北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【12】機動戦闘車の初公開(2016-01-10)

2020-05-31 20:19:07 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■明日の本土防衛担う新装備
 今日でいう16MCVこと16式機動戦闘車、評価試験進むその試作車両が一般初公開となりましたのがこの日でした。

 機動戦闘車、増加装甲を設計時点で標準装備、というものも。10式戦車のモジュール装甲採用により前例はあるのですけれども、ボルトオン式増加装甲の標準装備というものに、将来発展性を考えているのか、基本装甲が心もとないのか、少し考えてしまいましたね。

 機動戦闘車を正面から。この車輛は将来的に装甲戦闘車などに転用される事はあるのでしょうか、三菱重工ではプライベートベンチャーで開発している様子が海外の兵器見本市で紹介されていますが、付け焼刃的な、試製56式装甲人員輸送車の様な変な形状ではあった。

 機動戦闘車、車幅2.98mと道路運送車両法車両限界では特殊大型車両となる。ただ、機動砲の装甲戦闘車転用では、イタリアのフレシア装輪装甲戦闘車がチェンタウロ2戦車駆逐車の車体を転用しているのですね。105mm砲型から120mm砲型へ拡大した際の派生型だ。

 フランスのVBCI装輪装甲戦闘車は、650両が調達され、25mm機関砲等を一人用として、操縦手と砲手を車内配置、車長は歩兵分隊長を兼ねて後部兵員室からモニターを通して全般指揮に当り、下車戦闘の際には車長も降りて分隊を指揮するという、運用をしています。

 機動戦闘車はフロントエンジン方式である為、装輪装甲戦闘車の派生型は有り得る。ただ、駆動系は流用できるのですが、後部兵員室や砲塔基部を構成する車体は別物を再設計し、小型の25mm機関砲塔を採用する等、下車戦闘への人員確保の設計が選択肢でしょう。

 96式装甲戦闘車、小松製作所の国産装甲車です。装甲が薄いとか小型等言いたい放題の印象がありますが、日本の道路情勢に適合した実のところ傑作装備と思う。何より安価です。例えば、大き過ぎて役所に届けねば駐屯地から出られない汎用装甲車では話になりません。

 中距離多目的誘導弾、1セット5億円。これは元々普通科中隊の対戦車小隊へ大量配備される計画で、自衛隊の戦車減勢を受け、対戦車火力の強化を目指したもの。ただ、高価なミサイルを多数そろえるよりも、必要な戦車を揃える方が税金の有効利用のようにも思える。

 NBC偵察車、小松製作所は開発したもの。これを原型に、装輪装甲車(改)が開発されましたが、要求仕様は全て満たしていたにも関わらずこの翌々年に性能不充分として国が受け取りを拒否、小松製作所は意味が分からないとして、爾後の新規防衛事業撤退を発表した。

 03式中距離多目的誘導弾、2010年代に入り陸上自衛隊の地対空ミサイルは本来野戦防空用の装備でしたが、中国軍巡航ミサイル戦力の異常規模での増大を受け、航空自衛隊の弾道ミサイル防衛部隊穴埋めとして陸上自衛隊に巡航ミサイル防衛の新任務が付与されている。

 ペトリオットミサイルPAC-3,終末段階での弾道ミサイル迎撃を担うのですが、15kmから20km程度と迎撃範囲が限られ、この後にPAC-3-MSEとして防空能力を30kmまで広める改修が。将来的には長射程のスタンダードSM-6地上発射型等に置換えられるのだろうか。

 74式戦車、本州の戦車部隊はまだこの74敷居が主力だ、とは時代錯誤な発想で2019年時点で74式戦車は第3戦車大隊と第9戦車大隊に第10戦車大隊、第1戦車大隊の一部と第13戦車中隊、残りは僅か8個中隊だけとなっています。後継車は無く純減に近い状況だ。

 89式装甲戦闘車、前型の73式装甲車並みに350両程度が量産され、北海道に4個普通科連隊程度を充足する予定でしたが、68両で生産終了となり、機甲師団である第7師団の所要定数半数だけを確保して、生産終了となりました。政府は普通科部隊を重視するというが、ならばこれは必要です。

 87式自走高射機関砲、一応全国に高射中隊を配備すべく170両程造る予定でしたが、48両で生産終了、高度な電子装備を合わせ、北海道では第7高射特科連隊と第2高射特科大隊に配備されています。戦車数が削減される中、重要となる戦車を確実に防護するには、これも後継装備を考える必要が。

 CH-47JA輸送ヘリコプター、やはり目の前にしても見上げる程にその機体は全てが大きいですね。第1ヘリコプター団への集中配備が行われると共に、北関東の第12ヘリコプター隊、九州の西部方面航空隊、そして沖縄の第15ヘリコプター隊などに配備されています。

 AH-64D戦闘ヘリコプター、島嶼部防衛を考えますと特に必要な装備なのですが、今後の無人機の軍事利用を考えますと、多数の無人機に対し警戒監視を行い、対抗無人機の管制さえ可能、AH-64Dは単なる航空打撃力に留まらない重要なポテンシャルを有している。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、富士重工がUH-1J多用途ヘリコプターの後継として双発のベル412を原型としたUH-2を開発しましたが、単純な航空打撃力のみに注力するならば、AH-1Sのシステムと運用思想をUH-2に盛り込んだ、AH-1Wの様なAH-2という選択肢も。

 こうして一通り装備品展示を巡ったのですが、やはり注目は本邦初公開となった機動戦闘車で、時間を追うと共に多くの見学者に包まれてゆきました。戦車ではありませんが、74式戦車の代替と昔の60式自走無反動砲の中間というような位置づけには、最適でしょう。

 習志野と共に年末年始頑張った当方は、少し遅い年始旅行という事で自衛隊最精鋭という事で名高い第1空挺団降下訓練始めを堪能しました、そして当方は次なる目的地、茨城県大洗町観光と神奈川県横須賀観光へ向かい、まずJR津田沼駅へと転進を開始した訳です。御帰りはこちら。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

おうりゅう就役!新潜水艦に軽巡洋艦名継承を【4】受継ぐ単艦長距離任務と艦隊警戒艦任務

2020-05-30 20:20:12 | 防衛・安全保障
■軍事技術が任務継承へ指向
 おうりゅう就役からかなり時間が経ちましてマスク姿の引き渡し式の際以上に新型コロナウィルス感染症が広がっている最中ではありますが、続きを。

 自衛隊潜水艦へ旧海軍軽巡洋艦の艦名を踏襲させるべきとした論点の根拠の一つ、潜水艦と軽巡洋艦の任務への共通点について。軽巡洋艦は潜る事は出来ませんが航空機が普及する以前の海戦においては単独で通商破壊任務を展開した場合、これを捕捉する事は容易ではありません、速力も早く派遣されたとしても離脱する事は十分可能であった為です。

 潜水艦は日本海軍が潜水艦相当に充てるべき駆逐艦を主力艦支援に充当した為に主力艦の護衛に限界が生じ、この結果少なくない航空母艦や巡洋艦を潜水艦により撃沈される戦訓がありますが、潜水艦が猛威を振るったのは通商破壊であり、大西洋船団護衛戦を挙げるまでも無く、撃沈された艦船の総数では太平洋でも軍艦等よりも商船の被害の方が多い。

 潜水艦による主力艦への攻撃は、不可能ではありませんが難しい。レイテ沖海戦、ジュットランド沖海戦と並び歴史上最大規模の海戦となった1944年のフィリピン近海での日米艦隊決戦でも、主力部隊である栗田艦隊がアメリカ海軍潜水艦の襲撃を受け旗艦愛宕を含め主力の重巡洋艦が大打撃を受けましたが、ここで潜水艦が襲撃に成功したのは、何故か。

 日本海軍がフィリピンの狭水道において夜間速力を14ノットに落とした状況下、アメリカ潜水艦が危険を冒して19ノットで追い抜き、襲撃位置へ展開できたためで、現代の艦艇は夜間も必要で在れば高速航行を行う事は普通ですし、潜水艦がこれだけ高速航行したならばソナーにより探知可能、しかも原子力潜水艦でなければ高速航行を長期継続できません。

 したがって、第二次世界大戦での潜水艦の戦果は多分に当時の技術によるところが大きいでしょう。現代の潜水艦の任務はなにか、多種多様に上りますが総論として接近拒否、つまりフォークランド紛争におけるイギリス原潜がアルゼンチン海軍巡洋艦を撃沈したことでアルゼンチン海軍の行動を封じたように相手の制海権行使を拒否するという任務がある。

 警戒艦。実は第二次世界大戦や第一次世界大戦の巡洋艦が担った任務の一つに艦隊決戦に先行しての情報収集に当る偵察任務が挙げられまして、日本の天龍型軽巡洋艦やのちの古鷹型重巡洋艦なども偵察巡洋艦としての運用が意識されたものでした。さて、その巡洋艦の任務ですが昨今、巡洋艦という区分は例外的となりつつありますが、後継を担うものが。

 原子力潜水艦は艦隊に先行しての情報収集を担う警戒艦としての運用を、特にアメリカ海軍空母打撃群では担っています。もちろんこうした視点以外にも既に第二次世界大戦中には日米ともに潜水艦を大規模侵攻作戦に先んじての偵察任務へ重用していましたが、同時に当時は軽巡洋艦の任務を水中速力の大きな原子力潜水艦が担っている事は、軍事技術が任務継承へ指向した共通点です。

 潜水艦は敵制海権下へ浸透できる例外的な存在ですので、この能力を駆使しプレゼンスを誇示する、という任務が筆頭に挙げられ、これは航空機が実用化される以前の軽巡洋艦と重なる用途が現在の潜水艦に重なり、だからこそ、潜水艦に河川名、軽巡洋艦名の継承という選択肢を提示しました。軽巡洋艦は5500t型だけで15隻あり、艦名候補は豊富です。

 この試案は、3900t型護衛艦建造が一つの背景にあります。元々3900t型護衛艦はFFMといい、河川名を冠した沿岸用護衛艦の艦名が再来するものと考えられていたのです、この際には基準排水量が2000tから3000t台となるように推測されており、まさか基準排水量3900t、満載排水量で5000tを越える大型護衛艦になるとは考えられていませんでしたため。

 FFM,新しい3900t型護衛艦は概算要求においてDE-XからFFMとなり、沿岸用護衛艦としてのDEではない新しい区分であることが明示されています。FFM注目するのはDD-XではなくFFM,つまりDE-XでもDD-Xでもない新区分を示すものです。あきづき型護衛艦、あさひ型護衛艦は共にDD,造艦史に則れば駆逐艦秋月型の次の量産艦はどう進むのか、と。

 松型駆逐艦、FFMは護衛艦あさひ型よりも小型化する為に小型護衛艦という印象を持たれる方も多いようですが、それでも満載排水量で6000t弱の規模になると考えられ、この規模の水上戦闘艦を二桁の単位で量産できる国は世界中でもそれほど多くはありません。すると松型駆逐艦の襲名は考えにくく、そしてDE小型護衛艦の艦名襲名も画定はしません。

 したがって、あきづき型の基準排水量5000tよりは減じた3900t型護衛艦、しかし、DE,沿岸用護衛艦あぶくま型は基準排水量2000tでしたので、河川名を踏襲しない可能性があるのです。FFMの新しい護衛艦に河川名を使わないならば潜水艦に使った方が良い。周辺国への配慮という視点で批判はあるかもしれませんが、配慮しても実る保証は過去稀有ですし、ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

令和二年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.05.30-05.31)

2020-05-29 20:11:48 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 東京だけがブルーインパルスに沸いた金曜日を皆様いかがお過ごしでしょうか。今週末も残念ながら自衛隊行事の再開までは至りません。

 新型コロナウィルス感染症緊急事態宣言が全国解除されるとともに、東京都内と北九州市においてクラスター感染が報告される等、収束段階であり終息宣言は程遠い昨今ではありますが、このCOVID-19新型コロナウィルスの世界的流行禍パンデミーさえなければ、今週末は東千歳駐屯地の第7師団祭や京都の大久保駐屯地第4施設団祭が行われていたはず。

 第7師団祭か第4施設団祭か、毎年の事ではありますが五月と云えば岩国に大津と千僧とに続きますので、近場で一休みといきますか、いやいや初夏の北海道へ瑞々しい大地の気迫と戦車の迫力へ身をさらすべく新千歳空港へ長躯遠征するか、というものはなかなかに考えさせられるものでした。さてさて、自衛隊行事一般公開再開はいつになる事でしょう。

 東京ブルーインパルス医療関係者慰労飛行。本日実施されましたブルーインパルスの飛行は久々に良い話題でした、流石に鞍馬山や比叡山や愛宕山や高雄山の何処に上ろうとも見えないのは自明でしたので断念しましたが、特定警戒都道府県でした京阪神地区や中京地区、北海道などの地域でもこうしたブルーインパルスによる激励飛行を期待したいですね。

 さて撮影機材の話題を。CANON-G3X,実のところ久々に万人にお勧めできる不思議なカメラです。高性能の一端を表現しますと、やはり望遠性能でしょうか、飛行機雲を見つけまして、成層圏を飛行する旅客機を撮影した場合、機種は勿論のこと垂直尾翼に描かれた航空会社を判別できる程度には望遠が利きます。しかし望遠一本ではなく広角も35mm換算24mmまで利くという凄さが。

 600mmまで光学ズームが可能、しかも極小センサーでトリミングのように望遠を稼いでいるわけではなく1型センサーというコンパクト機種としては大型センサーを採用していますので粒子荒れや無理な補正などは抑えられており、一眼レフのフルサイズセンサーやAPS-Cほどではありませんが準じた描写力があります、つまり撮りたいものが、撮れる。

 日常と自衛隊行事、両方で活躍します。G3Xが一つ日常のビジネスバックや自衛隊行事のカメラバックに収まっていますと、撮影できる状況の幅が非常に広くなりまして、例えば望遠ズームはあっても超望遠ズームを持ち歩いていないときなど、被写体は目の前なのに遠すぎて撮れない、そんな隔靴掻痒を過去のものとできる性能を、有しているのですね。

 CANON-G3X、多くの方にお勧めできる機材です。難点は、コンパクト機種としては大きいことか。背広のポケットに辛うじて収まりますが、目立つ、ビジネスバッグにはかさばりますが何とか収まる、実際、15-45mmSTMレンズを装着したEOS-M5ミラーレス一眼カメラよりもG3Xのほうが大きくなってしまう。ただ、一眼レフよりはだいぶんと小さい。

 日常で上空にF-35やOH-1やC-2やP-1にF-4EJ、そのうちV-22やRQ-4も加わるのでしょうか、偶然上空を希有な機種が飛行している、こうした事は希にあります、いやありました。通常のスマートフォンやコンパクトカメラでは高度数千を飛行する航空機にはお手上げですが、400mmズームレンズ装着の一眼レフを24時間365日持ち歩くこともできません。

 F-35,実際に突如上空に飛行していたことはありました、しかし当時手元にG7Xがあったのみ、105mmズームでは遠距離のF-35は証拠写真しか撮影できません、機体番号は勿論日米どちらのものかF-35AかF-35Bかも判別できませんでした。そこで600mmのG3Xを購入した次第です。デジタルズームで2400mm相当、粒子荒れは多少ありますが、使える写真が撮れる。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京都心ブルーインパルス明日飛行展示,新型コロナウィルス対処医療従事者感謝へ自衛隊発表

2020-05-28 20:20:41 | 防衛・安全保障
■東京上空ブルーインパルス
 ブルーインパルスの飛行展示が前日に急きょ発表されるというのは異例です、それも東京都心でとなればなおさらと云えましょう。

 ブルーインパルスは明日東京上空を飛行する。防衛省は本日、COVID-19新型コロナウィルス感染症と戦う医療従事者への敬意と感謝を込めて明日、東京上空においてブルーインパルスによる飛行展示を実施するとのこと。プレミアムフライデーという言葉がありましたが、ブルーインパルスが東京上空を飛行する初のプレミアムフライデーとなります。

 アクロバット飛行による医療従事者への感謝表明はイタリアや中国はじめ各国で実施されています。もっともカナダ空軍においてこうした感謝飛行へ向かう途中の機体が基地近傍にて墜落するとの痛ましい事故も発生しています、今月18日にスノーバーズ所属のCT-114練習機がカムループス飛行場付近にて墜落してしまいましたのは残念でした。

 東京上空においてのブルーインパルス飛行展示の実施は1964年東京五輪など過去に2回しか実施されておらず、新型コロナウィルス国家緊急事態宣言解除という節目とはいえ、異例の飛行展示となります。前回のブルーインパルス東京上空飛行展示は2014年、国立競技場の東京五輪にあわせた建て替えに際しての旧国立競技場記念行事の際でした。

 東京五輪においてもブルーインパルスは飛行展示を実施予定でした。もっとも、東京23区外であれば例えば2017年に八王子市の市制100周年記念行事に際しても飛行展示を実施しています。そこで、明日の飛行展示が何処でどの時間帯に実施されるかについては気になるところではありますが、その詳細は明日、航空自衛隊が発表するとのこと。

 航空管制と騒音、東京上空においてブルーインパルス飛行展示が難しい背景には、東京上空の羽田管制空域が世界有数の航空過密空域となっていまして、多数の旅客機が発着している事情があります。特に首都圏の多くを第二次大戦後は在日米軍横田管制空域として移管したままであり、そのしわ寄せが羽田管制空域の過密となっているかたち。

 入間基地。ブルーインパルスは所属する第4航空団の松島基地から既に先ほど、埼玉県の航空自衛隊入間基地へ展開を完了したとのことです。入間基地には中部航空方面隊司令部がおかれるとともに西武電車で都心から一本という好立地もあり、自衛隊でもっとも混雑する航空祭、ということで有名です。明日はここから離陸するのでしょう。

 ブルーインパルス飛行展示の飛行経路は現在のところ未発表ですが、都心を飛行すると考えられ、時間帯については未発表ですが、前回の2014年旧国立競技場の際には1700時台に飛行展示を実施しています。どの区分で、どこまでの飛行展示を行うかについても、未発表です。ただ1964年東京五輪当時のF-86Fと比較しT-4は長時間飛行可能だ。

 明日の天候は不明ですが、雲量や視程次第で雲底の高さが充分あれば、ブルーインパルスは案外30km程度離れていても望見することが出来まして、過去には名古屋市内から岐阜基地航空祭予行のブルーインパルス飛行が見えましたし、彦根上空のブルーインパルスが大津市近郊からみえた、というおはなしもあります。意外に見える。

 航空自衛隊が明日発表するブルーインパルスの飛行展示、飛行時間帯や飛行空域、こちらについては明日発表されましたらば、第二北大路機関と第52北大路機関にてお伝えしたいと思います。感謝の飛行展示、京阪神地区や中京地区、北陸地方や北海道など先頃まで特定感染地域となっていた地域でも実施を期待したいですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都発幕間旅情】自衛隊観艦式フリートウィーク2019に大盛況の軍港でBARと酒場巡り

2020-05-27 20:05:22 | グルメ
■五月二十七日は海軍記念日
 本日は海軍記念日、そこで昨年の観艦式、2019年はいろいろとありましてフリートウィークのみの実施でしたが横須賀を酒場とBARから眺めてみたい。

 くらま。自衛隊観艦式といえば個人的にどうやって護衛艦くらま、とともに撮影するか、北大路機関の課題でした。鞍馬山は直ぐ近くにあるのに、護衛艦くらま、遠いなんて残念じゃあないですか、遠い佐世保基地連想しつつ。だから除籍はがっかりしてしまったなあ。

 こんごう。自衛隊には歴史と伝統を誇る艦名が数多あるのですが、冷戦時代から平成を経て2020年代の海上防衛へ進む様子は、なにか自分が置き去りにされてしまったような寂寥感といいますか、感じてしまいます。そんななかの2019年フリートウィークを巡りまして。

 ちょうかい、いや鳥海か。艦これ、大人気で体験航海と違いこちらは燃料代も掛かりませんので自衛隊広報の救世主だ、と思いつつ、しかし何故高雄型重巡で高雄も愛宕も摩耶もフィギュアでたのに鳥海だけ立体化されないのだろう、と思いつつ、歩みは自然に酒場へ。

 ペリー食堂でまずは昼食だ。カウンターとテーブル席が。無理に高級感を醸すのではなく、しかしサイバーパンク風におもねるわけではない、いわば洒落たと手頃な即ち親しみやすい、その調和を狙っているところでしょうか。店内はそして奥行き深い鰻の寝床といった配置の感じ。

 カレーセット。横須賀に来のですからこれぞ本場の海軍カレー、と行くのは当然の流れでしょう。ここは横須賀ネイビーバーガーとともにいわゆる海軍グルメといいますか横須賀グルメの真骨頂へ一番地というところ。ペリー食堂は海軍カレーもバーガーも美味しい。

 海軍カレーはプレートに牛乳とともに。海上自衛隊のような金属プレートのメニューもあるのですが、そちらは潜水艦せとしおカレーといいまして、横須賀カレー巡り特集では既報の通り。こちらではこのほかに海軍カレー、そしてカレーとバーガーのセットもある。

 ハイスクールフリート。横須賀では蒼き鋼のアルペジオはじめ、海軍や軍艦と縁あるアニメーションとのコラボを積極的に行っていまして、一方で佐世保では昨今話題の艦隊これくしょん、とのコラボを行う。追い上げが凄い印象で不思議な軍港の盛り上がり方ですね。

 どぶ板通りのペリー食堂はこんな外見。一見入りにくい、と写真では思われるのかもしれません、実際そういわれたのですが、横須賀に歩み勧めますと、こうした雰囲気のお店が圧倒的に多く、まあ、街の雰囲気、という印象で慣れてしまいます。そこがまた、趣深い。

 どぶ板通り。なかなかに人を寄せ付けにくい一種児戯的な地名が好きなのですが、ここは横須賀基地、いや横須賀軍港というべきか、ここから横須賀中央駅へ向かうどぶ川の上に鉄板を敷いて新しい通りとした戦前の地名ですが、ALEXs-SALOONはそんな通りにある。

 ジャックダニエル。わたしの一つ覚えのようにここで頂く。実は"路線バスで寄り道の旅"というアナウンサーの徳光和夫氏が送る紀行番組で、ここが紹介されまして、得意げにバーボンをご馳走しよう、と女性陣に勧めますとテネシーウィスキーです、という遣取りが。

 テネシーウィスキー?バーボンだろう、と手元にあるジャックダニエルで即座に確認しますと、あ、ほんとうだ、という呑み始めて十数年目の衝撃がありまして、このお店は遠いけれどもテネシー州よりはちかいジャックダニエルの聖地となった、故に毎回ここで頂く。

 京急汐入駅。実は2012年以来、横須賀では毎回立ち寄る喫茶店があるのですが、ここが最近営業時間がかわってしまったようで、クラシックな内装が波長あう良いお店なのですけれども、準備中では入れない、ということで二軒ほどおとなりでレモンサワーを戴いた。

 電気ブラン。喫茶店に行けなかったので居酒屋、というのも不思議な印象なのですけれども、自棄酒というわけではありません。電気ブランはもともと神田あたりに大正時代考案されたリキュールということですが元来42度だったものが時代とともに30度くらいに。

 焼き鳥がようやく焼き上がりました。実はお隣の喫茶店、マスターさんはダンディな風景写真を愛する戦前世代の方でして、お話を聞いていますと街中の風景写真を撮影する重要性を学び、これが2012年以降、北大路機関で京都幕間旅情、記事を連載する一つの理由に。

 電気ブランの度数が薄まるように、世の中の風景も時代とともにしっかりと記憶しておかないと薄まってしまい、私よりも年上の若い方々、私も若いといわれるが、もともとからこんなものでしょう、と薄さになれてしまった方々へ反論できなくなってしまうでしょう。

 京急汐入駅。その界隈はヴェルニー公園へ向かえばその先に海上自衛隊横須賀基地、どぶ板通りに歩みをすすめれば日本のアメリカ風情を感じる、なにかフィリピンのスービックをそのまま移したような風情に昔の日本が出迎える不思議な情景へと進んでゆけるのだ。

 新幹線のぞみ号、新横浜から京都まで新幹線で走りますと、実は京都駅から東舞鶴駅まで特急まいづる号で向かうのとそう変わらない短時間で、これは本数故の待ち時間も含め、向かうことが出来ます。その先に不思議な空間が広がっている、日常風景は貴重ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

COVID-19,政府緊急事態宣言全国解除-日本型感染対策能力検証必要性と冬季第二波への警戒

2020-05-26 20:00:14 | 国際・政治
■収束と保健所制度の意義
 COVID-19,実はもう少し悲観的な将来を想定していましたが日本は既存制度の枠内で一時的に成果を示したもよう。

 全国緊急事態宣言解除。政府は昨日26日、一週間前の時点で感染拡大の収束度合いが緩慢であった首都圏及び北海道について、感染源の不明な感染者の比率や集中治療施設などの収容余力などを政府諮問員会にとうた上で解除妥当の助言を受け、これをもって今月31日までの予定であった全国緊急事態宣言の解除に踏み切りました。一時は緊迫していました。

 COVID-19、この新型コロナウィルスの恐るべき点は高い感染力と長い潜伏期間に感染を広げると共に、発症後の高い致死率にあり、もちろん緊急事態宣言解除は、四月中旬の状態までの緊急事態宣言前夜へ急速に感染者数が増大する懸念は否めませんが、しかしながらアウトブレイク感染爆発、国内で手のつけられない緊迫の状況までは猶予をえたかたち。

 ワクチン開発と治療薬開発、今後はこの二点を軸に冬にも予想される第二波に警戒することとなります。今後は国内においてクラスター感染が断続的に続く懸念があり、ワクチンが開発され予防接種が世界規模で普及するまで、いったいどの程度の期間を要するかは全く未知数であり、感染爆発と隣り合わせる“新しい日常”というものが模索されることに。

 都市封鎖に踏み切らず感染爆発を沈静化させた。我が国の感染対策は一つの勝利と言わねばなりません。警察軍隊が都市部を封鎖し政府が国民一人一人の動向を直接監視し自由な身動きも自己実現も出来ない、こうした施策は異常であるとともに将来の自由の放棄へ直結しかねないものであり、次の感染到来まで、今回の僥倖といえる成功背景を探る必要が。

 保健所制度の勝利。結核拡大を背景とした1930年代からの全国保健所整備とともにハンセン病を筆頭に感染症対策に置き去りとされる感染者の権利と社会の安全への長い人権への法廷闘争が、クラスターを早期に発見して隔離しつつ、感染者の人権へも配慮するとの、基本的人権と公共の福祉へ難しい均衡を果たしたのではないか、こうした分析もあります。

 日本特殊論に帰結しては安易すぎるのですが、保健所網全国整備が果たした感染症への早期警戒態勢と中央からのクラスター対策班による増強態勢、これが成功の背景として説得力を有するのですが、このほかにも法的自粛要請による厳しすぎない自粛への同調圧力が厳しすぎる都市封鎖以上に感染を効果的かつ迅速に、沈静化させたという分析もあります。

 国内感染沈静化、しかしこれは収束であって終息宣言ではありません。そして社会に及ぼした影響も大きい。内需拡大とともに外需依存度を高度経済成長時代から抑えたとはいえ、国内製造業のサプライチェーンは2010年代前後から急速に中国へ製造移転したことで、中国国内の感染拡大による製造業の停滞とサプライチェーン破綻影響が極めて大きい。

 学校教育へも影響は巨大で九月入学への転換が授業の三ヶ月間に及ぶ停止から真剣に検討されています。会計年度と離隔することはしかし非効率を醸成しますが、授業時間が足りないことも事実であり、九月とラジカルに進まずとも今年は六月入学、来年は五月入学、一日あたり一校限余分に授業し土曜授業の臨時再開、何かの施策は必要となりましょう。

 感染収束、しかし一応の勝利ではあります。欧州や北米では最悪期に一千人以上が死亡し冬を迎える南米ブラジルでは昨日だけで800名が死亡、アメリカの600名を越える状況となりました。COVID-19は季節性であるかどうかについてはまだまだこれから症例が積み重ねられる感染拡大初期です。なんとか冬の第二波を乗越えられる体制構築をのぞみます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ロイヤルウイングマン豪州次世代無人機試作機完成!画期的“無人僚機”がF-35戦闘機を補完

2020-05-25 20:08:39 | 先端軍事テクノロジー
■クイーンズランドドローン計画
 我が国とは環太平洋上の重要なパートナーでありステイクホルダーであるオーストラリアにおいて画期的な将来航空機が完成しました。

 ロイヤルウイングマン試作機完成、オーストラリア空軍の将来航空打撃体系を担う新型機が遂に完成しました。我が国では新しい第六世代戦闘機として、F-2戦闘機の後継機を担う将来戦闘機計画などが今後予算難による長期化が懸念されつつも模索されていますが、オーストラリアはF-35等第五世代戦闘機能力を最大限活かす新技術を大車輪で進めています。

 次期戦闘機の話題ではドイツ空軍がトーネード攻撃機に代わる新戦闘機としてF/A-18E/Fを採用、という報道が先月末に在りまして、今の時代に第4.5世代戦闘機とは何故、と興味を持ちますと、有事の際にアメリカからニュークリアシェアリングで供与されるB-61核爆弾について現行EF-2000では搭載不可能という昭和的な理由に引きましたが、豪州は対照的に進んでいる。

 クイーンズランドドローン計画というオーストラリア軍無人航空機体系の一環としてボーイングディフェンスオーストラリア社により進められるこの計画は、昨年12月に縮尺型無人機として、T-45練習機や日本のT-4練習機とイタリア製M-346練習機をステルス化したような形状の機体により実証実験を実施、地上管制施設から有用性を確認していました。

 第五世代戦闘機、自由主義圏ではF-22戦闘機とF-35戦闘機が実用化されていますが、第六世代戦闘機はイギリスの将来戦闘機計画に"現実的な取得費用"が挙げられるほどに高くなっています。そこで高価な有人戦闘機に同じ速度と機動性で運用できるやや安価な無人機を僚機として充て、二機編隊の作戦単位を構成する試みが幾つかの国で進められている。

 ATS計画ともよばれるこの計画は、オーストラリア空軍のF/A-18F戦闘機や将来導入が見込まれるF-35戦闘機、そしてE-7早期警戒機の支援を担う無人機です。しかし従来の無人機とロイヤルウイングマンは全く異なります、そもそもロイヤルウイングマンは無人僚機というべき航空機、独立運用し有人機へ資する情報や戦闘支援を担う運用に留まりません。

 RQ-4無人偵察機のような機体やMQ-9無人攻撃機など、戦闘機の任務を一部代替する無人機は既に存在します、実際アメリカ空軍にはF-16からMQ-9へ機種転換した飛行隊もあります、ですがMQ-9はアスペクト比の高い長大な主翼を持ち、機動性よりも滞空時間に重点を置いた設計です。こちらのほうが睡眠や食事が必要な有人機より有利ですが、戦闘機のような動きは不可能となります。

 E-7早期警戒機はボーイング737を基本とした早期警戒機で自衛隊のE-767よりもふた周り小型の機体ですが、例えば早期警戒機は航空優勢確保に非常に大きな能力を有するものの、相手には航空作戦での最大の高付加価値目標ともなります、空対空ミサイルや地対空ミサイルは特に早期警戒機を目標とする極超長射程のミサイルも開発されているのです。

 無人僚機。さて、二機編隊で戦闘機や早期警戒機などが飛行していたとしましょう、片方は警戒を怠らず機動飛行と瞬時の回避飛行を行い、片方は機動飛行と回避運動を行うものの、やや動きが緩慢であったとしましょう。敵がミサイルで攻撃を行う場合、最初に撃墜されてしまうのはどちらでしょうか。ロイヤルウイングマンの任務はここにあるのですね。

 F-35戦闘機などは取得費用が一機一億ドル、とも説明される高価な航空機ですが、第一線での防空を担うならば危険な空域へ進出させなければなりません、ロイヤルウイングマンは統合型センサーを搭載しレーダーを稼働させなければならない状況で危険な索敵を担い、目標接近の必要がある場合には先行して偵察、万一の際は文字通り身を挺してF-35を庇う。

 ステルス性にも留意されており、必要ならば空中給油をF-35等に対して実施する運用も想定されているという。飛行はAI人工知能が実施し、F-35やE-7からの管制はもちろん受けますが、命令受領の後にはある程度AIが判断して飛行するという。ロイヤルウイングマンは現時点でミサイル搭載は想定しないようですが航続距離は3700kmに達するとのこと。

 AIによりF-35に付いてくるのですから、例えばこれまで二機編隊で実施する対領空侵犯措置任務などではF-35とロイヤルウイングマンを同時に発信させるならば、2機のF-35で5分待機と60分待機という冗長性の高い待機体制が可能ですし、余りに領空接近が頻発する場合はロイヤルウイングマンのみ発進、F-35は後方から続行する運用も可能となります。

 ボーイング社。ATS計画はオーストラリア軍とボーイングディフェンスオーストラリア社の計画ではありますがアメリカのボーイング社が協力しています。またボーイング社としてはロイヤルウイングマンをオーストラリア以外の各国へ将来的に販路を拡大する事も構想しており、将来的には自衛隊もこうした無人機の導入を検討する可能性もあるでしょう。

 日本の視点からロイヤルウイングマンを俯瞰しますと、沖縄周辺を筆頭に西日本沖まで中国からの国籍不明機が接近し、限られた第五世代戦闘機という防衛資源を有効活用するためには、こうした比較的安価で勿論単独で空中戦は不可能ですが、無人僚機というものを、F-35と伍して運用する施策も真剣に検討されるべきでしょう。まさに21世紀といえる運用概念です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【日曜特集】観艦式2009-守る!この海と未来-【12】自衛艦隊砲雷撃戦用意(2009.10.23)

2020-05-24 20:19:31 | 海上自衛隊 催事
■艦砲響き弾ける海面沸く太平洋
 自衛艦隊砲雷撃戦用意、いよいよ自衛隊観艦式は訓練展示という日々の訓練の成果が世界へ展示されます。

 はたかぜ、空包射撃の展示です。Mk.42-5インチ単装砲は海上自衛隊の一時代を築いた艦砲です。1950年にアメリカで開発され、マウント重量は67tと巨大ですが毎分40発という当時としては極めて早い射撃速度を有しており、射程は23.67kmと今日的にも優秀です。

 くらま艦上から訓練展示を観閲官へ展示される為、実はこの日の潜水艦救難艦ちはや艦上というのは、くらま、と少し近い関係もありまして中々良好な撮影位置と思いました。もっとも観閲部隊と観閲付属部隊は速力が違う為、こちらを追い抜いて行くのですけれども。

 こんごう、観閲艦くらま、とともに訓練展示を観閲します。こんごう型はヘリコプター格納庫を有さない為に竣工当時には少し上部構造物の均衡が不思議な印象を受けたものですが、観艦式ともなりますと広い後部甲板では多くの乗艦者が並べる良い風情という印象だ。

 さわかぜ護衛艦隊直轄艦。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃です。護衛艦隊旗艦は、護衛艦あきづき、護衛艦むらくも、護衛艦たちかぜ、そして四代目が本艦ですが、護衛艦隊司令官が指揮を執るには余りに手狭で、観艦式の指揮くらいにしか使えないと揶揄されたり。

 観艦式は国威発揚の場なのですから、もう少し重視されても良いのかな、と思いつつ、また広大な施設はそのまま実任務と共に練習艦用途としても広かったのではないのか、と考えるのですけれども、機関部などで時代の流れがあるといわれれば、説得力もありますね。

 こんごう、はたかぜ。海上自衛隊の艦隊防空艦世代交代を象徴する二隻です。はたかぜ搭載防空システムはターターDシステム、しかし飽和攻撃へのシステム拡張性に限界があり、開発されたイージスシステムを搭載した最初の護衛艦がこの護衛艦こんごう、この艦です。

 Mk.42-5インチ単装砲とMk.13ミサイル発射装置の並びが。今日では驚かされるのですが海上自衛隊が最初に艦対空ミサイルを採用したのは護衛艦あまつかぜ、当時のRIM-24ターター隊区ミサイルは射程が18kmでしかなく、実は艦砲よりもミサイルが短射程でした。

 ターターシステム、海上自衛隊に導入されたターターシステムはアナログ電子計算機により目標を標定し誘導する草創期のシステムでしたが、アメリカ海軍のデジタル化趨勢を見越し、海上自衛隊は護衛艦あまつかぜ搭載システムを熱心に近代化し、デジタル型とする。

 ターターDシステムのDはデジタルを意味し、これにより汎用ICの物理的再接続からプログラミング書き換えによる拡張へ、今日的にはある種当然の利点ですが、1950年代にこの有用性に着眼したのが海上自衛隊です。しかし、艦砲かミサイルかの議論はあったという。

 艦砲。海上自衛隊では伝統的にこの艦砲を重視してきました、驚く事に初期のターターシステムによるターターミサイルは射程が18kmであったため、艦砲の方が射程が長かったという事情もあります。そしてこの艦砲は有人で、そして空包も射撃でき、観艦式むき。

 さわかぜ艦砲空包射撃。海上自衛隊は5インチ砲としてイタリアOTOメララ社製54口径コンパット砲とアメリカ製Mk 45-Mod4-5インチ砲を使用しています。しかし、空包はMk.42-5インチ単装砲でしか射撃できず、実はMk.42-5インチ単装砲だけの貴重な情景だ。

 あぶくま、その向こうに護衛艦さわかぜ。Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃、実は撮影次第では美しい発砲焔が映るのですが、Mk.42-5インチ単装砲の空包射撃の機会自体が、観艦式かDDH等が参加する展示訓練のみ、若干Mk.42-5インチ単装砲とは縁が薄いもよう。

 Mk.42-5インチ単装砲が巻き起こす硝煙、しかし実弾の迫力は物凄く、70mちかい水柱が巻き上がるという。70mといえば東寺の五重塔よりも高く、そんな水柱が一門当たり毎分40本林立するのですから、Mk.42-5インチ単装砲の威力というのは凄いものなのですね。

 艦砲、Mk.42-5インチ単装砲は興味深い事に内部に二基のドラム式自動装填装置があり、これは昔の連装砲設計の名残りとも。しかし二系統を内蔵する事で信頼性を高めており、高さを抑えられるのか昔見た75式自走榴弾砲の自動装填装置とよく似た印象を受けました。

 相模湾に盛り上がる水柱、遂にMk.42-5インチ単装砲が実弾射撃を開始か、と思われるかもしれませんが、そうではありません。しかし自衛隊観艦式では実弾を用いた展示も行われまして71式ボフォースロケットランチャーの実弾射撃が、いよいよはじまりました。

 ゆうばり、ゆうべつボフォース対潜ロケット射撃。海上自衛隊では対潜戦闘を重視し数多くの各種対潜装備を護衛艦や航空機へ配備してまいりました。海上自衛隊では、護衛艦たかつき型、みねぐも型、やまぐも型にも搭載しましたが除籍がすすみ観艦式では最後に。

 71式ボフォースロケットランチャーとして海上自衛隊へ配備されています本装備はM-50/375mm対潜ロケットとしてスウェーデンにて1956年に開発されました、ロケットは230kgありソナーが発見した敵潜水艦の直上まで3.6kmの射程をもって爆雷を投射する。

 たかつき型から配備された装備、実は個人的に初めて体験航海の機会がありましたのが、たかつき型二番艦きくづき、ということでなじみある装備の一つなのですが、意外と優秀で四連装発射装置には直下に48発の弾薬庫がありまして、自動装填により再装填が可能だ。

 ボフォースは、魚雷をロケットにより投射するアスロックSUNよりは構造重量も抑えられており、小型艦向けとなっていまして、コルベットなどの小型艦用に連装式のさらに小型のものもあるという。もちろん射程や威力では爆雷故に、魚雷の命中程ではありませんが。

 ボフォースロケット。観艦式において眺めるには良い装備でした、EOS-7D発表前の当時、発砲炎などを撮影するのはなかなか難易度が高かったのですが、ボフォースはゆっくりと投射されるため、安価なカメラでも迫力の情景を撮影できたのですね。そして用途も広い。

 小型艦は日本が必要とする外洋作戦に限界がある、という視点は良く聞きまして説得力もあるのですけれども、近年は中国海軍によるコルベットによる外国漁船等への嫌がらせ的な砲艦外交が行われている所を見ますと、グレーゾーン事態にはこの限りでないとおもう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【土曜詳報】オタワHMCS-OTTAWA舞鶴親善訪問(3)カナダ艦の艦内旅行記(2019-08-24)

2020-05-23 20:10:41 | 世界の艦艇
■ハリファクス級艦内旅行
 舞鶴基地オタワ艦内旅行、前回の掲載から若干間が空いてしまいましたが、カナダ海軍のフリゲイトオタワの艦内旅行についてその続きを紹介しましょう。

 海軍の任務、この為に領域警備や漁業監視と排他的経済水域の警戒監視も任務としており、ハリファクス級にはそのための装備も充実しています、57mm艦砲、超長距離用探照灯、複合高速艇など。複合高速艇は波浪を被りやすいがしかし転覆はしにくい、実戦用だ。

 しかし水上戦闘艦としては、ハープーン艦対艦ミサイル、ESSM艦対空ミサイル、20mmCIWS近接防空火器、三連装短魚雷発射機を搭載していまして、データリンクにより同盟国アメリカのイージス艦とも連接が可能だ、いわば平和な国の強力な水上戦闘艦、ね。

 Mk48-VLS,VLSといえばイージス艦のMk41が有名ですが、Mk48,むらさめ型護衛艦が採用しています。オランダのカレル-ドールマン級フリゲイトとハリファクス級、むらさめ型が採用したもの。実はこれ、日本とオランダとカナダはMk48被害者の会を造れるやも。

 元々アメリカが小型艦用のMk41を搭載できない水上戦闘艦にシースパローミサイルを搭載する為の施設として売り込んだものです、そしてアメリカ海軍も採用する計画でした。規模としてはOHペリー級規模の水上戦闘艦を想定していたのでしょう、しかし、これが。

 アメリカはさかんに売り込み、Mk41よりも安価ということで自衛隊も採用を決定したのですが、被害者の会三カ国が採用を決定し設計を完了したところでアメリカが不採用を決定、量産効果がなくなり一挙に高騰しました、費用見積もりは実に四倍にも膨らんだという。

 Mk48は安価という事で採用したのに概算要求を通した後で四倍の値上げは酷い、こう我が国大蔵省は激怒し、むらさめ型量産中止、再設計さえ迫ったほどです。たかなみ型からはMk41に統合されていますが。一方、被害がなかったのはデンマーク海軍、といえましょう。

 デンマーク海軍はスタンフレックス300計画としまして、なんと満載排水量360tの小型艦にMk48を搭載しました、モジュール艦を設計しミサイル艇や掃海艇に局地防空艇に用いるもの。コスト関係なくこの大きさの艦ではMk41は大きすぎ重すぎて搭載できません。

 ESSM搭載、Mk48はシースパロー用に導入されたものですが、現在はESSM発展型シースパローに換装されているという、1セル2ESSM,つまり32発を搭載しているという。近代化改修の際にハリファクス級は大きく改良され、ESSMの搭載はここで大きな意味が。

 ハリファクス級へのESSM搭載は即ち僚艦防空能力を得たということになります、射程は15kmから50kmと大幅に延伸されましたので、ね。となりにハープーン艦対艦ミサイルも置かれていますが近代化改修に際してハープーンブロック1からブロック2となった、と。

 ハープーンブロック2外見からはわかりにくいですがGPS誘導の採用で対地攻撃が可能となっています、四連装発射装置二基はそのまま。しかし外見で言いますとハープーン発射筒だけ船体の白色というよりも米軍や自衛隊の塗装と似た灰色です、置き換えを物語る。

 対空戦闘能力はミサイルだけで完結するものではありません。ESSMの搭載、それは射撃指揮装置や対空レーダーも近代化を必要とすることとなりました。実は乗艦前から気になっていました。咄嗟というかシージラフですか、と頓珍漢なことを聞いてしまいましたが。

 シージラフは目の前にある対水上用、三次元レーダーはSMART-2とのこと。前は、つまり横須賀で見たときのレーダーはSPS-49、つまりアメリカ海軍のOHペリー級に搭載されているのと同じ二次元レーダーだったのです、格子状のこれこそレーダーという外見ですが,ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

令和二年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.05.23-05.24)

2020-05-22 20:03:16 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 COVID-19新型コロナウィルス、京阪神地区の緊急事態宣言が遂に解除されましたが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末ですがやはり自衛隊関連行事はありません。

 富士総合火力演習、今週末に挙行されます。いやいや八月だろう、と思われた方、実は今年は東京五輪の予定期間に配慮して五月に予定されていました。募集していなかったぞ、と思われる方、その通りでして新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大をうけ今年度は一般公開を行わずWeb中継のみで対応します。だから御殿場周辺のホテルも余裕がある。

 インターネットで公開される富士総合火力演習、インターネットだけでは自慢の長望遠ズームレンズも一眼レフも最新のスマートフォンもカメラとしては活躍できませんが、それでも戦車や火砲は勿論、昨年初登場した19式装輪自走榴弾砲や先ごろ報道公開された20式小銃など、どういった最新装備が並ぶのか、というのは一つの楽しみでもありますね。

 総火演。陸上自衛隊が実施する最大規模の公開実弾演習となっています。もっとも今年に限り公開はWebのみですが。この目的は本来、普通科と特科及び機甲科について、富士学校入校の自衛官に対し現代火力の戦闘様相と各種装備の操法や機動力の展示を行う富士総合火力展示演習が1994年から一般公開を行うようになり、広報を担うようなりました。

 前段演習と後段演習、演習は二段階に分かれていまして前段演習では各種装備の性能や射撃能力などを展示します。そして少しの休憩時間を挟んでの後段演習では実際の状況を想定したシナリオ仕立ての展示が実施されます。インターネット中継ではありますが、なにしろ畑岡地区に行かないのですから現地ではご法度のビール片手、という見学も可能です。

 防衛力と防衛政策。広報展示演習の要素も担う総火演は、同時に従来の北方重視からの西方シフトへの統合機動防衛力整備と島嶼部防衛、近年は更に電子戦や陸海空統合運用の深化を目指す多次元統合防衛力整備などの防衛力整備事業への事業評価を反映した展示なども行われるようになっていまして、年々徐々に総火演では展示様式も変化しつつあります。

 インターネット中継は、この富士総合火力演習が年々見学一般公募の競争倍率が二十五倍や三十倍、言わば中学校高校で1クラス30名全員が応募して一人当たるだけというもの、こう希望者が増大する中にあって、会場にはいることが難しくなり、このための苦肉の策として実施されるようになった施策でもあります。これなら雨天の総火演でも困りません。

 多次元統合防衛力。しかし、広報展示の色彩が強くなり、結果、解説を必要とする部分が逆に大きくなってしまい、特に陸海空自衛隊の統合運用は演習場に護衛艦を乗り入れさせる訳にも行かず、結果的にモニターに勇壮な護衛艦隊や戦闘機の大編隊を展示させることとなってしまいまして、これでは画面上だけの総火演ではないか、とも言われるのですね。

 二次元統合防衛力。この言葉は戦車射撃などの展示は年々減っているが、見学席前に設置された巨大モニターに、観艦式や自衛隊統合演習で撮影したモニター上の参加部隊だけは年々強化され、モニター上の二次元ばかりが目立つとともに、本番の最中にも度々、それでは皆様モニターをご覧ください、肝心な時に茶々のように入る演出への皮肉というもの。

 総火演。二次元とは言うものの実際の東富士演習場にてこうしたモニターばかり注目させられる展示では少々興ざめしてしまうものですけれども、動画配信であれば、それこそ編集された番組の様に見る事も出来るかもしれませんね。さてさて、流石にご家庭のPCでは戦車射撃の迫力は殆ど伝わりませんが、敢えて総火演を自宅で眺めるのも一興でしょう。

 さて撮影の話題を。自衛隊行事を撮影していますと、どうしてもカメラの話題、ここに関心を寄せてしまいます。結局良い写真を撮影するには良い機材、というものが必要になりまして、しかし興味深いのは良い機材と高級な機材は同義語ではないのですね。カメラにも個性が多く、必要としている性能以外に盛り込まれている性能が価格帯を押し上げているということも。

 最近ではCANON-PowerShotG3X,個人的にこのG3XがEOS-7Dmark2以来の久々に良いCANONのカメラ、という印象でしょうか。G7Xmark2も悪い機材ではないのですがG16のようなファインダーもレリーズも使えない、戦車を要求したらば自走無反動砲を寄越してきたような残念感は拭えません、しかしG3Xは、なんといいますか性能が変に尖っているのですよね。

 24-600mm、この数字はG3Xの尖った部分を如実に示した部分です。光学ズームで24mmから600mmという、超望遠に特化した機材だったのです。もちろん超望遠ならばコンパクト機種には数多い性能ですがG3Xは1型センサーを採用しています、センサーが大きくなれば望遠に大きなレンズが必要となる、が、画質はまともになる。ここがG3Xのおもしろいところ。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする