電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

遠藤真理「サリー・ガーデン~チェロ・フェイヴァリッツ」を聴く

2014年01月02日 06時03分43秒 | -室内楽
山形交響楽団の第233回定期演奏会でマルティヌーのチェロ協奏曲を聴いた日に、会場で購入したCDを、ここしばらく、ずっと聴いておりました。当日のソリスト、遠藤真理さんのチェロ愛奏曲集「サリー・ガーデン~チェロ・フェイヴァリッツ」です。AVEX AVCL-25369 という型番のものです。

収録された曲目は、

1. サリー・ガーデン (アイルランド民謡、無伴奏チェロ版)
2. J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲第1番(6曲)
3. ドヴォルザーク 「森の静けさ」
4. フォーレ 「夢のあとに」
5. サン=サーンス 「白鳥」
6. ショパン 「ノクターン 第2番」
7. R.シューマン 「アダージョとアレグロ」
8. ラフマニノフ 「ヴォカリーズ」
9. 「アメイジング・グレイス」(無伴奏チェロ版)

というもので、3.から8.までは、ダイアナ・ケトラーさんの見事なピアノ伴奏つきです。

 第1曲目、無伴奏チェロによる「サリー・ガーデン」は、アイルランド民謡を編曲したというだけあり、バグパイプを模したと思われる響きを盛り込むなど、たいへん印象的な曲です。
 第2曲目、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番は、過去の大家たちの、重々しく堂々たる演奏とは異なり、軽やかさやリズミカルな要素を志向しつつ、チェロらしい伸びやかさでよく歌う音楽となっていると感じます。
 バッハの6曲を一つと数えれば第3曲目、ドヴォルザークの「森の静けさ」は、題名どおり静けさを感じさせる曲です。強く主張する性格の曲ではないだけに、つい聞き流してしまいそうですが、良く聴くと実にニュアンスに富んだ音楽になっています。
 第4曲目、「夢のあとに」。せつないメロディはチェロにぴったりで、ピアノ伴奏がまた素晴らしい。思わずこの曲をLPで繰り返し聴いていた若い時代を思い出してしまいます(^o^;)>poripori
 第7曲目、シューマンの「アダージョとアレグロ」。私にはこの曲が一番のお気に入りでしょうか。チェロが素晴らしく、またピアノも素晴らしい!激しすぎないけれども力強さも持った音楽になっています。遠藤さんが、このピアニストとの共演を望んだ理由がわかるような気がします。
 サン=サーンス「白鳥」やラフマニノフ「ヴォカリーズ」等は、言わずと知れたチェロの定番でしょうが、第9曲、無伴奏の「アメイジング・グレイス」は、意外なほど説得力のある音楽でした。やっぱり曲の力もあるのでしょう。

 録音は2007年の10月で、軽井沢の大賀ホールとクレジットされています。音はたいへん自然なもので、明瞭で聞きやすいです。たっぷりとチェロの音色を堪能し、満足できた一枚でした。



 一つだけ不満を言えば、CDケース裏面に表記されたトラック番号が黒地に白抜きで印刷されているため、全部が真っ黒の■に見えてしまい、数字が判読できません。これは多分、デザイナーが大きな画面サイズのディスプレイ上でのみ作業をしているからでしょう。実用上、大いに問題ありだと思います。老眼の中高年世代だけでなく、視力にハンディキャップをかかえた若い世代でも読めるような、ユニヴァーサル・デザインを心がけていただきたい、と要望します。

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