北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

リビア動乱で邦人孤立!政府は米・西・韓へ邦人救出の支援を要請

2011-02-28 22:47:42 | 国際・政治

◆日本政府、自衛隊派遣の意思無し

 イギリスが油田で孤立した英国人技術者を救出するべくSASを投入したようです。

Img_1004  外務省は2月25日に退避勧告を発令したのですがそれから三日、現在十名前後の邦人がリビア国内に残留しているとのことで、そのうち数名は大使館関係者ですが、他の数名が商社やメーカー等の関係者で現在孤立状態にあるとのことで、トリポリ空港まで陸路での交通網が麻痺している事もあり深刻な状態となっています。人数ではU-4でも投入すれば規模的にも救出できそうなのですが、何故か政府からそういう話が出てきません。

Img_8286  こうした場合、外務大臣の要請に応じて自衛隊法では邦人輸送の為に自衛隊機を派遣する事や自衛艦を展開させることが出来るのですが、現在のところ外相や首相からそうした動きは無いようです。既に現時点でスペイン空軍が邦人十数名を救出した、アメリカのチャーターフェリーにより更に数名を脱出させている、とされ、韓国軍への協力を求めているとの情報もあるのですが、それでもなお数名は脱出できない状況に陥っているとのこと。

Img_7048 25日に退避勧告を出した時点で打つ手が遅すぎたような印象があります、先ほどU-4を投入すれば、と記載したのですが他方で空港までの陸路が閉鎖されているような状況では、中央即応集団のUH-60JAやCH-47JAといったヘリコプターを使用して特殊作戦群を投入し、高機動車か徒歩で直接邦人を収容に展開するか、護衛艦から哨戒ヘリコプターを展開させるくらいしか救出手段が無いように思います。

Img_5618  ソマリア沖海賊対処任務に当たる護衛艦から一隻を抽出して、リビア沖合に展開させてSH-60J/K哨戒ヘリコプターを発進させリビア国内へ進出、直接邦人を救出させる、護衛艦似た海賊対処の為の要員が乗艦していますので選択肢としてはこれが考えられます。

Img_4109  もしくはこの期に及んで自衛隊投入に政治が躊躇するならば海上保安庁のSSTを旅客機でイタリアに緊急展開させて、もっともSSTはそうした運用をそうていしていないのはわかってはいるのですが、ね。SH-60J/Kにより陸上から護衛艦へ、そしてリビアに投入しても良いのかもしれませんが、どの方策にしても時間が残っていません。

Img_2827  各国の救出任務に便乗出来ないのが現状の孤立邦人です。面子を捨ててアメリカ軍に孤立邦人の救出を、特別に作戦を実施してもらうように、これでは主権国家とは言い難い状況になりますが首相が大統領に直接電話により懇願するという選択肢も上記の選択肢を採らないのであれば考えてほしいです。

Img_3527  東京では明日未明に来年度予算を衆院で関連法案とは別に通過させ、何とか年度内に予算を成立させるめどを立てようとしているのですが、人命よりも予算の事で頭がいっぱいだった、というようなことでは日本国今後百年の国際関係と企業の海外進出に禍根を残します。護衛艦か、自衛隊機か、土下座して米軍か、とにかく、見捨てる、数名を無視して外務省による救出作業終了、という事だけは避けなければ、国家として成り立ち続けることは出来ないのではないでしょうか。

Img_4613  日本人は内向き、とか世界に出てゆく気がいが無い等々、TVを点ければ評論家の方々が仰っている事に出くわすことは少なくないのですが、諸外国は少なくとも自国民が海外でこうした緊急事態に陥った場合には救出に最大限努力します。まさか、こういう場合で梯子を外されるのでは究極の自己責任、究極の格差ではないですか。一度国を出たからには再び祖国の土を踏めない覚悟を、とは戦時中の出征兵士ではあるまいし、アデン湾には護衛艦が、小牧には空中給油機がいます。

Img_9415  政府専用機だけはニュージーランドにいますが14000kmも航続距離があるのですから投入はすぐ行えました、しかし、現時点では孤立した邦人を救出するには旅客機では間に合わない状況になってしまい、手遅れに近い状況。なんとかヘリコプター等の手段により救出を実げんしてほしいとおもうしだいです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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BMD特別訓練初実施、自衛艦隊倉本司令官・第七艦隊ヴァンバスカーク司令官が統裁

2011-02-27 23:21:08 | 防衛・安全保障

◆横須賀で明日から来月三日まで

 海上自衛隊によれば明日2月28日から3月3日までBMD特別訓練を日米間で実施するとのことです。

Img_6332  BMD特別訓練は、海上自衛隊及び米海軍により横須賀基地において実施され、弾道ミサイル防衛に関する日米間の部隊における情報通信や連携などの要領錬成を期して実施されるもので、BMD特別訓練としての実施は今回は第一回目となるとのこと。

Img_2016  訓練統制官には海上自衛隊より自衛艦隊司令官の倉本憲一海将があたり、アメリカ海軍からは第七艦隊司令官のスコットRヴァンバスカーク海軍中将があたるとのことです。自衛艦隊は護衛艦隊や航空集団、潜水艦隊など海上自衛隊の主任務部隊を統括運用する部隊であり、第七艦隊は西太平洋における米海軍の最大の抑止力を担っている艦隊、日米の力の入れようが垣間見えるようです。

Img_6955  訓練参加部隊は、自衛艦隊司令部と第六護衛隊のミサイル護衛艦ちょうかい、米軍からは第七艦隊司令部と艦艇などが参加するとのことで、ちょうかい、は、こんごう型護衛艦の四番艦、弾道ミサイル防衛に対応する改修を行っており、実際にハワイでのミサイル迎撃試験も行っています。

Img_2414  ミサイル防衛は弾道ミサイルが発射されてより日本に到達するまで十数分から二十数分ですので、迅速に人工衛星により得た情報を日米で共有してイージス艦より射程1000kmを超える迎撃ミサイルを発射する必要があります。今回の訓練は司令部同士の情報共有を迅速に行い、SM-3を想定発射する艦として、ちょうかい、が参加するのでしょう。

Img_7224  弾道ミサイル防衛に関する演習は、一発でも核弾頭を有するミサイルが日本に着弾すれば計り知れない被害が生じるとともに、特に中国からの弾道ミサイル脅威の増大やロシアのミサイル近代化を睨みこの種の演習の重要性は今世紀に入ったのちも一貫して高まっています。

Img_6562  ミサイル防衛ですが、射程1000kmを超えるSM-3のイージス艦からの運用が主力となりますが、同時にイージス艦を弾道ミサイル以外の航空攻撃や潜水艦脅威から如何に日米での協同で防護しつつ任務に当たるか、これも将来の課題となるでしょうが、何はともあれ明日からの演習がその第一歩となります。

HARUNA

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アメリカ国防総省、空軍の次期空中給油機にボーイングKC-767を選定

2011-02-26 11:50:08 | 先端軍事テクノロジー

◆KC-46として179機を350億ドルで取得へ

 フランスのF2によればアメリカ国防総省は現在運用中のKC-135を置き換える次期空中給油機としてKC-767を選定、KC-46として配備が開始されます。

Img_3038  1957年より運用が開始されたKC-135は700機以上が空軍に納入され、エンジン換装等の近代化改修を受けていますが老朽化も無視できず2000年代に入り後継機選定が本格化しました。そして昨夜、八年にわたるボーイングとEADS(エアバスの親会社)の次期空中給油機選定はボーイングが受注する事となり、エアバスが提案したエアバスA-330派生型のKC-45は退けられ、ボーイングのKC-767はKC-46空中給油機として空軍へ納入されることとなりました。

Img_9982  この選定は実は航空自衛他にとっても重要な意味を持っています、そういいますのもボーイング767は将来的により新しいボーイング787の生産に移行することで767自体の生産ラインの閉鎖が展望されていました。航空自衛隊はKC-767,そしてE-767と767系統の航空機をその装備体系に導入していますので、767の生産ラインが閉鎖されるという事につながります。

Img_0008  結果、航空自衛隊が将来的に空中給油機を増勢する際にはKC-45か、別の機種を開発して取得する必要があり、加えてAPY-2レーダーとともに767の生産が終了した場合E-2C早期警戒機の後継を導入する際にも767以外のAEW-C-737のような全く異なる装備体系の機体を取得する必要がでてきてしまう、そんな状況にあったのです。

Img_4455  さて、KC-767はイタリア空軍や航空自衛隊において運用されていますが、アメリカ空軍は本型の改良型179機を350億ドルにて調達する事となります。導入されるKC-46は、航空自衛隊が運用するKC-767と基本的には同型であるボーイング767-200ERを原型としていて、次世代運用と生産に対応するべく操縦装置をボーイング767-400ERと同程度のものとした機体として導入される計画で、現在は試作機が飛行試験中となっています。

Img_8447  実は、KC-45はエアバスA-330を原型としているのですが、アメリカにおいてグラマン社による実質的なライセンス生産が行われる事になっていましたので純粋に欧州製ということは出来ない航空機でした。他方で、KC-767は日本とイタリアがボーイングとともに多国間分業により生産されているので、必ずしもアメリカでの生産分は大きくないのです。

Img_0671  総合的にはKC-767はKC-45ほどアメリカ国内の雇用に寄与しないとされているのですが、エアバスとボーイングという構図が大きく影響したのでしょうか。エアバスはKC-45をグラマン社の名を冠して売り込みを図ったのですが、結局、原型機が、ということなのかもしれません。これについてはKC-45を提案したEADS社もアメリカ政府は認めないだろうけれども、つまりそういう事だ、と表明していました。

Img_0686  KC-46は350億ドルで179機を取得することとなりましたが、これは航空自衛隊の取得したKC-767の取得費用と比べてもかなり安く導入することが出来た構図です。他方で、十日以内であれば異議申し受けが認められているためEADS社はこの制度を利用する方針となっています。

Img_1073  方針、と書いたのですが覆る事も過去にはありました。2003年に一旦はKC-767として国防総省が発表したのですが、リース契約と購入を組み合わせた方式が結果的に高コストであると米会計検査院が指摘し白紙還元、2008年にKC-45として決定されたのですが手続きミスを指摘され再度白紙還元、2011年の今日にこの決定に至ったそうです。

Img_4424  今度は大丈夫なのだろうか、という事が少々気にはなるのですが、KC-135は老朽化により運用コストの上昇が始まっており、当初はB-52爆撃機と同じような2040年代までの運用を想定したのですが非効率とされ、今回の選定となりました。高コスト化を回避するためには2012年頃からの導入が必要とも言われているので、もう大丈夫といえるでしょう。同時に航空自衛隊が767系統を将来増強する上でも少しは展望が見えてきたと言えるかもしれません。旅客のの787は不安ですが。

Img_9312  ただ、折衷案として両方とも導入しよう、という事は過去に提案もされていますし、海兵隊等がKC-130空中給油機を運用、KC-10のようなまだ後継機を必要としていない空中給油機がありますので将来的にEADSが次の機体を提案する事もあるでしょう。他方、強かだなあ、と。

Img_0258  航空自衛隊もKC-767とE-767を同時期に導入する計画を出していれば、同時にしかももう少し充分な数を提示していれば、もう少し有利な条件を引き出せたのかな、と思いつつ、ただ、政治的に空中給油機は野党との駆け引きも長かったですので、ううむ、防衛費よりは面子を優先する国は、と振り返る事も、いや、KC-45とKC-46も面子とロビイストの影響がある訳で、難しい。ところで、KC-46って昔のC-46輸送機の空中給油型みたいに聞こえてしまうのは気のせいでしょうか。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十二年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報4

2011-02-25 22:30:08 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

自衛隊関連行事を紹介する前にリビアについて。リビア情勢なのですがもう邦人は居ないのでしょうかね、いよいよ首都トリポリ50km手前まで反カダフィー大佐勢力が反乱軍とともに民主化を迫って進んでいます。

Img_0191    リビア軍が一部反カダフィー勢力と合流しているのですが、アメリカ政府はカダフィ大統領が化学兵器を使用する事を懸念しています。日本も急がないと空港が危ない、空港が閉鎖されれば輸送艦で空中機動部隊を展開させるくらいしか方法が無くなります、各国も空港が戦闘状態により破壊され滑走路が使用不能となる前に自国民を救出しようと躍起です、が、日本政府は何も言わない。

Img_0302_2  化学兵器を市街地で使用されればデモ参加者も一般市民も無差別に殺傷する危険がありもちろん外国人も化学兵器は区別しません、各国は救出に全力を尽くしています。ドイツは空軍輸送機とチャーター機を二機、フランス政府はチャーター機二機、アメリカ政府はチャーター機を確保できなかったことから大型高速フェリー一隻を展開させました。アメリカはこのほかリビア空軍が市民を空爆することを防ぐため欧州各国とともにリビア上空に飛行制限空域を制定することを検討。

Img_8872  ロシア政府は非常事態省の大型輸送機三機をロシア人とロシア企業関係者輸送に展開させ、中国政府はエジプトへピストン輸送で自国民の救出を展開中で中国国内とエジプトもチャーター機で輸送、韓国政府はチャーター機を派遣するとともに海賊対処任務に当たる海軍のミサイル駆逐艦を急行させています。

Img_0339  繰り返しますがリビアにはもう邦人は居ないのでしょうか、先日の報道ではまだ数十人はいるとのことでした。居るのならば一日と猶予が無く内戦が現実問題となっているがリビア情勢です、空港が使えるうちにチャーター機、自衛隊機、内戦に発展し化学兵器が使われる前にアデン湾の護衛艦、派遣を検討するべきでしょう。いまなら米軍を含めNATO諸国や中ロが軍用機やチャーター機を派遣している最中、民衆を空爆しているカダフィー支持の空軍部隊は外国の航空機に攻撃は加えていませんが、ひと段落した後はどうなるのか分かりません、急いで行動しなければならないのです。

Img_19701  リビア情勢について、切迫してきましたので順番が前後してしまったのですが、今週末の自衛隊関連行事、駐屯地祭や基地祭、航空祭は行われませんが陸上自衛隊広報センターにおいて特別展示が行われます、朝霞駐屯地に隣接された自衛隊の広報施設で、現在は入場料無料で入ることがまた出来るようになっている広報センターです。

Img_39731  日曜日に化学科部隊の装備と衛生科部隊の装備が展示されるそうで、化学剤検知装置等も展示されるのかは分かりませんが、ポスターによれば化学防護車の体験乗車なども考えられているようです。どの程度見せてくれるのかは分からないのですが、大宮駐屯地祭以外では見られないような装備も見られるやもしれません。

Img_6546  衛生科装備も重ねてみる事が出来るとのことですが、野外手術システムや救急車等の各種装備は、消防が持っている防災訓練などで出されるものとは少々異なる、消防が搬送するべき病院が震災などで機能マヒに陥った場合にも威力を発揮できるような装備を保有しています。一見の価値はあるでしょう。

Img_3632  舞鶴基地や佐世保基地、呉基地の週末一般公開も興味が御有りの方は地方総監部HPをご覧ください。個人的にはいよいよあと数週間で自衛艦旗を返納し除籍される護衛艦ひえい、を呉基地へ労いに足を運ばれてはどうかな、と思います。はるな型最後の一隻です。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 今週末の実施予定無し

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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対潜特別訓練(2月24日~28日) 沖縄周辺海域において日米が開始

2011-02-24 22:36:25 | 防衛・安全保障

◆今回で第120回!

 沖縄周辺海域において海上自衛隊と米海軍による平成22年度対潜特別訓練が開始されました。

Img_6725_1  海上自衛隊によれば、対潜特別訓練は1957年度より実施されているもので、日米により対潜戦を主要訓練項目として実施しており、今回の対潜特別訓練は第1回より数えて120回目にあたるとのこと。今回は沖縄周辺海域を演習海域として訓練を実施しているようです。

Img_8017  訓練統制官は海上自衛隊より護衛艦あたご艦長大野敏弘一等海佐、米海軍より第15駆逐隊司令のウィリアムTワグナー海軍大佐があたり、参加部隊は海上自衛隊より護衛艦1隻、潜水艦1隻、航空機数機、米海軍は駆逐艦4隻、潜水艦1隻、補給艦1隻、航空機数機が参加することとなっています。

Img_1970  演習参加部隊をみますとアメリカ海軍が駆逐艦4隻を参加させ、海上自衛隊が護衛艦1隻を参加させているとのことで、米海軍はスプルーアンス級駆逐艦が全て引退していますのでアーレイバーク級が参加、海上自衛隊は護衛艦あたご、を派遣しています。艦艇数では米海軍が圧倒しているのですが、もう少し護衛艦を派遣できなかったのかな、と。

Img_3521  一応満載排水量では10000㌧に達している護衛艦あたご、ですが一隻か二隻かで訓練を行う幅は異なってきますし、もちろんインド洋派遣や遠洋航海、南西諸島での警戒任務など護衛艦には多くの任務がある事は理解するのですが、二隻程度は派遣できなかったのでしょうか。

Img_5178  環太平洋合同演習にも年々海上自衛隊は実任務艦の増大に対応するように演習に参加させる艦艇の数は減少傾向ですが、多国間信頼醸成や同盟国への防衛努力の顕示等を念頭に防衛力に留まらないスピルオーバーがあります。まあ、護衛艦定数については政治の問題でもあるのですけれども。

Img_5755  対潜特別訓練は本日より開始されているのですが今回は第120回、回数を重ねていますね、そして饗庭野演習場では陸上自衛隊と米海兵隊との間で共同訓練が今も実施中です。さて、防衛省では海上自衛隊を中心にBMD特別訓練の実施も発表されています、BMDも米軍との情報連携が不可欠ですので、日米のつながりの強さが垣間見えるようですね。

HARUNA

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ニュージーランド地震へ国際緊急援助隊派遣部隊が出発

2011-02-23 23:34:39 | 防災・災害派遣

◆B-747二機にて羽田を出発

 22日に発生したニュージーランド南島における地震被害は当初の想定以上に大きく、政府はイアンフォーブスケネディ駐日ニュージーランド大使を通じたニュージーランド政府からの要請に応え、本日国際緊急援助隊を派遣しました。

Img_4584  ニュージーランド南島にあるニュージーランド第二の都市クライストチャーチ市を22日午後、深度4kmを震源とするマグニチュード6.3の地震が襲い建築物や道路などを破壊、バス二台が倒壊した建築物に押し潰されるなどして少なくとも65名が死亡、多数が破壊家屋の下敷きとなり行方不明となっているようです。地震発生後十五分でマグニチュード5.6の余震が発生し、市街地に加えブレストサクラメント大聖堂やクレイストチャーチ大聖堂等の文化財にも倒壊したり大破する等の被害が出ています。

Img_4949  ニュージーランド政府は軍への災害派遣を命令、非常事態宣言を発令するとともに各国に支援を要請、防衛省は千歳基地より政府専用機B-747二機、人員40名を以てニュージーランド国際緊急援助空輸隊を編成、本日午前中に千歳基地を離陸し羽田空港に到着しました。外務省によれば国際緊急援助隊は東京消防庁ハイパーレスキューを中心とした67名で、2008年の四川大地震や2009年のスマトラ地震への国際緊急援助隊としても活動実績を有する精鋭で、特にニュージーランド政府より実績のあるハイパーレスキューの派遣要請があったとのことです。

Img_5405  現状では通信網が完全に麻痺しており、20名以上の法人、多くは語学留学へ向かった学生や生徒のようですが倒壊した建物の下敷きとなり安否確認が取れない状態にあります。ニュージーランド在住邦人は2000名以上とのことですが、国際緊急援助隊は倒壊建造物を捜索するとともに、必要であれば政府専用機により帰国を希望する邦人被災者の輸送を行う事も想定していると発表しました。建物の下での生存者が究明可能かは最初の72時間が重要といわれており、政府専用機で展開した国際緊急援助隊へ期待が集まっています。写真はC-2輸送機、政府専用機の写真が無いので。

Img_9013  自民党政権から民主党政権に移行してのち、日本から海外のこうした人道的な緊急事態に対する対応が非常に遅くなったという危機管理上の重大な問題がありましたが、ハイチ地震など数日間を経て派遣を決定したという事を思い出すならば今回のニュージーランド地震では邦人被害もあったという事が少しは関係したのでしょうか、極めて速い対応でした。現地では軍の投入が地震発生から24時間近くを要していたとの報道もありますので、日本政府の今回行った立ち上がりは現地でも活躍が期待できるのではないでしょうか。

Img_00531  リビア情勢に目を移せば各国がチャーター機や軍用機の派遣を開始しており、ロシア非常事態省はIl-76三機を派遣しロシア人のみならずロシア企業の関係者であるロシア人以外の外国人の輸送も決定すているとのことです。関係閣僚会議は日本でも行われているのですが、注意深く情勢に対応するよう期待したいです。他方でニュージーランドですが、ちょうどCH-101輸送ヘリコプターを搭載する砕氷艦しらせ、が南極海に展開していますので、必要があれば派遣される可能性もあるかもしれません。

HARUNA

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終わりか始まりか、9.11から十年の不安定の弧に民主化の激震

2011-02-22 23:37:21 | 国際・政治

◆次の十年への転換点?

 レーガン大統領が空母三隻で空爆を行ってもびくともしなかったリビアのカダフィ独裁政権が民衆の手により政権から引き釣り降ろされようとしています。この報道に接すると、イラク戦争やアフガン空爆はなんだったのかな、と思ったりしてしまいました。

Img_0592  ニュージーランドでの地震事案が直下型地震という事でかなり心配なのですが本日はこちらの話題。9.11から今年で十年、アフガニスタンとイラク、米軍は巨大な軍事力を以て独裁政治に強制的な終止符を突き付けたのですが、終止符を打った後の対応が拙く、イラク戦費は毎年日本の防衛費を遥かに上回る規模で推移し続けていましたが、結局のところリビアの、あのカダフィ政権の顛末をみましたらば、民主化は上からの外からのではなく、実のところ話は単純で、内なるものが全てを乗り越えるのでしょうか。

Img_0313  アフガニスタンのタリバーン政権はイスラム原理主義、ムハンマドの生まれた時代への回帰を目指していたのですが結局のところ強圧は外面だけの支持を得るに留まりない面での支持は得られなかった事が分かります、落ち着いて考えれば原理主義が回帰しようとしたのは預言者の生まれた時代、それではコーランが広まる前の時代ではないの?と思ってしまうのですが、結局のところアフガニスタンを空爆せずとも2011年の今日まで待てば、チュニジアからの茉莉花の風が中央アジアの高山部にも届いたかもしれませんし、イラクのフセイン政権にしても2003年のイラク戦争を経ずしてもアメリカが目指した民主化は達成できたのかな、IFという視点を持ってしまうのです。

Img_0623  しかし、中東の民主化の波ですが、これが一巡して世界にも波及したとして、この後の十年、2021年の世界はどうなっているのでしょうか。独裁者に虐げられた諸国民は民主化というよりも民衆主導での政権打倒後に如何にして新しい政治的枠組みを構築してゆくかについて、少なくとも経験が無いでしょう。あのアメリカでさえ1776年の独立宣言から1788年の合衆国憲法制定まで12年を要していますから、そもそも憲法制定権力とはどうあるべきか、という視点から、情報が瞬時に世界中を駆け回る今日の世界において諸国の関心事となりながら大事業を果たさなければならないのですが、容易な道とは言い難いのが現実。

Img_3077  アフリカの年とよばれた1960年以降この取り組みに挫折した、もしくは取組に成功しつつも成果が充分ではなかった国々では内戦の憂きに至った事例もあり、これは終わりではなく始まりとなる危険性も内包されているともいえます。これは裏にCIAの陰謀があるので拡大することは無い、という人がいるかもしれませんが、それならば真っ先に親米のエジプトムバラク政権が崩壊した説明にはなりません。制御できないという危惧はあるのですがアガンベンの言うような例外状態、つまり国家機構そのものが曖昧模糊とした空白状態になるような事態となるのか、もう少し先の内戦状態になるのか、これが読めないのも次の十年を展望する上で不安要素ともなります。

Img_2343  最悪の場合は北アフリカや中東が今以上に不安定な地域となる事で内戦を誘発する事でしょう。欧州に近いこの地域からは難民などの発生も危惧されますし、産油国が多い事で必然的に世界からの注目を浴びてしまう要件を持っています。独裁政権の打倒や非民主的制度に対する攻撃は抑圧的な政権にとっては終わりであっても、実のところ民主化というプロセスにおいては始まりとまではないかないまでも通過点の一つです。PKOにより国家再生を国連に委託するのか、無政府状態を経て内戦となり人道的介入の必要性が生じるか、どちらにしても避けてほしい、と願う次第。

Img_7359  しかし、どう過程を経たとしても日本に対する影響は程度の差はあれど小さくは無いでしょう。不安定の弧は朝鮮半島や台湾海峡を含んでいるのですが、韓国や台湾の民主化要求は90年代までにその成果を歴史に記しているのですが、アジア諸国、北東アジア地域ではこのプロセスを経ていない国もあり、波及の可能性も否定は出来ないのです。また人道的な切迫した状況に際しては国境を越えた義務が生じますので、日本としても考えなければならない部分が北アフリカや中東に対しても出てくることはあり得るでしょう。次の十年はどうなるのか、真剣に見てゆきたいですね。

HARUNA

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北アフリカ・中東民主化動乱、大規模な暴動や政権危機へ発展

2011-02-21 23:34:51 | 国際・政治

◆不安定の弧に広がる波紋、そこには邦人も

 北アフリカ民主化動乱、中東にも波及していましてチュニジアやエジプトでの指導者失脚に続きリビアでは政治犯釈放直後に民主化デモが発生、暴動に展開しています。

Img_4610  アメリカは北アフリカから中東、中央アジアと日本列島南方にかけて“不安定の弧”として注意を要するとしたことがありましたが、現実に不安定となっています。リビアでは政府側がデモに対して機関銃などを以て発砲し、かなりの犠牲者が出ているようで外務省によれば現時点ではリビア在留邦人の安全は確認している、と発表しているのですが、この情勢は沈静化の見通しが立っていません。邦人救出、特に空港が麻痺した状態ではチャーター機の運行は部分的に可能なのか、空港までどう邦人を誘導するのか、自衛隊機の派遣の可能性など、考える必要はあるのではないでしょうか。

Img_4581  日本の場合、現在は内閣支持率の急激な低下と新年度予算の参院通過が絶望的な状況にあって衆院での再可決が困難となっている状況なのですが、こうしたなかで北アフリカや中東で危険に曝されている、曝されつつある邦人の安否というのは配慮されているのかな、と心配になる訳です。なんといいますか、尖閣での巡視船への中国漁船衝突事案では首相が総裁選で手一杯であったため充分な対応が出来なかった、と国会答弁で述べているのですよね。そういう条件は揃っているのでして、しかし今度だけは、今後も政権を維持したいのでしたら以降もですが、なんとか在留邦人の安全確保について考えてほしいな、と。

Img_4486  ジブチへの輸送機の訓練名目の集中というかたちの前方展開でも、自衛隊を正面に出したくないのであれば地中海での客船のチャーターの長期契約でも良いのですが、なにか準備、せめて心構えだけでも欲しいのですけれども、首相の記者会見などをみても、北アフリカでの一連の危機に関する言及が見られない、タフなところを見せるための一過性の思い付きでは無く国民の生命財産について責任を負う地位にある政治家として責任は果たしてほしいのですが、考えているのでしょうか。政争の具や次の総選挙の話では無く、刻々と変化している危機への対応。

Img_0681  いや実は既にチャーター機が確保されているとか、万一の際に備えて民間保安会社と契約があるとか、実は邦人の安全確保に関しては万全の配慮があるのだけれども、当方が情報弱者であり知らないだけ、というのは一番理想的なのですが、民主化動乱は中国でもその様相を呈しているという現状、アメリカが示した“不安定の弧”全体にこの危機が波及しつつあるという状況なのですが、CNNやABC等などBS-1での放送を見れば向こうの政治家は繰り返し対応や姿勢などを示しているにもかかわらず、・・・、邦人がいる、ということだけはせめて為政者の矜持として忘れずにお願いします。

HARUNA

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MEADS:中距離拡張型防空システム 次世代欧米SAMが開発中止へ

2011-02-20 23:55:42 | 先端軍事テクノロジー

■Medium Extended Air Defense System

 先日友人からMEADSが開発中止になった、ということを電話で教えてもらいました。ホーク後継SAM,というイメージだったのですが次世代の中距離長距離SAM体系を本装備で一新するというのが欧米の計画だったようです。

Img_4206  日本も開発計画に参加を求められたのですが、共同開発と共同生産は自動的に武器輸出三原則に抵触してしまうということで陸上自衛隊では03式中距離地対空誘導弾を開発しています。03式中SAMは性能や射程でホーク地対空ミサイルを大きく上回るものなのですが、システムを構成する諸装備の大きさもホークを大きく上回ってしまったのが唯一の泣き所でした。

Img_4214  この点MEADSはある程度野戦運用での機動性を想定して装備の大きさにも配慮していたため、開発は難航しているようだけれどもMEADSに参加していたほうが良かったのでは、という意見も内外から存在していました。個人的には日本の道路交通法や道路状況との兼ね合いを考えると国際共同開発に参加しても必要なものが取得できるとは限らないと思うのですが、これは置いておきましょう。

Img_8910  しかし、MEADSは別の視点からも日本の参加の必要性が指摘されていました、航空自衛隊です。航空自衛隊はペトリオット地対空ミサイルを広域防空用に装備していますが、MEADSはホーク地対空ミサイルのほかにペトリオットミサイルの後継も目指して開発されていたので、計画に参加していないということは陸上自衛隊の将来SAM以外に航空自衛隊の将来SAMが必要となった際に問題となるのではないか、という声も一部で指摘されていたようなのですが、現実はMEADSそのものが頓挫することになりましたのは前述のとおり。

Img_8916  予定ではMEADS,来年度から欧州と米軍での実戦配備に向けた評価試験が行われる予定だったのですが、これが今後AMRAAMをハンヴィーに搭載したHAMRAAMにより代替されるのか、ペトリオットミサイルにPAC-4が開発されるのか、ホークをさらに改修するのかは不明ですが、関心は湧いてきます。

Img_5631  しかし、日本が参加しなかった国際共同開発参加を持ちかけられたものや持ちかけられた可能性のあるものはとん挫しているものがあり、日本はリスクを負わないといいますか国産開発の施行を行ったこともすべては間違いでななかったのかな、とも。96式多目的誘導弾と同世代であるはずのスパイク対戦車ミサイルが50kmも射程を高望みしすぎて価格が高騰して4セットもそろえればイージス艦が買えるほどになってしまい中止に、RAH-66がF-2と同じくらいに価格が高騰して中止になったのを皮切りに後継ヘリコプターが続々と開発されるも要求性能が大きくしかも不安定で中止が相次ぎ、OH-1を開発した陸上自衛隊は価格の高騰には悩みましたが少なくとも4~5倍になっただろうRAH-66を売りつけられずにすみました、ということはできるでしょうね。

Img_5639  こうやって書きますと日本製の装備も国際競争能力があるのでは、と思われるかもしれませんが、もちろん性能だけでは装備品は売れないのでこれはなんともいえません。しかし少なくとも国産装備を開発していたことで危ない橋に誘われずに、つまり売りつけられずに済んだ、というのは僥倖でしたね。難点もあるにしても性能は相応にあるのですから。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成22年度日米共同訓練 第14旅団・第三海兵後方支援群参加で明日から実施

2011-02-19 21:49:02 | 防衛・安全保障

■今津駐屯地と饗庭野演習場にて来月6日まで

 防衛省によれば明日から3月6日まで滋賀県の饗庭野演習場において日米共同訓練が実施されるとのことです。

Img_3447  陸上自衛隊からは善通寺の第14旅団より旅団長井上武陸将補が、海兵隊からは第三海兵後方支援群より群司令官のクレッグCクレンショー准将が担任官としてあたり、参加部隊は第15普通科連隊より一個中隊基幹の180名が参加、海兵隊からは第三海兵後方支援群第九工兵支援大隊の一個中隊基幹で170名が参加します。

Img_4412  日本側からは普通科部隊が装備する小銃や機関銃に加えて87式対戦車誘導弾や01式携帯対戦車誘導弾、110mm個人携帯対戦車弾とともに81mm迫撃砲や74式戦車が参加、海兵隊からはM-16などの携帯火器に加えて重装備としてAT-4対戦車弾などが参加することになっています。

Img_4888  第14旅団は今年度、協同転地演習の実施部隊として四国から北海道へ展開し演習を行っています。海兵隊は緊急展開部隊ですが、第14旅団も防衛大綱の機動運用部隊にこそ記載されていませんが機動力を生かした支援任務への対応が期待されて混成団から拡大改編された部隊です。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は現に禁じる)

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