先日,受け持つ6年生がもうすぐ進学する中学校の入学説明会でした。
この会は,先生が子どもたちを引率して行き,保護者も参加します。
中学校生活に関する説明,中学生の授業参観,そして部活動見学など,貴重な時間です。
徐々に,中学校への進学を身近に感じだした子どもたちは,それへの不安や期待もいろいろと口にしだすようになりました。
この説明会にも,緊張した面持ちで臨んでいました。
さて
中学校側からの一通りの説明が終わったあと,その進行を務めていた先生が,最後に参加している小学校側の保護者に向けてこう付け加えました。
「以上で説明は終わりますが,何か分からない点はなかったでしょうか。もしありましたら,何でもおっしゃってください。」
と,ここまでは当たり前のセリフですが,続きがありました。
「私たちは長くこの仕事をしていると,
『保護者もこれくらい知ってて当然だろう』
と無意識のうちに決めつけてしまうところがあり,説明がおろそかになってしまいがちなんです。
そして,保護者の方々に指摘されて気付かされることも多いんです。
だから,どうぞ遠慮なく何でもおっしゃってください。」
(あぁ,親切な一言だな)
と思いました。
確かにそうなんです。
先生って,学校にしかいないから,そのことについて頭でっかちになってしまい,学校の外にいる人たちのことに,考えが及ばなくなりがちです。
そしてやっかいなことに,先生自身がそのことに気付いていない。
だから,保護者は先生の話が分かりにくいことがある。
でも,「学校に関する専門家」に,「当たり前」とされているような初歩的な質問をするのは気が引ける。
それで質問しないまま進んでしまう。
そんなことが往々にしてよくあるように思います。
そんな危険性を,この進行の先生はよく理解しているのでしょう。
学校の先生には珍しい,とても謙虚で視野の広い先生だと思いました。
そして,それを上手な言葉で伝えられている点が,腕のある先生だと思いました。
我が子を初めて中学校に上げる保護者にとっては,安心できる一言だったことでしょう。
一方的にどんどん説明するだけの,傲慢な中学校だったら,不安ですもんね。
私も,この気の利いたかっこいいセリフを,今度どこかの場でそっくり真似させてもらおうと思っています。