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ウクライナ情勢-5.9対独戦勝記念パレードの極小化とハリコフでのロシア軍再侵攻の概況

2024-05-16 07:00:35 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 大津駐屯地祭でさえ教育部隊の後身の後に機動戦闘車が2両観閲行進に参加しているものですから。

 ロシア軍が実施した5月9日の対ドイツ戦勝記念式典について、イギリス国防省は5月10日付ウクライナ戦況報告においてその概要を発表しました。5月9日は例年ロシア国内において多数の都市でパレードが実施されていますが、ロシアウクライナ戦争開戦後は多くの都市で自粛されており、24都市でパレードが見送られたとのこと。

 パレード中止は2023年にも21都市で中止されていますが、今年はこれがさらに拡大したかたち。またモスクワでの軍事パレードも大幅に縮小され実施されていて、多数の戦車が赤の広場を行進する様子は過去のものとなり、パレードを実施するだけの装備を集められない、最前線で不足する装備を集めることへの批判が背景にあるとかんがえられています。
■参加車輛61両
 国威発揚も今は昔といいますか第二次大戦中は工場から新品の戦車がパレードに参加してそのまま実戦に投入されていたのでそれ以下の状況だ。

 モスクワでの対ドイツ戦勝記念日におけるパレードの参加車両は61両で、これはゴールデンウィークに滋賀県で行われた大津駐屯地祭の25両よりは規模が大きいものの、国威発揚行事としては2020年にはT-90戦車など戦車だけで20両を参加させていたことと比較すると非常に規模は小さく、重装甲車両は勿論、装軌式車両も参加がなかったとしています。

 T-34戦車1両のみが例外的に参加、第二次世界大戦を象徴させる戦車として参加したのみで、人員は9000名と集められ端ものの、士官候補生、退役軍人、軍属の参加が全体の七割近くをしめており、現役軍人の参加は三分の一程度、ロシアウクライナ戦争において大量の人員と装備品を失ったことが確実に影響しているとイギリス国防省は分析します。
■ハリコフ再侵攻
 この状況は逆に弾薬さえそろえばカエサルやFH-70で反撃する糸口のようにも思えてしまうのですが。

 ロシア軍のハリコフ方面での国境突破について、ISWアメリカ戦争研究所は5月10日付戦況分析において、ハリコフ市北部のリプシと北東部のヴォフチャンスク近郊において戦端を開いたとのこと。ロシア軍は最大5kmにわたり前進したという。ISWは今後ロシア軍がさらに前進し、ハリコフ市内をロシア軍の砲兵射程圏内に置くまで進むと予想します。

 ハリコフを砲兵の射程圏内におくには国境から50kmに所在するハリコフには10km程度の前進で現行世代の155mm榴弾砲はその射程内に市街地を収めることが可能ですが、ISWはこの攻撃についてウクライナ軍をほかの戦線からハリコフ防衛に転戦を強要するための助攻とみていて、ロシア軍にはハリコフを占領するための能力はないとも分析しました。

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