関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

入札制度改善~「安けりゃいいってもんじゃない」~

2010年07月06日 | 市政全般

 先におこなわれた6月市議会一般質問で、三つのテーマを取り上げました。
 最初に、入札制度改善の問題についての質疑のポイントをご報告します。
  

地域発展に資する入札へ
 入札制度は、「競争によってできるだけ価格を下げる」時代から、地域の業者の適正な利益や労働者の適正な賃金の確保などで、地域経済の振興と地域社会の発展に資することが求められる時代に入った。
「価格破壊」の問題
 今年度、業務委託の入札でこんなことがあった。
 旧町村でバス3台を朝夕各2時間運行する業務で、それぞれ運転手と助手を配置するのだが、一般競争入札の結果、これまで請け負っていた地元業者では無く、地域外の別の業者が落札した。
 運転手と助手は困って、落札した業者に雇用をお願いしたところ、すぐに受け入れてもらったが、賃金は日給換算で前の半分程度。
 業務開始まで1週間ばかりの時期ということだから、最初から既存の運転手と助手を賃金を下げて雇用することを見込んでいたのではないかとも考えられる。
 元の業者は、旧町時代には町の委託を受けて、JRの駅舎周辺の夜間の防犯対策を担うなど、行政とも連携して地域社会に貢献してきた業者。
 このような事例は、委託業務の入札では珍しく無い。心ある業者は、「労働者にまともな賃金が保障できない」と嘆いている。
 問題は、業務委託の入札では、最低価格を規制する制度がとられていないということ。
改善のための一案
 そこで第一に、業務委託の入札についても、他の入札と同様に調査基準価格制度を導入してはどうか。
 第二に、総合評価方式の入札について、評価項目に技術・品質以外の項目を加えてはどうか。
 例えば、東京日野市では、地元資材の利用、労務単価の保障、建設共済等への加入、育児・介護休業・育児時間、温暖化対策等環境配慮、災害協力・ボランティアなどを「企業の信頼性・社会性」として評価項目にしている。格差是正を進め、地域社会に貢献する企業の育成を図る試みだ。
 第三に、評価すべき項目の一つに、下請けの場合に地元企業へ発注を高めること。
 今年度、西郷地区農村活性化センターで、地元業者への発注率90%という基準が落札業者に求められたと聞く。地元の業者に仕事を回し、地域経済振興を図る貴重な試みだ。
 今回は試行的な実施だと聞きいたが、今後とも継続・発展させるべき。

総務部長答弁

「競争激化」を認識
 長引く経済・不況にあって、建設工事、業務委託、物品調達は地域経済に大きな影響をもたらすものであり、又、悪化による受注競争の激化は、建設工事に止まらず、一般の業務委託にも及んでいると認識。
最低価格規制に努力
 「低入札価格調査制度」は、低入礼で契約内容に適合した履行がなされない恐れがあると認められる場合の基準として「調査基準価格」を設定し、これを下回った場合は決定を保留し、調査した上で決定をするというもの。
 平成21年度からは、調査時に失格とする「数値的判定基準」を設定するとともに、建設工事に係る測量、設計等の業務委託にもこの制度を適用。
 この制度は、当初から建設工事関連で先行してきたことや、一般の業務委託では、業務内容や契約内容が多種多様で、業者側の経営形態や営業規模も様々であることなどから、県では一定規模以上の一部の業務について平成16年度から取り組まれているものの、全国的に見ても実施事例は非常に少ない。
 また、平成17年4月施行の「公共工事の品質確保の促進に関する法律(通称、品格法)」のなかで、公共工事の特性として、工事のやり直しや損害賠償等が難しいことから、契約段階で施工業者の能力や具体的な技術提案による品質面も考慮したうえで受注者を決定すべきとされてきた。
 そのことから、国県の指導でも、価格以外の評価項目としては工事の品質確保に直接関係する技術的な項目を前提に進められてきたし、発注者が評価決定をする前に、評価項目の選定や評価結果について学識経験者の意見を頂くことになっている。
貴重な識見だが・・
  関議員提言の、「評価項目について、これまでのように技術や品質に関係することに加え、地元資材の利用、従業員への労働賃金の担保や様々な保証制度の導入状況、企業の社会的貢献度といった点についても評価すべき」とする考え方は一つの貴重な見識と存じますが、先ほど述べたように、もともと「品格法」の施行によって導入された経過から、工事の品質に直接関係のない項目を加えることについては、その概念の明確化も含め、学識経験者の間でも様々な見解もある。
 本市としては、評価項目の選定ついては、原則的には工事の適正な履行や良好な品質を担保するために直線関係する項目に限定すべきであり、又、評価項目の必然性やその内容によっては、関連する法令との整合性などを慎重に検討した上で対処すべきものと考える。
 また、業務委託への総合評価方式の導入は、当該方式が「品格法」の施行から導入されたということから、こういった一般の業務委託にまで拡大して行われている事例は全国的にも非常に少ないと思われますし、山形県でも各市町村でまだ導入の事例は見られない。
検討していきたい
 いずれにしても、「低入札価格調査制度」「総合評価方式」の業務委託への導入は、個々の業者の経営に直接的に影響するだけではなく、その業界全体にも影響しかねない重要な問題を含むことから、他市町先進事例や動向を注視しながら、必要に応じて関係団体からの意見をいただくことも念頭に置き、今後とも検討を積み重ねて参りたい。
下請け工事の地元受注拡大の努力継続
 次に、下請け工事の地元受注拡大について。
 建設業は、雇用の安定の面からも重要であるとともに、季節雇用、臨時雇用等、本市の基幹産業でもある農業にも大きく影響を与える産業。
 構造的に「下請け」、「再下請け」と重層的で、元請業者だけではなく下請をする職種別の専門業者や小規模業者にも配慮していく必要がある。
 今年度の新たな取り組みとして、下請工事における市内事業者の受注率の向上を図るため、特に下請工事の職種が多く、広範囲な経済効果が期待できる一定規模以上の建築工事で、下請契約金額全体に占める市内事業者による下請下請け金額が90%以上とすることを条件とする発注を試行的に実施した。
 建築工事では、工事内容や難易度が工事ごとに違うといっても過言でなく、一方的な発注者側の裁量による高い率での下請け率を担保条件とすることは、時として合理性を欠き、むしろ業界全体件の混乱を招くとも考えられる。
 この度の試行に際しては、当該工事の内容や難易度等を工事担当課と慎重に協議をしながら、地元業者による施工が可能であると判断できる工種をひとつひとつ吟味をしたうえで実施したものであり、今回の試行結果を十分検証するとともに、今後も同様のモデルケースを積み重ね、検討を深めてまいりたい。
 これまでも、公共工事の入札及び梁約に係る透明性・公平性の確保や、受注競争の激化への対応に努めたきたが、今年度も、小規模修理修繕契約希望者登録制度の全庁的な展開、お話しのあった西部活性化センター建設工事で、下請契約金額全体に占める市内本店業者による下請契約金額を90%以上とすることを条件とする発注の試行的な実施など、本市内の中業事業者・専門業者の受注機会の拡大を図るための取り組みを行っている。
 引き続き検討・取り組みを重ねて参りたい。

  1ヶ月遅れのご報告となってしまいまして大変恐縮です。