著者は事故直後から請われて5か月にわたり,内閣官房参与として官邸に詰めていた原子力工学の専門家。
インタビュー形式で著者の発言を起こしたものですが,論点が整理されており,かつ説得力のある,優れた本だと思います。
その一節を引用すると…
「根拠のない楽観的雰囲気が現在の最大のリスク」。
「政界,財界,官界のリーダーの方々で,あの事故がどこまで深刻な事態に至っていたのかの「現実」を理解している方は,実はあまり多くないのです」。
一気に読んでしまいました。しかし決してプロパガンダ的な内容ではありません。
ある意味では格納容器,圧力容器に守られた原子炉よりも,プールの水に浸かってるだけの使用済み核燃料(しかもそれは一つの原発で数千本)のほうが怖いということも再認識しました。
前回の記事で,民間事故調が聞き取りをしたのは政治家,保安院,東電などと書きましたが,誤りでした。東電は調査を拒否し続けたそうです。
なんたることか。世界最悪レベルの事故を起こしながら,調査には協力しない,情報を出さない。
こりゃ糾弾ものだ。
それにしても,事故調が聞き取りをした枝野や海江田,細野らの証言の内容は非常に生々しかった。
テレビで部分的に再生されたものを聴いたまでだけど…。
この際,検証された「首都圏3千万人避難計画」も,ぜひ白日の下に晒すべきだ。
NHKの報道によれば,担当者たちは,これはあまりにヤバすぎる事態だと,No Paperで,つまり紙へ残さずに検討したという。
後々の情報公開請求のことを考えたのだろう。
しかし,それならば,後からでもそういう検討の過程を聞き取って記録に残すのが,人の仕事というものじゃないのか。
ところで今朝は茨城北部で強い揺れ。東海村では震度5弱を計測。
NHKによれば,東海第二原発など関連施設3か所で異常を知らせる警報が鳴り響いたという。
その後,おおきな異常ではないことが確認され,今のところ周辺のモニタリングポストに異常値は出ていない。