電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

宮城谷昌光『香乱記(二)』を読む

2014年01月30日 06時00分34秒 | -宮城谷昌光
新潮文庫で、宮城谷昌光著『香乱記』第二巻を読みました。

「二世皇帝」
この章では、李斯が趙高の陰謀の裏をかき、蒙恬将軍と太子扶蘇に知らせようとしますが、趙高のほうが一枚上手でした。使者の岸当と展成は幽閉され、扶蘇は自裁し、蒙恬将軍は捕えられます。幸いなことに、扶蘇の娘の蘭は姿を隠し、父の仇をうつと宣言します。頼りになるのは、やはり田横です。

「小鳥と大鳥」
苛政の度を深める秦に対し、陳勝と呉広の乱が起こります。李斯の別宅にひそんでいた田横は、多数の兵に取り囲まれますが、辛くも脱出に成功します。そのころ、陳勝と呉広の乱は勢いを増し、項羽と劉邦の名も聞こえ初めています。

「三兄弟起つ」
陳勝によって将軍に任命された周文は函谷関を越え、秦都・咸陽に迫ります。二世皇帝は、群臣の中から声を挙げた軍事の天才・章邯を将軍に任命し、強制労働に従っていた刑徒七十万を兵としてこれを押し返します。いっぽう、狄県では田憺、田栄、田横の三兄弟が県令を倒し、斉を再興すべく兵を挙げます。

「千里烈風」
蘭は、父の仇をうつために姿を変え、李斯の手引きで後宮に入ります。この間に世情は変転し、章邯の軍は無敵を強さを示し、表題どおり千里が烈風にさらされるような戦乱の時期となります。

「地上の星」
プロジェクトXではありません。短気な田憺が、無礼な楚王の使者を斬ったことから、田横を中心として情報収集の組織化を図ります。自身は東阿に向かうこととしますが、17歳くらいと思われる季桐が田横を慕い、同行することになりますが、これが作者の作劇術で、美少女を救うために主人公が危険に直面するハラハラドキドキというパターンが忠実に守られます(^o^)/

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