北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

検証:平成28年度防衛予算概算要求【6】 事態への実効的抑止及び対処、艦艇建造

2015-09-30 23:01:35 | 防衛・安全保障
■イージス艦と潜水艦
各種事態における実効的な抑止及び対処について、艦艇建造と延命について。

イージスシステム搭載護衛艦の建造、主要装備に関する特集でも紹介しましたが、8200t型ミサイル護衛艦が盛り込まれます、その目的としまして概算要求では筆頭に我が国弾頭ミサイル対処能力の総合的な向上を図るとしており、多層的かつ持続的に防護する体制を強化すべくイージスシステム搭載護衛艦を導入するとしています。ミサイル防衛をイージス艦導入の筆頭に挙げたかたち。

イージスシステムは洋上防空にあって脅威航空機の索敵を水平線上に撃破する事で洋上情報優位を担う非常に重要な役割と、艦隊防空という重要任務があt理ますが来年度予算ではミサイル防衛が筆頭に挙げられたわけです。なお、イージスシステム以外に洋上広域防空システムは英仏伊共同開発のPAAMSや独蘭のAPARが挙げられますがミサイル搭載護衛艦とせず、当然ではあるのですがイージスシステム搭載護衛艦DDGと明示しました。

新護衛艦は1番艦が先頃建造への手続きが開始された8200t型護衛艦で、7700t型護衛艦として建造されたミサイル護衛艦あたご型の拡大改良型となるものと考えられ、1隻が1675億円にて要求されました。型式のt数は船体単体の重さを示す基準排水量ですので、作戦展開時の重さを示す満載排水量は基準排水量7700tとして建造された、あたご型が10000tとなっていましたので、10800tから11000t程度となるでしょう。

護衛艦艦齢延伸への取り組みとしまして部品調達が5隻分を17億円で要求されています、護衛艦の建造が遅く除籍予定の護衛艦を延命しなければならなくなった為で、あさぎり型3隻、はたかぜ型1隻、こんごう型1隻を艦齢延伸措置実施へ向けての部品取得を行います、一時期大量に建造されていた時期には護衛艦むらさめ練習艦転用が構想されていたのですが、時代は変わった、という印象が強いです。

もう一つ、潜水艦の建造としまして1隻が662億円にて要求されています、これは新防衛大綱に明示されました 潜水艦を16隻体制から22隻体制へ増勢するための事業であり、そうりゅう型潜水艦12番艦の建造となります、実質的に新型潜水艦となりAIP潜水艦方式として建造された現行そうりゅう型に対し、新造艦はリチウムイオン電池を搭載し、水中持続力等を向上させるものとなるもよう。

新防衛大綱の22隻体制への基礎固めとしまして、更に潜水艦の艦齢延伸として艦齢延伸工事4隻及び部品調達4隻分の取得に30億円が要求、おやしお型潜水艦に艦齢延伸措置を実施します、実は海上自衛隊は、はるしお型以降の潜水艦おやしお型から本格的な艦齢延伸を想定した設計が為されていると聞いたことがありまして、艦齢延伸工事が行われます、ただ、近代化改修や能力向上ではなく艦齢延伸となっているところを留意しなければなりません。

北大路機関:はるな くらま
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平成27年度北部方面隊実動演習,戦車等車両 900両・人員4500名参加で実施

2015-09-29 23:27:23 | 防衛・安全保障
■北部方面隊実動演習
 北部方面隊による平成27年度方面隊実動演習が来る10月1日より開始されます。

 平成27年度方面隊実動演習は、北部方面総監岡部俊哉陸将を担任官とし、北部方面隊の師団と方面隊直轄部隊や転地演習参加部隊を以て方面隊の各種事態における対処能力の向上を図る目的で実施される演習で、10月1日から10月12日の期間に千歳市と恵庭市にまたがる北海道大演習場において実施されます。

 参加部隊は、北部方面総監部、第7師団、第1特科団、第1高射特科団、北部方面施設隊、北 部方面航空隊、第1電子隊、北部方面対舟艇対戦車隊、第12旅団を以て実施され、ここには平成27年度東部方面隊連隊等協同転地演習参加部隊が加わっていることが読み取れるでしょう。第12旅団からは第30普通科連隊が参加するとの事でした。

 演習規模は人員4500名と車両900両及び航空機15機が参加し実施されるもので、車両900両には戦車60両を含む参加部隊となっています。なお、東部方面隊の協同転地演習参加部隊は第12旅団の人員1000名、車両350両、航空機5機が参加します。

 戦車60両という参加の規模から7師団は1個戦車連隊基幹、という参加規模が考えられるところです。この他に北方対戦車隊が参加するので12旅団の30普連の12対戦中隊の代わりを務める可能性も想定できるでしょう、北方対戦車隊は96式多目的誘導弾システムを装備する部隊です。

 更に北部方面隊の車両参加規模は900といった数値となっていますが、北部法j明太、特に第7師団は戦闘職種は勿論としまして、通信部隊や施設部隊から後方支援部隊に至るまで、非常に多数の装甲車を装備している事から考えまして、額面通りに読み取らないよう注意が必要でしょう。

 北部方面隊は新防衛大綱において南西有事の際には、本土駐屯の初動部隊に続く機動打撃部隊として緊急展開する事となっています、ただ、人員4500名と車両900両及び航空機15機が参加する演習ですが、この演習のような60両の戦車を南西方面へ緊急展開させるには、海上自衛隊輸送艦などの不足は著しいのが現状です。

 一方で即応機動連隊が全国の方面隊の師団および旅団へ創設され、相当数の機動戦闘車を装備し装輪装甲車等により機械化されます、即応機動連隊の装備車両は航空自衛隊が装備に向け開発中のC-2輸送機に搭載可能となる車両群により構成される計画ですので、海上輸送の北部方面隊重装備部隊とともに二段構えの防衛力統合機動により対応する事が主眼です。

 参加する第12旅団は将来的に即応機動連隊編成旅団に含まれていますので、重装備のっ行使団である第7師団との共同訓練を同じ方面隊実動演習へ参加する事で演練する意味は大きいといえます、このほか、電子隊が参加している為地対艦ミサイル等の訓練参加も考えられるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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平成27年度連隊等協同転地演習、中部方面隊第14旅団・東部方面隊第12旅団が実施

2015-09-28 23:09:46 | 防衛・安全保障
■平成27年度協同転地演習
 中部方面隊第14旅団と東部方面隊第12旅団が平成27年度協同転地演習を実施します。

 中部方面隊は連隊等転地協同転地演習としまして、今月30日から来月19日までの期間東部方面区への転地演習を実施します。第14旅団の1個普通科連隊を基幹部隊とし長距離機動に必要な統制調整能力の向上を図り併せて転地先での実演習を経て方面隊の即応性の向上を図る目的があるとのこと。

 訓練担当官は中部方面総監鈴木純治陸将、訓練参加部隊は第14旅団の1個普通科連隊を基幹とする人員890名と車両190両で、車両には戦車4両が含まれます。長距離機動訓練は9月30日から10月1日までと復路が10月18日から19日まで、攻撃訓練等を10月2日から17日までの期間に実施すると発表されました。

 東部方面隊も同時期に連隊等転地協同転地演習を実施します、平成27年度協同転地演習として北部方面区北海道大演習場等へ展開する演習となり、東部方面総監森山尚直陸将が担任官となり、第12旅団の1個普通科連隊基幹として人員1000名、車両350両、航空機5機が参加します。

 このなかで第14旅団については第15普通科連隊が即応機動連隊へ改編予定であり、機動戦闘車を大量配備し機動打撃力を大幅に向上させる計画とされ、連隊等転地協同転地演習は機動運用部隊となる即応機動連隊改編への展開能力に関する研究を兼ねていると考える事も出来るでしょう。

 師団等転地に関する協同転地演習は7月16日までの期間、当時の中部方面総監山下裕貴陸将を担任官としまして、第13旅団基幹となる人員2000名、車両等600両、航空機約10機の参加を以て北部方面区の浜大樹訓練場および矢臼別演習場への転地演習を実施しています。

 統合機動力整備としまして、管区を越えた各部隊の機動運輸御体制構築による防衛力強化は新しい防衛鋭角の大綱に盛り込まれた陸上自衛隊の最大事業であり、増大する脅威に際し、機動力を強化し集合と展開を迅速化する事により限られた人員を最大限能力を発揮する体制へ転換しようとしており、転地演習の重要性がここから見えるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十一回):航空防衛力、大型航空団と航空隊への改編案

2015-09-27 23:01:26 | 防衛・安全保障
■日本本土防空へ航空団改編案
我が国の戦闘機数は一定以上の規模があるので、運用面で戦術的選択肢を高める事で、その航空防衛力を大幅に向上させる余地があるやもしれません、そこで今回から基幹部隊である航空団改編案を提示してゆきます。

航空自衛隊の航空団を、一旦すべて一個飛行隊基幹の航空隊に改編、その上で数個航空隊基幹の航空団を構想、対領空侵犯任務措置に充てる航空団を4個航空団に改編する、という提案をします。航空団数は縮小しますが現在の航空団が2個飛行隊基幹である編成を3個飛行隊基幹編成に改めそして航空団の編成を戦闘機数の面で一個航空団あたり大幅に増強し、有事の際には一部の部隊を機動展開、事態拡大の際には更に機動展開部隊を拡大する運用を前提とした規模の充実を行うべきでしょう。飛行隊定数も戦闘機配備数を大幅に増勢しますが、飛行隊を構成する飛行中隊ごとに分散運用可能な体制へ移行する。

現在の我が国防空を考える上で喫緊の課題は南西諸島防空、ただ、考えなければならないのは日本列島は広大ですので、有事の際に南西諸島周辺にすべての航空機を集中する事は出来ません、何故ならば一カ所に集中すると戦力空白地帯が生じますので、そこへ第三国が介入する端緒となりかねないという点で、現実問題、我が国へ接近し対領空侵犯措置の対象となる航空機はロシア方面からのもの、若干数ですが朝鮮半島からの機体も存在します、特に朝鮮半島方面からの航空機は半島情勢に応じ急増する傾向があります。

ここで重要となるのは、有事の際に全国の対領空侵犯任務措置を維持し、場合によっては第二次戦線が形成された場合にあっても初動対処する防空能力を維持した上で、南西諸島に部隊を展開させ、航空優勢を維持させる方策の模索です。この部分で片手落ちは許されず、全て両立出来なければなりません。すると、如何にして防空任務を維持しつつ増援部隊の編制に当たるか、この主眼の下で4個航空団方式という結論に至りました。大型の航空団を編成する、航空団から部隊を抽出する、場合によっては航空団そのものの機動運用事態も想定する、これにより本土防空と増援が両立出来ます。

現在の対領空侵犯任務措置に当たるのは、北部航空方面隊の千歳基地第2航空団に三沢基地第3航空団、中部航空方面隊の百里基地第7航空と小松基地第6航空団、西部航空方面隊の築城基地第8航空団と新田原基地第5航空団、そして那覇基地の南西方面航空混成団第83航空隊で間もなく第9航空団へ改編予定の部隊です。

航空団の現状編成は、18機、指揮官機等を含め20機からなる飛行隊を2個飛行隊、航空団全体で40機の戦闘機を運用しています。有事の際には、1個飛行隊を抽出する事が可能という編成ではありますが、航空団を改編する事で自由度をさらに高め、機動運用能力を強化できるのではないでしょうか。こういいますのも、一個飛行隊を抽出できるのですが、それ以上の分散運用を行うには編成が小型である為です。選択肢としては飛行隊定数を米空母航空団の様に12機編成とし、航空団の飛行隊定数を単純に増やすもの、そして航空団飛行隊を逆に大型化し分散運用をするもの、など。

改編案は、航空団隷下に3個航空隊を置き、各航空方面隊には基本として1個航空団のみを平時の配置部隊とする、航空団は隷下に2箇所の拠点基地を有し、2基地へ3個航空隊を配置する、有事の際には1個航空隊を即応し増援に充てる、航空団は機材整備と教育訓練で常時必要な稼働機数を維持しつつ、ローテーション待機を行う、というもの。航空隊は1個飛行隊を基幹としますが、飛行隊は8機から成る飛行中隊を3個有する体制へ拡大改編し、飛行隊全体で指揮官機を含め26機定数とします、こうする事で1個飛行隊のみでの対領空侵犯措置任務を継続可能な水準まで強化し、防空体制の維持と増援を両立できる体制が構築できます。

新しい配置では、北部航空方面隊は第2航空団司令部と第2航空隊と新編第4航空隊を千歳基地とし三沢基地に第3航空隊、中部航空方面隊は第1航空団(仮称)司令部と第6航空隊と新編第1航空隊を小松基地に置き百里基地に第7航空隊を、西部航空方面隊は第3航空団(仮称)司令部と第8航空隊を築城基地に置き第5航空隊と新編第10航空隊を新田原基地へ、那覇基地は第4航空団(仮称)と第9航空隊及び新編部隊を隷下に置く。

機動運用部隊は、新編第4航空隊、新編第1航空隊、新編第10航空隊、もちろんローテーションですので時期に応じ編成は異なりますが、南西諸島への機動展開を行う場合は初動として3個航空隊の78機が即座に増援へ展開態勢を採る事と出来、例えば自衛隊統合演習などで定期的に航空総隊集合訓練、を実施し能力構築を点検すれば、その訓練自体が大きな訓練となります。もちろん、飛行隊を編成だけ小分けにすれば機動展開が出来るものではありません、整備支援と補給基盤構築、膨大な人員と資材が必要となり、下手に戦闘機を増強するよりも費用は大きいでしょう、この為に、例えば広域師団構想のように人員規模の効率化案を提示し、人員の転任を視野とする案を示しています。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第十回):航空防衛力、我が国と各国に関する現状の確認と認識

2015-09-26 22:18:00 | 航空自衛隊 装備名鑑
■戦闘機数の位置づけ
戦闘機数は充分かと問われれば様々な回答の余地がありますが、比較するとどういう状況にあるのか。

航空自衛隊は、強大な中国の航空戦力に対抗しなければなりません、が、強大とはいえその格差は、一対一の全面衝突を行う場合では勝てません、特に中国内陸部や奥地の基地を航空自衛隊が叩くことはそもそも想定していませんので、中国全土の空軍を殲滅するという発想は元々ないのです。

それでは日本の主権と領土を維持できる範疇の制空戦闘を行う、という、専守防衛の視点からですが、これは充分対応し得ます。中国空軍のSu-27やJ-10等の第一級戦闘機が637機、これ以外は960機保有していますが中射程空対空ミサイルを運用できず、空対空戦闘では航空自衛隊のF-4EJ改にも対抗が難しい。

我が方航空自衛隊はF-15戦闘機200機とF-2支援戦闘機80機にF-4戦闘機50機の以上戦闘機330機です。イギリスが戦闘機と攻撃機併せ223機、フランス空軍が219機、ドイツ空軍177機、イタリア空軍154機、スペイン空軍129機、オランダ空軍63機、数の上では一定以上のもの。

ただ、日中330:637の戦力比を埋めるには、航空団の編成と航空教育部隊の運用に就いて幾つかの変更を行う必要があります、航空自衛隊の戦闘機装備定数は280機、民主党時代の防衛計画の大綱では戦闘機定数270機でした、しかし、実数は330機ありまして、これは航空教育集団や飛行開発実験団所要を含めた定数となっています。

航空教育集団所要の新田原基地飛行教育航空隊第23飛行隊はF-15戦闘機一個飛行隊で、松島基地第4航空団の第21飛行隊は、F-2B支援戦闘機一個飛行隊です。高度な戦闘機戦闘訓練を行い実戦部隊へ要員を供給する目的で編成された部隊ですが、元々第21飛行隊は超音速機であるT-2高等練習機の後継に配置、第23飛行隊は防衛大綱の戦闘機定数削減を背景に教育訓練強化の観点から実戦部隊を改編し創設された背景がありました。

実戦機による高等練習ですが長期的には維持できません、何故ならば航空自衛隊の新しい戦闘機はF-35Aであり、F-35Aは単座型のみ、ですからF-15J,F-2Bのみを実戦機として航空教育体制を構築するよりは、新たに高等練習機を導入し、第21飛行隊と第23飛行隊を実戦部隊へ編入する選択肢は考えられるでしょう。

高等練習機は、T-4練習機によるかつてのT-2練習機の超音速機による戦闘機操縦課程の置き換えを構想したのですが、亜音速のT-4では残念ながら能力不足が指摘されていました。ただ、現代ではT-2退役当時と異なり、亜音速ながら戦闘機要員養成を重視し設計されたM-346のような機体があり、若しくは有事の際に補助戦闘機として用いる観点から、初期のJAS-39やF-16A等の導入、国産高等練習機開発等選択肢は考えられます。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.09.26-27)

2015-09-25 21:43:51 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
今週末の自衛隊関連行事について。

東北方面隊創設55周年記念行事仙台駐屯地祭、JR仙石線苦竹駅から、ホームから見える駐屯地に東北方面総監部が置かれていまして、観閲行進と訓練展示等を行う予定とのこと、東日本大震災以前は同じ仙台市の若林区、霞目駐屯地の飛行場地区において盛大に行われていましたが、東日本大震災以降は自粛ムードにより大規模な行事が行われていませんでした。

仙台駐屯地での本年の行事ですが、本年は東北方面隊創設55周年という節目の年でもある事から、訓練展示等を予定しているとの事、仙台駐屯地は霞目飛行場地区にて行事が行われていた時代には方面航空隊のUH-1が待機するなど敷地が非常に広いことから、大規模な行事を行う事は可能です。なお、苦竹駅からの徒歩以外、仙台駅からのシャトルバスも運行されるとのこと。

下総航空基地祭、教育航空集団司令部が置かれていまして、今週末の航空祭は千葉県柏市のこの海上自衛隊行事が最大のものです。下総教育航空群と航空教育集団司令部が、P-3C哨戒機の祝賀飛行等が予定されています、機動飛行等は立地上難しい基地ですが、航空集団司令部も厚木移転前に置かれていた基地、非常に歴史が長く貴重なものを見ることが出来ます、システム通信隊群移動通信隊なども。

竹松駐屯地祭、佐世保と長崎を結ぶ大村線沿線にある駐屯地で第2高射特科群隷下の第7高射特科群が駐屯する駐屯地です、ホーク地対空ミサイルを運用する方面高射特科部隊で訓練展示ではミサイルの陣地展開と模擬航空機を車載しTNTにより爆破する迫力の展示が有名です。ただ、竹松駅から徒歩の場合は少々距離がありますのでご注意ください。

秋田分屯基地航空祭、秋田救難隊の基地です、UH-60J救難ヘリコプター4機とU-125救難機2機と6機の小所帯ですが、日本海沿岸の航空救難任務を担う重要な基地です、飛行展示は救難飛行を数回行うとのこと、秋田空港から秋田分屯基地間を無料シャトルバスが運行されるそうです。航空祭というと大編隊や戦闘機の機動飛行を期待したいですが、こうした規模の航空祭は来場者も多すぎず、家族連れにはお勧めできるでしょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・9月27日:秋田分屯基地航空祭…www.mod.go.jp/asdf/akita/
・9月27日:東北方面隊創設55周年・仙台駐屯地祭…www.mod.go.jp/gsdf/neae/neahq/
・9月26日:下総航空基地祭…www.mod.go.jp/msdf/simohusa/
・9月26日:竹松駐屯地創設63周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/2aabhp/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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陸上防衛作戦部隊論(第三一回):装甲機動旅団編制案の概要 高射特科部隊の防空作戦能力

2015-09-24 22:43:04 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団防空の傘
装甲機動旅団、その防空網についてどの規模で、度の脅威へ対応するのかとの論点を今回は扱いましょう。

装甲機動旅団は機甲部隊を中心とした骨幹戦力を、航空機動旅団は航空部隊を中心とした骨幹戦力を、それぞれ集中させ、各方面隊に1個の異なる編成と運用を担う旅団2個より編成される広域師団を機動運用させる、というものですが、言い換えれば大型化した少数の師団への集約を行う、言い換えれば侵攻側には初動の我が防衛力は1個師団のみとなる訳ですから、近接航空支援と航空阻止攻撃により徹底してわが前進や集結を妨害するでしょう。

高射特科大隊については、現行の師団高射特科大隊の編成をそのまま応用できます、旅団ですが師団高射特科大隊型の編成を採る必要は、特に普通科連隊の編成が機械化大隊を基本とした編成を採るとの方針を背景とします、逆に航空機動旅団には高射特科隊、増強中隊規模が妥当となるでしょう。正面から相手を圧する、つまり攻撃衝力の持続を重視する部隊と機動力を重視する部隊、もちろん一方の編成だけでは事態拡大阻止が出来ませんし、反撃が出来ません、防空編成の相違はここから来る。

本部管理中隊が情報小隊に対空レーダ装置と低空レーダ装置を配備し、第1中隊に直掩防空用の近距離高射特科装備を配備し小隊ごとに連隊戦闘団へ配置、第2中隊に短距離防空用高射特科装備を配備し旅団の戦術防空を担います、それ以上の規模の防空は戦域防空となり、方面隊直轄部隊と航空自衛隊の任務です。他方、わが国土への着上陸を想定する際には、航空自衛隊の航空優勢確保の能力が巡航ミサイル攻撃や制空戦により相応の打撃を被っていると想定せねばなりません。

高射特科大隊、第2中隊に策源地と旅団段列地域防空用に81式短距離地対空誘導弾や11式短距離地対空誘導弾を配置し、戦域防空、特にサーモバリック弾頭やクラスター弾等を搭載し威力が増大する巡航ミサイルなどから旅団後方支援部隊を防護する必要があります。遠距離から我が集結と後方支援拠点での行動を妨害し得るこの種の装備への対処能力は急務で、81式短SAMは巡航ミサイル防空能力に制限がありますが、11式短SAMは巡航ミサイル対処能力が設計時に盛り込まれました。

第1中隊には直掩防空にあたる、93式近距離地対空誘導弾か近接戦闘車防空型乃至87式自走高射機関砲を配置し、小隊編成毎に普通科連隊戦闘団の骨幹戦力である機械化大隊の防空に充てる必要があります、機械化大隊は滝ヶ原駐屯地部隊訓練評価支援隊第1大隊方式の戦車中隊、2個装甲普通科中隊という編成を示しましたが、掩砲所に隠れるわけにも掩蔽も攻撃前進に際しては不可能であり、相手からは絶好の打撃目標となり得るので、ここに防空の傘を掛けなければならない。

理想としては直掩防空部隊には自走高射機関砲を装備する、こちらはミサイルと異なり瞬発交戦能力があり最低射程距離の制限が無い、という利点がありますが取得費用が大きく、装甲戦闘車の砲塔を利用した防空型、若しくは近接戦闘車防空型導入が理想です、他方、既存の93式近距離地対空誘導弾は、CH-47輸送ヘリコプターにより空輸可能であるため、航空機動旅団への重点配備が理想です。

高射特科部隊の大隊編制は、航空機動旅団の高射特科隊乃至増強中隊編成の任務が、航空部隊の策源地防空が第一である半面、普通科連隊の骨幹戦力が四輪駆動軽装甲車を基幹とした普通科中隊に軽装甲機動車小隊を増強配備する増強中隊編成が基本であり、機械化大隊と比較し高度に分散運用できるためです。しかし、集合分散させられないのが装甲機動部隊の運用です。もっとも、頑強に防護された機甲部隊への航空攻撃は相手に大きな行動制約を与え、高射特科部隊を強化する事で相手の航空攻撃部隊に対し打撃を与え、かつ空対空装備の運用や搭載を制限できます。

装甲機動旅団は攻撃衝力持続性の観点から離隔距離を採っての対空疎開には限界があり、逆に中隊ごとに行動する航空機動旅団の中隊戦闘群は携帯地対空誘導弾による自隊防空と観測ヘリコプター等による防空掩護に期待できますので、増強中隊か大隊編制を採るかの相違点はここにあります。即ち、小隊規模の高射特科部隊が構成する防空網の域内に、機械化大隊が装備する車両群を離隔を採った状態でその傘の下に収めなければならない、ということ。

なお、大隊本部は情報小隊を隷下にもち、対空レーダ装置と低空レーダ装置により師団防空情報を隷下部隊へ展開させます、しかしこれだけに依存すると部隊の展開範囲が制限差r手かねませんので、航空自衛隊の防空監視網とのデータリンクを第一線部隊規模で共有する現在の運用に加え、早期警戒機等との直接連接等も課題です、装甲機動旅団の機械化大隊は、主力戦車13両、暫定装甲車/装甲戦闘車30両、自走榴弾砲10門、装甲車両は以上の通り53両の大所帯となりますが、自走高射機関砲が3両配備され、第一線に防空の傘を展開させ、加えて中隊本部などに配備される自衛用の携帯SAMを併せる事で、一定水準の航空攻撃までは対処が可能となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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検証:平成28年度防衛予算概算要求【5】 事態への実効的抑止及び対処、空中警戒機

2015-09-23 22:22:00 | 防衛・安全保障
■空中警戒部隊と無人偵察機
来年度予算概算要求における重要施策、各種事態における実効的な抑止及び対処能力の構築について、前回に引き続き。

南西方面のみならず我が国周辺の抑止と対処能力について、続いて防衛省は早期警戒能力の近代化による能力向上と警戒能力の維持、加えて早期警戒機の増勢により警戒監視能力の強化に関する施策を行います。我が国は1976年のMiG-25函館亡命事件を受け、従来の防空監視所レーダーサイトによる警戒監視網に加え空中警戒が可能な早期警戒機の導入を継続してきました。

新早期警戒機E-2Dの取得へ、1機238億円、E-2Dの導入は今年度予算よりすでに1機が形状されていますが、さらに来年度、1機の導入が盛り込まれています。この施策は“南西地域をはじめとする周辺空域の警戒監視能力の強化のため、新早期警戒機を取得”と説明され、昨年度に那覇基地へ新編された警戒飛行隊増勢に関する機数確保という背景があります。

E-767,既存の早期警戒管制機についても能力向上が継続的に行われます、“現有のE-767の警戒監視能力の向上のため、中央計算装置の換装及び電子戦支援装置の搭載等に必要な部品の一部を取得”、として14億円が要求されました、E-767は搭載するレーダーこそAPY-2のままですが、処理能力とレーダー情報解析能力は大きく向上しており、既に導入当時より一段階上の性能を持つといって過言ではありません。

APY-2はアメリカ空軍やNATOが運用するE-3早期警戒管制機と同型の装備を運用している為、段階近代化改修プログラムへ対応し、今後も継続的に能力向上が見込める分野といえ、導入当時はE-767のAPY-2がE-3と同型で導入当時には見劣りが指摘され、将来警戒機の米軍導入により陳腐化が懸念されていました、しかしE-10として2003年に開発が開始された新型機は費用高騰等から2007年に開発が中断、今に至る。

非常に高価な航空機でしたが、4機を導入した事は今日的には正解だったといえます、一方で導入当初は8機程度の取得を見込んでいたとも言われ、先に導入したE-2Cの除籍を待って増勢する構想が考えられましたが、APY-2の生産が終了、他に早期警戒管制機を導入する予定の国もなく737AEW&Cのような廉価航空機に諸国の需要が移り、航空自衛隊は導入の機会を逸しています、ただ、E-2Cは小型で運用柔軟性があり、二機種併用は弊害ばかりではないとのこと。

グローバルホーク導入、RQ-4,滞空型の無人偵察機導入は警戒監視能力の概念を早期警戒機導入以来久々に大きな革新的新装備の導入となるでしょう。全幅35mという巨大な無人機は実に36時間もの連続飛行能力を有し、18000mという高高度から広域を同時に監視飛行が可能です。東日本第一原発事故に際して米空軍が運用するグローバルホークRQ-4が高高度から福島第一原発を撮影し、当時の菅内閣が情報不全に陥った中、正確な情報を提示しました。

実はRQ-4は早い時期から航空自衛隊が導入計画を進めており、他方でRF-4戦術偵察機の後継機がRF-15偵察機として開発が進む中、運用構想が混迷し、併せてRQ-4が想定する任務の一つ、海洋監視任務が開発中のP-1哨戒機と重複する部分が指摘されていました、更にこの種の航空機の航空法上の位置づけや、機体以上に高価な監視記事と管制設備の導入費用が莫大で、民主党政権時代にその決定は2016年前後に定める構想が進められています。

しかし、南西諸島での警戒監視能力強化、東日本大震災以降、大規模災害という有事の際の広域情報収集能力構築には既存の情報収取手段の延長線上に位置する装備では最早必要とされる迅速な情報収集は叶わず、更に国産機開発も模索されていましたが、南西方面の緊張増大と次の震災までの装備化が急がれたことから、RQ-4の導入へと至りました、3機の導入が要求されています。

滞空型無人機グローバルホークの取得、3機367億円、機体機材に加え監視器材が含まれている予算とされ、この金額が事実であれば自衛隊は相当有利に機体導入がかなう事となります。他方、今年度予算において地上機材と導入に長期を要する機材の取得を盛り込んでいます、一方で運用は航空自衛隊ではなく統合機関が当たるとされ、その情報は陸海空で調整される事となるでしょう。

ただ、無人機、RQ-4自体は米軍が三沢基地において運用実績がありますが、どの基地に配備するのか、航空法上の位置づけから硫黄島など海空自衛隊の分遣隊が置かれ航空過密空域から離隔した離島の基地へ配備するのか、偵察航空隊がおかれる百里基地へ配備するのか、RQ-4の実績を有する三沢基地へ配備するのか、大きな関心がもたれるところです。

北大路機関:はるな くらま
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小松基地航空祭2015 JASDF Komatsu Airbase (2015.09.21)

2015-09-22 23:46:38 | 航空自衛隊 装備名鑑
■小松航空祭2015
 月曜日、小松基地航空祭2015へ展開しました、本日はその様子を紹介しましょう。

 小松基地航空祭は昨日、南雲憲一郎基地司令、谷本正憲石川県知事、和田慎司小松市長らが出席し盛大に執り行われました、来場者は14万7000名と陸上自衛隊の定員に匹敵する規模で、例年雨天予報でも晴れるとの小松マジックと親しまれる航空祭は晴天と薄雲のもと活況を響かせました。

 その歴史は1944年に海軍小松飛行場として創設、1945年の敗戦後は進駐軍小松補助飛行場として維持され、1955年に民間空港として全日空の前身日本ヘリコプター輸送が不定期路線を設定、1956年には創設間もない航空自衛隊が基地化を開始、1958年に進駐軍区画を自衛隊が継承する形で決定し、1961年に千歳基地第4飛行隊と松島基地第8飛行隊の移駐を受け第6航空団が創設、50機のF-86を以て防空にあたり、これが小松基地のはじまり。。

 小松空港として北陸空の玄関という重責を担う空港と航空自衛隊は飛行場を共用していますが2700m滑走路と隣接して2700m予備滑走路が維持されており、国際貨物便物流拠点化を見越し400t級貨物機の離発着にも対応する飛行場は、有事の際の防空拠点は勿論、南海トラフ地震に際しての太平洋岸飛行場への重要な予備空港としての位置づけにもある。

 1964年に小松基地はF-104戦闘機運用開始へ滑走路補強延長工事を開始、同じころ全日空が不定期路線の定期路線化を行い、1965年よりF-104運用を開始、今日の小松空港の礎が築かれることとなりました。即ち本年は超音速戦闘機小松運用開始50周年、ともなります。

 日本海唯一の戦闘機部隊基地でもある小松基地は、対岸にロシア空軍と北朝鮮を睨み、精鋭第6航空団がF-15戦闘機40機を以て防空任務に当たっています。第6航空団は、司令部、飛行群、整備補給群、基地業務群より編成されており、飛行群は共にF-15戦闘機を装備する第303飛行隊と第306飛行隊を基幹として編成されています。

 第303飛行隊は第4飛行隊をF-4EJ戦闘機導入に伴い改編し1976年に創設された部隊で、ドラゴンを象った飛行隊マークを記し、1987年より装備航空機をF-15Jへ機種改編しています。第306飛行隊はF-4EJ運用部隊として1981年に創設、同年にF-15Jの日本配備が開始され最後のF-4飛行隊新編となっていまして、1997年にはF-15Jへ機種改編を実施しました。

 小松航空祭ですが、近年他の航空自衛隊航空祭や自衛隊行事全般の傾向と並び、やはり物凄い混雑となります、その昔は10万名もの来場者は考えられないほどだったのですが、今年の航空祭は14万7000名、と冒頭にも記しましたが、広大な基地の一般開放区画が満員となり、さらに基地周辺の公園や田園にも万単位の航空愛好家や家族連れが空を見上げます。

 小松基地ですが、まず本年は十年に一度という大型連休に重なっていますし、小松空港に隣接していますので小松空港から撮影する、また航空祭へ空路で足を運ぶ方も居ます、そして本年あ北陸新幹線金沢開業により足を運びやすくなったという事情も、来場者増大に拍車を掛けたかたち。

 基地への展開は、空港にて空路を利用する、そして小松駅からJR北陸本線を利用しシャトルバスかタクシーもしくは徒歩で移動する、北陸自動車道から直接小松基地を目指す、等が挙げられます。小松駅からは北陸鉄道はじめ多くのバス会社がシャトルバスでピストン輸送を行いますが、それ以上、人数が富士総合火力演習の五倍弱ですので当然ですが、かなり時間を要します、しかし、小松駅から基地まで徒歩で45分ほど、当方は昨年こちらを利用しました。

 航空祭は、一般エリアと脚立エリアに招待席と別れていまして、先進的な試みとして小松基地では他の航空祭の様に脚立を一律禁止するのではなく、脚立愛好家向けの特別区画を用意し、その他区画と分けています、そして毎年ですがプログラムの最後にブルーインパルスが設定されていますので、予定を計画的に行動すればかなり気楽に航空祭を愉しめる、という。

 ブルーインパルスは航空祭の華ですが、同時に一番航空祭へ来場者が集中する時間帯とブルーインパルスは重なります、ですから航空祭の最後に飛行する場合、混雑を避けたい方がたは基地周辺か駅周辺から撮影を行うので、帰宅ラッシュの時間帯を二分化できるのです、そして今年の小松航空祭もその通り。

 本年の航空祭は、0745~0820オープニングフライト、0855~0930機動飛行、0930~1020救難飛行、0955~1105編隊飛行、1045~1100F-2機動飛行&VADS射撃展示、1220~1350ブルーインパルス、という時間設定でした。そこで当方一行は車両にて深夜に小松へ展開、黎明前に駐車場バス乗り場へ、最大限早い時間帯でシャトルバスにより基地へ、編隊飛行撮影後駐車場へ、と。

 機動飛行が朝の一本のみ、となっていましたので時間帯に間違いのないように展開する事が留意事項でしたが、この点幸い予定通り展開できました。撮影機材は、EOS-7DとEOS-7DmarkⅡに予備のEOS-KissX7、レンズはEF40mmにEF-18-200mmISとEF-28-300mmISとEF300mmF2.8、PowershotG-12/16という、即ち、すごく重い。

 航空祭全般ですが、編隊飛行は8機が離陸したものの303飛行隊4機と306飛行隊4機が別々に二群に分かれて展開し、期待した8機編隊飛行は行われませんでした、機動飛行も少々大人しいといいますか、ゆったりとした航空祭という印象でした。なお、保安に関しては本年より全来場者手荷物検査が実施されています。しかし、来場者の期待は大きく、実は本年、一泊を予定して早めに宿泊先を探したのですが、本年は満室が小松市内とその周辺まで、早かったという印象ですね。

 撮影機材が重かったのですが、カメラバックを二つに分けて携行したので、最上級の重量装備で展開しましたが、気持ち身軽に行動できました、雨天予報が無かったということで防滴器具を、一泊しない日帰り予定でしたので着換えを、それぞれ携行せずにしみましたので、その分良かったのかもしれません。

 当方一行は、最前線部隊と後方部隊に分かれ、当方は最前線物語、と前に進みましたが、幸い数か所でよい撮影位置に恵まれ、地元小松の貴重なお話や全国の航空祭の面白いお話を聴くことが出来ました、最後になりましたが、当日ご一緒頂きました皆様、ありがとうございました。

北大路機関:はるな くらま
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欧州地中海難民危機への我が国が執り得る協力策(2):可能な支援策と不可能な支援

2015-09-21 21:44:41 | 国際・政治
■日本への過剰期待への懸念
安全保障法制が整備され海外で大きく伝えられたことでわが国へ過度な期待が寄せられる可能性がありますが、可能な事と不可能なことを成立したからこそ世界へ発信すべきでしょう。

しかし実際問題、現状は深刻です、EU域内では経済格差が大きく難民負担を受け入れる余裕のない諸国や、東欧諸国には保守的宗教地域が多く、回教徒が既に受入国で生じた摩擦へ対応できるかについての国内合意が未成となっている状況があるほか、難民としても社会保障の低い諸国よりも手厚い国を希望するため、需要ともみ合っていません。負担が大きすぎ、需要ともみ合っていない為、結論が出にくい問題ですが、一転無制限うけいれ政策を放棄したドイツへの不信感等は大きく、難民が通過するハンガリーやオーストリアにマケドニアでは大きな混乱も発生しています。

こうした中で、難民との単語を使えば人道上受け入れ義務が生じるという事で戦災難民を戦災移民と言い換える等、一種神学論争的な議論まで生じてしまい、欧州連合の団結に危機が生じつつあるところ。こうした中で、難民の遭難事案が多発し、その犠牲者は計測不能な規模となっています。欧州には冷戦期と比較し非常に限られた哨戒機しか残っておらず、場合によっては我が国へ支援の要求が寄せられる可能性があるでしょう。

一方、NATOはシリア空爆の方向でフランスとイギリスが調整を進めています、シリア政府をロシア政府が支援の方針を示していて、一部にはロシア軍軍事顧問のシリア展開が進められているようですので、あくまでシリアの独裁政権であるアサド政権を欧州は支援する選択肢はありませんので、可能な限りISILを識別し空爆、これによりシリア内戦を早い時期に抑える事で難民の発生の原因であるシリア内戦を早期終結させ、難民発生を抑止しようとしています。

当然ながら我が国が有志連合へ参加する選択肢はありません、イラク域内でもISILが活性化しイラク政府軍が幾つかの地域で押されている為大規模な地上軍を投入する他対処はないのですが、いくら欧州が我が国機甲部隊へ羨望の眼差しを向けても、空中機動部隊の空輸支援を切望しても絶対に参加すべきではありませんが、地中海へ補給艦を派遣し、形式的でも支援の姿勢を示す選択肢は考えられるかもしれない。

勿論、日本が難民受け入れを積極的に行う、という選択肢は無いでもありません、元々難民をほとんど受け入れていない国で毎年難民申請に対し認定は数十名のみですので、例えば二倍に増やしたとしても海外へ大きな影響を与える事は出来るかもしれません、しかし、迫害事実が立証できなければ難民として受け入れず、難民受け入れの土壌が無い点に加え、国際法上は災害避難民が難民定義に含まれるものですから、見方次第では当事者たちが申請する場合に難民定義を満たす国内問題もあります。

また日本が受入数を倍増させたとして、中東紛争地の難民はシリアだけでその2万倍おり、そもそも物理的に対応できないところです、それよりは難民発生抑止や難民発生周辺地域への難民支援策、既にシリア難民支援に2億ドルを投じ、これがISILによる邦人殺害事件の要因ともなったことは記憶に新しいところですが、受け身の立場では難民問題を解決できないところまで問題は深刻化しました。そういうのも、シリアだけで内戦ぼっ発以降人口の二割が国外脱出しており、イラクやアフガニスタンに北アフリカ地域からの難民で欧州渡航希望者を集計すれば、恐らく一千万ちかい規模になるでしょうから、物理的に受け入れられないのです。

他方、注意しなければならないのは、我が国の安全保障協力法成立が欧州へ大きな誤解を持たせる可能性がある事です、積極的に国際平和に参画しようとの我が国方針が、例えば師団規模の戦闘部隊を、我が国は陸上防衛力として9個師団6個旅団5個工兵旅団2個防空砲兵旅団1個砲兵旅団1個航空旅団1個緊急展開旅団を装備していますので、装備が専守防衛用に特化しているという部分を考えず、1個師団程度の部隊を派遣するよう人道上国際貢献などを掲げ求めてくるかもしれませんが、不可能ですしすべきではありません。しかし、後方支援部隊派遣や将来的にISILとシリア政府との間で停戦協定が結ばれた場合の人道支援任務における後方支援や、哨戒機派遣による海洋監視支援や補給艦支援などは求められる可能性があると、留意すべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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