ぼんくら放浪記

Blogを綴ることによって、自分のぼんくらさを自己点検しています。

浮島の森

2011-08-30 05:00:00 | 田舎
新宮には今まで何度も行ったことがあり、その度に浮島の森という存在が気になっていました。でも今まで一度も訪れたことがなかったし、写真などで見る限り絶対に行かなくてはという気にはなりませんでした。何故か、あまり景色の良さそうな雰囲気では無かったからでしょう。

しかし、その内行ってみないとアカンという気も強く、この日は目的無しに新宮に来たことやし時間もあるので、今回初めて行ってみることにしました。

                  

『天然記念物新宮藺沢浮島植物群落』と刻まれていて、下部の説明には、「この石柱は、浮島の森が国指定になったのを記念し昭和11年に建立され・・・」とあります。国は浮島の森を何に指定したのかが抜けています。こちらに移設した際に書かれたののでしょうが、そのような単純なことを何故抜かしたのでしょうか。

浮島の森に入る手前の小屋の前で音声による説明を聞き、小屋で入場料100円を払って入場します。「入場料要るんかよう」と思いながらも、100円だったので払いました。500円だったら外から見るだけだったかもしれません。

             

昭和2年に天然記念物に指定されているんですね。島が浮いているのは島の下部が泥炭で出来ているからとか、もしその年に国が天然記念物に指定していなかったら、資源の乏しい日本国は、軍によって戦争用にとその泥炭をも調達されていたことでしょう。恐ろしや日本陸軍!

今にも底が抜けそうな板の廊下を歩いていきます。まだ浮島の森自体には足を踏み入れてはいません。

             

途中鉄製の橋があり、いよいよ浮島の森へと進入していきます。

             

私が生まれた頃は、未だこの森は浮いていることが実感されたようで、強い風が吹いたり、足で強く蹴ると、島が動くのを感じられたそうです。

この森の生物は南方系から北方系まで幅広く生息しているそうで、その不思議さが天然記念物である所以なのでしょう。このオオミズゴケという種は北方系の生物なのだそうです。

                 

この島の付近に、おいのという娘が住んでいました。ある日、おいのは、父親とともに薪採りに島に渡って、昼飯時に弁当を開いたのでしたが、箸を忘れてきたことに気がつき、おいのは、アカメガシワの枝を折りとって箸の代わりにしようと、森の奥深くに入っていきました。でもなかなかもどってこないので、怪しんだ父親が探しに行くと、まさに娘が大蛇に飲み込まれようとしているところ、驚いた父親が助けようとしましたが、娘は蛇の棲む底なしの井戸についに引き込まれてしまったというお話。

それがこの「蛇の穴」と呼ばれる沼。伝説の井戸であると言われていて、上田秋成はこの伝説に題材をとり、『雨月物語』の一編「蛇性の婬」を著したとも新宮市教育委員会の手で記されていますが、「蛇性の婬」はこの地方の話ではあるけど、男性が女蛇に悩まされるという話、この井戸を題材にしたとは到底思えません。

             

森を出て再び外周の廊下、この辺りに来ると水量も多く、まるで豪族の古墳を見ているようです。きっとこの島、調査される前は古墳だと思われていたのではないでしょうか。

             

小屋を出てすぐに島の断面図が載った案内板があり、この図を見ていると島は東の方で座礁してしまっています。どおりで動かないわけですね。

おいの伝説はチョイとおかしい、箸の代わりの枝を取りに奥へといっても、離れていても呼べば聞こえるほどのほんの小さな島でしたよ。入場料100円は妥当なところです。

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