小学生攻略法

このブログも10年目。久しぶりに担任復帰です。

「明日の昼休みもリレーの練習をします」「えっ」

2012-09-25 21:27:55 | 教師の仕事術の攻略法

運動会の全体練習がありました。
一通り種目を終えて,放課後に検討会をもちました。
そこで紅白リレーの担当の先生が言いました。
「上学年の子たちはたいぶよくなったのですが,下学年の子たちのバトンパスがもう一歩なので,明日の昼休みもう一度練習しようと思います。リレー選手の子たちに伝えてください。」
すると1年生担任の先生が言いました。
「1年生には運動会でもリレーがなくて,体育の授業でもバトンパスを練習することはないんです。例え後ろ向きで両手でもらったとしても,それはそれでいいのではないかと思います。昼休みの練習続きで,疲れが見えますので,できればもう練習はしないでほしいです。」

ここまでお読みいただいて,学校の先生ならば
「するべきでしょ!」
「しなくていいでしょ!」
いずれかの意見をもたれるのではないかと思います。
職員室でもその後,練習した方がいい,しなくていいの意見がいくらか出し合われましたが,結論,しないことになりました。
このやりとりからも分かることですが,基準が違うんですね。
先生たちの間で。
1年生のリレー,どこまで指導すべきかということ。
運動会練習をしていると,この件に限らずいろんなところで見られることです。
どこまで指導すべきか。
・入場行進は全員手足の動きがそろうところまで求めるのか
・表現運動でもっと腰を落として踊らせたいところがあるが,そこまで求めるのか
・応援席での子どもたち,友だちとのおしゃべり一つすることを許さないのか
こんなきわどい場面にさしかかり,時にそこにいる先生たちで指導の程度が違うこともあります。
ある先生は「3年生の表現運動,よくできていますね」と言うが,別の先生は「3年生,もっと動きを機敏にしなくてはいけない」と言ったり。
指導を受ける子たちにとっては,先生たちの言っていることがチグハグなのは困りものです。

これを避けるために,事前に指導事項の基準について共通理解をしておくべきですが,なかなか細かな点まで全てをというのは難しい。
ただでさえ慌ただしい毎日の中で,そんな調整を十分にする時間はとれないものです。
そこで,とりあえずの共通認識として

運動会は8割基準!

というものをもっておくのがよいのかと思っています。
誰が見ても素晴らしいという完璧なできを10割としたら,その8割を基準として求めるということです。
そして全ての先生がその基準を柱にして,子どもたちの指導に当たる。
そうすれば先生たちの中で指導に大きな差は生まれないはずです。
そうすると自然と運動会練習もスムーズに流れ,子どもたちも先生たちも気持ちにゆとりをもてるようになります。

もちろんできるなら10割を求めたいところです。
が,運動会の指導となると,対象となる子どもたちも多く,指導する先生たちも多い。
その中で,10割を絶対に達成するというのは厳しいものがあります。
だからとりあえず8割。
そして,その8割を求める中で,子どもたちが大変がんばり屋さんだったり,先生たちの指導がバッチリはまったりして,もっと上を目指せそうであれば,9割や10割に基準を上げていくといいでしょう。
また,子どもたちには個人差があります。
8割を基準にしておくと,その上の9割や10割にまで届く子だって出てきます。
同時に,7割や6割にしか満たない子たちだっていて,個別の指導が必要になります。
このように,8割基準だと子どもたちの個人差にも無理なく基準を照合できることになります。
これが10割基準だとほとんどの子がアンダーアチーバーとなり,大変です。

雲ひとつない晴天の下で運動会の全体練習をしながら,そんなことを考えていました。