澄んだ青空、流れる雲、吹き付ける風に音を立ててはばたく絵のぼり。
迫力ある筆遣いで描かれている鍾馗様。
中国から伝わった厄除けの神様。
江戸時代、磐城平藩主が絵のぼり制作を推奨したことにより、端午の節句飾りとして、手書き工房が今なお息づいている。
いわき絵のぼり吉田の三代目絵師辰昇(吉田博之)さんを尋ねると、
先代の祖母が高齢となり、技術を孫の私に、しかし、祖母は体調崩し、伝授なし。
祖母を知る叔父から話を聴いたり、初代の辰治さんの絵のぼりを参考に自分らしい画風で少しでも近づき、何時までも見ごたえのある絵を描きたいと一筆に妥協を許さない。
江戸時代から始まり350年経ても変わらないいわきの空にはためく絵のぼり。
歴史を受け継ぎ、自分らしさを追求する絵師の心意気が、見る者の心を震わせる。
吉田さんは好間と思っていたが、QRコードから、泉町滝尻字根ノ町で、滝根庵工房の名前であった。
いわきでは男の子が端午の初節句に絵のぼりや鯉のぼりを贈る習慣がある。
健やかに成長するよう願いを込めて。