関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

看護師不足に市の対策を!~定員拡大、奨学金制度ナドナド質問~

2011年09月15日 | 医療・介護・福祉など社会保障


 9月12日の本会議一般質問で、看護師不足への対応と、スイミングクラブの問題について取り上げました。
 看護師問題は再三再四の質問になりますが、養成に責任を負う県に対しての働きかけの必要性については認識の前進がありました。
 市独自の取り組みについては、及び腰と言わざるを得ない答弁でした。
 こちらの問題から
要旨を報告します。一部割愛し、言い回しも修正しています。
 完全な議事録は、12月頃に市議会ホームページに掲載されます。録画は既に観ることができます。35分間です。

「日本の看護師問題」

 日本の看護師数は、100病床あたりドイツの半分、アメリカの4分の1と極めて低く抑えられてきた上に、患者の高齢化と重症化、医療の高度化の進行、さらに、入院日数の短縮政策などが加わって、看護の現場は限界を超える過密労働が強いられています。
 それは世界でも異常な医療費抑制政策によってもたらされたものであり、解決のためには社会保障切り捨ての「構造改革」、医療費抑制政策を転換することが求められています。
 昨年9月、今年3月議会でも述べましたが、市内の民間医療機関では、看護師を常時募集する状況が続いており、最近では看護師不足から病棟の一部閉鎖も発生しています。看護師不足が地域医療の後退を生んでいるということであります。
「鶴岡の看護師不足」~養成数が少なすぎる!~
 特に本県では、地域の看護師養成数が少ないという問題があります。
 県の第七次看護職員の需給見通しでは、需要に対する不足は初年度の今年2011年で934人、5年後の2015年でも449人としています。 
 
 これは行財政改革委員会に委員から提出された資料ですが、一年間の看護師養成総数は今春入学者数で440名ですが、高齢者人口当りでみると全国47都道府県で山形県が最小となっています。一番多い徳島県の3分の1にもなりません。
 しかもこの内、4割前後が県外就職になっています.
 県外から県内に就職する方もこの半分くらいいますが、いずれにしても少ないものです。
 特に酒田看学が再来年にならないと卒業生が出ませんので、20名しか卒業生がいないという超異常事態です。25年以降でもこのままでは将来に渡って看護師不足の解決の見通しが立たないと思うのであります。
あらゆる対策をとって
 当局では、民間も含めた庄内の看護師需給について、本年3月議会で「課題があると認識している」と答弁していますが、市としてこれまでの延長線上ではない、できうる限りの確保対策に取り組むべきと考えます。
 たとえば、公益大への学部新設の要請、山大への看護学科定員拡大の要請、看護学校の新規誘致、准看学校を運営する医師会への要請、市独自にできる取り組みとしては荘看の定員拡大、奨学金制度創設などさまざま考えられます。
 まず最初に求めたいのは、特に県に対して、看護師養成拡大に責任を果たすように強く働きかけるということです。
 県が直接おこなう奨学金制度の再開・拡充、庄内への県立学校の設置から、県立保健医療大学の定員拡大、今申し上げたような様々な取り組みに県が全力を上げ、財政面等の支援もおこなうことなどなどいずれも県の役割は重大であります。
 需給計画達成の責務を果たしてもらうということですけども、特に庄内としては少ない県の養成数の中で特に少なく県内の11%にとどまっている。この現状を踏まえた対策を強く求めていくべき。
地域医療体制を崩さない看護師採用を
 次に、荘内病院のH24年度の看護師採用計画についてですが、
 荘内病院は患者7人に看護師1人の看護基準の取得をめざして、来春採用の看護師を約50人と募集をおこなっています。現行の10対1から7対1に引き上げること自体は、病院が担う急性期の医療を確保充実させるために適切な方向と考えます。 

 ①同時に、採用のあり方として地域の看護師需給を考慮し地域医療供給体制を損ねないということが求められます。
 来春と再来年と庄内の新卒者が20人しかいない中で、「民間からの引き抜き」による強引な確保であってはならないと思うのでありますが当局はどうお考えでしょうか。
  ②一方、全病棟一括して取得するものとされる7対1を全510床の荘内病院で取得するには、純増で50~60名の看護師増員が必要であるのに対して、今年の応募が47名、5年間みてみますとグラフ④例年の退職者が10名程度あって、88名採用しても純増は26名となっているということですから、もとより今の病棟運用であれば来年度の基準取得は厳しい状況と拝見しました。
 一方、障害者病棟、回復期リハ病棟、精神病棟などの基準を取得する病棟は、7対1の対象から外すことができるとされていますから、一定の病棟でこれらの基準を取得して、残った病棟から7対1を取得するという選択肢がある訳であります。
 そういうことも考えながら、あくまで地域医療体制を損なわない形での7対1取得をめざすことが適切な手法ではないかと考えますがいかがでしょうか。
「看護師の需給には課題がある」
健康福祉部長
 医師、看護師の確保については、医療計画を作成する県においておこなわれているが、昨年12月に県がとりまとめた、山形県の看護職員の需給見通しでは、平成23年における県内看護職員需要数は14604人、供給数は13670人で934人の不足、充足率は93.6%となっており、これが27年では不足数は、不足数が449人、充足率は97.7%まで回復するとされています。
  しかし本年7月8日の県の22年度の速報値として、需要に対して1388人不足し、不足数は拡大傾向にあると報告され、既に需給見通しとの間で乖離が生じ始めているようです。
  また市内医療機関の内、特に病院において、一部病棟の老人保健施設への転換の動きや、福祉施設で看護師の確保がしにくい状況などもあり、やはり看護師の需給には課題があると認識。
  看護師不足の解消には、看護師の養成数を増やすこと、養成した看護師が地元に就職すること、就職した看護師が継続して就労することができるようにすること、いったん退職しても再び看護師として再就職できるようにすることなどが考えられますが、県が5月に県内68病院を対象とした実態調査では、H22年の離職者は536人、主な理由として中途退職486人では、本人の健康問題、他の分野への興味、適正能力への不安、配偶者の転勤、家族の介護といったものが挙げられている。
  県は、看護師需給見通しを達成するために、看護師養成所への助成、県ナースセンターの運営による再就業の斡旋や、再就業支援、看護技術講習会の開催、離職防止策としての病院内保育所への運営助成などの対策を講じており、就業者数は徐々に増加をしているということ。
  ただ、ナースセンターでの求職登録は村山地域が多い、ということで庄内での動きはまだ少ない
  。さらに、短時間勤務や子育て期間中の時間外勤務免除の義務化など、雇用や勤務態勢に変化が生じている。
「県の対応をみて考える」
 看護師確保は現在県において種々の施策が講じられておりますので、こうした県の看護職員確保対策や、新たに現在策定作業に入っております「山形方式看護師等生涯サポートプログラム」などの動向などを見定めながら、状況が改善されないようであれば、県に対してより実効性のある対策をご要望申し上げていかなければならないと考えている。
地域のバランスが崩れないよう配慮
荘内病院事務部長 来年度からの7対1看護体制の取得に向け、今年度の職員採用試験にあたっては、例年よりも多い人数、50名程度ですけれども採用試験案内に掲載した。
 応募者の確保に向けた具体的な取組みとして、今年度初めて、看護師募集の専門パンフレットを3,000部作成し、県内及び全国の看護学校など72校に送付した。当院看護師の教育プログラムや院外研修を始めとして、認定看護師の養成・静岡がんセンター等への長期派遣など、看護分野のスペシャリスト育成などを内容としており、当院が取組んでいる充実した教育・研修制度や手厚い看護師育成の状況等をアピールする内容となっております。また、これも初めて、県内ならびに新潟県、宮城県、福島県の看護学校・大学、24校を訪問し、採用試験への応募をお願いしてきた。
  このように、今回の募集にあたっては、県内だけにとどまらず、広く県外からの応募を働き掛けておりますし、また、従来から「地域内の医療機関に勤務している看護師への勧誘・働きかけは行わないこと」としており、この度も、その徹底を図ったところでございます。
  看護師の採用にあたりましては、職業や職場選択の自由という大原則もあり、難しい面もございますが、今後とも、地域全体の医療提供体制のバランスが崩れないよう配慮して参りたい
  次に、来年度からの7対1看護体制の取得が困難な場合の対応についてでございますが、議員からは具体的な手法として、一部の病棟を障害者病棟や回復期リハビリテーションなどに充ててはどうかというご提案でしたが、こうした病棟に対する地域的な充足具合や今後の需要見通し、新たな人的スタッフ確保の必要性、さらには収支見通しなど、様々な観点から検討すべき事項があります。
  ご提案の一部病棟の機能転換以外にも、幾つかの手法が考えられますが、いずれに致しましても、一次試験の受験者数が確定していない段階であることから、今後の検討課題とさせていただきたいと存じますので、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
「県に強く要請を」
関 答弁にあった、「山形方式・看護師等生涯サポートプログラム策定検討委員会」には養成の拡大は位置づけられていない。
 日本海病院の方でも看護師の大量の採用が始まっていることについても是非話をしていただきたい。市は、「地域医療のバランスが崩れないようにやっていきたい」ということですから、県も是非そういう立場に立っていただく必要がある。
 それから、荘内病院の採用のことは、地域の医療供給体制を崩さない、確保するという立場からのもの。
「地域医療を崩さない政策を」
 病院の機能分化で、急性期を荘内病院で、概ね12日ぐらいの入院をした後で、多くの方が湯田川病院か民間病院で、こちらも3ヶ月を目安にした療養。
 そして、公立病院は一般会計からの一定の投入をおこなっている。不採算医療確保、市のサービスを直接担う職員を確保していくということで、適切なものだと思っているが、そういう中で、労働条件としてはやはり公立の方が高いものを確保している。
 ですから、民間病院では看護師の取り組みについては必死の取り組みを20年来おこなって、なんとか医療を確保するということになっている。
 「職業選択の自由」というお話は当然のことだが、病院の採用政策として、既卒者をいっぱい抜かなければならないような政策は採るなということを申し上げたい。
「有効な奨学金制度創設は可能」
次に、市独自の採用の取り組みについて、一つは、奨学金制度の創設。
前に取り上げた時に、「県の奨学金制度が効果あがらなくて廃止された経過がある」というお話があったので私調べてみた。すると
 ○准看護師を対象にした月額15000円から最高で36000円決して高くない奨学金。
 ○しかし、3年間の支給で、返還義務を免除される就労期間が5年間と長いということ、
 ○そもそも目的が小さな規模の病院の採用を確保すると言うことで、200床以上の病院は対象にならないということ
 ○選考も各看護学校へ概ね3%程度の人数を割り当てるということ
 ○H10年以降、H18に廃止されるまでほぼ毎年、前年実績を下回るかやっと確保するという予算で、最後は前知事の強引な行革の中で廃止された。
 ですからこの制度の状況を見ますと、むしろ問題点を色々そこから学んで、改善をすれば有効な奨学金制度作れるんではないか。
 卒業したら「都会に一定期間行きたい」とかいうことであれば、卒業後返済開始までの「猶予期間」を設ける等も考えられる
 ちなみに、酒田市の方では学生への進路アンケートをおこない、「経済的に困窮している学生が多く、そのことが大病院を選択する動機にもなっているようだ」と分析をしている。
 本市としても、是非とも様々な必要な調査もおこなって、この奨学金制度の創設を検討されたらどうかと思う。しかも至急の課題として今年の取り組みとして検討をおこなってはどうか。
健康福祉部長 先の定例会でもお答えいたしている通り、貸与を受けた学生の卒業後の動きと事業目的が合致した成果が得られない、などによって現在県では募集が停止されている。学生のキャリアアップ指向があり進学や都市部、大病院への就職希望が出ている、それから、低所得というお話もありましたが他の就学援助制度との関連とか、様々なものがあろうかと思う。(以上の部分、前の議会の答弁の繰り返し)
 修学資金の貸し付けがどの程度この問題の解決に寄与するのかということを検証するためには、市町村レベルでは情報量も体制も難しいものがある。
 また、有効であると考えられた場合でも、既に県において制度が創設されているので、募集の再開をお願いしていくと言うことが一義的に必要なことになるのではないか。
 今後の県の検討経過に注目し、その中で、奨学金の問題も、成果と効果も検証しながら、必要であれば県に再開をお願いしていきたい。
 色々な課題が県の制度に見られたと(前の議会で答弁があったので)、私見たところそれらは克服可能なものではないかと思ったので改めて申し上げた。県に対する働きかけはもちろんですけども、市としても是非とも検討していただきたい。
次に荘看定員拡大の件、これも最前、建物を拡大しなけれがならないのでお金がかかる、教員の確保、実習先の確保、それらのことで困難という答弁であったが、大体いくらぐらいかかるのか、教員とはどんなところから想定できるのか、また研修先実習先とは日本海病院など他の医療機関でカバーできないのか、そのような具体的な検討がおこなわれたのかということを伺いたい
荘内病院事務部長 当然ながら大規模改修を進めるという方針も無い中ですので、試算はしていない。教員の確保に関しては、教員資格を持つ看護師を直接採用することは中々難しい状況にありますので、職員の中から研修して資格をとっていただくという形で教員を確保している。
研修に関しては、荘内病院の研修体制あるいは患者さんとの関係などで、これ以上受け入れは困難な状況にある。他の病院・施設で研修施設として認定していただいて、看護学生を受け入れることが可能だと言うことになればクリアできるのではないかと思っている。
 病院の定員拡大も、健康福祉部にお願いしたことも、いずれもハードルは低くない。
しかし、市として看護師がどうしても必要であり、学校に行って地域で働きたいというかたが沢山いらっしゃる訳ですから、市の事業の中でもしっかりとした位置づけで是非とも進めてもらいたい。
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