電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐伯泰英『姥捨ノ郷~居眠り磐音江戸双紙(35)』を読む

2011年07月01日 06時05分33秒 | -佐伯泰英
今春の異動でかなり多忙になり、読書量もペースダウンしておりますが、寝床で1日1章ずつと決めて少しずつ読む楽しみは格別です。佐伯泰英著『居眠り磐音江戸双紙』シリーズ第35巻、『姥捨ノ郷』を読みました。おこんが出産する隠れ里が、雹田平とかいう妙な透視術を持つ敵に発見されてしまうのかどうか、という緊迫感をねらった巻です。

第1章:「山流し」。表猿楽町に屋敷を構える御側御用取次の速水左近は、辛うじて切腹とお家断絶を免れたものの、甲府勤番を命じられ、いわゆる山流しの処分となります。甲府の方々にはたいへん失礼な話です。江戸の人が田舎を見る目は、いつの時代も変わらないのでしょうか(^o^)/
それはさておき、失脚し左遷されていく人を見送ろうという心意気は、見上げたものです。

第2章:「再びの逃避行」。田沼意次の圧力は、直接に尾張藩に及び、尾張藩当主が磐音クンと対面します。尾張と幕府の対立を望まない磐音ら一行は、尾州茶屋中島家の助けを借りて、再び逃避行に出ます。船に乗って広島に向かうと見せておいて、実はすぐに下船して川船にひそかに乗り移って員弁川を遡上し、四日市から彦根に抜ける脇街道に到達します。彦根城下に入らず、霧子の幼時の記憶にある隠れ里に向かうことに。それは、紀伊領内にあるとのことです。今で言う三重県から滋賀県を経て和歌山県まで南下する長旅です。

第3章:「水行山行の計」。奥州出羽国在住の当方には、土地勘がなくて大変さがいまひとつ把握できないのですが、要するに尾根伝いに奈良県を縦断するような旅なのでしょうか。水と食料の補給も大変でしょうし、身重のおこんさんには、いささか無理なのでは。弥助と霧子の助けが救いです。そして、同じころに、松平辰平は関前の坂崎家を訪ね、さらに土佐の利次郎を訪ねていました。そこに、磐音から書状が届きます。

第4章:「空ノ道一ノ口」。磐音とおこん、弥助と霧子の一行は、ついに隠れ里に到達します。そこは、真言密教の聖地、高野山の奥に連なる山々の懐にあり、一般人には外界と隔絶されたように見える土地です。雑賀衆に受け入れられ、おこんはようやく安心して健康を回復し、出産の準備ができました。

第5章:「高野奥ノ院」。隠れ里には、いろいろな情報が集まる仕組みができていました。さっそく、若い二人の侍が、あちこち出没して隠れ里の所在を探っているとの情報が入ります。もちろん、辰平と利次郎ですが、この時点ではまだ正体は判明しておりません。霧子と弥助は、神出鬼没の二人の侍の探索に努め、二人を和歌山藩の取り方たちから救出します。最後は例によって磐音と刺客との対決で、もちろん磐音クンの勝ち。



近畿地方の地図と虫眼鏡を片手に読みましたが、地名を発見するのが大変でした。逆にGoogleで検索したほうが早かった(^o^;)>poripori

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