北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成30年度防衛省概算要求5兆2551億円,中国北朝鮮脅威増大受け2.5%増の過去最大要求

2017-08-31 20:31:39 | 国際・政治
■防衛省概算要求5兆2551億円
 平成30年度防衛省概算要求が本日、財務省へ提出され、その内容が一般に公開されました。

 今年度の当初予算より2.5%多く、過去最大となる5兆2551億円を求めています。北朝鮮の核とミサイル技術の進展を踏まえてのミサイル防衛強化を期すとともに、南西諸島防衛基盤構築を軸に増大する中国の海洋進出と日本への中国機による対領空侵犯措置任務増大を受けて費用増大が反映され、結果、概算要求が過去最大の5兆2551億円となりました。

 一方、国際平和維持活動などの国際貢献への装備品調達は大幅に縮小している他、護衛艦や航空機の新規調達が激減し延命改修の要求が並ぶと共に、従来の各種ヘリコプターや装甲車両やミサイル等の装備品調達は事故が懸念される程に少なく、年々増大する中国脅威と北朝鮮ミサイル脅威への対処へ多くの予算を割いている事からの影響といえるでしょう。

 陸上自衛隊の装備品調達は89式小銃1,500丁6億円、対人狙撃銃6丁 0.1億円、60mm迫撃砲(B)6門0.2億円、81mm迫撃砲 L161門0.1億円、120mm迫撃砲 RT2門1億円、99式自走155mmりゅう弾砲7両76億円、10式戦車6両83億円、16式機動戦闘車16両 121億円、車両・通信器材・施設器材等420億円、となっており装甲車はありません。

 艦艇調達は、護衛艦2隻 964億円、潜水艦1隻 715億円、以上でこの他は能力向上予算と延命改修予算の要求のみとなっています。ミサイル関係の調達は、03式中距離地対空誘導弾(改)1個中隊 182 121億円、11式短距離地対空誘導弾1式 36 121億円、中距離多目的誘導弾9セット 76 121億円、12式地対艦誘導弾1式 129億円、以上となっていました。

 航空機調達関連の要求ではティルト・ローター機(V-22)4機 457億円、戦闘機 (F-35A) 6機 881億円、輸送機(C-2)2機 450億円、新早期警戒機(E-2D)2機 491億円、新空中給油・輸送機(KC-46A)1機 277億円、飛行点検機(サイテーション680A)1機 41億円、滞空型無人機(RQ-4Bグローバルホーク)1機 144億円、残りは勢力維持改修です。

 新装備関連では将来戦闘機システム開発の実現性に関する研究24億円要求、イージス艦用の長射程標準型ミサイルSM-6の取得として21億円を試験用弾薬取得に充てます。次期警戒管制レーダ装置の開発に196億円を要求し複数の小型サブアレイによる送受信方式の新装備を開発、F-4からF-35Aへの機種更新に伴い百里基地第302飛行隊の三沢移転を行う。

 島嶼部防衛では今年度実施の水陸機動団新編に続き、南西警備部隊等に係る整備へ552億円が要求され奄美大島と宮古島の庁舎整備、石垣島の用地取得経費等が盛り込まれました。島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究に100億円、島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が要求され、ステルス長射程ミサイル開発が開始、島嶼部防衛を強化する。

 ミサイル防衛関連では、弾道ミサイル防衛関連経費1,791億円が要求されます。内訳として、イージスアショア等の新規アセット導入を予算度度外視の事項要求にて提示、能力向上型迎撃ミサイルPAC-3MSEの取得費用に205億円要求、弾道ミサイルの迅速探知期し自動警戒管制システムJADGEの弾道ミサイル対処能力の向上に107億円が要求されました。

 5兆2551億円という過去最大の防衛予算の要求ですが、実態はそれ以上に任務が増大している中、従来装備老朽化と定員割れを度外視した予算で、自衛隊は戦わずして既に深刻な損耗状態にあるとさえいえる。その上で各種新装備開発と新部隊新編を続ける事は、更にしわ寄せが広範に広がる事を意味し、専守防衛の断念等決断を迫られるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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【京都幕間旅情】白峯神宮,飛鳥井流蹴鞠の崇徳天皇と淳仁天皇を祀るスポーツと学問の神社

2017-08-30 23:38:32 | 写真
■蹴鞠の神社とサッカーボール
 イギリスのメイ首相が京都迎賓館へ招かれ、御所界隈は賑やかでしたが、本日はその御所から徒歩で少しのところ。

 白峯神宮、堀川通りを今出川通りへ御所と同志社大学の方へ少し歩みを進めたところに佇む神社です。今出川通りにはマンションや商業ビルが立ち並び、勿論あの四条通界隈とは違うものの、ここが100万都市たる事を思い出させる、そんな喧騒の中に静かな社殿が広がる。

 清少納言が枕草子に記している飛鳥井の邸宅跡、本殿は銅板葺流れ造といい、下鴨神社の河合社の造りを模して造営されています。今出川通りに面する築地塀を初めとしまして銅板葺流れ造は、拝殿や神門に手水舎と瑞垣共々、創建当時の趣を伝えつつ今に至ります。

 サッカーボールやバレーボールが奉納されている、不思議な調和と雰囲気を醸し出す神社となっています。ボールを奉納しているのは個人や団体、Jリーグや日本代表の名前も並び、明日競う2018 FIFAワールドカップロシアアジア地区最終予選の豪州戦を思い出すしだい。

 闘魂守、という勇ましい御守り札が並ぶこの神社はスポーツの神であり勉学の神という白峯天神が祀られ、また蹴鞠の神社という事で我が国の永いスポーツの歴史と共に、蹴鞠は鞠を落とさない、との由緒と作法に合せ勉学の神様としてここに広く崇敬を集めています。

 旧名を白峯宮と云い、旧社格は官幣大社、崇徳天皇と淳仁天皇を祀る神社です。崇徳天皇といえば鳥羽天皇の譲位により四歳にて即位し、更に望まぬ譲位と実権無き上皇即位を強いられ、1156年の保元の乱を経て讃岐配流、上皇としては400年ぶりに島流しとなった。

 創建は1868年と比較的新しく、孝明天皇が幕末の動乱期、京都市街も戦闘により荒廃する中、配流となり崇徳天皇と淳仁天皇の陵墓を洛中に移した事で始まりました。そして元々この地には白峯大権現として崇徳天皇を祀る御影堂があり、改めて洛中に迎えたかたち。

 崇徳天皇は怨霊伝説として知られます、やはり京都に残る貴族や権力者に呵責があったのでしょう、安元の大火と鹿ケ谷の陰謀が立て続けに立ち起こり、貴族では収拾がつかず平清盛ら武家へ治安維持を依存する事となりました。この背景に怨霊伝説が生まれたのです。

 白峯神宮は、崇徳天皇を祀る神社ですが、怨霊鎮定というものではなく、今日では崇徳天皇が愛し、保護した蹴鞠の神社として広く崇敬を集めています。鹿皮製の鞠を高さを等しく蹴り続ける回数を競う、平安時代の競技で飛鳥時代の中大兄皇子と中臣鎌足が有名だ。

 飛鳥井流蹴鞠という流派が貴族の蹴鞠として広く嗜まれています。この他に難波流や御子左流という流派がありましたが、現在継承されているのは飛鳥井流蹴鞠のみとなっており、そしてこの社殿そのものが飛鳥井家屋敷で、崇徳天皇と蹴鞠の縁というものを考えさせる。

 明治天皇も蹴鞠を嗜んだ偉人の一人で、実は明治時代に東京遷都に合せ御所を遷座した際に蹴鞠の作法が関東では全く知られていない事に驚き、その普及に努めるとともに勅令を以て梅渓道善へ蹴球保存会を立ち上げさせると共に蹴鞠の飛鳥井流保存へ尽力しています。

 蹴鞠奉納が毎年四月と七月に白峯神宮にて行われていますが、飛鳥井流蹴鞠がこの際に奉納されています。そして、蹴鞠の碑が境内に参拝者を迎え、鞠庭と樹齢実に800年という小賀玉の木が聳えています。飛鳥井流蹴鞠を長い樹齢の小賀玉の木が見守ったのでしょう。

 来月21日には崇徳天皇祭としまして、薪能が奉納されます。しかし、気になるのは明日の2018 FIFAワールドカップ最終予選の豪州戦、落とさない由緒となれば、昨日の北朝鮮火星12弾道ミサイルを日本に落とさない、と考えつつ参拝へと赴かれては如何でしょうか。

北大路機関:はるな くらま
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北朝鮮火星12型弾道ミサイル,早朝の北海道上空飛来!襟裳岬東方1180km太平洋上に着弾

2017-08-29 23:29:22 | 防衛・安全保障
■現実化する北朝鮮ミサイル脅威
 北朝鮮弾道ミサイル発射のJアラート警報音が早朝の日本列島に響き渡りました、4分後ミサイルは実際に北海道上空へ飛来した。

 弾道ミサイル1発が北朝鮮西岸より本日29日0558時頃、北東方向に向けて発射されました。防衛省によれば日本海上空で3つに分離、0606時頃、北海道渡島半島や襟裳岬上空を通過しました。飛行高度は襟裳岬上空550kmを通過し、発射から約14分後の0612時頃に、襟裳岬東方1180kmの太平洋上の日本の排他的経済水域の外に落下したと発表しています。

 防衛省は海上自衛隊の八戸航空基地よりP-3C哨戒機1機と厚木航空基地よりP-1哨戒機1機、航空自衛隊の千歳基地よりU-125救難捜索機1機を緊急発進させ、弾道ミサイル飛行経路下や落下海域の調査を実施しました。また国土交通省海上保安庁でも第1管区海上保安本部より現場海域に数隻の巡視船を派遣し、落下物と海上での被害等を調査しています。

 宇宙空間に配備されているアメリカ軍早期警戒用DSP衛星が今回、ミサイルを探知し、横田基地の日米ミサイル防衛調整所へ情報を即時配信、この情報を元に飛来方向を航空自衛隊が全国28か所に配置するレーダーサイトが追尾しました。航空自衛隊にはFPS-5等の探知距離1000kmを越える弾道ミサイル警戒能力を持つレーダーが防空監視所にあります。

 破壊措置の実施はありませんでした。政府は航空自衛隊横田基地の航空総隊司令官へ自衛隊法に基づく破壊措置命令を常時発令しており、全国の航空自衛隊高射群が運用するペトリオットミサイルPAC-3,そして海上自衛隊のイージス艦が迎撃態勢を執っていますが、今回は発動されていません。これは上空通過時550kmという高高度を飛行した為でしょう。

 警察庁と総務省消防庁によれば被害はありませんでした。しかしJR北海道では列車が21本運休という影響が出ており、北海道新幹線始め東北や上越と北陸の各新幹線と宇都宮線、高崎線、常磐線などの在来線で一部運休、はるか遠く名古屋の名鉄も停止しました。警報が発令された都道県では宮城県や青森県及び茨城県では休校となった学校も出ています。

 ペトリオットミサイルPAC-3は、しかし万一の場合に備えています。今回の弾道ミサイルは上空で三つに分離し、当初報道はミサイル3発と報じたものもあります。これは多段式の燃料タンクか弾頭部分が故障分解した事を意味し、何れかが落下した場合は小型旅客機が落下する場合に等しい被害が生じ、更に毒性の高い燃料が炎上すれば被害は広範に及ぶ。

 北海道上空を通過したミサイル、北朝鮮は今回ミサイル発射について、着弾海域の危険情報を発する事無く、文字通り突如発射しました。これは1998年8月のテポドン1号が東北地方上空を通過して以来の事態で、極めて異例です。他方、北朝鮮はグアム方面へのミサイル発射を警告し、自衛隊は北朝鮮の発表に応じ中国四国地方の警戒を強化していました。

 中距離弾道ミサイル火星12型が発射された可能性がある、小野寺防衛大臣は、0930時過ぎに防衛省で記者団に対し会見し、防衛省が情報を精査した結果、ノドンやスカッドといった従来のミサイルではなく本年5月14日に初めて日本海に向けてロフテッド軌道で発射された新型の中距離弾道ミサイル火星12型であったとしました。グアムへ向けていたもの。

 グアム方面へ火星12型4発の同時発射を検討していると北朝鮮が発表したのは今月8月9日、この際に北朝鮮は日本の島根県・広島県・高知県の上空を通過し、グアム島の周辺40km以内の海上に落ちるだろうと発表、具体的な飛行ルートを予告しています。今回、全く違う経路を飛行しましたが、中距離弾道ミサイル火星12型の1発が使用された可能性がある。

 Jアラート全国瞬時警報システム、今回のミサイル発射では、迅速にミサイルが捕捉された事で北海道上空通過4分前の0602時に最初のJアラートが発令されました。0558時発射4分後の0602時に警報発令、0614時に通過を発表しました。ただ、北海道えりも町や新潟県糸魚川市、長野県上松町等一部自治体では防災無線無作動のトラブルもあったもよう。

 各地で不安の声が聞かれました、曰くホテルで就寝中突如警報で起こされ安全なところに避難しろと通知され戸惑った、早朝市場で作業中携帯電話が鳴り響いたが何が起きたかわからなった、付近の頑丈な建物か地下に避難といわれても有りません、など。結果、内閣官房国民保護ポータルサイトにアクセスが集中、30分間つながりにくい状態が続きました。

 空襲警報は、戦争経験者の方々が存命である今だからこそ教育の場等で聞くべきですが、北朝鮮が保有している弾道ミサイルの内、核弾頭でなければ被害は仮に弾頭部分が落下したとしても建築物に致命的な被害が及ぶのは100m四方程度、破片被害も400m程度離れていれば屋内退避で致命的な負傷からは生存する事が出来ますので、備えが重要でしょう。

 退避方法、ホテルやマンションは窓から離れた浴室のバスタブ、自動車運転中の車内は横転の危険が高く最寄路肩に緊急停車し車両は横転の危険がある為に車下と路肩の中間に伏せる、歩道では側溝部分に隠れる、地下街や地下道が近くに無い自宅は玄関や浴室でコンクリート基礎部分が多い部屋に伏せる、圧死せぬよう耳を押さえ口を開ける、ビルは窓硝子を避ける。

 日米首脳電話会談がミサイル発射を受け急遽実施されました、 安倍首相とトランプ大統領は電話で会談し、北朝鮮に対してさらに圧力を強化していくことで一致しました。また、北朝鮮ミサイル受けて明日にも衆議院安全保障委員会において閉会中審査が緊急開催が予定されているほか、各国が呼びかけ、国連安全保障理事会の緊急会合が間もなく開始されます。

北大路機関:はるな くらま
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和歌山県沖に中国H-6爆撃機編隊出現!,北朝鮮ミサイル演習とロシアTu-95爆撃機列島周回

2017-08-28 20:00:12 | 防衛・安全保障
■日本列島周辺空域の緊張
 富士総合火力演習予行を撮影し終えた際、北朝鮮がミサイル三発を日本海に向け発射した事を知りました。撮影機材の準備中に中国爆撃機編隊和歌山沖出現の報道を聞いており、重ね重ねの緊張要素に驚かされました。

 今月24日木曜日、中国空軍のH-6爆撃機6機が紀伊半島沖へ進出しました。航空自衛隊は対領空侵犯措置任務として戦闘機を緊急発進させ対応しましたが、紀伊半島沖まで爆撃機が進出するのは極めて異例です。何故ならば、中国機が沖縄県や鹿児島県島嶼部等の南西諸島を越えて太平洋へ爆撃機を進出させる事は数年前まで稀有であり、それだけ衝撃です。

 H-6爆撃機6機は台湾海峡北部沿岸の福州方面から沖縄本島と宮古諸島の中間にある宮古水道方面を飛行し太平洋方面へ進出、沖縄本島奄美大島と大東島の中間水域上空を通過し、南九州日向灘沖を四国沖へ飛行、紀伊半島和歌山県の串本南方海域まで進出した後、旋回し、同じ経路を飛行、中国本土へと飛び去りました。領空侵犯事案へは至っていません。

 中国爆撃機がグアム方面へ初めて南西諸島中間を通過したのは2015年11月27日で、この際にはH-6爆撃機8機、TU-154情報収集機1機、Y-8情報収集機1機、Y-8早期警戒機1機、合計11機という規模でしたが、今回もH-6爆撃機の6機編隊という大きな編隊でした。この前日にはロシア軍の戦略爆撃機Tu-95の長距離飛行があり、緊急発進を行っています。

 和歌山県沖に進出したH-6爆撃機、機体そのものの原型機は1952年初飛行の旧型機ですが、エンジン改修や電子装置換装と改良型を開発し続けており、更にCJ-10A巡航ミサイルを搭載するミサイル爆撃機です。CJ-10Aは射程2500kmとされ6発搭載、H-6爆撃機の戦闘行動半径が3000kmを越え非常に大きく、最新型のH-6Kは現在も生産が継続されています。

 中国空軍幹部養成機関北京空軍指揮学院が2014年12月に発表した空軍長期戦略報告書では、制空権の確保に向けて偵察力や攻撃力を日本周辺も含め西太平洋まで広げると明記、新型戦略爆撃機や地上配備型迎撃システム等9種の戦略装備開発増強を発表しており、2015年のグアム方面進出から今回の紀伊半島沖進出は同じ延長線上にある事が分かります。

 ロシア機の日本海及び太平洋における飛行事案は、中国機の飛行前日に当たる8月23日に発生しました。ロシア空軍Tu-95爆撃機2機が日本海から太平洋に進出し、北海道から本州九州及び四国と沖縄南西諸島沖を飛行する長距離飛行を実施、航空自衛隊は対領空侵犯措置任務として戦闘機を緊急発進させ対応しました。Tu-92爆撃機は大型の戦略爆撃機です。

 Tu-95爆撃機は朝鮮半島の北部方面から日本海を島根県竹島西方空域を経由し、長崎県対馬東方海域上空を飛行し、壱岐北方空域を韓国済州方面へ飛び去りました。しかし、その暫く後、今度は宮古諸島北方空域を南下する経路を飛行し、そのまま宮古水道の沖縄本島沖を飛行、九州四国沖を飛行した後、伊豆大島南方海域を抜け、本州東北沖へ飛行しました。

 日本海から南シナ海を抜け太平洋上に出たTu-95爆撃機は東京と東北地方沖を北海道沖に飛行、襟裳岬沖で北方領土方面へ進路を変え、その後、国後島北方海域上空から樺太上空を抜け、ロシア本土へと戻ってゆきました。対馬海峡上空や伊豆大島南方海域を飛行しましたが、航法は正確で、狭水道上空を飛行しつつも領空侵犯事案には至っていません。

 北朝鮮が26日、北朝鮮東部より日本海へ向け、ロシア中国の爆撃機飛行に続く形で長距離ロケット弾実験を実施しました。0649時から0719時までの30分間に、短距離弾道ミサイル3発を発射し、内2発が250kmを飛翔、アメリカ太平洋軍の発表です。韓国側の分析では長距離ロケット弾であるとしています。前者には誘導装置があり、後者は無誘導です。

 250kmでは無誘導は厳しい。ブラジルが誇るASTROS-SS8-で80km、ロシア製BM-30ロケット発射装置用の2014年に完成した9A52-4タルナードは90kmの射程を有しますが、無誘導ロケットではこの当たりが限度で、自衛隊のMLRS等は無誘導では射程30kmで運用終了のM-26までであり、射程70kmのM-31はGPS誘導のミサイルとなっています。

 スカッドミサイルであった可能性があり、北朝鮮はグアムへのミサイル発射を宣言、アメリカと激しく対立していると同時に、グアムへのミサイル発射宣言後、我が国の島根県広島県及び高知県上空を弾道ミサイルが通過する事を通告し、航空自衛隊は万一の落下物に備え、中部地方よりペトリオットミサイルPAC-3迎撃部隊を展開させた最中の事でした。

 中国爆撃機編隊の紀伊半島沖初進出、ロシア軍爆撃機の日本列島周回飛行、北朝鮮の日本海への弾道ミサイルの可能性がある発射事案、先週一週間は緊張の連続でした。自衛隊緊急発進の回数が1100回を越えた事で安全保障面の懸念が強く関係者の間で認識された昨年度に続き、今度は脅威方面が従来想定しなかった広範囲へ及ぶ新しい問題と向き合わねばならない状況が現実となりつつあります。

北大路機関:はるな くらま
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【EOS-M3特報】富士総合火力演習二〇一七,AAV水陸機動車&16式機動戦闘車の初参加

2017-08-27 22:43:10 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■富士総合火力演習二〇一七
 富士総合火力演習二〇一七、中国が紀伊半島沖へ爆撃機編隊を飛行させ、北朝鮮がミサイル三発を日本海に撃ち込む緊張下で実施されました。

 本日、静岡県の東富士演習場畑岡地区において富士総合火力演習が行われました。特筆する点は陸上自衛隊に配備されている最新鋭のAAV水陸両用車が初公開された点でしょう。玖珠駐屯地祭や福岡駐屯地祭に続く一般公開で、本州での一般公開は今回が初となります。

 富士総合火力演習は富士教導団を中心に2400名の人員と、戦車等80両の車両、そして航空機20機が参加し実施されました。今回はEOS-M3カメラにて撮影した写真を速報にて紹介します。15-45mmレンズですので、EF28-300mmのEOS7D程の写真は撮れません。

 広報演習という位置づけですが、27日の本番で使われた弾薬は36t、ミサイル等をすべて含め費用にしておよそ2億9000万円に上るとのことでした。戦車の射撃一発にも膨大な費用を要していますが、現代戦闘に対応できる能力を保持する必要性と併せ広報を展開する。

 島嶼部防衛を主眼とした例年の展示と並び、東富士演習場の一部を離島に見立て、演習を行っており、併せて自衛隊が進める創設以来最大の変革という、従来の北方脅威への対処に併せ南西脅威への対処を行う統合機動防衛力整備の一端を演練した展示となりました。

 実弾射撃を公開する富士総合火力演習は、広報演習としての側面があり、前段演習と後段演習に分かれ、前段演習は自衛隊主要装備を紹介します。遠距離火力と中距離火力に近距離火力とヘリコプター火力及び対空火力と戦車火力の順番に射撃などを行い紹介されます。

 統合機動防衛力整備として注視すべきは、従来の富士総合火力演習では後段演習とに分かれており、島嶼部防衛という中国の海洋進出を念頭とした我が国離島への攻撃への対処を行うというここ数年の傾向が、水陸機動車や機動戦闘車の参加にて強められた点でしょう。

 16式機動戦闘車も今回戦車教導隊第4中隊へ配備され、初の機動展示を行いました。装備実験隊から管理替えで演習に参加している為射撃は行いませんでしたが、16式機動戦闘車、量産車は早ければ九月中旬にも富士教導団戦車教導隊への配備が開始される、とのこと。

 大規模着上陸を想定した従来の富士総合火力演習では、対機甲突撃破砕射撃による敵攻撃衝力の骨幹たる機甲戦力の撃砕を通じての攻撃前進の阻止から、反撃と戦果拡張へ、という展示となっていましたが、島嶼部防衛の展示では離島の要点再確保、となっていました。

 北海道の第7師団より第71戦車連隊が90式戦車を今回派遣していました。第4戦車大隊が支援に当っているという話もありましたが、第4戦車大隊の74式戦車は見当たらず、AAV水陸両用車は第4戦車大隊の車両が玖珠から展示参加した、という事なのかもしれません。

 AAVは年度末に新編の水陸機動団主要装備となっており、数年内に52両導入される新装備です。米軍正式名称のAAV-7両用強襲車ではなく、AAV水陸両用車、という名称が自衛隊での正式名称で、増加装甲や機銃にMk19擲弾発射器等も搭載した完全装備での参加です。

 16式機動戦闘車16MCVは、新編される機動連隊や偵察部隊へ配備される、というもので、戦車大隊へ配備されるとの言及はありませんでした。装甲防御力などは多数の見学者の関心事となっていましたが、基本は戦車ではないので運用が違う、という強調で説明されています。

 後段演習は島嶼部防衛を主眼としたのは6年連続との事で、侵略を受けた離島の要点を確保し反撃と奪還を実施、戦果拡張へヘリコプターの大編隊が戦車部隊と装甲部隊の前進を支援すると共に戦果拡張へ、此処で状況終了のラッパが高く響き、状況終りとなりました。

北大路機関:はるな くらま
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富士総合火力演習二〇一七:基盤的防衛力から統合機動防衛力整備の転換期に示す公開演習

2017-08-26 20:03:02 | 北大路機関 広報
■富士総火演二〇一七明日実施
 富士山には戦車が似合う、八月の終わりと云えば富士総合火力演習の季節です。

 富士総合火力演習はいよいよ明日となりました。昨年は総合予行の後段演習最後のところで土砂降りとなり、あの状況で10式戦車はよくぞ正確に射撃できるものだと、新世代の熱線画像照準器の性能に驚くよりも、雨にぬれると此処まで体力を消耗するのか、という事への驚きの方が大きくなりました。北陸東北豪雨の関係から気象は最後まで心配ですね。

 総火演と愛称で呼ばれる富士総合火力演習は陸上自衛隊が行う実弾射撃演習です。教育演習として現代戦闘の様相を富士学校学生に転じすると共に国民へ自衛隊の能力を広く示す広報演習というもので、一般入場券の競争倍率は今年度も29倍という非常に関心を集めている行事で、富士学校隷下の富士教導団が中心に第1師団や中央即応集団、航空学校等の支援を受け実施されます。

 富士教導団が実施する富士総合火力演習ですが、本年は展示演習にどういった新装備が参加するのか、というところも関心事の一つです。陸上自衛隊の統合機動防衛力整備として、戦車大隊の廃止が本格化知ると同時に16式機動戦闘車が、全国で新編される機動連隊への配備が始まります。機動戦闘車中隊が間に合うのか、若干心配ですがこれは出てくるのか。

 水陸機動団の新編という、自衛隊統合機動防衛力整備と並行しての冷戦時代以降最大の改編となる九州の水陸両用戦部隊の新編を前に、その目玉装備としてAAV-7両用強襲車両の装備は開始されますが、第4戦車大隊等で試験運用が開始されたAAV-7、富士総合火力演習2017のポスターには描かれているのですが、自衛隊のAAV-7が登場するかも気になる。

 統合機動防衛力整備では戦車や火砲という重装備配備の思いきった配備見直しが行われますが、この為に来年度までに駒門の第1機甲教育隊が廃止予定です。東部方面混成団に所属し、74式戦車から90式戦車まで一通り配備する全国で唯一の機甲教育部隊ですが、廃止前に最後の富士総合火力演習へ、参加する事はあるのか、という事もやはり関心事の一つ。

 90式戦車等は北部方面隊の第11戦車大隊や第2戦車連隊といった部隊から、戦車は管理替えの場合もあるようですが、戦車を富士総合火力演習に参加させています。今年は北海道から戦車部隊は参加するのか、こうした点でも登場する戦車の砲塔に画かれた部隊マークにも気になるところ。第7師団以外の90式戦車が89式装甲戦闘車と協同の様子も貴重だ。

 航空学校では去就に注目されるのは、不時着事故と予防着陸事案から運用が大きく制限されているOH-1観測ヘリコプターの運用です。また、富士総合火力演習への射撃訓練中に不時着したAH-1S対戦車ヘリコプターが対戦車ミサイルTOWの射撃を行うのか、CH-47JA輸送ヘリコプターがどう云った装備品を空輸するのかにも注目といえるでしょう。

 華々しい発砲焔の迫力に圧倒される富士総合火力演習ですが、近年では最新装備の中距離多目的誘導弾の連続発射など新装備の威力を示すと共に、新装備の導入と共に旧型装備との協同の在り方、進まない航空機の新旧更新、富士総合火力演習は陸上自衛隊の縮図を如実に示す一つの機会でもあります。こうした視点から演習の細部も観てゆきたいところ。

 インターネット中継が本年も行われます。入場券を入手できなかった場合には陸上自衛隊HPからニコニコ生放送等、インターネット中継にて冷房の利いた涼しい部屋から丹念に見る、というものも一興でしょう、これならば万一本番会場がゲリラ豪雨で荒天となっても濡れる事もありません。インターネット中継は明日日曜日0930時から実施される予定です。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十九年度八月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2017.08.26/08.27)

2017-08-25 20:07:15 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 首都圏の長雨に晴れ間が見えた一方、京阪神は猛暑にゲリラ豪雨が激しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末は自衛隊関連行事、あります。

 松島基地航空祭、七年ぶりに復活です。ブルーインパルスの松島、東日本大震災により基地が津波被害に遭い、F-2B戦闘機が破損するなど大損害を受け、嵩上げ工事を行っていた松島基地は、ここ数年、事前応募制招待券を発行し限定的な航空祭を実施してきましたが、本年は27日日曜日に一般開放を行い、盛大に松島基地航空祭2017を開催するとのこと。

 ブルーインパルスは午前中と午後に二回の飛行展示を行うほか、第4航空団所属のF-2B戦闘機は三菱重工始め防衛産業各社の多大な努力により津波に流された機体が復活し、復興を祈念する象徴の如く機動飛行を実施します。津波対策として格納庫とエプロン地区が4m嵩上げされている為、万一の際も安心で、併せて津波被災地域はじめ復興を祈念したいですね。

 富士総合火力演習、陸上自衛隊が一般に公開する日本最大規模の実弾演習で、静岡県の東富士演習場畑岡地区にて実施される。富士学校隷下の富士教導団を主力に、第1師団や第1ヘリコプター団、航空学校に加え近年は北部方面隊からの支援部隊の参加を受け実施されており、陸上自衛隊の現在の能力を主権者で納税者たる国民に示す重要な広報演習です。

 10式戦車や90式戦車を初め、戦車装甲車に戦闘ヘリコプターが実弾射撃するという事で広い関心があり、一般公募入場券はインターネット募集で大変な競争率となっています。入場券が入手できなかった場合でも、しかし、陸上自衛隊ではこの幅広い関心に応えるべく、例年、インターネット中継を行っており、FRESH!とニコニコ生放送でお楽しみください。

 さて撮影の話題、自衛隊関連行事と雨天、昨年の富士総合火力演習予行は凄かった。雨天でカメラは無事で写真も素晴らしいものが撮影できたのだけれども、本人ずぶ濡れ、というときには入浴施設にて身も心も温まる、これは我慢し翌日に頭痛に悩まされるくらいならば時間の有効活用という意味からも意義があります。しかし、行事前日に雨天が予報される場合、日帰りでも着換えを持ってゆくかは悩むところ。

 旅行用品店等に行けば完全防水の洗面用具入れ等、コンパクトなものがありまして、詰め込んでみますと下着と靴下くらいは押込めればズームレンズ位の大きさに纏める事が出来ます。無論嵩張る事には違いありませんが、これが一つあると安心感はかなりです。その上で入浴施設ですが、小さな手拭か吸水布と使い捨て石鹸が一つあると、充分楽しめます。

 銭湯はタオル石鹸持参のところが多く、借りれぬ銭湯もあるにはある。吸水布は自動車用品店等に安価なものがあり、入浴時のタオルとして以外に、入浴後にも絞れば案外充分機能します。使い捨て石鹸は旅行用品店で消しゴム大のものがありますし、ビジネスホテル等で配布のものでも充分使えます。一式持ち遠出しますと、粋な気分にも浸れるでしょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭


8月27日:松島基地航空祭2017…http://www.mod.go.jp/asdf/matsushima/
8月27日:富士総合火力演習2017…http://www.mod.go.jp/gsdf/index.html

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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第七艦隊アーコイン司令官更迭,イージス艦ジョンSマケイン・フィッツジェラルド事故受け解任

2017-08-24 20:08:15 | 防衛・安全保障
■日米ミサイル防衛へ影響
 艦船や航空機事故は一回発生すると連続するといわれますが、北朝鮮弾道ミサイルへ日米の警戒が続く中、フィッツジェラルドに続きジョンSマケインがタンカーに衝突され死傷者が出ました。

 アメリカ海軍は、第七艦隊司令官ジョセフアーコイン中将を、指揮能力に対する信頼が失われた為、として解任しました。アーコイン中将は2015年9月に第七艦隊司令官に着任、間もなく退官の予定でしたが、イージス艦フィッツジェラルドの静岡県沖衝突事故、シンガポール沖で先日21日発生のイージス艦ジョンSマケイン等事故を受け更迭されたかたち。

 新しい第七艦隊の司令官にフィリップソーヤー中将が着任しました。イージス艦の衝突事故が相次ぎ第七艦隊司令官を更迭されたジョセフアーコイン中将の後任で、インドネシアのバリ島での海洋安全保障に関するシンポジウムにて事故について触れ、海上での捜索活動を支援してくれた海上自衛隊や各国の海軍に深く感謝している、と謝意を表明しました。

 小野寺防衛大臣は記者団に対し日米のイージス起案運用調整を行うと述べました。SM-3を搭載しミサイル防衛能力を持つ日米のイージス艦は太平洋上に7隻しかいませんが、フィッツジェラルドとジョンSマケインの事故により当面な修理の為2隻減り、5隻のイージス艦で警戒に当たる事となり、北朝鮮弾道ミサイル脅威顕在化の中で少なくない影響です。

 第七艦隊の相次ぐ事故は、アメリカ海軍でも重大視されており、安全点検へ海軍前艦艇の運用を一時中止する異例の措置に踏み切りました。海軍作戦部長ジョンリチャードソン大将は“太平洋海域では事故が続いており、こうした傾向からより強力な措置を取る必要がある。その為、世界中の全艦隊の運用一時停止を指示した”と異例の措置を説明しました。

 第七艦隊の事故は、1月にイージス巡洋艦アンティータムが神奈川県横須賀市沖で座礁する事故を起こしており、5月にはミサイル巡洋艦レイクシャンプレインが韓国漁船と衝突する事故を起こしています。負傷者はこの二件に限りありませんが、基本的な艦橋からの見張りで漁船との衝突は回避でき、座礁も陸上目標物と海図の座標確認で回避できるものです。

 自己が連続するという事は問題の萌芽が一斉に表面化した為といわれますが、船舶GPSへのサイバー攻撃の可能性さえあるのではないか、サイバーセキュリティー専門家の中には、今年6月に黒海にて発生したGPS信号妨害事件を例として、中国か北朝鮮のサイバー攻撃部隊により船舶用GPS信号が妨害された可能性を示唆しています。現在位置座標をサイバー攻撃により誤表示させ、意図的に航路から艦が外れるよう仕向けたという。

 黒海で今年6月に派生したGPS信号妨害は1隻の船舶がGPS信号受信を妨害されたとしてアメリカ沿岸警備隊のナビゲーションセンターに通報、沿岸警備隊が緊急調査を行った結果、黒海航行中の船舶20隻について同様の妨害があり、自動化を高度に進めGPSのみに座標標定を依存する船舶は攪乱される事で衝突や座標の危険が生じるとされています。

 シーマンシップ、という船乗りの船上気風は日米共通と思っていましたが、貨物船やタンカーに漁船と航海中に洋上で衝突し浅瀬に座礁となりますと、技量と練度に問題を考えてしまいます。ただ、シーマンシップは商船では例外もあるようで、船舶用地上系電波航法システムLORANという旧式の航行支援装置を併用し、GPS座標のみに頼らない二重の安全策への研究が各国で開始されていますが、一方で自動化を最大限進めた民間船舶と異なり、海軍艦艇には哨長を中心に24時間体制の見張り体制が採られています。暗礁は海図に必ず記載、船舶接近も肉眼と航海レーダーで確認できるでしょう。

 イージス駆逐艦とイージス巡洋艦の相次ぐ事故は、これらイージス艦が所属する第七艦隊が西太平洋地域の地域安定に重要な位置を占めている為、波紋を呼んでいます。アメリカ国防総省は23日、太平洋パラオに監視用レーダーシステムの設置計画を発表し、パラオ政府との共同声明で、レーダー設置場所選定が最終段階に入っている事を明らかにしました。

 パラオにレーダーを新設しなければならないほどの切迫した状況ということでしょう。パラオは人口22000名の独立国で、米領グアムの南西1300kmに位置し、元日本委任統治領、コロン軍港は日本海軍が戦時中に根拠地としており、ペリリュー島の戦い等で戦史に記されている通り太平洋上の重要な地域にあり、冷戦後は常駐米軍部隊は無いものの、中国海洋進出や北朝鮮弾道ミサイル長射程化を受けての今回の施策であり、緊迫化が窺える訳で、こうした中で第七艦隊の訓練水準や事故原因の究明は一つの急務です。

北大路機関:はるな くらま
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【京都発幕間旅情】太平洋奇跡の作戦 キスカ(1965東宝),岐阜名画座ロイヤル劇場上映中

2017-08-23 23:27:45 | 映画
■太平洋奇跡の作戦 キスカ
 太平洋戦争中の日本海軍が実施したキスカ島撤収作戦を描いた映画“太平洋奇跡の作戦 キスカ”を今週、映画館で鑑賞してまいりました。

 太平洋奇跡の作戦 キスカ,丸山誠治監督が1965年に制作した東宝映画です。“キスカ”その名の通り1943年のキスカ島撤退を描いた作品で、実際にアリューシャン諸島に孤立した5200名の陸海軍部隊を帝国海軍第五艦隊が水上戦闘艦艇により救出した史実を元としており、今週末まで岐阜県岐阜市繁華街柳ヶ瀬の名画座“ロイヤル劇場”で公開されています。

 1941年の真珠湾攻撃と共に戦端を切った日本はアメリカ太平洋艦隊の戦艦部隊主力を一挙に撃破、同時に香港シンガポールの南方地帯を一挙に攻略し、フィリピンからインドネシアまでを占領、海軍は空母6隻部隊を返す手でインド洋に進攻、イギリス海軍戦艦部隊主力をアフリカ沖に追いやると共に空母を捕捉撃沈、僅か半年で地球の一割を占領しました。

 日本軍のアリューシャン諸島攻略は、上記作戦と共にアメリカへ講和を突き付ける手段として、太平洋上の日付変更線に沿って太平洋の中央部ミッドウェー諸島、米豪遮断作戦としてオーストラリアとアメリカの中間に当たるソロモン諸島のラバウルやガダルカナル等へ同時進攻、アメリカを牽制すると共に航空母艦部隊を誘い出し撃滅する方針に出ます。

 しかし、赤城、加賀、蒼龍、飛龍の主力空母4隻を集めたミッドウェー作戦はアメリカ海軍空母部隊3隻の捕捉に失敗し、逆にミッドウェー島航空部隊との協同を受け日本は空母4隻を一度に失いました。すると、北米アリューシャン諸島のキスカ島とアッツ島を占領した日本軍部隊は逆に孤立する事となり、南方ソロモン諸島でも地獄の消耗戦が始りました。

 太平洋奇跡の作戦 キスカ,作品はアメリカ海軍に包囲されたキスカ島から5200名の守備隊を救出する作戦を描きます。アリューシャン諸島では1943年3月に日本軍守備隊増援部隊輸送と、阻止に向かうアメリカ海軍との間でアッツ島沖海戦が起きます。日本の重巡洋艦那智と摩耶は優勢に戦闘を展開しつつ稚拙な指揮にて後退してしまい増援作戦は失敗する。

 アッツ島はアッツ島沖海戦の結果増援部隊と物資を送れず1943年5月にトーマスキンケイド中将が戦艦3隻を中心とする攻略部隊を派遣し、11000名の米軍部隊と2600名の日本軍守備隊は弾薬火砲とも不足する状況で戦闘を展開し玉砕してしまいました。大本営では、このアッツ島玉砕を受けキスカ島放棄を決定しますが、このままでは守備隊は全員玉砕だ。

 帝国海軍第五艦隊は、千島樺太交換条約で日本領であった千島列島北端の幌筵基地からアリューシャン諸島への救出作戦の実施を大本営から許可されますが、問題は5200名の輸送方法です。一万t型輸送船が2隻あれば即座に収容できる規模ですが、アメリカ海軍は戦艦アイダホ、ミシシッピーの2隻を主力に巡洋艦と駆逐艦等30隻と航空部隊で包囲している。

 第一水雷戦隊は第五艦隊隷下で撤収作戦に当った部隊ですが、軽巡洋艦阿武隈、木曽、駆逐艦夕雲、風雲、秋雲、朝雲、薄雲、そして増援の第十一水雷戦隊駆逐艦島風、五月雨、長波、若葉、初霜、響、海防艦国後等の駆逐艦を掻き集めて実施されました。駆逐艦での輸送はソロモン方面での鼠輸送として悪名高いものの、高速艦以外対応不能との判断です。それにしても、護衛艦で聞き覚えのある艦名が多い。

 軽巡洋艦阿武隈乗艦の第一水雷戦隊司令木村昌福少将は、映画では大村少将と変更されていますが、映画で云われる通り海軍兵学校の劣等生、118人中107位で江田島を卒業しましたがミンドロ島沖夜戦等戦勝が多い名提督です。第三水雷戦隊司令として1943年3月のソロモン諸島ビスマルク海海戦で重傷を負い、療養後第一水雷戦隊司令に着任しました。

 阿武隈、木曽、と5500t型軽巡洋艦を旗艦とする第一水雷戦隊、はるな型護衛艦と同規模の艦ですが、包囲するアメリカ海軍には基準排水量33600tの戦艦アイダホ等有力な部隊が居り、アリューシャン諸島には米軍航空部隊が戦闘機や爆撃機を展開させており、艦隊決戦では本土から基準排水量38000tの戦艦伊勢や戦艦日向でも展開させない限り勝てません。

 アリューシャン諸島は濃霧が度々起こり、視程100mという艦橋から艦尾が霞むほどの濃霧が度々発生します、そこで木村少将は濃霧に紛れキスカ島撤収を決断します。当時アメリカ海軍艦艇にはレーダー搭載が基本でしたが、日本には駆逐艦島風等最新艦を除きレーダーはありません。しかし、島伝いに進み濃霧を利用すればレーダーエコーに隠れられる。

 第五艦隊司令長官河瀬四郎中将は重巡洋艦那智と摩耶を護衛へ派遣する案を木村少将に提案しますが、那智と摩耶の護衛に割く駆逐艦が無い事を理由に固辞します。当時既にガダルカナル撤退とソロモン諸島の戦いで日本海軍の駆逐艦に余裕は無く、更に燃料不足も深刻であり、訓練も十分行えぬ状況下で気合いと海軍魂を掛け声に消耗を重ねていた頃です。

 キスカ島は戦艦アイダホとミシシッピーはじめ30隻以上が包囲しているが、濃霧に紛れて救出する。この為、軽巡洋艦阿武隈と木曽はオマハ級軽巡洋艦やペンサコーラ級重巡洋艦と類似した艦容へ煙突を少なく見えるよう塗装し、駆逐艦へ偽装煙突を追加する等工夫を凝らし、霧中航行へ曳航式の浮標を各艦が装備し、視界皆無での艦隊行動に注力しました。

 作戦は一筋縄で進んだ訳ではありません。第一次作戦はキスカ湾を目前に濃霧が薄まり、後退しましたが、作戦に消極的であるとして全滅を賭して突入すべきだったとの批判が大本営や連合艦隊から集中します。それだけ燃料が逼迫していた訳です。第二次突入作戦の際、包囲のアメリカ艦隊がレーダーエコーを日本艦隊と誤認し三時間の砲撃を行いました。

 太平洋奇跡の作戦と呼ばれる背景には、この三時間の砲撃でアメリカ艦隊は日本軍を撃退したと誤認し、弾薬補給のために一旦全艦近傍のアムチトカ島へ後退しており、第一水雷戦隊はこの間隙にキスカ島へ全兵員を救出出来た訳です。濃霧の中、警戒部隊との衝突事故や帰路にアメリカ潜水艦に発見される等ありましたが、撤収作戦は7月29日に完了する。

 木村少将はこの作戦に濃霧の情報を確実に得るために、第5艦隊隷下の潜水艦をキスカ方面へ展開させ情報収集を行う等、最大限の努力を行った上で上記僥倖が奇跡の結果を生みました。8月15日にアメリカ軍はキンケイド中将指揮官にキスカ島上陸のコテージ作戦を実施、幻の日本軍を相手に誤射を繰り返し、数匹の犬以外島にいない事を知った訳です、故に南極物語・マリと子犬の物語、と並ぶ日本三大犬置き去り映画のひとつ。

 映画太平洋奇跡の作戦 キスカ,元連合艦隊作戦参謀の千早正隆氏が著した“太平洋海戦最大の奇蹟”を原作とし、実際の撤退作戦へ参加した元海軍の近藤敏直氏が監修、霧の中を進む艦隊の様子を特技監督円谷英二氏が、映画音楽には團伊玖磨氏がキスカ交響曲を作曲、製作は田中友幸氏が当ります。史実より多少脚色や省略された部分嗚はありますが、作品の特撮と音楽は1965年公開から全く色褪せていません。

 三船敏郎、山村聡、藤田進、志村喬、平田昭彦、土屋嘉男、佐藤允、久保明、西村晃、キャストは日本映画界を支えた錚々たる陣容で、山本廉、堺左千夫、二瓶正也、黒部進、日本映画界の盛上げ役も絢爛豪華ぶり、昨今のCG頼りの演出ではなく、演技力と自然さに間の取り方と併せ、光の微妙な加減やカット割から現実味とリアリティを醸し出す作品だ。

 岐阜市ロイヤル劇場、東海道本線岐阜駅から中心部柳ヶ瀬へアーケードに沿って進むと高島屋があり、そこから劇場通り沿いに直ぐです。名画座ですが2005年までは新作を上映していたとの事です。特筆すべきは座席数298席という事で、大阪の名画座新世界東映の座席数98席や神戸のパルシネマの130席と比べても破格に大きい点が挙げられるでしょう。

 終戦記念日の八月十五日には毎年、終戦記念の戦争映画特集を興業しており、連合艦隊、太平洋の嵐、日本のいちばん長い日、戦争と人間、等々も上映されています。500円均一で毎週異なる作品を上映していまして、特にこの時期は青春18きっぷ利用で岐阜へ行けば、大画面で往年の名作を愉しめる。太平洋奇跡の作戦 キスカは金曜日まで上映されています。

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スカッドvsペトリオット,迎撃高度四〇〇〇米!弾道ミサイル防衛はこのように展開する

2017-08-22 23:44:00 | 防衛・安全保障
■実録:弾道ミサイル防衛戦
 現在、中国四国地方へ北朝鮮ミサイル落下の可能性へ備え、ミサイル防衛部隊が展開していますが、万一の際に実際にはどのように迎撃が行われるのでしょうか。

 北朝鮮弾道ミサイルが日本上空を通過してグアムを狙う。ミサイルが日本上空通過の際にミサイルから切り離されたブースター部分等が落下する可能性や、大気圏外に出る際の摩擦熱によりミサイルが分解し本土へ落下の危険があり、懸念が現実となった際は国民保護法に基づきJアラートを発する。ピンときません、そこで過去の歴史をみてみましょう。

 1991年1月18日、8発のスカッドミサイルが突如イスラエルに落下しました。これはイラク軍が隣国ヨルダンを越えてイスラエルへスカッドミサイルを撃ち込んだもの。当時イラクは隣国クウェートを武力併合し、国連安保理による制裁と撤兵要求を受けていました。そこでイラクは無関係なイスラエルを攻撃、第五次中東戦争を誘発させようとしたのです。

 イラクがイスラエルを攻撃した思惑は、クウェート占領によるイラクと国際社会の対立、という構図を、イスラエルが報復にイラクを攻撃する事で中東の反イスラエル諸国を巻き込み、中東とイスラエル及び欧米、という対立構造に転化させようとしたものです。アメリカは第五次中東戦争を回避する為、在欧ミサイル迎撃部隊をイスラエルに派遣しました。

 スカッドミサイルはイラク国内のシリア国境付近から500km先のイスラエル事実上の首都テルアビブと港湾都市ハイファを狙い発射、宇宙空間へ最高高度150kmの放物線を描き落下します。アメリカ軍はこのミサイル探知に赤道上36000km静止衛星軌道上に展開させる弾道ミサイル監視用DSP衛星を用いました、ソ連の核攻撃を警戒するための人工衛星です。

 DSP衛星には2000個の赤外線センサーが搭載されており、地球上から大気圏外に高熱を発し飛翔するあらゆる物体の赤外線を探知します。この情報はオーストラリア国内の米軍衛星中継通信基地を経て、サウジアラビアのアメリカ軍中央軍総司令部へ送信、ここからイスラエルへ展開した迎撃ミサイル部隊へ送信、部隊は着弾5分前に警報受信できました。

 アメリカ軍がイスラエルへ展開させたのはペトリオットPAC-2地対空ミサイルです。射程100kmの対航空機用ミサイルですが、高速で飛来する弾道ミサイルに感知し爆破する新型シーカーを搭載し、限定的ですが弾道ミサイルを迎撃できるものでした。この1991年当時には弾道ミサイルに直撃し撃墜する現行のペトリオットPAC-3はまだ開発されていません。

 スカッドミサイルは150kmを頂点とし、放物線を描いて落下します。この速度はマッハ6からマッハ7に達し、秒速2.5kmという高速で接近します。ペトリオットミサイルの射撃管制レーダーMPQ-53はフューズドアレイレーダーにより高度80kmの距離で落下する弾道ミサイルを検知します、DSP衛星の情報に基づき飛来方向と時機は判明しているもの。

 ペトリオットPAC-2地対空ミサイルは射撃管制レーダーMPQ-53が発見した目標は射撃要員2名が乗車するECSシェルターへ通知され半自動で射撃管制装置AN/MSQ-104により情報処理し、正確な座標を標定します。同時にMPQ-53は目標を追尾、このミサイルの情報は指揮下のミサイル発射装置へAN/MRC-137無線中継装置を通じ瞬時に送られます。

 この間僅か十秒、M-901発射機からMIM-104ペトリオットミサイルが発射されます。しかし、一瞬の時間ではありますが、それ以上に弾道ミサイルは高速でMIM-104ペトリオットミサイルが発射された瞬間には、既に高度30kmまで落下しているのです。ペトリオットミサイルは万全を期して、一発のスカッドミサイルへ二発が発射、高速で上昇してゆく。

 MIM-104ペトリオットミサイルはマッハ5で急上昇してゆきます。落下するスカッドミサイルは当初マッハ7の極超音速ですが大気圏再突入の空気摩擦により僅かに減速しマッハ6へ、しかし相対速度はマッハ11という。しかし、重力に逆らって上昇するペトリオットよりも重力に従って落下するスカッドの方が早く、高度4km、即ち4000m上空で会的する。

 PAC-2は対航空機用として目標付近でさく裂し、大量の破片と爆風により航空機を破壊するものです。これは揚力により飛行する航空機や巡航ミサイルを撃墜するには最適の方策ですが、落下する弾道ミサイル付近でさく裂したとしても、結局は落ちてくる。しかし、弾頭機能不随に追い込めば地上での爆発を回避できますし、落下位置を逸らせるでしょう。

 スカッドミサイルの威力は大したことはありません、と識者が述べた場合でも直撃地域では看過できない被害をもたらします。イスラエルのテルアビブ住宅街へ落下したスカッドは半径100mの集合住宅や民家を全壊させ住民を殺傷すると共に、300m以内に爆風被害による負傷者を出しました。弾道ミサイルの威力は爆弾テロ等とは破格に違う脅威なのです。

 ペトリオットミサイルとスカッドミサイルの高度4000mでの空中決戦は、少なくともイスラエル軍がイラク攻撃へ踏み切る事だけは回避する政治的役割を果たしました。一方で直撃しなければ破壊できないとして、やはり対航空機用と対巡航ミサイル用の地対空ミサイルを弾道ミサイル迎撃へ転用する事の難しさを端的に示し、これがPAC-3開発へ繋がる。

 イラク国内のスカッドミサイルは、アメリカイギリスとサウジアラビア主導の多国籍軍が膨大な航空戦力による徹底した爆撃と、特殊部隊のイラク国内浸透によるスカッドミサイル部隊への直接攻撃により徐々に縮小しましたが、1991年の湾岸戦争ではイラク軍はイスラエルとサウジアラビア等へ88発のスカッドミサイルを発射、その都度緊張が走りました。

 ペトリオットミサイルは158発が発射されています。これは明らかに人口密集地域外に落下するスカッドミサイルは迎撃されなかった為ですが、イラク軍は大量の化学兵器を保有し、その一部はイランイラク戦争において使用されていました。化学兵器が内蔵されていないか、スカッドミサイルの迎撃任務は戦争全般で、非常な緊張を強いられたとの事です。

北大路機関:はるな くらま
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