関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

クマ対策

2023年10月15日 | 原発・自然エネルギー・環境

2023年9月定例会の厚生環境常任委員会での3項目の質問の内、クマ被害対策についての概要です。
クマ出没件数が過去20年間で2番目に多くなり、これまで無かった市街地でも確認される等のことから、秋の農作業や行楽シーズンでの人身被害対策について取り上げました。
めざすべきは、クマと人間の共存ですが、その上でも人身被害は防がなくてはならないと考えます。

クマの出没相次ぐ山形 さらに増加か? エサの「ブナの実」が"大凶作”予想で…(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース
山形:クマ目撃9月末で529件 過去2番目 ブナ不作人里出没恐れ:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
令和5年度クマ出没情報 鶴岡市 (tsuruoka.lg.jp)

1)クマよけスプレー
 例年に比べて大変目撃件数が多く、市街地にも出没するなど、秋のトラブルが懸念されている。
 本県第四期ツキノワグマ管理計画に示されている総合的で系統的な取り組みが必要だが、今日は人身被害防止について聞く。
 kuma_saisyuu_gaiyou.pdf (pref.yamagata.jp)
 計画にも「人身被害等の新しい傾向」とあるが、それが今年更に顕著。
 鶴岡の中山間地で「こんなにクマが(集落に)降りてきたのは60年間見たことない」「家のすぐ裏を歩き回っている」という声が聞かれる。春には市街地にも現われた。
 また、全国的に「人を恐れないクマ」の増加による、従来の対策の効果の低下が言われ始めている。
 そういう中で、具体的対策策の一つとして、クマよけスプレーの普及がある。
 県が作成しているチラシにも(対策の1つとして)紹介されてるが、日本ツキノワグマ研究所理事長の米田一彦氏は、「(人身被害対策に)確実な方法はない。ただ、近年になって熊スプレーが出てきて、助かる確率が高くなっている」とし、秋田県は資料で使用方法も説明している。
 しかし、現状では普及していない。入手方法、使用方法など周知し、普及を図るべき。
みどり自然課長  クマよけスプレーはクマと遭遇した時の最後の手段。そうした状況に陥らないようにするために、まずは対策についての県民への普及啓発が必要。スプレーだけではなく総合的な普及啓発のため、年2回、春と秋にチラシを作成、市町村役場、関係各所に配布している。
 出没状況についてもHPに随時掲載して注意喚起している。
 また、報道機関の協力でパブリシティーも積極的におこなっている。
 しかし、ご紹介いただいたように、チラシにもスプレーも有効だということを記載してPRしている。
1つの手法として今後周知を図ってまいりたい。
関 いざ遭遇したとなると冷静に対処できない。最後の手段を持っているということで、落ち着いて対処することができるとされている。

2)猟友会支援
 二つ目に駆除について、猟友会中心におこなっているがその支援はどうなっているか。
課長 有害捕獲の場合は、農水省交付金で、一頭あたり8千円支給と言う方法と、作業に従事した人に日当を支給する方法といずれかを選ぶ事ができる。
 市町村の判断だが、鶴岡市は追い払いの作業に従事した時の日当8500円。
 また、これと別に捕獲した個体を埋設に重機を使用した場合にも支給を受ける事ができる。
関 イノシシでもサルでも支援が出ているが、クマと言うのが特別、対処がやっかいだということを重視しなければならない。
 ワナ設置には最低三人。その後、毎日危険を伴う見回り、放獣も危険。処分した場合も、解体して、埋設するか肉を運びだすか、これも非常に手間のかかる仕事で、「率直にいってやりたくない仕事」になっている。
 イノシシも一頭七千円位であり、クマの手間に見合った保障をする必要がある。
 有害鳥獣対策は住民始め関係者が協力してやるということになっているが、猟友会の方々は、地域のために危険を冒して、手間をかけてやっている。それに見合った補償をするという考え方でやっていく必要があるのではないか。
課長 ご指摘の通り、クマの捕獲に関わる作業は、大変な労力を要し、関係者の皆さん大変なご苦労をされていると認識する。所管する農林水産省に対して伝えたい。
関 是非国にも提言してもらいたい。同時に、本県は自然が財産であり、クマも管理計画に書いてあるように、自然の恵み、山村生活の重要な資源、本県の財産。そのうえで、駆除に当たっていただく方々の役割に鑑みて、県としても独自の、手厚い対処を考えて貰いたい。重ねて提言する。

3)体制強化
 人と獣の関係変化、人の暮らし大きな変化というか縮小、こういう中で対策に当たる体制も縮小していくことはさけられない。クマのみならず、他の動物でも、最新の知見が蓄積され、全国的に色々な創意工夫がおこなわれている。秋田県はクマ対策支援センターを県自然保護課内に設置し専門職員を置いたが、全国の市町村で、駆除に当たる方、緩衝地帯の活動組織などに当たる方を職員として配置するなど進んでいる。
 もともと緩衝地帯の維持管理は農業・集落活性化事業。市町村との密な関係も必要。
 体制について考えを聞きたい。
環境エネルギー部長 専門的知見を有する人材育成は大変重要な課題。県クマ管理計画でも位置づけ、研修や、技術講習会等の開催をおこなうこととしている。計画に基づいて、指導者養成研修会を開催、スキルアップを図っている。今後は、先進的な事例や、学識経験者の意見なども参考にして、対策の体制整備について研究して参りたい。