとヴァージニア級攻撃型原潜の後継艦艇構想はさらに10年程度遅れることとなります。アメリカ海軍はSSN-X次期潜水艦について、その必要性を強く認識しているものの海軍の予算不足などから建造開始が遅れているという現状です。

 SSN-Xについて、海軍は2023年の段階では建造を2035年に開始する計画を示していますが、2024年初頭に、2040年代、つまり10年近く遅れることを示したかたちです。ただ、もともとSSN-X計画は2031年建造開始の方針が2023年に遅延として発表されたもので、やはり10年程度遅れることには変わり有りません。

 ロスアンゼルス級攻撃型原潜の後継艦として建造されたのはシーウルフ級攻撃型原潜でしたが、建造費高騰により3隻で建造がいつ切られ、安価であるヴァージニア級に移行しました。しかしヴァージニア級は改良に民間コンピュータシステムの応用など障壁を下げたことで高性能化が進み、現在アメリカ海軍の主力攻撃型原潜となっています。■

 アメリカ海軍のSSN-X計画遅延について、ロスアンゼルス級攻撃型原潜は1990年の段階で建造費が9億ドルとなっていました、そして1976年から1996年まで実に62隻という大量建造が行われていますが、2024年時点では既に34隻が退役しており残る現役艦は26隻となっています。実質その後継と成っているのがヴァージニア級という。

 ロスアンゼルス級攻撃型原潜の建造数62隻に対応すべくヴァージニア級は66隻の建造が計画されており、2024年までに24隻が建造され10隻が建造中、また更に4隻の予算が承認されています。ただ、ロスアンゼルス級攻撃型原潜とヴァージニア級攻撃型原潜の合計は50隻、シーウルフ級を加えても現在は攻撃型原潜は53隻と減りました。

 ヴァージニア級について、SSN-X建造開始が2040年代はじめという状況が維持された場合でも、竣工は2050年前後となり、ヴァージニア級の一番艦ヴァージニア収益は20年前の2004年ですから、改良が行われているとはいえ、実に半世紀、潜水艦が新型を建造できない事となります。これは潜水艦の歴史が始まって以来世界でも異例と言えましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ロシア軍秘密兵器!ツィルコン極超音速ミサイルをペトリオットミサイルにより撃墜する方法

2024-03-29 07:00:27 | 先端軍事テクノロジー
■防衛情報-ウクライナ戦争
 従来の地対空ミサイルでは迎撃不可能といわれたキンジャールミサイルが2023年にウクライナ軍が供与されたペトリオットミサイルで撃墜した際には世界中が驚いたものだが、一度ある事は二度ある。

 ロシア軍のツィルコン極超音速ミサイル迎撃方法について、ISWアメリカ戦争研究所は3月27日付発表でウクライナ軍によるきわめて興味深い情報を掲載しました。ISWはウクライナ空軍報道官のイリヤイエヴラシュ少佐の発言を引用、ツイルコン極超音速滑空兵器はペトリオットミサイルやSAMP/T地対空ミサイルにより迎撃可能としています。

 ツィルコンミサイルはロシア軍制式3M22極超音速滑空兵器で、2021年より配備開始、海軍艦艇に搭載されスクラムジェットにより一旦高度28000mまで上昇した後に第二段ロケット点火、その速度はマッハ9、時速11000km/hを超えるといわれます、その射程は1500kmともいわれ、迎撃不能で高速ゆえに高い運動エネルギーによる貫徹力をもつ、予定でした。

 ウクライナ空軍のイリヤ少佐によれば、ツィルコンは目標に接近すると精密誘導に移行し速度が3700km/hまで減速するため、ペトリオットミサイルやSAMP/Tミサイルでも充分迎撃可能だという。ロシア軍はキンジャール空中発射弾道ミサイルもはやい時期にペトリオットミサイルにより撃墜されており、性能は誇大表現と判明していました。
■ツィルコン撃墜の意味
 接近阻止領域阻止という現代の太平洋における防衛問題にも極超音速ミサイルをどのように迎撃するかが課題となっていましたが。

 ペトリオットミサイルによるツィルコン撃墜事例は今後のミサイル防衛にどのような影響を及ぼすのでしょうか。今後の関心はロシア軍が、今度こそ迎撃不可能であるとしてアバンガルド極超音速滑空兵器を投入することでしょう。HGV極超音速滑空兵器はR-36大陸間弾道弾などを利用して上昇しマッハ30近い速度を発揮し滑空し命中するというもの。

 しかし、R36大陸間弾道弾を発射に際し用いる為、アメリカがDSP早期警戒衛星を通じロシア軍の戦略核攻撃であると判断した場合、ミニットマン大陸間弾道弾を用いた全面核戦争に繋がる可能性も高く、使用される可能性はどの程度現実的なのかという視点も必要でしょうが、ロシア軍はキンジャールに続き、迎撃不能と誇示したミサイルが撃墜された。

 ツィルコンは、同時にもともとは航空母艦などを狙う新世代の兵器であったわけですがペトリオットミサイルによりあっさり撃墜され、そもそも極超音速兵器は終末誘導をどのように行うのかという問いが、これまで配備されているような超音速まで減速していることが判明、撃墜が必ずしも不可能ではない事を示した点は、極めて重要な情報といえます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】共通戦術装輪車:歩兵戦闘車と機動迫撃砲と偵察戦闘車,対空電子戦装置の配備計画

2024-03-26 20:18:06 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 共通戦術装輪車について防衛省発表“新たな重要装備品等の選定結果について”を元にその装備計画を見てみましょう。

 防衛省は共通戦術装輪車の取得計画を発表しました。これは歩兵戦闘車と機動迫撃砲として即応機動連隊などに装備する国産装甲車両であり、既に装備化が進んでいる16式機動戦闘車と連携した戦闘や火力戦闘における援護などを担当する車両で、装甲戦闘車型は偵察戦闘車と外見上の共通点があり機動迫撃砲型は機動装甲車と共通点が多い。

 共通戦術装輪車の取得計画として歩兵戦闘車の量産単価を150両取得時約9.3億円と見積もり、ライフサイクルコストを2615億円としています。そして機動迫撃砲の量産単価は100両取得時で約8.6億円とし、ライフサイクルコストを1529億円と見積もっています、150両と100両という具体的数字が示された点が大きい。

 即応機動連隊などに装備、と防衛省は説明しており、この等という表現を富士教導団や武器学校所要と見積もった場合、現在即応機動連隊は全国に6個連隊が置かれているために各連隊に2個中隊所要の22両程度と100両の機動迫撃砲は火力支援中隊全てを充当できる水準と考えられます、これは即応機動連隊の将来編成を示すのかもしれません。■

 共通戦術装輪車歩兵戦闘車と機動迫撃砲について。陸上自衛隊は現在フィンランドのパトリア社製パトリアAMV装輪装甲車を810両調達する計画です。この調達計画は日本製鋼所でのライセンス生産という方式がとられ、これは恐らく主要コンポーネントをフィンランドから国内で組み立て整備施設として最終組み立てを行う方法が考えられます。

 パトリアAMV装輪装甲車は装甲モジュールビーグルであり、車高だけは高くなりますが歩兵戦闘車型はそもそもパトリアAMV装輪装甲車にも30mm機関砲搭載型などが既に各国で運用されています、また迫撃砲型についてもパトリアNEMOという、恐らく世界で唯一の走行間射撃能力を持つ120mm自走迫撃砲型が開発されています。

 陸上自衛隊にはパトリアAMV採用に併せて、30mm機関砲塔型を歩兵戦闘車として、パトリアNEMOを自走迫撃砲として採用する選択肢もあったはずなのですが、車体の制動装置などから16式機動戦闘車の砲塔は搭載が難しく、また偵察戦闘車という派生社領もあるため、敢えて国産と輸入を並行装備するという選択肢を執ったのかもしれません。■

 共通戦術装輪車の偵察戦闘車について。陸上自衛隊は16式機動戦闘車を原型とした共通戦術装輪車を順次そろえてゆきます。現在調達が開始されるものには歩兵戦闘車型と機動迫撃砲型ですが、同時に87式偵察警戒車の後継となる偵察戦闘車の開発が進められていて、これは歩兵戦闘車型に伸縮式センサーマストを搭載したものとなっています。

 共通戦術装輪車偵察戦闘車は25mm乃至30mm程度の機関砲塔を備えており、また車体部分はある程度近接戦闘を想定している16式機動戦闘車の正面装甲を有しており、87式偵察警戒車よりは踏み込んだ威力偵察が可能となるのかもしれません。他方、現在すでに偵察用ドローンが普通科連隊の本部管理中隊情報小隊単位でも活用されている段階だ。

 偵察戦闘車については無人機の車内収容は可能と考えられますが複数のドローン班員収容能力があるかと問われれば16式機動戦闘車車内容積から難しい可能性があり、ここには共通戦術装輪車に偵察戦闘車以外にも、選定ではパトリアAMV装甲車に敗れた三菱機動装甲車、この車体を応用した無人機支援車両等の開発可能性はあるのかもしれません。■

 防衛省は対空電子戦装置の配備計画など装備計画の概要を発表しました。これは“新たな重要装備品等の選定結果について”として防衛省が1月25日に発表しまものです。対空電子戦装置、令和2年度からの実用試験の結果量産が決定、約10式取得時の量産単価は約28億円と見積もっており、そのライフサイクルコスト459億円としています。

 対空電子戦装置は、新編される対空電子戦部隊に装備し敵対勢力の早期警戒管制機へ電波妨害を展開しそのレーダーを無力化、防空作戦や航空作戦及び陸上戦闘などを有利に進めるものとしています。装備品は国産重装輪車両に大型のパラボラアンテナを装備し、特撮映画のメーザー砲のような外見とAサイクル光線車のような用途の装備だ。

 対空電子戦部隊は今後順次編成されてゆく部隊ですが、重要なものは量産単価見積を10式と限られた数字が示されている点です。これは島嶼部と九州などに機動運用する想定と考えられますが、日本の南西防衛はその戦域が非常に広く、それだけ広範囲の電子妨害が可能であるか、若しくは装備数を増やせない別の要素などがあるか、でしょう。

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