引き続き堀江佐吉です。
1906年竣工の旧弘前図書館も二つの塔が特徴です。弘前教会の双塔の頂部がバトルメントという凹凸のある壁であったのに対し、こちらでは金属板で葺かれたドームが乗っています。塔は8角形の平面をしており、前掲の江口俊彦さんによると中央部のマンサード屋根と塔が水平要素(コーニス)でつながれているところに特徴があります。市の設置した看板には洋式建築の技法が非常に高い水準に達していたことが分かる建物とかいてありますが、塔と言う垂直性を強調すべきものを単純に取り扱わないところなどにも佐吉デザインの円熟味が出ているということでしょうか。
中に入ると2階が一般閲覧室です(下の左写真)。一方婦人閲覧室は1階の小室です(下の右写真)。小さいけれども雰囲気はよかったことでしょう。
正面左の塔の内部は階段室です。案内看板には全体はルネサンス様式で随所に和風が採用されているとのことでしたが、いわゆる儀洋風のような時期はもう過去になっていたのだと思います。
図書館のすぐ近くに1904年竣工の青森銀行記念館(旧五十九銀行)があります。
かなりきちんとした古典様式にのっとった建物です。重要文化財です。ただ屋根の部分を見ると少しオリエントを感じさせる造形が垣間見えます。
市(あるいは観光協会?)HPの解説によると木造の外壁に瓦を張りそのうえに漆喰(45t)で仕上げているとのこと。残念ながら開館時期をはすしていたので見学できませんでしたが内装には金唐革紙がオリジナルの状態で使われているそうです。
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