北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北大路機関2015大晦日 本年もありがとうございました、来年もどうぞよろしく!

2015-12-31 22:48:36 | 北大路機関 広報
■大晦日2015
 大晦日、本年も残るところあと僅かとなりました。

 2005年7月29日に阪急十三駅にて神戸三宮からの帰路深夜の特急待ち合わせ時間を利用し、ノートパソコン東芝dynabookとPHS回線にて立ち上げたWeblog北大路機関は本年十周年を迎えました、10周年の節目の年はこれまでにもありませんような様々な出来事がありました。

 昨年最大の出来事は、OCNブログサービス提供終了に伴うgooブログへの移転事業であり、本年は移転後のアクセス解析方法改編とともに再構築へ、またWeblog北大路機関予備ブログとして運営中となっています第二北大路機関強化を併せて実施してきています。

 自衛隊関連の最大の関心事は、ヘリコプター搭載護衛艦しらね除籍です、ヘリコプター搭載護衛艦はるな除籍を受け舞鶴配備となりました護衛艦しらね、早くも除籍という印象ですが、併せてその機会に立ち会えましたことは、ある種のご縁というものもありました。また、その機会にも、このWeblog北大路機関は本当に意外なほどに多くの方が読まれている事を遅まきながら知りました次第で、大きな励みとなります。

 別れあれば出会いあり、舞鶴でも新ヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが配備となり、有難いご縁と知己を広める機会へも繋がりました、ご縁の糸は広く薄く世の中を覆うものですが、その糸に縁にて巡りあう機会は、意図するかせざるかにより、大きく異なるもので、その二つを織りなす機会は場所に依拠するものだると強く思います、本年お世話になりました皆様、ありがとうございます。

 最後になりましたが、読者の皆様、本年もご高覧ありがとうございました、来年もよろしくお願いいたします。

北大路機関
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北大路機関『自衛隊最新装備2015』 最新ヘリコプター搭載護衛艦と各種最新鋭装備

2015-12-30 19:37:27 | 北大路機関特別企画
■自衛隊最新装備2015
 毎年年末恒例、本年Weblog北大路機関が紹介しました今年の最新ヘリコプター搭載護衛艦と各種最新鋭装備について、紹介しましょう、本年も様々な装備を紹介する事が出来ました。

 新ヘリコプター搭載護衛艦いずも、いずも型護衛艦の一番艦として今年就役し、全通飛行甲板型構造を採用、基準排水量19500t、満載排水量27000tという海上自衛隊護衛艦の規模としては空前の大型護衛艦として完成しました。八月には二番艦かが進水式を迎え、航空機を集中運用する新世代の護衛艦として作戦能力化が進められています。

 原子力空母ロナルドレーガン、満載排水量10万1400tという航空母艦ニミッツ級の一隻で、ジョージワシントン後継として横須賀へ前方展開しました。あきづき型護衛艦と共に観艦式を航行し、あきづき型は満載排水量6800tと水上戦闘艦としては大型なのですが、巨大な築城基地と那覇基地の戦闘機と早期警戒機及び救難ヘリコプター全部と同数の戦闘機等を収容する巨大な一隻を撮影する機会に恵まれました。

 防弾チョッキ3型、従来の防弾チョッキ2型後継として配備が開始されたばかりの装備で、2型と同様に耐小銃弾板とMOLLE装具対応PALSテープを採用すると共に、負傷や緊急離脱時の着脱を迅速化するクイックリリース機能や全身重量分散設計を採用し、慣れが必要という声もありますが、昨年ごろから第一線部隊へ配備が開始されている新型ボディーアーマーです。

 84mm無反動砲(B)、多用途ガンとして配備開始となりました、カールグスタフ84mm無反動砲の新型で、陸上自衛隊は重量15kgのカールグスタフM2を採用しましたが、その後01式軽対戦車誘導弾が採用、そして更に軽対戦車誘導弾は戦車への対処能力は高いものの更に火力拠点急襲や近接戦闘任務時の火力支援に用途が広いとの意味で携帯無反動砲が再評価され、重量を8kg程度と大幅に軽量化したカールグスタフM3を採用しました。

 JTPS-P25対空レーダ装置、高射学校祭において展示された最新鋭の対空レーダ装置でJTPS-P14の後継機として開発されたものです。航空自衛隊のJ/TPS-102移動監視用レーダ装置に匹敵する300km以上の索敵が可能で、現行機種P-14と同程度の警戒が可能であるとともに情報収集及び解析と伝送速度を高めたもので、師団対空情報処理システムの後継に当たる対空戦闘指揮統制システムの中枢を担います。

 C-130R輸送機、海上自衛隊がYS-11輸送機の後継として導入した新型輸送機で、アメリカ海兵隊KC-130R空中給油輸送機を中古取得し、空中給油機能を省いたうえで再生機として導入しました。航空自衛隊が運用中であるC-130H輸送機とほぼ同型で、東日本大震災を契機に導入が決定、6機が導入され全機厚木航空基地へ配備されています。

 04式空対空誘導弾(改)/AAM-5(改)、現在のAAM-5を改良したもので赤外線誘導方式である本ミサイルIRシーカー部分を現行二軸から三軸のジンバル部分により駆動させ急激な目標の回避運動への追随性を強化するとともに目標捕捉能力を向上させフレアー等妨害手段への対抗性能を強化、IRシーカー冷却能力を新型として識別精度を向上させ、全体性能を強化しました。

 RIM-116RAM、SeaRAM発射装置、いずも型護衛艦の防空用に採用された射程15kmの個艦防空用ミサイルで近接防空システムCIWSの20mm機関砲をRAMへ切り替えたもの、ミサイル本体はパッシヴレーダー誘導と赤外線誘導方式を併用するもので、主として超音速対艦ミサイル等から艦艇を防護すべく連続射撃能力を有しています。RAM自体は護衛艦あぶくま型へ装備が検討中ですが、いずも型へ先の搭載が実現しました。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北大路機関2015:自衛隊関連行事展開記録 日本列島をヘリコプター搭載護衛艦くらま、とともに

2015-12-29 23:21:39 | 北大路機関特別企画
■北大路機関防衛撮影記
 2015年、師走もあと僅かとなってきました、皆様の本年はどのような一年であったでしょうか。

 本年はヘリコプター搭載護衛艦の一年でした、思い出しますのは2012年の自衛隊観艦式、ヘリコプター搭載護衛艦しらね、くらま、が参加しまして相模湾洋上にて敬礼を交わしました当時、しらね、今回の観艦式が最後です、くらま、次回の観艦式には観閲艦として参加するのでしょうが、更にその次の観艦式には、参加する事は、というお話を聞きまして、その次の観艦式を迎えた訳でした。

 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、本年は海上自衛隊幹部候補生学校卒業式と同時に開始されます近海練習航海部隊旗艦として参加する旨、海上自衛隊より発表がありましたその時から、つまりは近海練習航海日程は好評された三月ですが、2015年は、くらま強化年間になるのだろうな、という印象を強く持ちました次第です。

 2015年は三年に一度の観艦式の年に当たり、本年は特別な行事となるらしい、との話題もありましたが、併せて当方は舞鶴基地にてヘリコプター搭載護衛艦しらね自衛艦旗返納行事に立ち会い、同日横浜では新ヘリコプター搭載護衛艦いずも就役行事が執り行われたのですが、従来型ヘリコプター搭載護衛艦は、くらま一隻となったのだ、という瞬間に立ち会ってしまいましたところ。

 海上自衛隊は1973年に就役しました最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな就役から、一貫して艦隊航空を帝国海軍以来の再建へ一丸となり取り組み、はるな後継艦には全通飛行甲板型護衛艦として、ひゅうが型が建造、満載排水量は、はるな型6800tに対し、ひゅうが型は19000tと破格の大きさであり、航空機運用に特化した新世代のヘリコプター搭載護衛艦という印象を強く広めたものでした。

 近海練習航海部隊は江田島を出航しますと、柱島近海を航行する様子を撮影、続いて神戸港入港を撮影することができ、更に先んじて日本海側は舞鶴基地へ展開し、その入港の様子を撮影する事が出来ました、近海練習航海は練習艦隊練習艦かしま、の任務ですがヘリコプター搭載護衛艦は海上自衛隊の象徴的な一隻であり、ひえい、しらね、と除籍が近づけばその任務に就き、全国を巡航します。

 そんな当方は、くらま強化年間としまして、撮影の重点を置いたわけですが、八月には後継艦となる新ヘリコプター搭載護衛艦はかが進水式が挙行、満載排水量27000tと、くらま、の満載排水量7200tを大きく上回る護衛艦が命名式を迎えた訳でした、再来年三月には就役し、自衛艦旗を受領、くらま、と交代し海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦は世代交代を完了することとなるでしょう。

 観艦式へは御縁あって本年は、くらま艦上にて本番へ参画する貴重な機会を頂きました、当方HNが、はるな くらま、その御縁あっての関係かはさておき、ヘリコプター搭載護衛艦くらま観艦式最後の観閲艦となるだろう一年に貴重な機会を頂きましたことに感謝しつつ、来年以降の行事展開と様々な写真をお伝えできれば、と思います。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

航空防衛作戦部隊論(第二七回):航空防衛力、F-15稼働率支えるBITプログラムとLRU換装整備

2015-12-28 22:04:54 | 防衛・安全保障
■F-15稼働率支える設計
 戦闘機部隊の分散運用を提示しましたが、その用法についての結論や施策について。

 F-15戦闘機など、拠点基地に集中配備する様子は列線にならぶ戦闘機の威容は頼もしいものがありますが、一カ所に集めますと弾道ミサイル攻撃を開戦第一撃の奇襲として受け一挙に機能不随となる恐れがあり、これを回避する為の施策に戦闘機を全国の空港へ分散し体勢を立て直し、拠点基地と共に運用する大型航空団と臨時分屯基地の提案を示しています。

 整備機材、予備を蓄積するにもそれはそれで費用を要する、その為の予算をどのように考えるのか、という部分が前回の掲載において最後に示していました。F-4は機動展開の対象としなければ機種は二機種に絞れるのではないか、という視点はあるやもしれませんが、実際のところ整備器具が補給処に最も多数が備蓄されているのはF-4です。

 こう言いますのも144機が導入され、F-15戦闘機にその座を譲るまで日本の防空はF-4が担っていました、が、除籍が進み現在要撃飛行隊には二個飛行隊を残すのみとなっています、すると余剰部品と整備器具が期待されるのはこのF-4になってしまうわけです。もっとも、F-4整備員の方の話を聞きますと苦労話と愚痴ばかりになりますが。

 整備性という視点からはF-15ならばF-4に対して非常に設計を意識した構造が採用されている事から負担は軽減されています。列線整備の負担を如何に軽減するかが稼働率に反映され、結果的に少数いおいても質的優位を確保する事に繋がる、という思想に基づく機種ですので、整備性は比較的良好に保たれているのです。マンアワーという仕事量にこの数量は端的に表れています。

 マンアワー、一人一時間の仕事量を示すのですが、例えば20マンアワーの仕事量は10名の整備員で2時間、20名の整備員で1時間で完了するという意味です。設計当初、マクダネルダグラス社の開発チームはF-15を一任務飛行あたり8マンアワーの整備性を持たせることを主眼に開発しました、F-4戦闘機の整備両が34マンアワーといわれていますので、かなり野心的な要求といえました、現実は倍以上となりました、が。

 この整備性の高さを支えたのが徹底した列線交換ユニットLRUによるブラックボックス化で、電子検査等はBITプログラムとしてF-15戦闘機自身が機体における不具合を検査し、整備員へ機体状況を報告する機能があります、機体の整備用や補給用のエクスターナルアクセスドアは実に300カ所に上るとされ、この部分を点検しLRUを交換する事でかなりの部分が点検可能です。

 BITプログラム端末はコクピットに簡易端末、機首脚部に本端末が配置されており、異常発生時には当該区画を示すランプが点灯、当該部分のLRUを交換します。LRUとは列線整備でモジュール化され即座に入れ替える為の機器で、列線交換ユニットという名称の通り、列線整備にはLRUを多数準備しておくだけで不具合の発生に際しては、LRUをそのまま差し替える事で対応可能、というもの。

 LRUは互換性がありますので、万一近くに破壊された機体があればLRUだけ稼働機へ換装し運用する事も可能、といわれています。この発想はF-35戦闘機では更に進み、BITプログラム端末は機体部分の端末と併せて列線整備要員用のタブレット端末が標準装備され、整備要員は端末に表示されたLRUの交換区画を画像により把握し、タブレット端末に表示される交換マニュアル手順に沿って換装する。

 BITプログラムタブレット端末は、端末カメラ装置撮影するした機体を画面に表示する事で異常部位を画面上に表示する機能や、整備用アクセスドアの位置と電子タグ付されたLRUの位置を表示して最短距離での整備方法を表示する機能があるようで、本論から少し離れますが、F-15JについてもこのBITプログラムタブレット端末とLRU電子タグ化を近代化改修で進め、整備間隔を短縮する事に予算を投じる必要がある、ということ。

 AN/APG-63レーダーとF100-PW-100エンジンについてもモジュール化が進められており、充分な整備支援があればエンジン換装は列線整備員だけで0.5時間で完了するとのことです。流石にエンジンが故障した際にエンジンの一部をモジュールとして分解し乾燥する事は出来ませんが、エンジンを迅速に換装する事で稼動状態に迅速に復帰させることが可能です。

 しかし、これは言い換えれば予備部品をコンテナ化し備蓄する際に、不具合が予想されるLRU,こしょう頻度から計算する他なさそうですが、LRUを充分に備蓄しておく必要があると共にエンジンが迅速に換装できるという視点からF-15はエンジンの迅速な感想を念頭に設計されているものでもあり、予備部品の整備コンテナには巨大なエンジンを換装に必要な簡易器具を含め備蓄しておく必要がある、という事に他なりません。

 また、電力と維持機材を十分確保出来るという前提で、航空機消耗品を臨時分屯基地において迅速に供給できるよう、大型3Dプリンターの導入は視野に含めるべきです。コンテナに常備し、樹脂製や軽金属粉末を用い応急機材であっても期待を飛行させ作戦可能な状態とするうえで必要な資材の供給に大型3Dプリンターの持ちうる領域は大きく、例えばイギリス海軍では海外派遣の航空機整備用に艦艇へ3Dプリンターをいち早く導入しています。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸上防衛作戦部隊論(第四二回):装甲機動旅団編制案の概要 後方支援部隊と連隊段列

2015-12-27 20:20:44 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団支援部隊編制
装甲機動旅団編制案の概要、後方支援部隊と連隊段列及び部隊編制について。

広域師団は装甲機動旅団と航空機動旅団の二個旅団を基幹として編成する、そして新防衛大綱に明示された戦車定数削減を受け、自衛隊の基幹部隊を戦車を持つ装甲機動旅団と方面隊のヘリコプターを運用に含む航空機動旅団へ改編し、緊急展開と機動打撃の二分化を明確とする、この視点について論述し、ここまで近接戦闘部隊と遠距離火力部隊に情報収集部隊と戦闘支援部隊を掲載し、そして後方支援に関する提示を掲載してきました。

装甲機動旅団の基幹部隊は普通科連隊であり、普通科連隊は戦車を確実に支援可能な装甲戦闘車中隊を二個と軽装甲機動車中隊に重迫撃砲と対戦車ミサイルを装備する火力中隊を基幹とし、集中配備を受ける装甲機動旅団は隷下に三個戦車中隊を有し、各連隊へ一個戦車中隊を派遣、連隊戦闘団編成時には装甲戦闘車中隊二個とともに機械化大隊を編成する、そして旅団策源地と連隊戦闘団は連隊戦闘団が段列地域を置き補給拠点とします。

段列地域での補給ですが、普通科連隊本部管理中隊には補給小隊と輸送小隊が置かれています。補給能力を集約し、物資集積地と燃料集積地を構成する必要があり、一方相手の視点からは脆弱性が高い割には部隊稼動を支える高付加価値目標にほかなりません、ただ、分散させすぎますと一カ所あたりの補給力に限界が生じますので、戦闘団編成時には一時補給小隊と輸送小隊を二つに再編し、臨時編成として二つの直接支援中隊に補給小隊を付与するべきです。すると、前方段列と主段列に分かれることとすべきでしょう。

行動地域は対砲兵戦が戦われる最前線の一角ですので後方段列とは呼称しません。すると、後方支援部隊は後方支援隊か後方支援連隊か、との視点について、平時編制にあっても後方支援部隊は2個中隊基幹の部隊が後方支援部隊隷下で待機することとなりますから、実質大隊規模の部隊が連隊数と同じ数を持つこととなります、実際、連隊戦闘団編成時は各部隊の補給小隊と輸送小隊を集約しますので、増強二個中隊を基幹とすることになり、これは戦闘支援大隊、と誇称して差し支えないでしょう。

結果、旅団の後方支援は、全般支援大隊、3個戦闘支援大隊、輸送隊、衛生隊、という編成になりますので、後方支援部隊はその規模から隊編成ではなく連隊、とすべきです。もちろん、縮小編制の大隊の寄せ集めではありますが、連隊長は旅団第四科長として後方支援全般の幕僚勤務に当たる訳ですから妥当性はあります。一方、今後掲載する航空機動旅団については部隊指揮と部隊単位がその運用必要性に応じ変化するため、その部分については比較できるようになります。

輸送支援による整備間隔について。接敵行軍の際には不期遭遇戦の懸念から管理輸送にあたる輸送車の支援は受けることができませんし、対空警戒時にも路外へ戦車は離脱し散開が可能ですが、輸送車に搭載しますと、どうにもなりません。しかし、集結地域まで、この集結地域までの機動も攻撃側には高付加価値目標にあたりますので、競合地域での管理輸送にも限界があり、どこまで輸送支援を受けるのかという避けて通れない命題が浮上します。

ただ、こうした問題はあるものの、しかし駐屯地から戦闘正面まで戦車や装甲戦闘車がすべて自走するという選択肢はあり得ません。すると、装軌車整備班の総数と戦車輸送車、装甲戦闘車の場合はたとえば89式装甲戦闘車で26tですから大型セミトレーラでの輸送が可能ですが、輸送隊の輸送力、その比率が変わってきます。輸送についてはPLS輸送車が全般的に必要となります、HEMTT、として米軍にも採用されている方式です。

PLS輸送車はコンテナ方式の輸送に特化した車両で、重装輪回収車の車体を応用した10t型の国産型がすでに東急車両により製造され自衛隊に納入されはじめていますが、PLS輸送車であれば、牽引車として戦車輸送にトレーラを装備し運用するとともに、接敵行動時には戦車を即座に展開させ、その戦車降車後にはコンテナ輸送車へ切り替え、輸送支援に加入します、PLSは卸下の迅速化が図られていますので、段列輸送の脆弱性を低減可能であるとともに、戦車を管理輸送する能力を高めることで整備負担の軽減に寄与するでしょう。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

二〇一六年度防衛予算五兆〇五四一億円、閣議決定で了承 統合機動防衛力整備に課題

2015-12-26 21:10:03 | 国際・政治
■二〇一六年度防衛予算五兆〇五四一億円
 来年度2016年度防衛予算、5兆0541億円が閣議にて了承されました。そこで本日は、概算要求を経て財務省査定後了承された主要装備について、紹介しましょう。

 一括調達の決断ならず、そして重装備再評価という予算です。陸上自衛隊関連の航空機要求は1321億円で12機のMV-22が要求されましたが447億円で4機が調達されるにとどまりました。陸上自衛隊の航空機要求はMV-22のみであった為、この縮小は大きく、また完成航空機の輸入となるMV-22はアメリカでの生産計画により将来的に生産完了が近づけば一機当たりの取得費用は確実に上昇するため、一括取得には予算節約の意図がありました、今後はどのように展開するのか、長期的にAH-64Dのような調達の失敗に繋がる事は無いか、と再来年度以降のMV-22生産計画について関心がもたれるところです。

 SH-60K哨戒ヘリコプターは一括17機の調達が認められ、一方既存航空機の延命改修は要求のP-3C哨戒機3機に対して認められたのは2機分の延命費用しか認められませんでした。ただ、SH-60J哨戒ヘリコプターの延命費用2機分は要求通り認められています。この他、P-3C哨戒機のレーダー能力向上改修については要求道理の予算が認められました。一方、艦載用多用途ヘリコプターとして、既にヘリコプター搭載護衛艦へ運用基盤が構築されるMCH-101派生型へ決定されましたが、SH-60系統に決定しなかったことに対する疑義が示され、決定が白紙撤回、機種未定のままであり、概算要求に盛り込まれた調達は実現しませんでした。

 F-35A戦闘機の要求は6機分すべてが認められましたが、C-2輸送機は1機の要求が認められませんでした、ただ、89億円の予算が計上されており分散し調達する事となるのでしょう、主要装備調達では1機調達という明示はありませんが新造機製造と見る事が出来ます、もしくは89億円という数字がC-2輸送機の量産価格、という意味を持つのでしょう。F-2支援戦闘機の空対空戦闘能力向上改修は要求の11機に対して認められたものが9機分です、ただ、F-2支援戦闘機への自衛隊統合データリンク能力付与の改修は4機分すべてが認められました。

 新規調達航空機についてこの他の航空機は、UH-60J救難ヘリコプターは要求全部の8機、新早期警戒機E-2Dの1機が共に認められています。新空中給油輸送機は関連機材のみ231億円が盛り込まれました、要求の時点では機種画定していませんでしたがKC-46Aとなっており、再来年度以降盛り込まれる事となるでしょう。滞空型無人機グローバルホークは機体導入が見送られ146億円で地上システムのみ先行整備されます。

 イージス艦が建造されるもののその他の装備品については概算要求において延命改修が大半をしめました艦艇について、8200t型ミサイル護衛艦の建造費一隻分が1675億円の要求に対し1734億円が盛り込まれました、イージスシステム搭載護衛艦ですので為替変動によるものと考えられます。潜水艦一隻の建造費用も認められました。護衛艦延命ですが、あさぎり型護衛艦延命工事や、はたかぜ型護衛艦延命、こんごう型護衛艦延命、おやしお型潜水艦延命、エアクッション揚陸艇の延命、とわだ型補給艦延命がともに要求が通りました。

 護衛艦能力向上、たかなみ型護衛艦の対空ミサイルシステム能力向上、護衛艦用近接防空火器近代化改修、あたご型ミサイル護衛艦対潜能力向上、あきづき型護衛艦対潜能力向上、あさぎり型護衛艦戦闘指揮システム近代化改修、たかなみ型護衛艦戦闘指揮システム近代改修、おやしお型潜水艦戦闘指揮システム近代化改修、おおすみ型輸送艦能力向上改修、ともに認められています。航空機の調達や延命改修に影響が出ている半面、艦艇に関する予算は概ね予算通り。

 戦車火砲は上方修正です。10式戦車と99式155mm榴弾砲について、要求数を大幅に上回る予算が認められることとなり、これは過去にはない極めて異例な事例です。10式戦車の要求数3両に対し6両の予算が、99式自走榴弾砲3門の要求に対し6門の調達が、それぞれ認められました。120mm重迫撃砲の要求も2.5倍が通り、当初の2門要求が5門、重装備への回帰というべき状況なのでしょうか、実体はMV-22可動翼航空機の調達が一括取得を断念したため、その分の調達を数年間に分けて変動させる部分を調整したものといえるでしょう。

 削られた装備は軽装甲機動車6両と96式装備車輪装甲車11両が双方ともに全く認められず0両となり、NBC偵察車の要求1両が認められませんでしたが、大規模災害時の補正予算にて復活した事例があり、新年度の防災がどのように展開するかが影響する可能性があります。ただ、他の装備は認められました。水陸両用車AAV-7を全11両と機動戦闘車36両が、更に輸送防護車4両が予算通り認められました。

 ただ、装甲車の不足は統合機動防衛力整備の前途が多難であることを示します、96式装輪装甲車は新防衛大綱の中心に掲げられる統合機動防衛力の中軸となり、新年度から編成準備となる機動連隊にあって、一個普通科中隊に装輪装甲車を配備する計画が示されており、装輪装甲車は毎年50両から60両程度の調達が必要となります。ミサイルについて、要求された03式中距離地対空誘導弾小隊分、11式短距離地対空誘導弾1式、中距離多目的誘導弾12セット、12式地対艦誘導弾1式がすべて要求通りとなっており、こちらの更新は進むようです。昨年度比防衛予算は1.5%増、初めて五兆円の大台を越えました。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十七年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.12.26/27)

2015-12-25 21:28:33 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
メリークリスマス、週明けには仕事納めというところでしょうか、皆様年末をいかがお過ごしでしょうか。

今週末の自衛隊関連行事ですが、基本的になにも行われません。しかし、年末は多くの艦艇が母港に戻ってきますので、横須賀のヴェルニー公園、佐世保の佐世保港、呉のアレイからすこじま、舞鶴の前島埠頭フェリー桟橋から、艦艇を眺める事が出来るでしょう。また、海上自衛隊基地で舞鶴基地だけは日曜日の一般公開が行われるとの事でした。

舞鶴基地一般公開、26日土曜日と27日日曜日の他大晦日の一般公開は行われませんが、元日と正月の2日と3日に一般公開が行われ、北吸桟橋が開放されます。ただ、舞鶴基地は日本海側にあり積雪により桟橋が積雪で通行困難となる場合があります、この為、安全な見学が出来ない場合には急遽見学を中止することもあるとのこと、ご注意ください。

呉基地ですが、年末の一般公開予定はありません、また係船堀桟橋の艦艇一般公開見学には事前の申請が必要となりました。佐世保基地、なお、こちらも年末年始の一般公開予定はありません。佐世保は個人見学者見学手続手順は事前申請の必要なしとのことですが、団体見学については事前手続きが必要となっています。もっとも、年末年始の見学が行われないのですが、ね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メリークリスマス!特別企画 海に浮かぶ黒鋼の城郭、海上自衛隊護衛艦が醸す幻想的情景

2015-12-24 23:41:40 | 北大路機関特別企画
■メリークリスマス!
 クリスマスイヴ特別企画としまして、街頭のイルミネーションを超えた海に浮かぶ黒鋼の城郭のもう一つの姿を紹介しましょう。

 海上自衛隊艦艇の常夜灯が描く海のイルミネーション、海上自衛隊護衛艦が醸す幻想的情景です。ヘリコプター搭載護衛艦やイージスシステム搭載ミサイル護衛艦と国産装備を織りなす多種多様の水上戦闘艦たる汎用護衛艦、平時には警戒監視任務として海洋自由の維持への決意を示し有事の際にはその実力を以て我が国が掲げる平和の価値観を守り抜きます。

 基地や港、海上自衛隊艦艇は基地へ入港帰港し停泊する際に、夜間には常夜灯を点灯させます。その様子を三脚などに固定したカメラにて15秒から30秒程度の長時間露光撮影を行いますと、常夜灯の光は僅かなものなのですが、個々の伝統が艦艇の複雑な艦容を日中の陽光という一方向からの影と比べ、ある種独特の情景を醸し出すのです。

 この情景はクリスマスの特別のものではありません、電灯艦飾の実施は毎日行われているものではありませんが、常夜灯による艦艇の情景は毎晩、文字通り常夜に続けられているもので、クリスマスイヴの今夜も全国の艦艇基地にて展開されている情景といえるでしょう、さあ、間もなく零時です、少し早いですがメリークリスマス!。

北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天長節 我が国平和防衛政策の将来と単極下多極化時代の国際公序展望を考える

2015-12-23 22:50:27 | 北大路機関特別企画
■平和を天長節に考える
本日は天長節です、そこで本年の防衛安全保障上の転換点などを振り返り、我が国の展望を考える機会としたいと思います。

昭和という時代は太平洋戦争、大東亜戦争による我が国の転換点を迎えた時代であり、戦前戦中戦後という言葉で区切られる時代となりました、平成という時代はその延長ではある訳ですが併せて20世紀と21世紀に区切られる時代となり、日本の元号とは別に世界も東西冷戦時代と単極下多極化時代とに区切られる事となりました。

戦後の我が国防衛政策は専守防衛を第一とし、その上で軍事政策としての対外姿勢を必要とする際には唯一の同盟国アメリカの協力を受けるという、云わば日米同盟を出島とした防衛上の鎖国政策を採り、同時に軍事以外の分野では広く活動範囲を全地球規模と展開し、東西冷戦下の世界を二分した公序において自由主義を基調とする公序陣営に価値観を重ね、自由主義世界の西太平洋地域最大の一大生産拠点として時代を乗り越えました。

東西冷戦の終焉は一つの転機となり、併せて自由主義陣営最大の大国アメリカと社会主義陣営最大の大国ソ連が冷戦期にあっては、相互の大量配備された核武装による相互各種破壊体制を前提とし、兵器供給体系とその経済支援体系の根幹をになった為、双方が大国同士の軍事衝突が確証破壊に繋がるとの共有知識から、摩擦を必要としつつ破局の回避を共通の価値観として共有したため、大規模戦争を回避する枠組みが自然成立していたわけです。

冷戦後の世界は、兵器供給体系が大国の影響力を越え、特に冷戦期に最大の摩擦点となった欧州からの大量の余剰兵器が、冷戦後の軍縮により拡散する契機となり、併せて、冷戦期から今日までの開発と貧困からの脱却こそが国際公序とする展開がそのまま、資源価格高騰や無理な民主化推進と併せ地域格差が生じ、ここに民族感情や多文化共生の限界が摩擦点となる事で地域紛争が多発することとなり、今に至る。

また、喜ぶところではあるのですが先進国と途上国との貧困脱却を公序とする枠組が功を奏し、併せて、第二次世界大戦以前からの国際公序である自由貿易実現を期した一要素である金融自由化が、多国間国際分業や投機投資多元化へ繋がり、国際政治の枠組みを離れた世界政治というべき様々な主体が国際政治へ影響を及ぼす事となり、解決策の主導権が国家にありながらその国家の政策決定に至る政治過程の多様化が諸問題解決に遅滞的影響を及ぼすこととなっています。

我が国安全保障は、こうした転換点と共に、武力紛争の主体さえも多極化している中に際し、防衛政策を国家間紛争の武力紛争かによる本土着上陸への対処を主眼とした専守防衛政策を執り続けている為、防衛政策の政策上における諸問題と実際の我が国への脅威への対処への諸政策へ欠缺が生じてしまう事となりました。この欠缺が破局に至らない唯一の要素は、国家間紛争と多極化する脅威との線引きを単純に我が国領域の内外で線引きしている為に他なりません。

ただし、鎖国政策というべき分野は防衛政策上のものであり、前述の通り経済政策や文化交流などは地球規模での展開を進めている我が国は、その経済規模の大きさもあり世界政治に国際経済と国際金融に大きな影響を及ぼしています、これは同時に、国家以外の武力紛争主体からの攻撃目標となり得ることを示し、更に軍事分野では専守防衛を掲げつつ、防護対象たる邦人は全地球規模での活動を個々人の意志や属する企業や団体等の非国家主体に属し国際公序に基づく活動を進めるため、ここを如何に保護するかが課題となりました。

もし我が国が軍事以外のすべての分野において鎖国をする事が出来るならば、どれだけ邦人保護が容易となるのか、専守防衛の防衛線内に自国民全てが居住するならばどれだけ安全か。こう考える事は出来なくもないのですが、一国主義を全ての分野において進めるには、通信や情報に金融と文化に経済と交通、などの面で世界が狭くなりすぎました、安全保障関連法制として本年我が国防衛政策は大きく動きましたが、これは実態に合わせて変更したに過ぎず、島国日本からの空港港湾出国口に、この門を出る者は全ての希望を捨てよ、と書くことが出来ない現状に合わせたに過ぎません。

その上で、我が国防衛政策は、基本として第二次世界大戦後の軍事秩序を念頭に大日本帝国憲法が帝国議会において日本国憲法へ改正され、第二次世界大戦後の軍事秩序が東西冷戦の幕開けとともに自衛権行使主体の発足と自衛隊への発展、日米安全保障条約締結と共に修正し、その後の転換を行わず今日に至る為、弾道ミサイル技術の拡散が隣国から我が国に複数の国家がミサイルを置き、対処能力を求められる状況を想定していません。また、大量の米軍が駐屯する前提であるため、南西方面への着上陸侵攻も想定する必要がありませんでした。

憲法上、その憲法制定に影響を及ぼしたアメリカを唯一の例外として軍事同盟を結ぶ、即ち相互互恵関係での集団安全保障枠組を同盟条約として構築する選択肢を持たない我が国は、相互の同盟条約を結ぶ選択肢がない中での専守防衛政策を堅持するため、隣国複数が我が国への軍事圧力をかける場合には地域的二国標準主義というべき重装備を整備し独力で領域を防護する覚悟、併せて専守防衛政策故の不可避の問題点、開戦即本土決戦、という専守防衛の重大問題に向き合うこととなっています。

幸い2000年代に入り、国土戦を不可避とする憲法を持ちながら国土戦への法的枠組みが未整備であり、超法規での国土戦闘を展開するという可能性を、武力攻撃事態法を中心とした有事法制の整備により解決しましたのが小泉内閣時代です。憲法制定から半世紀以上を経て憲法上必要とされる専守防衛政策下の本土決戦へ備える法整備が超法規から法の支配に抑えられ戦時下での国民保護の枠組が構築できたわけなのですが、更に安全保障関連法制の本年の整備が、わが国民は国家により地域的枠組みにとらわれず守られ、国家は国民の安全に責任を持つ事が国外においても不変であると、ようやく確認されたといえるでしょう。

ただし、その上でもう一つ、我が国は上記の通り国家間以外の脅威が国民へ国外において及ぶ、非戦闘員であるわが国民は我が国が周辺国との武力紛争を進めない限り世界において経済活動や学術活動を行う範囲において、ジュネーヴ文民保護条約の範疇において保護されるとの枠組みが、文民保護条約等人道法が想定しないテロ活動やテロリストによる疑似国家、破綻国家を拠点とする国際テロ組織に対し防護措置と救出措置を採れることが確認され法整備されただけに過ぎず、その為の諸政策を構築する最中、冷戦時代型の従来型脅威が我が国の安全保障を脅かすこととなり、今に至ります。

前述したとおり、武力攻撃事態法は、平和憲法、が平和を具現化する手段として国土が戦場となるまでは戦闘に訴えない、という施策を採り、その為に国際法上特に強行規範として認められる国際公序の判断基準の一つ、国連憲章に認められた自衛権さえも制約を課し、開戦即本土決戦という現状を、再確認し本土決戦のための平和的な法整備を行ったに過ぎません。ただ、その枠組みに依拠する限りでは、我が国防衛が一旦破綻した場合に国家国民に及ぶ被害が極めて大きいものとなる危惧が高まり、国土が戦場となるまで危機を放置するのか、防衛力を以ての予防外交や抑止力への参画と武力紛争予防へ参画する選択肢を含むかを、曖昧ながら法整備しつつあるところが現在の我が国です。

一方、地域安定へ、我が国の依存度が高まり、海洋自由原則に基づく海上交通路保護等、我が国がその領域を越えて参画しなければならない分野が広まりましました、それは東日本大震災を契機とする原子力政策の見直しを契機とした海外からの資源輸入依存度の増大です。元々我が国原子力政策の起源は、第二次世界大戦へ発展した大東亜戦争が古典的地政学と資源確保を目的としたものであり、古典的地政学は海洋自由原則への転換へ収斂し、一方資源確保は今日の我が国食料自給率論争と似て、我が国内に資源を自給する手段を持とうとする施策の一つでした。

これは、結果的に平和を希求しつつ、その具現化策に必ずしも合致しない制約を維持し、且つ安全保障環境の変化に対応する施策を採り得ない基盤を固め過ぎた事にあります。現政権は破綻点に国民が曝される以前に解決策を模索しようとし、反対派は現状維持という破局まで、何もせん方がいい、という論点にて享受できる限りの現状を得たうえで破局が及んだ場合への解決策明示を先送りする施策を採り、平行線をたどっています。無論、主権者たる国民が選挙において、破局回避を図る与党と、旧与党で野党の解決策明示先送りと、選ぶこととなる訳ですが、少なくとも現時点、安全保障関連法制と、周辺国との防衛協力強化という次の課題にて、その転換点には差し掛かっているように考える次第です。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

カフェイン栄養剤取扱注意 ファイト!一発!陸軍航空糧食“航空元気酒”と栄養ドリンクの意外な関係

2015-12-22 21:19:10 | 防衛・安全保障
■栄養ドリンクと陸軍航空糧食
 カフェイン中毒、福岡県で一年以上仕事中の眠気払いにカフェイン飲料と錠剤を服用していた若い方がなくなる痛ましい事故がありました栄養ドリンクは便利ですが用法容量をまもらなければなりません。

 日本での栄養ドリンクの原型ですが、実は軍需品として開発されたものという事をご存知でしょうか。陸軍航空糧食として飛行兵、戦闘機や爆撃機などの搭乗員用に航空元気酒と航空葡萄酒というものが支給されていました、丁度現在の栄養ドリンク程度の小瓶に、清酒かワインに精力剤として漢方薬十数種類を添加したもので、更にブドウ糖を配合し甘味を強めた飲料です。アルコールが含有されている為、ラベル部分には空中勤務後に、つまり着陸後に服用し疲労回復に充てる事が望ましい、とされていますが、同じくラベル部分には飛行勤務時は高高度飛行での低温による氷結を考慮し、人肌で一定温度に維持できるようポケットの奥に入れるよう注意書きがありました。

 リポビタンD、1962年に発売され1999年まで医薬品として薬局でのみ販売されていまして、我が国栄養ドリンクの象徴的存在ですが、有名なテレビコマーシャルに、二人のかっこいいワカモノたちが絶壁や激流に落石等を体力で「ファイト!一発!、と乗り切ったのちに安全な場所にて、親指のみでリポビタンDの蓋を押し開け一気に服用する御馴染みの描写があります。所が面白い事に航空元気酒も栓はコルク栓ですが親指で開けて服用している飛行兵の写真などが残っていまして、瓶に入った栄養ドリンクで危機一髪を乗り越えたのちに安全なところでぐいと飲み干す描写、なかなか共通点が多いと思わせるのは私だけでしょうか。しかし、原型は航空戦での加給食、つまり、戦時の緊急用であったわけですね。

 なお、航空元気酒、というものですが、アブない成分は幸い含まれていません、心配ご無用です。アブないものと云いますと実は昔はあったのです、筆頭は旧陸軍で、当時副作用等が確認されていなかった時代、ヒロポンとしてメタンフェタミン、つまり覚醒剤が支給されていました、1949年に劇薬指定され覚せい剤取締法により所持服用販売ともに厳しく禁じられていますが、戦時中は栄養剤の一種としてヒロポン入チョコレートなども支給されています、凄い時代もあったものだなあ、と思わせるもので、ヒロポンについては、例えばイアンフレミングの007シリーズ原作等で日本での薬物傾向として紹介される描写などありました。ただ、海外ではヴェトナム戦争などで戦闘が長期間継続される状況下での覚せい剤使用の記録があります。

 海外での栄養ドリンクといいますと、意外ですが、コカコーラが1886年の発売当時栄養ドリンクという位置づけにありまして、コカの実とコーラナッツを配合した強壮剤として薬局に置かれていました、しかし、販売が爆発的に伸びたのはブドウ糖を配合し炭酸水で割ったものを冷やして頂くももので、今日では食文化の一例を構成する清涼飲料水の代名詞的存在として定着しました、コカコーラ1リットル当たりカフェイン80mgが含有されていますので、ドリンクバーでは一日5リットル以上の引用はカフェイン中毒の危険性がありますが、まあ、さすがに毎日5リットル以上服用する事は無いでしょうし、コカコーラでのカフェイン中毒の心配はありません。

 一方、カフェインによる眠気防止ですが、実際のところカフェインには致死量があります、そして眠気防止ですが、実際のところ最後の手段は眠るしかありません。前述の通り、戦争という極限状態であれば一時的に眠気防止として採用され、その次の手段として覚せい剤が使われました、戦後に覚せい剤が禁止されたのは厚生省が副作用を確認した為であり、各国軍隊では極限状態において戦死か覚せい剤副作用か、という究極の選択を強いた訳ですが、平時に非戦闘員である文民が、充分な休養を摂れない体制を採ってはなりません、労働管理側の責任として、です。戦後自衛隊では、大戦の反省から休養を戦力回復として配慮していますが、一般の認識は過労死と今回のような過剰労働での眠気防止というカフェイン中毒、一年以上続いたことは充分過労死の範疇に含まれるのではないかと思いますが、戦力回復の認識が一般では不十分です、言葉遊びで危険を強いる状況は払拭されて良い頃合いでしょう。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする