電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第48回定期演奏会でハイドン、清瀬保二、メンデルスゾーンを聴く

2013年07月16日 21時12分27秒 | -室内楽
三連休の最終日、雨の晴れ間をみて梅を収穫・出荷し、スモモの大石早生を収穫しました。その後、少しばかり休養して、夕方から文翔館議場ホールへ。本日は山形弦楽四重奏団の第48回定期演奏会で、ハイドン、清瀬保二、メンデルスゾーンを取り上げた、次のようなプログラムです。

(1) ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.55-3
(2) 清瀬保二:弦楽四重奏曲 変ロ調 (1951)
(3) メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 Op.12

18時ぎりぎりに会場に到着すると、ちょうどプレコンサートが始まるところでした。オーボエの斎藤真美さんとヴィオラの田中知子さんが、「オーボエとヴィオラのためのアダージョと10のヴァリエーション」を演奏しました。オーボエの音色は、高音域はもちろんですが、ヴィオラと一緒に響く中低音が意外に魅力的なのですね。作曲家の名前も話したのですが、ぼんやりしていたため、残念ながら聞き取れませんでした。たしか、ジョージ・ナントカいう人だったと思います(^o^)/

開演前に、今回の担当である中島光之さんがプレトークをします。例によってカンニングペーパーなしの見事なトークで、今回の三人の作曲家が、それぞれ56歳、51歳、20歳のときの作品であることから始まり、宮仕えを終えて自由な身になるころのハイドンの音楽の伸びやかさや、貴族院議員の父親を持つという境遇にあって、ベートーヴェンの室内楽作品に接して音楽を志した清瀬保二の人間性、あるいは恵まれた境遇で最高の教育を受けた若いメンデルスゾーンのことなど、作曲に至る境遇なども説明します。今回のパンフレットに収められたプログラム・ノートも中島さんで、作品に関する情報を簡潔に網羅しながら、作曲家・演奏家・聴衆という関係を印象深くまとめています。このあたりは、作曲家であったお母さんが亡くなられた際に作品を整理するという役割を果たした、その時の経験がにじみ出ているのではと感じます。

例によって、ステージ左から、第1ヴァイオリンの中島光之さん。ダークグレーのシャツに、黒っぽい地に白いプリントのネクタイ姿で、ご挨拶の役割があったためかと思われます。その右隣が第2ヴァイオリンの今井東子さん。エメラルドグリーンのドレスがとてもよくお似合いです。その右が、首回りと手首に白いラインが入ったシャツ姿の、チェロの茂木明人さん。左端が、いつも通り黒ずくめのヴィオラの倉田譲さん、というメンバーです。

さて、第1曲目:ハイドンの弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.55-3 です。Wikipedia では第62番とされているだけで、残念ながらまだ解説のページは作られていません。
第1楽章:ヴィヴァーチェ・アッサイ。ハイドンらしい、緊密なアンサンブルです。第2楽章:アダージョ・マ・ノン・トロッポ。思わず聴き惚れてしまいます。2nd-Vnで静かに終わります。第3楽章:メヌエット、第4楽章:フィナーレ、プレスト。1st-Vn の役割は大きなものですが、曲中で VcとVla に 2nd-Vn が加わり、フーガみたいになるところなど、いかにもハイドンらしくていいですね~。

この時期のハイドンは、四人のアンサンブルがとても緊密で、1st-Vn だけに負担がかかる古いスタイルではなくなりつつあるように感じます。チェロの役割などは、もう少し活躍してもよいように思いますが、そこは Beethoven の登場を待つことになるのでしょう。

第2曲目は、清瀬保二の弦楽四重奏曲 変ロ調、1951年の作曲だそうです。
第1楽章:アレグロ。非常に訴える力のある音楽と感じます。曲想は明るくはなく、喩えは変ですが、風の又三郎が烈風の前に立っているような孤高感を感じます。第2楽章:アンダンテ。1st-Vn の奏でる旋律は、どこか民謡的な要素もあり、懐かしさを覚えます。とりわけ、チェロに移った旋律や、祭りのエネルギーのような推進力を感じさせる部分などは、感傷的な緩徐楽章ではありません。最初の主題を繰り返して静かに終わります。第3楽章:アレグロ・モルト~ヴィヴァーチッシモ。情熱的、エネルギッシュな楽章ですが、悲劇性も感じます。思いきったような、印象的な終わり方です。まったく初めての曲ですが、共感するところが多くありました。

ここで、15分の休憩です。皆さん、それぞれに立って休憩して来られたようです。



後半は、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第1番です。Wikipedia には、残念ながらこの曲も解説がありません。
第1楽章:アダージョ・ノン・トロッポ~アレグロ・ノン・タルダンテ。静かで確かな始まり。第2楽章:カンツォネッタ・アレグレット。なるほど、カンツォネッタです。第3楽章:アンダンテ・エスプレッシーヴォ。「夜の室内楽」の番組テーマ音楽候補になりそうな美しい緩徐楽章。第4楽章:モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ。ダイナミックで情熱的。中間部の 2nd-Vn がいい味。ヴィオラとチェロがロマンティックな響きを聞かせます。そして、合唱が注目を集める「マタイ受難曲」の器楽パートで、言葉のないヴァイオリンが切々と心に訴えかけるように、1st-Vn が存在感を示します。

アンコールは、同じくメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第2番の第3楽章から。
残念ながら、演奏会レポートはここで力尽きました。眠くて眠くて(^o^;)>poripori
でも、10月19日(土)の第49回定期演奏会のチケットは、しっかりと購入してきました。
(^o^)/
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