以前にピカソの"ゲルニカ"の大きさに驚きましたが、横山大観の絵巻物"生成流転"も40mにわたる非常に大きな作品です。なにも大きければ良いという話しではなく、その超人的なエネルギーに圧倒されるということです。②
① 横山 大観
よこやま たいかん、正字体:大觀、1868年11月2日(明治元年9月18日) - 1958年(昭和33年)2月26日)は、日本の美術家、日本画家。常陸国水戸(現在の茨城県水戸市下市)出身。
近代日本画壇の巨匠であり、今日「朦朧体(もうろうたい)」と呼ばれる、線描を抑えた独特の没線描法を確立した。帝国美術院会員。第1回文化勲章受章。死後、正三位勲一等旭日大綬章を追贈された。
茨城県名誉県民。東京都台東区名誉区民。本名、横山 秀麿(よこやま ひでまろ)。
② 今年の特別公開は充実しています。全長40mにも及ぶ名作「生々流転」(1923)が一挙公開されているだけでなく、大観の他の作品4、5点と合わせて特別ギャラリーが設けられているのです。さながらミニ大観展の様相を呈していました。
「生々流転」については以前も触れたことがあるので繰り返しませんが、ともかくあれほど長大な画面の中に殆ど弛緩した部分が見られない素晴らしい作品です。
線描を一切排し、墨の濃淡だけで描かれたいわゆる「朦朧体」の技法が、深い山から始まり地を駆け抜け、そして天へと昇っていく自然と生命の物語を極めて幻想的に表現しています。もちろん圧巻なのは、龍が波間より出現し巨大な渦へと消えていく最後の場面でしょう。
全てが消え去った後の白の平穏は、一番初めに登場した山にかかる白い靄と共通します。天に帰った万物は、自然や生き物を潤わし、そして活力を与えようと、再び山より降りてきているのです。まさに流転です。
以上です。