北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

航空防衛作戦部隊論(第二四回):航空防衛力、海上自衛隊との統合防空任務

2015-11-30 21:37:32 | 航空自衛隊 装備名鑑
■海空統合任務
航空防衛任務、基地の分散運用について、航空自衛隊と海上自衛隊の協同も真剣に検討すべきと考えます。

八八艦隊と航空防衛任務、という視点も緒戦における航空優勢確保と大規模な航空攻撃下での局地的航空優勢維持へ重要な位置づけがあると考えます、ただ、その施策的な実現へは安易に航空機の海上自衛隊艦艇からの運用は、少なくともその実現へ要する基盤構築への大きな資源配分の観点から短期的な実現は難しく、その方式には段階を踏む必要があります。

ヘリコプター搭載護衛艦の全通飛行甲板型護衛艦への新型化に伴い、八八艦隊として護衛艦隊の改編案をこれまで何度か提示してきました、即ち護衛艦隊を構成する四個護衛隊群にあって、各護衛隊群は二個護衛隊を基幹としており機能別編成を採っている、そしてイージス艦を主体として艦隊防空及び弾道ミサイル防衛任務に当たる護衛隊と、ヘリコプター搭載護衛艦を運用する対潜中枢護衛隊に分かれている。

新しい八八艦隊構想、二個護衛隊の編成を統合化し、現在のヘリコプター搭載護衛艦護衛隊の、ヘリコプター搭載護衛艦・ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、という編成、イージス艦主体護衛隊の、ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、という編成での二個護衛隊基幹護衛隊群編成を、二つのヘリコプター搭載護衛艦護衛隊、ヘリコプター搭載護衛艦・ミサイル護衛艦・汎用護衛艦・汎用護衛艦、へ統合する案です。

この背景には、ヘリコプター搭載護衛艦護衛隊へも、現在4個の護衛隊の内、2個護衛隊がイージス艦あたご型の、あたご、あしがら、が配備されており、残る二個護衛隊のミサイル護衛艦は、ターターシステム艦の、はたかぜ型護衛艦、はたかぜ、しまかぜ、が運用されていますが、新たに8200t型護衛艦2隻が建造されることとなり、二隻ともイージス艦となるべく予算に盛り込まれました。

更に従来、弾道ミサイル防衛は、こんごう型の、こんごう、きりしま、みょうこう、ちょうかい、四隻に弾道ミサイル防衛対応改修が為されSM-3迎撃ミサイルが搭載され、この四隻がイージス艦主体の護衛隊へ配備され、三隻の汎用護衛艦が護衛にあたる、との運用がなされていたのですが、近年、あたご型二隻へも弾道ミサイル防衛対応改修が為され、ヘリコプター搭載護衛艦護衛隊イージス艦にも弾道ミサイル防衛任務が付与されました。

そこで、現在のイージス艦主体の護衛隊へも新たに全通飛行甲板型護衛艦を一隻配備し、護衛艦隊全体の護衛隊群護衛隊の任務遂行能力を画一化するとともに、ヘリコプター搭載護衛艦の戦力投射能力を海上自衛隊の作戦基本能力に格上げする案を提示してきました、この編成案は、毎年八月八日を八八艦隊の日、としてその編成案を定期的に掲載しています。

もちろん、現在のヘリコプター搭載護衛艦は4隻、うち全通飛行甲板型護衛艦は3隻となっています。そしてこれら護衛艦には、有事の際に対潜中枢艦という重要な任務があるのですが、その展開位置によっては、航空部隊の輸送支援に、機材を常時搭載しないまでも、例えばコンテナ輸送に当たるCH-47輸送ヘリコプターの給油拠点として能力、また後述しますが護衛艦の僚艦防空能力の基地防空補完任務などへ護衛艦の能力を発揮できるでしょう。

統合防空任務、短期的に八八艦隊と航空防衛任務を両立させる手法として、基地基盤の構築と輸送面での海上自衛隊護衛艦隊との連携を想定します、いわば、統合防空任務への海上自衛隊の参加、というかたちを提案する事としました、もちろん、艦隊運用を管区を区切り機動運用に制約を課すことは必ずしも運用原理に合致しませんが、一つの選択肢として挙げておきます。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第三九回):装甲機動旅団編制案の概要 飛行隊と航空機動旅団

2015-11-29 22:38:05 | 防衛・安全保障
■航空火力と多用途任務
装甲機動旅団編制案の概要について、飛行隊と航空機動旅団の関係と航空火力と多用途任務という視点から。

装甲機動旅団、そもそも陸上自衛隊の戦車定数削減を受け、戦車を持つ旅団と持たない旅団に分けるとの視座からの提案で始まりましたが、その戦車を持つ旅団の編成は、普通科連隊、普通科連隊、普通科連隊、戦車大隊、偵察隊、特科連隊、特殊武器防護隊、高射特科大隊、施設大隊、通信大隊、飛行隊、後方支援隊、という編成で、普通科連隊が三個普通科中隊基幹の編成であり、二個中隊が装甲戦闘車を装備し一個中隊が軽装甲機動車を運用、装甲戦闘車化中隊二個と戦車中隊を以て機械化大隊を編成し、機動打撃の骨幹とする運用体系を構想しました。

前回までに装甲機動旅団は隷下の機械化大隊、普通科連隊戦闘団と戦車大隊を維持する旅団故の打撃力を担保するべく、立体協同の観点から戦闘ヘリコプターの配備は極めて重要な課題である、としています。特にAH-64D戦闘ヘリコプターのロングボウレーダーは情報優位と共同交戦能力の中核となり得るため、我が方の機械化部隊が攻撃前進する上での全法の状況などを戦車にデータリンクにより伝送し必要な火力と対処行動の全般状況を指揮官へ提示することがでkます、AH-64D戦闘ヘリコプターは非常に高価な航空機なので買うを揃えるのは財政上難しいのですが、それを考慮した上でも、やはり装備数に余裕があれば配備が望ましい。

しかし、装甲機動旅団と航空機動旅団は広域師団という一つの戦略単位に加入させていますので、統合任務運用の観点から航空機動旅団からの装甲機動旅団への管理替えは可能性として皆無ではありませんし、情報優位獲得の任務を航空機動旅団が隷下部隊を機甲部隊が必要な大規模武力攻撃に際し、軽量装備故の機動力を活かす緊要地形先制確保と前地戦闘任務を担い、航空部隊を活用する協同運用の在り方が見えてきます。

ただ、この航空機動旅団の実に戦闘ヘリコプターを配備するという方式は、あくまで、航空機動旅団の編成を既存の軽装備の旅団に方面隊隷下の方面航空隊を移管することで航空機動旅団とする、との原則を元にしていますので現在の対戦車ヘリコプター装備計画に準じて、AH-64D戦闘ヘリコプターが教育所要を含め約60機装備される、という前提で示しています。

これを言い換えるならば、AH-1S対戦車ヘリコプターの配備数、96機と同等のAH-64D戦闘ヘリコプターを調達できるならば、装甲機動旅団へも飛行班を配置し、上空からの戦車を掩護する機能が期待できるかもしれません。戦闘ヘリコプターは対空砲火への脆弱性が、特にイラク戦争以降の対空火器普及により顕著となっていることから、陸と空の協同が重要です、特に湾岸戦争では一方的な対戦車攻撃能力を示した戦闘ヘリコプターが十二年後に同じ場所で戦われたイラク戦争において単体で投入された際に大きな損害を被りまして、あくまで地上部隊との連携が不可欠であることを示しました。その上で今後の航空火力投射能力をどのように考えるかにより、60機とする原案を見直すか否か、左右されるでしょう。

こうしてみますと、航空機動旅団に全ての航空機を集約し飛行隊も不要に見えますが、指揮官連絡と情報伝送等の諸任務までもを航空機動旅団からの支援に依存する事は管理上現実的ではなく、装甲機動旅団にあっても自隊として必要最低限の飛行任務を果たすべく、現在の旅団飛行隊程度の規模の部隊をそのまま維持する、という選択肢が妥当であるとの結論に達しました。

すると、多用途ヘリコプターへ遠隔監視器材を搭載した機体を運用し、空からの監視の目、情報優位への装備は無人機と偵察隊や情報小隊との協同に頼る事となるのですが、併せて多用途ヘリコプターには砲弾の空輸等の後方支援を行う段列、基本的には輸送車両を用いるのですが、喫緊の状況に際しては、空中機動による迅速な空輸を行う選択肢も必要です。

少数であっても戦闘優位に必要な資材を緊急に搬送しなければならない状況があります、輸送任務と云いますとどうしても大量の物資や装甲車両までもを空輸する能力がある、しかしその分高価であり、一機の消耗、例えば整備での飛行不能も含めてですが、影響が大きな機種である輸送ヘリコプターを連想されるかもしれませんが、多用途ヘリコプターでも用途によっては個別機材は意外と他種に上るのです、機動運用に際し、部隊同士の情報連携による離隔距離の強化など現代戦はその展開と移動が素早く展開するため、陸上からの補給にはどうしても限界が生じます、ここに多用途ヘリコプターの用途があるわけで、今後は無人輸送車両などの管制装備を導入すれば段列と第一線の不通化等の危惧は徐々に払しょくされる事となりましょうが、現状ではまだ早い。

必要となる多用途ヘリコプターですが、一定水準の機体規模が必要であり、現在富士重工が開発を進める新多用途ヘリコプターUH-X,これはベル412を原型として改良する新型機となるようですが、このUH-Xで充分対応出来ます、無理により大型の航空機を導入する必要は無く、整備負担や取得費用の面から現行のUH-1と同程度の機体にて対応は出来るでしょう。

遠隔監視には光学監視装置を搭載したもの、現在報道用に既に40km程度先の状況を把握する機材が大量に運用されており、陸上自衛隊の映像伝送装置等を搭載した運用でも対応可能です。可能であれば、ハイドラ70ロケットに代表される70mmロケット弾程度の運用性能が付与されたならば、運用の柔軟性が高まる事は確かではあります、が、この点は予算との均衡によります。

第12ヘリコプター隊や第15ヘリコプター隊程度の空輸能力、輸送ヘリコプターと構成ぬな多用途ヘリコプターを運用する飛行隊、即ち旅団にヘリコプター隊を配置する事は、理想ではあるのですが、現実には予算面で不可能ですから、広域師団の編成を師団司令部群に装甲機動旅団と航空機動旅団、との編成案を提示しており、師団の旅団間による相互支援が必要、それにより代替せざるを得ないといえます。

北大路機関:はるな くらま
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対領空侵犯措置緊急発進!中国H-6爆撃機8機など11機が相次いで南西諸島を通過し太平洋へ

2015-11-28 22:54:04 | 防衛・安全保障
■H-6,目標は九州沖縄グアム!
 防衛省によれば昨日27日金曜日、中国大陸からのH-6爆撃機編隊が我が国防空識別圏へ侵入する事案があり、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進しました。

 中国からの防空識別圏への侵入は年間数百件発生しており、これ自体は今や日常となっているのですが、年々八政権すが増大し昨年度は冷戦期最盛期と並んでいます、こうしたなかにあって、今回の事案は、機種と編隊の規模、そして経路に非常に特色があり、注目すべき事例となりました。なお、領空侵犯事案には至っていません。

 H-6型爆撃機8機、TU-154型情報収集機1機、Y-8型情報収集機1機、Y-8型早期警戒機1機、合計11機で、H-6爆撃機8機という編隊の規模は特筆すべきものでした。その経路を見ますと、編隊は上海方面から沖縄県の沖縄本島と宮古諸島の中間海域へ向け飛行、尖閣諸島北方空域においてこのうちH-6爆撃機4機が北方へ変針、残る7機が太平洋をグアム方面へ飛行しました。航空自衛隊は緊急発進にて対応しています、当初経路は大陸側から沖縄本島南部、つまり那覇基地へほぼ直線で飛行する経路を採り、那覇基地からF-15戦闘機が緊急発進したようです。そして沖縄本島西方300km地点にて九州へ向かう編隊と太平洋へ向かう編隊へ分離、ここで恐らく新田原基地のF-4戦闘機が緊急発進したのでしょう。

 H-6爆撃機はソ連製Tu-16爆撃機を1957年に中国がライセンス生産した経験をもとに開発された航空機で、元々は核爆弾投射手段として運用されていましたが休止とはいえその能力は無視できず、現在ではCJ-10A巡航ミサイル、KD-63巡航ミサイルやYJ-85巡航ミサイルの発射母機、つまりミサイルキャリアーとして運用されています、H-6そのものの爆弾搭載量は最大9t、我が国のF-2支援戦闘機が最大8tですのでやや大きい程度ですが、装備するミサイルは最新です。

 特にCJ-10A巡航ミサイルは射程2500kmとされ、H-6爆撃機の戦闘行動半径が3000kmを越え非常に大きいことから、防空側が想定しない方角からの巡航ミサイル飽和攻撃等に寄与すると考えられています。この基本性能をもとに今回の経路を俯瞰しますと、沖縄本島と九州南部及びグアムへの爆撃進路と一致する事に気付かされます。これは弾道ミサイルでも達成可能な手段ですが、有事の際に弾道ミサイルを使用しますと目標によっては弾道が核弾頭と通常弾頭が同じ経路を飛行する事から、例えば在日米軍基地などを狙う場合、米本土からのミニットマン大陸間弾道弾による反撃を受けかねず、巡航ミサイルの運用にはこうした意味もあるのです。

 加えて、今回の編隊にはY-8早期警戒型が参加しており、爆撃機を護衛するSu-27戦闘機など戦闘行動半径の大きな護衛戦闘機を管制し、例えば有事の際の想定では、我が方の対領空侵犯措置任務緊急発進を迅速に排除し、爆撃機を巡航ミサイル発射地点へ展開させる上での航空作戦全般を指揮統制する運用も想定されているのでしょう。第一撃の混乱に常時、例えば台湾本土侵攻やフィリピン本土侵攻、沖縄諸島攻略等を強行し、我が方が日米協同で防衛体制を構築するまでに既成事実を構築する、日本のシーレーンを掌握し武力を背景に善隣条約を締結させ平和的に軍事占領と同等の成果を果たし、西太平洋全域の優勢に繋げる、日米にとっての悪夢です。

 ただ、我が国としても打つ手はうっています、第一に那覇基地の戦闘機部隊を今年度末の三月には九種から一個飛行隊引き抜き二倍の二個飛行隊に増勢し、自衛隊第83航空隊を第9航空団へ拡張、アメリカ空軍も嘉手納基地へ第18航空団が2個飛行隊のF-15戦闘機を展開させている為、日米90機のF-15戦闘機が沖縄本島に集中されます。第二に、那覇基地へ現在配備されている第603飛行隊のE-2C早期警戒機に加えレーダー索敵範囲の大きなE-2D早期警戒機の配備が行われます、早期警戒機はレーダーを搭載した空中からの監視の目で陸上のレーダーサイトと異なり超低空から敵が侵入した場合でも捕捉でき、沖縄本島上空に位置した場合でもE-2Dは中国大陸内陸部までを捜索範囲に含め、奇襲を許しません。

 更に来年度予算には、九州の戦闘機部隊増勢が盛り込まれていまして、具体的には首都圏防空に当たる茨城県百里基地からF-15戦闘機の飛行隊を南九州新田原基地の旧式化したF-4戦闘機の交代に配置します。もちろん、交代するのですから首都防空が手薄になる事を意味し、首都東京と首都圏2500万の国民を空の脅威から守るのは旧式化したF-4戦闘機50機となります、東京へは、今日も定期的にロシア機の東京急行、北海道沖から爆撃機の編隊が一気に三陸沖を東京に向かう経路を東京急行というのですが、この爆撃機の東京接近が冷戦後で21世紀の今日にも定期的に発生しており、不安は残るところではあります。

 航空自衛隊の戦闘機数は明らかに不足しているのではないか、一連の施策を見ますとどうしてもこの印象が拭えません、が、喫緊の課題である南西諸島防空については那覇基地への戦闘機増強と南九州への機種転換により、ある程度対応できているのですが、現在教育用として転用している飛行隊が航空自衛隊には二個飛行隊あり、考えさせられるところが無いでもありません。

 もちろん、H-6爆撃機8機の編隊飛行は平時の訓練に過ぎないものであり、F-15転用とE-2D導入により対応できる目途はたってゆくのでしょうが、忘れてはならないことがあります、それは、冷戦時代、日本がソ連機による対領空侵犯措置任務へ忙殺されていた時代の極東地域における国際関係は、中ソ対立という基盤があり、日本への軍事圧力が北方からかけられる状況下において南方からの圧力を考慮する必要性は必ずしも大きくありませんでした。しかし現代は冷戦期の中ソ対立が払拭され、冷戦期には1950年代以降停滞していたロシア製最新装備の中国供与が可能となるほどに関係が再構築されているため、現在の我が国防衛計画の大綱画定においての戦闘機定数産出への脅威見積に差異が生じている事を認識すべきでしょう。

 唯一の楽観視点は、航空自衛隊にはかなりの数の早期警戒機と警戒監視網が構築されているほか、地対空ミサイルの防空密度も比較的高い点で、戦闘機定数も今日的に視て欧米諸国、米国を含めると話が違ってきますが欧州諸国と比較すれば質と量ともに少なくはありません、ただ、脅威見積に変化が生じているのですから、稼動率向上への搭乗員と運用基盤拡充の取り組みや、場合によっては例えば比較的早い時期に導入できる機体、一例としてF-16戦闘機2個から3個飛行隊程度の増強なども検討しなければならない時期が来るのではないか、爆撃機の飛行が今後恒常化すれば、考える必要が出てくるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.11.28/29)

2015-11-27 23:37:12 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
急な寒波、日本海は波浪7mとの予報ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。

今週末、対馬駐屯地祭、本部管理中隊と普通科中隊を基幹としますが、中距離多目的誘導弾や重迫撃砲に軽装甲機動車等も装備、陸上自衛隊の離島警備部隊であり隊員の大半がレンジャー徽章を持つ精鋭対馬警備隊の駐屯地です、式典と訓練展示を行い続いて市街パレードを行うとのこと、佐世保や博多からフェリーが運航されていまして厳原港からバスで駐屯地まで向かいます。

大村駐屯地四部隊合同行事、大村駐屯地の第16普通科連隊と竹松駐屯地の高射特科群に海上自衛隊大村航空基地の第22航空群、そして航空自衛隊の福江島分屯基地第15警戒隊、以上の部隊の合同記念行事で大村市内での市街パレードが陸海空で行われます。陸海空自衛隊の合同行事であり市街パレードが行われるというものは稀有といえるでしょう。

小倉駐屯地祭、第40普通科連隊の駐屯地です。第40普通科連隊は第4師団隷下の普通科連隊で、大村四部隊合同記念行事の第16普通科連隊と対馬駐屯地の対馬警備隊も第4師団隷下部隊、先週も別府と久留米で駐屯地祭が行われていましたが、今週末も先週に引き続き第4師団隷下部隊の行事強化週間、といえるかもしれませんね。

饗庭野分屯基地祭、京阪神地区と若狭湾原子力地域の戦域防空にあたる第4高射群第12高射隊の展開する駐屯地です、ペトリオットミサイル部隊の行事では装備品展示に加えて基地警備小隊の近接戦闘展示や警備犬展示等が行われます、分屯基地は今津駐屯地の近くで、部隊規模の関係から五年に一度程度しか行えない行事でもありますので、お勧めといえるやもしれません。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・11月28日:饗庭野分屯基地開庁40周年記念行事…www.mod.go.jp/asdf/
・11月29日:小倉駐屯地創設59周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/
・11月29日:対馬駐屯地創設35周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/
・11月29日:大村駐屯地陸海空四部隊合同行事…www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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平成27年度海上自衛隊演習(実動演習) 統制官自衛艦隊司令官重岡康弘海将のもと日米35隻が参加

2015-11-26 21:47:24 | 防衛・安全保障
■平成27年度海上自衛隊演習
 防衛省によれば、今年度海上自衛隊演習が行われ、無事終了したとのこと。

 統制官には自衛艦隊司令官重岡康弘海将があたりました。海上自衛隊演習は1954年以来毎年、年に一度、海上自衛隊の実動部隊を包括し頭上と実運用を以てその能力の向上を演練する海上自衛隊最大規模の演習として毎年実施されているもので、我が国防衛に関する具体的想定に基づき日本周辺海域及び空域を実演習区域として行動します。

 今年度の海上自衛隊演習は、参加部隊規模としまして海上自衛隊より自衛艦隊艦艇約25隻、航空機約60機が参加すると共に米海軍からも艦艇約10隻が参加、参加艦艇は35隻という規模で展開されています。主要演練項目には対潜戦と対水上戦及び対空戦が挙げられ、併せて米海軍との共同が要目に挙げられ、本演習の実施期間を通じて米海軍と共同で訓練を実施する、となっています。

 演習期間は平成27年度11月16日から11月25日にかけ行われました。また、参加部隊には明記されていませんが、対空戦闘訓練へは航空自衛隊の戦闘機部隊等が統合任務部隊を想定し参加していると考えられ、実際の演習参加部隊規模は、この他支援部隊の地方隊と共同部隊要員などを含めればさらに大きな規模の演習となります。

 参加艦艇は、ヘリコプター搭載護衛艦くらま、いずも、ひゅうが、いせ、原子力空母ロナルドレーガンが一堂に会し洋上を航行する様子が23日撮影の海上自衛隊公開写真に示されており、海上自衛隊の全通飛行甲板型護衛艦を含む全てのヘリコプター搭載護衛艦が参加しているというだけでも、この演習規模がいかに大きいかが端的に見て取れるでしょう。

 参加艦艇の規模は海上自衛隊の護衛艦が大型化と共にその全体の数が縮小している為、必ずしも隻数だけでは演習全体の規模を示すことはできませんが、年々厳しさを増す南西諸島への軍事的圧力と、20世紀の東西冷戦下では想定する必要が無かった南北双方からの我が国への軍事的圧力という脅威の顕在化を背景に、日米の一致した海洋自由原則堅持への努力が行われています。

北大路機関:はるな くらま
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対ISIL有志連合の形成と我が国防衛政策への影響 アメリカの非対称型戦争対処能力強化と自衛隊

2015-11-25 23:23:52 | 国際・政治
■在来型戦争への備え
 シリアのISILへの有志連合は、パリ同時多発テロを受けてのフランス主導による各国への有志連合形成の呼びかけがその強化を大きく進めようとしています。

 東部ウクライナ紛争とクリミア半島併合による欧州とロシアの激しい外交対立が、ISILという顕在化した新しい国際テロリズムの脅威への多国間合意形成と協調介入の基盤構築への大きな障害となってきたわけですが、欧州地域へのテロ脅威現実化という実害へ展開した為、東部ウクライナ紛争問題を一時棚上げし有志連合を形成する動きへ転換したかたちです。しかし、この動きは我が国防衛政策と防衛力へ、少なくない影響を及ぼすかもしれません。

 対ISIL有志連合の形成と我が国防衛政策への影響、と言いますと、やはり自衛隊もF-2支援戦闘機とE-767早期警戒管制機を中東に派遣してイラクのISILを空爆すべきだろうか、あたご型イージス艦を派遣して5インチ砲で艦砲射撃すべきだろうか、と短絡的に勘違いされる方がいるかもしれませんが、そうではなく、我が国同盟国であるアメリカが無人機等非対称戦争への対応能力を更に進めることがあるならば、在来型戦争への対応能力が低下する可能性があるでしょう。

 非対称型戦争、つまり国際テロや過激派勢力による破綻国家形成が国際社会への悪影響を及ぼす事への実力での対処、その能力を強化する趨勢は2001年の9.11同時多発テロ以降、アメリカの国防政策へ大きな影響を及ぼしました、結果、在来型戦争への対処能力優先度が下がりまして、具体例を挙げますと陸軍ではMRAP耐爆車両の大量生産によりFCS将来戦闘車両体系計画の白紙撤回、海軍では沿岸哨戒と海洋監視重視のLCS沿海域戦闘艦重視と予算配分偏重によりDD21ズムウォルト級駆逐艦等大型水上戦闘艦体系の根本的見直し、空軍でも無人機偏重とF-22戦闘機配備計画縮小やF-35統合打撃戦闘機計画遅延、など。

 この命題は、世界で最も在来型戦争発生の蓋然性が高いとされる北東アジア地域でのアメリカ軍の在来型戦争遂行能力が相対的に低下する事を意味し、この補完的措置を何れかの国が担う必要がある、という事に帰結します。特に、我が国は、憲法上の制約があるため、打撃力を基本的にその戦力投射という選択肢に含めず、我が国への有事には打撃力をアメリカ軍に依存する基本政策をとっています、専守防衛とは国土を戦場として出血強要を図り撃退するという凄惨な覚悟が必要で、専守防衛は相手以上に我が国民の出血を覚悟しなければなりません、故にアメリカ軍の打撃力に依存し相手策源地を無力化するか、着上陸と同時に水際撃破する防衛力強化が求められるのです。

 従って、我が国としては同盟国の在来型戦争への対処能力が低下しており、その傾向が対ISIL有志連合による長期的な戦闘継続とともに、より長期化するという視座が防衛計画画定の際への配慮が必要となります、即ち自衛隊の在来型戦争の対処能力を高める必要性があり、その上で予算措置や予算配分への考慮、為政者の意識として、有権者の理解として、同盟国の防衛力に関する転換が結果的に進んでいる事を忘れるべきではありません。

北大路機関:はるな くらま
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トルコ空軍がロシア空軍機を撃墜!Su-24戦闘爆撃機ISIL空爆作戦中にトルコ領空侵犯、F-16緊急発進

2015-11-24 23:36:47 | 国際・政治
■緊迫のトルコシリア国境
トルコ空軍がシリア上空でロシア空軍機を撃墜しました。繰り返されるシリアトルコ国境での国籍不明機領空侵犯へトルコ空軍が強い姿勢で臨んだ結果で、一挙に緊張度合が突沸しました。

トルコ空軍は現地時間24日0920時頃、トルコ領空を侵犯したとするロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機を撃墜、Su-24戦闘爆撃機はシリア北西部ラタキア近郊に墜落したとのことで、トルコ側は領空侵犯から10回以上の警告を続けその後撃墜したとし、ロシア空軍側はトルコへ脅威を与えておらず、後方から攻撃されたと非難しています。

トルコ空軍はF-16により緊急発進し対応したとされ、ロシア空軍はSu-24戦闘爆撃機が撃墜されています、このSu-24戦闘爆撃機は手元に使える写真がありませんが、アメリカ空軍が冷戦期に開発したF-111戦闘爆撃機を意識し開発したもので、そのF-111はアメリカではF-15E戦闘爆撃機により置き換えられています、Su-24は旧式化しましたが電子装備を置き換え近代化改修が為されており、大型で滞空時間と戦闘行動半径が大きく多くの武装を搭載出来、重宝されています。

Su-24,冷戦期には我が国へ日ソ間の武力紛争が発生した場合に最大の脅威となる戦闘爆撃機とみなされており、千歳基地や三沢基地をソ連本土から戦闘行動半径に収めていました、航空自衛隊がF-4戦闘機に続く戦闘機に戦闘行動半径が大きなF-15を採用したのは、Su-24の戦闘行動半径からやや離隔を採った松島基地や百里基地より北海道へ展開する戦闘行動半径を有していた、という一要素がありました。

トルコ空軍は2011年のシリア内戦勃発以来、恒常的にシリア空軍機の領空侵犯に悩まされてきまして、過去にはトルコ領空を飛行中のトルコ空軍RF-4戦術偵察機がシリア領域内を監視中に地対空ミサイルで撃墜された事例や、シリア空軍機へ緊急発進したトルコ空軍機が攻撃を受けた事例等が発生しています。

我が国周辺でも、例えば朝鮮半島などにおいて大規模な演習を実施している機関にロシア空軍機などが偵察飛行を行い、その際に我が国防空識別圏内に入る事で航空自衛隊が緊急発進する事例があります、しかし、トルコの現状はもう少し深刻です、それはロシア空軍がシリアへ介入した後、ロシア本土からシリア領空へ飛行する際、爆装のままトルコ領空を侵犯する事例が多発してきました。

シリア空爆が本格化し、ロシア空軍機と欧米中東有志連合の空軍機がシリアイラク上空を多数飛行する現状では、この種の事態は遠からず発生すると危惧されていました、指揮系統が異なるほか、武装した戦闘機が航空管制の圏外にて戦闘を展開するのですから、偶発事故の危惧、飛行妨害やその誤解に基づく航空戦闘の発生など。

今回のトルコ空軍機によるロシア空軍機撃墜に対し、ロシアのプーチン大統領は“テロリストの手先がロシアの爆撃機を背後から襲った爆撃機はトルコに脅威を与えていなかった。ロシアとトルコの2国間関係に深刻な影響を与えるだろう”と激しく非難しており、トルコのダウトオール首相は“たび重なる警告にもかかわらず領空を侵犯されれば、トルコにはそれに応じる権利がある”、と対立しています。

ISILへの攻撃は、フランスでのパリ同時多発テロ発生を契機に欧州とロシアの、シリアへの介入姿勢へ、アサド政権を支持するロシアとアサド政権打倒を掲げる欧米との従来の対立を超え、喫緊の課題であるISILによるテロ拡散の回避という共通課題を以て歩み寄りの姿勢が観られた情勢変化の兆しが見えた中、今後、トルコ側とロシア側の対立が継続すればロシア空軍機がSu-27戦闘機等を護衛に投入し、更なる緊張増大の危険があるといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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今津駐屯地創設63周年記念行事【2015-11-22】 PowershotG-16/FUJIFILM X-20撮影速報

2015-11-23 23:19:27 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■今津駐屯地祭二〇一五
三連休の中日、昨日日曜日に滋賀県の湖北、今津駐屯地へ行ってまいりました。

今津駐屯地創設63周年記念行事、中部方面隊管内では最大の戦車部隊行事で、京都駅から湖西線乗り入れ新快速ですぐ、という好立地ながら、饗庭野演習場に面する良好な訓練環境と厳しい湖北の気象に磨かれ、精強な戦車部隊が練成されている駐屯地で、当方にとってもいろいろと思い出深い駐屯地と演習場です。

さて、今津駐屯地には、第3戦車大隊、第10戦車大隊、中部方面移動監視隊、中部方面無人偵察機隊、が駐屯していますが、当方が初めて足を運んだ当時は第3特科連隊第5大隊が駐屯、しかし、第3師団改編と共に特科連隊が特科隊へ縮小され廃止、代わって中部方面情報隊が創設され入れ替わりに移動監視隊と無人偵察機隊が創設されました。

戦車中隊数も、初めて足を運んだ当時は、第3戦車大隊が3個中隊編成44両、第10戦車大隊が4個中隊編成58両、と今日的に視れば大きな戦車部隊駐屯地でしたが、第3師団改編と第10師団改編がこの10年間で続けて行われ、双方とも2個中隊編成、また、中隊本部車両と大隊本部車両が戦車から一部軽装甲装甲車に置き換わり各大隊とも30両以下となっています。

この今津駐屯地祭ですが、Weblog北大路機関を永らく閲覧していただいている方ともお会いできました、やはり聞けば、このWeblogはいろいろな意味で有名だそうで、ありがとうございます。ちなみにどうやって毎日更新しているのかとの多くの方の疑問ですが、2011年以降電子端末POMERAが最大限利用され日々の更新に威力を発揮するところ。

電子端末POMERAはHTML方式の文字情報入力にのみ特化した器材で、乾電池により十数時間の連続稼働性能を持ち1秒で稼動し文字入力が可能、電車の移動時間に昼食時と珈琲休憩と日常には短時間でも活用できる時間が多くありまして、新幹線で京都から名古屋まで移動する時間でもPOMERAがあれば7000字の入力が可能です、これを1100~1200字毎に章分けすれば自衛隊関連行事紹介の金曜日分記事を除き一週間分の記事になるのです。

東芝REGZA-Tablet、こちらもWeblog北大路機関の維持に大きな威力を発揮しています、それまで移動時には2009年に導入したSONY-VAIO-Pが活躍していましたが高性能なのですけれども移動時の常続作動には電源確保の問題がありました、REGZA-Tabletの稼働時間は大きくPOMERAとの併用により短時間、例えばスマートフォンでゲームをするという選択肢を文章作成に転用すれば、辛うじて維持できるのです。あとは休日に10日分一挙に作成し備蓄するという選択肢もある。

移動監視隊、P-23レーダーに遠隔監視装置が観閲行進を進みます、電子機材は最新型が次々と導入されているのですが、当方も電子機材をどんどんと導入しまして、この今津駐屯地創設63周年記念行事は、FUJIFILM X-20を初投入する行事となりました、PowershotG-16の補完機種として導入した新機材で、FUJIFILM社製器材の導入はレンズ付フィルム“写ルンです”以来のもの。

今津駐屯地は、永らく銀塩派であった当方がデジタル機材を導入した2005年のEOS KissN投入以来当方にとり撮影機材史といえるべきもので、EOS KissN2、EOS40D、EOS50D、EOS7D、一眼レフに続いて2011年より導入した、PowershotG-12、PowershotG-9、PowershotG-16、一眼レフ器材刷新を期したEOS KissX7、EOS 7DmarkⅡ、と新装備の試験場ともなってきまして、今回はFUJIFILM X-20、の導入に至りました、EOS 7DmarkⅡと伍しての運用です。

戦車大隊の装備は74式戦車以外の装備は順調に換装が進んでおり、2000年まで61式戦車が頑張っていた駐屯地は、60式装甲車が73式装甲車を経て96式装輪装甲車に置き換わり情報小隊の73式小型トラックは偵察小隊の軽装甲機動車へ、M-3/11.4mm短機関銃は89式小銃へ近代化されています、戦車以外ほぼすべて置き換わったとといってもいいかもしれません。

10式戦車の第3戦車大隊への導入計画は、実は二年後の予定であったようなのですが、新防衛大綱が画定し戦車定数が400両から300両へ置き換えられ計画は白紙撤回されます、100両の削減は3個戦車大隊と1個中隊所要の縮小に匹敵するもので、これにより将来的に本土の74式戦車は機動戦闘車へ置き換えられる事となってしまいました。

機動戦闘車は再来年度末に第14旅団から配備が開始される装輪式の105mm機動砲です、10式戦車の開発で培われた高度な火器管制装置とアクティヴ式懸架装置による走行時の射撃反動吸収機構、先進軽量砲研究ですすめられた低圧砲を装備し、敵の水陸両用装甲車や空挺装甲車程度であれば対抗できる能力と、装輪車両所以の高い機動力を持つ。

ただ、戦車を装輪車両に置き換えるこの施策は、陸上自衛隊史上に残る最大規模の愚策になるのでは、と思いまして、何故ならば10式戦車の52両量産時の取得費用が7億円程度となる見積が、民主党政権交代直前の概算要求で示され、これは多年度一括取得という事から柔軟性がなくなるとして毎年度少数調達に置き換えられたのですが、量産すれば7億、という数値が出た訳です。

一方機動戦闘車は来年度予算に36両259億円で要求されており、10式戦車とあまり費用が変わらなくなってしまったのです。機動戦闘車は装甲が戦車用複合装甲ではないので戦車砲弾はもちろん大口径機関砲が命中すれば正面装甲でも確実に貫徹されます、主砲は低圧砲の105mmである為、第三世代戦車を正面から撃破する事は近距離まで接近せねばなりません、つまり戦車の代替にはならない。

10式戦車は戦車としては機動性が高く軽量で戦略機動性が高い割には、防御力と打撃力が第三世代戦車の水準を十分満たし、自動化により人員区画容積を局限化できたので防御が必要な正面投影面積も局限化でき、軽量だけれど重装甲、と実現したかなり成功した設計なのですから、なぜこれを大量生産しないのか、と疑問です、もちろん、機動戦闘車の用途が皆無ということはなく、90両生産された87式偵察警戒車の後継には最適の戦闘車だとは思います。

さて、今回の撮影はFUJIFILM X-20とEOS-7Dmark2を併用して撮影しました、本日の記事にはX-20の写真を使っています、X-20はコンパクトデジタルカメラですがレンズ駆動が手動でレンズを動かすことで電源が入る仕様、レンジファインダーカメラのような連動式光学ファインダーを採用していますので、一眼レフのような感覚で撮影でき、一頃のネオ一眼レフに当たる様式のカメラで、なかなかの高性能カメラとなっていました。

PowershotG-16と共に運用する新しいコンパクトデジタルカメラ、G-16はまだ現役装備ですが諸般の事情により支援機種が必要となりまして、PowershotG7Xと新型のPowershotG5X、最新のFUJIFILM X-30を選定候補としましたが、どれも幾つかの限界により候補から脱落し、必要な性能を満たし且つ限界状況での撮影性能が最高度と評価した旧型のFUJIFILM X-20が選定されたわけです。二つのカメラを並列に連結し撮影するという方式で撮影しました、非常に使いやすいカメラです。

こうして高性能カメラを最大限利用し、記念式典、観閲行進、訓練展示、装備品展示、次々と撮影位置を陣地変換して良好な撮影環境とともに写真に収めました、新鋭レンズEF-28-300mmISの露光機構が不調となり修理に出すことになりそうですがEF18-200mmISレンズにて撮影を続行できまして、やはり予備機材と並列準備は必要だと一瞬冷水を浴びせかけられた印象でしたが、充実した一日でした。

その後、湖西線で姫路行新快速に乗り換え、大阪まで躍進機動したのち、梅田で美味しいものを頂き日本橋に立ち寄ったのち、やっぱり梅田にもう一度戻ったうえで阪急を撮影し撤収しました、最後になりましたが、現地でご一緒頂きました、また車両を出していただきました皆様、ありがとうございました、今後ともよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな くらま
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岐阜基地航空祭2015詳報【第十一回】 岐阜飛行開発実験団、大編隊参加航空機続々着陸

2015-11-22 22:35:43 | 航空自衛隊 装備名鑑
■大編隊参加航空機続々着陸
異機種大編隊の写真を前回掲載しましたが、今回は着陸の様子を紹介しつつ。

一通り飛行展示が終了しますと、さいごのお楽しみ、外来機の帰投飛行を撮影して帰る事としました、早く帰らないと基地の人たちに迷惑だろう、と思われるかもしれませんが、全員が一斉に帰路に入りますと付近の国道や駅が一挙に数万の来場者の帰宅ラッシュに覆われ、不測の事態も起きかねない。

帰投フライトの撮影を行うか否かというものは、実のところ全員が一斉に変える事で出口や経路や駅がパンクする事が無いよう、調整する意味もあるのかもしれません。外来機本日の理発着はここまでです、という放送が入りました、ここももちろんそうですが、メイン会場も順次閉鎖しています。

メイン会場ではなく南側会場で撮影していますが、メイン会場では航空祭が終わる前に一部会場の閉鎖が始まります、そういうのも、メイン会場はエプロン地区、航空祭で無い日常では航空機が並ぶところです、エンジンに異物を吸い込むと大変なことになりますから、航空祭ののちには、カメラフィルターやキャップ、ペン、パンフはじめ全て掃除しなければならない。

そして、外来航空機が離陸準備をしますし、地上展示に並ぶ航空機も所定の機材を取り外し格納に必要な器具を装着もしくは取り外して、格納庫へ収容しなければなりません。岐阜基地は飛行開発実験団の基地ですが、他の要撃飛行隊が展開する基地では、防空にも直結する部分ですので、このあたりもしっかり点検する必要があります、すると基地と航空祭実行委員会としては、早めに帰ってほしいという。

地上展示航空機が並ぶメイン会場ですが、航空祭閉幕の時刻が迫りますと、まず数十名の隊員さんが、長い長いロープを以て会場の端部に集結しまして、十m単位で一部づつ会場を閉鎖してゆきます、つまり閉幕の時間にはメイン会場から観客を格納庫地区と出口への経路まで誘導するのです、自称OBという帰らず留まる酔っ払いとの大かくれんぼ大会も始まるのだとか。

帰投フライト、メイン会場では格納庫付近の限られた場所まで閉鎖されますから、そこに留まって執る事は出来るのですが、ホタルノヒカリメロディ、通称帰れBGMが成り続けましてそろそろ帰らなければ、という気分を大いに促す中、無視して撮影し続ける胆力はなかなか、というものがあります。この緊張関係が、南側会場では、それほどでも、ない、と。

航空祭が終わりますと、帰路に就くこととなります。しかしシャトルバスは終バスが出た後、そこで正門、岐阜基地の正門は南側会場の近くにありますので最寄りの門が正門という訳なのですが、そこから帰路に就くこととしました、名鉄線が一番近いですね、新北門からはJRと名鉄、混雑度合と相談して決める事となるのですが。

ペットボトルのミネラルウォーターの残りを勢いよく飲み干し、プラスティックのボトルを握力で押し潰します、さて帰ろう。南側会場で重要なのは、飲料水は確保出来ますが、脱水症状となった場合、救護所まで距離がある、ということ、最近は近くなりましたが、倒れないに越したことはない、ということで水分は最後まで手元に備蓄します。

しかし航空祭が終わり撤収するならば荷物を軽くした方がよい、カメラ、レンズ、その他いろいろをカメラバックに押し込み、さあ撤収です、もっとも他の方も撤収していまして、気付けばペットボトルを捨てる場所も撤収している、見回してみても捨てる場所がないので、仕方なくそちらもカメラバックへおしこめる事としました、帰りましょう、露店の前を通り。


北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第二三回):航空防衛力、戦時輸送能力確保と平時運用

2015-11-21 22:42:29 | 日記
■戦時輸送能力確保と平時運用
戦時輸送能力確保と平時運用、輸送力を拡充するという命題についてどうしても避けて通れない問題について。

業務輸送と作戦輸送を区分、これにより戦術輸送機ではなく通常の貨物輸送機でも対応できる任務と戦術輸送機の任務の区分を明確化する事で、一機あたりの空輸能力が大きく、また運用面で無理をしない前提での維持費用を低減する航空機の数的充実、特にこの部分では中古の貨物輸送機等を取得し運用することで全体の空輸能力を強化する事が可能となるでしょう。

平時における輸送能力の余剰は勿論発生します、戦時と有事の後方支援基盤の厚さの乖離は非常に大きいもので、この戦時需要を予め充分余裕を以て正面装備に伍して基盤を平時から維持している軍事機構が米軍位で、この他の諸国は財務当局からの指摘などを踏まえ、どうしても正面装備重視となりがちです、しかし余剰輸送機の発生などについては、我が国では別の任務等も考えられます。

特に国際平和維持活動における輸送支援任務等、自衛隊が国際貢献任務に筆頭にあげながらも空輸記事の不足により数的には全体として僅かな規模しか担っていない分野について、その任務拡充が可能でしょう。もちろん、予算規模からすれば多数の貨物輸送機を揃える事は中古機とはいえ現実的ではありませんが、数機から十機前後貨物輸送機を装備するだけでも一機当たりの輸送力、パレット輸送での能力を踏まえればかなり大きな意味を持つところ。

唐突に国際平和維持活動、との文言が出来ましたが、この国際平和維持活動への空輸支援は一種の分散運用として当てはまります、日本本土に航空機を置く場合、すべての基地は大陸側からの弾道ミサイル射程圏内に位置する事となります、この為、例えば平時に海外において国際平和維持活動に資するべく展開しておくことは、本土からの分散運用を以ての生存性向上にも繋がります。

中古機、海外運用、非常に難しい難題を提示しましたが、この部分については海上自衛隊が先鞭をつけています、海上自衛隊はアメリカより中古輸送機C-130Rを導入し中古航空機導入の実例を創りました、C-130Rは中古機ということで機体老朽度合いなどへの不安な点が当初指摘されていますが、作戦輸送ではなく業務輸送にあてることで機体強度を計測しているといわれています。

そもそも作戦輸送と業務輸送の区分は、海上自衛隊の輸送艦などを観ますと、かつての戦車揚陸艦型の輸送艦が、対空レーダーOPS-14と対水上レーダーOPS-18及びFCS-1/72式射撃指揮装置戦闘指揮所を有した作戦輸送重視の輸送艦みうら型、火器管制装置等を装備せずレーダーも航海用として業務輸送重視の輸送艦あつみ型、と早い時期から明確に分けていました。

海外拠点についても海上自衛隊はジブチ航空拠点の運用をソマリア沖海賊対処任務と共に継続中であり、その運用実績があります。もちろん、任務の種類が異なりますし、国連との国際平和維持活動協力輸送調整司令部、というようなものの在り方などについては、本論とはやや距離と論調が変わってきますので、こちらについては別稿にて検証したいと考えます。

また、業務輸送区分の明確化は、中古機を平時から大量に維持しなくとも、例えば機材のみ武力攻撃事態法に基づく指定協力企業から徴用し、自衛艦が運用する事が可能かもしれません。もちろん、貨物輸送機を用いる場合はパレット輸送となりますので、受け入れる空港としても相応の貨物取扱能力が必要とはなります、その問題点を差し引いても、業務輸送は少ない費用で確実な輸送能力を確保出来るでしょう。

即ち敵の脅威がある中ゲリラの攪乱射撃を掻い潜りぼろぼろの飛行場へ強行着陸、最前線へ物資を送り込み、攻撃の合間を縫って離陸、という運用以外の輸送の局面は多く、具体的には戦術輸送の極端な状況よりは、業務輸送の占める比率の方が圧倒的に多いのです、戦術輸送機が必要な任務と貨物輸送機で対応できる任務が、それぞれ別々に存在する、という視点の下で輸送機の必要装備数を考える必要があると考えます。

北大路機関:はるな くらま
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