電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

伊坂幸太郎『週末のフール』を読む

2011年07月09日 06時05分37秒 | 読書
前の職場の同僚だった日曜劇作家の推薦で読み始めた伊坂幸太郎作品、『死神の精度』『モダンタイムズ』『アヒルと鴨のコインロッカー』『重力ピエロ』に続き、『週末のフール』を読みました。読み始めるまで、てっきり『週末のプール』だとばかり思っていたのは、実はナイショです(^o^;)>poripori

私たちの日常とは少し違う、ややねじれた日常を描くことに巧みな(と感じられる)この作家が、三年後に小惑星が地球に衝突し、恐竜が死滅したときと同じような破局が予想される時の日常を描き出そうとしているのでしょう。

第1話:「週末のフール」
第2話:「太陽のシール」
第3話:「籠城のビール」
第4話:「冬眠のガール」
第5話:「鋼鉄のウール」
第6話:「天体のヨール」
第7話:「演劇のオール」
第8話:「深海のポール」

韻を踏んだタイトルの物語で描かれるのは、いささかエキセントリックではあるけれど、まぎれもない日常性です。映画で描かれるような、生々しいパニック場面ではなくて、それでも日常を営む人たちが、互いに関わりを持つようになっていく、そのあたりの描き方が、冷たくなくていいですね~。

眼前の破局的状況に、人々がどう対処したかを知っているだけに、パニック映画のように、危機に際し暴動や殺戮が頻発する状況を自明のことのように想定するものには、同意しかねます。偶発的な事件は起こっても、全体としては、やっぱり日常性の方が強いのでは?という考えに傾いてしまいます。もっとも、ミステリーには殺人事件が必須であるように、それでは映画は始まらないのでしょうが(^o^;)>poripori
そのへんが、小説というもののよさ、でしょうか。
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