社会科見学へ行くとなると,すぐに子どもたちが聞いてくるのが
「先生!バスの席は!?」
バスの席順って,子どもたちにとってはかなりワクワクするものです。
バスに乗るという,学校とは違う非日常に興奮するだけでなく,隣に誰と座るかなんてことが,気になって仕方ありません。
私も子ども心に共感できます。
だから
「そんなことより見学先でのことを考えなさい」
なんて軽くかわそうとしてもダメです。
ちゃんとバスの席順については先生として,クラスに一貫したルールを作ってあげないと。
学級の実態によってどう座らせるかは様々でしょうが,私はだいたい
「席順はみんなに任せます。自由に座ってどうぞ。ただし,そのことで少しでもけんかが起きたり,一人ぼっちの人が出たときは,即先生が全員の席を決めます。」
としています。
基本自由です。
ただし条件つきです。
この指示を少し威圧的に,子どもがごくっと息を飲む雰囲気で伝えるのがポイントです。
そしてこう付け加えます。
「自分が誰とどこに座るかも大事ですが,周りの友だちに困ってる人がいないかを見るようにしなさい。」
道徳心に訴えます。
「先生が席順を決めては残念でしょう。楽しいバスにみんなでするんですよ。」
ここまで話せば,子どもたちにとってバスの席順は自分だけのことではなく,クラスみんなの問題だという意識になります。
(みんなでうまくやるぞ)
という連携が必要になります。
それがねらいです。
ある程度成熟したクラスであれば,このやり方でトラブルなく席順が決まります。
そのときは,たったそれだけのことに思えるかもしれませんが,思い切りほめてあげます。
バスのスタートでマイクをにぎったときに
「自分たちで座れましたね。さすがです。」と。
忘れてはいけないのは
「きっと,友だちに席をゆずったり,少し我慢してそこに座った人もいるでしょう。そういう人たちのおかげです。えらい。」
というフォローです。
後に,クラスの仲の深まりを話題にしたいときがきたときは,このバスの席決めのことを持ち出したりもします。
「自分たちで席を決められるクラスです。あのとき,一人ぼっちはいませんでした。」
なんて,少しおおげさですが,子どもたちは「確かにそうだった」と納得します。
子どもたちの「ワクワク心」をくみ取って,そしてうまく利用して,一つの学級づくりに生かしていきたいところです。
※ちなみに
席に座る段階で本当にトラブルが起きてしまったら,もちろん約束通り先生が席を決めます。
ここは厳しく,断固として。
まだそこまで成長できていないクラスとして受け止め,先生が役目を果たします。
妥協案をさぐったりして運転手を待たせてはいけません。
「名簿順に入りなさい!」
その一言です。