北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-ロシア国営ガスプロム過去25年間最大年間損失計上,ロシア政府収入全体の9%

2024-05-18 07:00:30 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ウクライナへ高機動車をおくれるならば救難用航空機の退役装備等も遅れないかと考える昨今ですが、そのウクライナへ侵攻を続けるロシア軍の戦費調達に興味深い影響が。

 ■防衛情報-ウクライナ戦争
ロシア国営ガスプロムは過去25年間で最大の年間損失を計上した、5月12日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告が分析結果を発表しました。これによれば2022年のウクライナ侵攻開始とともに西欧諸国との関係悪化によりロシア産天然ガス離れが始まり、特にガスプロムは経常黒字の大半を西欧諸国との取引に依存していたとのこと。

 ガスプロムは輸出の一部を西欧以外の一部の国に振り分けはしたものの、西欧諸国との取引を補う規模ではなかったとし、また、パワーオブシベリア2ガスパイプラインのような新規施設投資へ資金を集めることはできず、西欧諸国との取引停止による損失を埋め合わせられた代替輸出は5%から最大で10%にしかすぎないと分析しました。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 迂回輸出などの制裁逃れを監視し関係する国々への制裁を拡大するという監視能力強化について、日本が出来るウクライナ支援のもうひとつの選択肢とおもう。

 ロシア国営ガスプロムの年間損失について、5月12日付イギリス国防省ウクライナ戦況報告では、ロシアのウクライナ戦費調達への影響度合いの大きさとして2023年にガスプロムからのロシア政府が課した課税金額が2兆5000億ルーブル、米ドル換算で280億ドルに達するとし、これはロシア政府収入全体の9%に相当すると指摘している。

 ガスプロムへの課税規模は拡大しており、逆に過大な徴税がガスプロムに代替市場へ天然ガスを供給するガスパイプライン建設などの資金投資の余裕を奪っているとイギリス国防省は分析、実際ガスプロムは2024年の設備投資規模を前年比マイナス15%へ縮小すると発表、少なくとも2030年までは利益を縮小したままと分析している。
■防衛情報-ウクライナ戦争
 厳しい状況ばかりつづいていますが砲弾の供給さえ間に合えば逆に射程の長い火砲で一気に無力化できそうでもある。

 ハリコフ州でのロシア軍侵攻状況についてISWアメリカ戦争研究所は5月12日付戦況分析において、ハリコフ州北部のリプシとヴォフチャンスクでロシア軍が前進したと分析しています。ロシア軍の目的は西側から供与された装備でのロシア本土攻撃を阻止するというロシア国内の政策的な要求の結果、ハリコフへ再侵攻したと分析する。

 ウクライナ軍は逆に国境のロシア側に所在する部隊集結地域や物資集積地域を攻撃することで大きな恩恵に預かれる可能性があるという。ただ、ISWはヴォフチャンスク近郊で任務に当たるウクライナ軍将校の話として、この地域には十分な要塞がないために防衛戦闘は苦戦を強いられているという発言を紹介しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 令和六年度五月期 陸海空自... | トップ | 【京都発幕間旅情】榛名さん... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

国際・政治」カテゴリの最新記事